人に触れられた経験はほとんどない。  
両親にとって、私は要らない子で、クラスの人たちは私を居ない子として扱った。  
だから、これは凄く不思議だと、そして、幸せだと凪は思った。  
 
夢を見ているという自覚はある。だって、自分の体は、まだ下の方で医療器具に囲まれて、か細い呼吸をしているのだから。これは、俗にいう幽体離脱なんだろうか?  
そんな細かいことを凪は、気にしていなかった。  
とにかく、そうこの天井を抜けて、空に近い不思議な空間に急がないといけない。  
だって、私には約束があるのだ。  
はやく、あの人のところに行かないといけない。  
 
そこは不思議なところで、空にあるはずなのに、どういうわけか水のほとりで鬱蒼と茂った木々の間から漏れる光がキラキラと水面に反射していた。  
「よく来ましたね。凪」  
そういって、出迎えてくれるのは自分の人生で出会った中で一番綺麗な男の人だ。  
「む、骸様・・・」  
走りよりたい衝動を抑えて、いや、幽体離脱をしているのに、走るというのだろうか?とか、いらないことを考えながら、凪はその男の下に近づく。  
そうすると、男はにっこりと笑って、凪を抱きとめてくれた。  
「本当に、君はいい子ですね・・・」  
そういって、少し伸びた髪を梳いてくれる。ゆっくりと、後頭部から首の辺りを行き来していた手が、顎のラインを辿り、そっと顎を持ち上げる。  
しっとりとした唇が凪の唇に振ってきて、すぐに強く押し付けられた。  
「ん・・・う」  
唇はむしろ冷たいほうなのに、後から浸入してきた舌はひどく熱くて、凪の口腔を良いように犯していく。何度も何度も舌に誘われて、息が苦しくなってくる。  
「ぁ・・・」  
一度、開放され、凪は足りない酸素を取り込もうと口を大きく開けたところで、凪の舌を食むようにされて、そして、もう一度深く口付けられた。  
ぐちゅぐちゅと生々しい水音が、耳からも犯していく。  
「ハァ・・・あ、骸・・・さ・・・」  
体に力が入らなくて、少し高い男の肩に手を回すと、男も凪の腰に手を回し、しっかりと抱きしめてくれた。  
 
これは、夢だ。凪は、うっとりとしながらそう思った。  
自分は、少しだけ欲求不満だったんだろうか・・・、こんな夢を毎日毎日みるなんて。  
ああ、だって、自分は手術服のままではないか。  
 
※※※※  
凪の着ている服は、少しだけ不思議な服だった。  
骸は、その服が一瞬自分を誘う為のものかと驚いたが、よくよく考えれば昔自分も着せられていたことがあったと思い当たり、少し不機嫌になる。  
「骸・・・さま・・・」  
おずおずと、触ってよいのか?どうしようかと悩んでいる手を、自分の肩に導いてやり、そうして凪の小さな体を支えてやる。  
凪は、目に見えて安心したようだった。  
「本当に、甘えん坊ですね、凪・・・」  
ちゅっと、音を立てて口を吸ってやると今度は、凪の方から、舌を伸ばしてきた。  
好きにさせている間に、背中の紐解いた。もともとすぐに他人に脱がせられるようにと作られた服だ。  
ゆっくりと、体を離して、そして、肩の辺りの布ずらしてやる。ばさりと足元に落ちる。そして、ひどく白くて細い肢体が現れた。  
「綺麗ですよ」  
そういうってやると、凪は真っ赤になって下を向いて、首を横に振る。毎日のようにしている行為になにをそんなに恥ずかしがることがあるのか、骸は、心底疑問だった。  
 
日に焼けていないその肌を、肩から滑るように触れていくと小さく震えているのが判った。  
凪は、基本的に従順で、骸が抱きついていいいうような仕草をしない場合は、  
ずっと指示を待っているように、じっとその体を骸の前に晒していた。  
未成熟ではあるが、柔らかく緩やかにくびれた腰と、手に収まるにはちょうど良い程度に膨らんだ胸は、  
中々気に入っていた。その胸の真ん中でピンク色の乳首は、いつも何かを待ち望んでいるようにぷっくりと立ち上がっている。  
それを摘んで指の間でこすってやると、凪の体が大きくのけぞった。  
「ひっあ…あぁ!!」  
「こうして、欲しかったのでしょう?」  
もう一つの乳首を、口に含んで舌で転がすと凪は、快楽から逃れたくて、骸を押しやろうと手を上げたが、  
すんでの所でやめる。行き場を失った手が、所在なげに宙に浮いていた。  
そんな様子を骸は横目で見て、ほくそ笑んだ。  
「うあ・・・ああぁ、骸・・・さ」  
凪は、なんとか、自らの足で立っていようとするが、快感が強すぎてどうにもならない。  
たっぷりと苛められた乳首を、仕上げといわんばかりに軽く歯で刺激を与えられて、  
「あああ、ああぁ!!!」  
ガクリと体が弛緩して、その場に座り込んでしまった。  
「おやおや」  
骸は、苦笑しながら、くず折れてしまった凪の体をそっと立たせる。  
「あ・・・」  
「まだ、早いでしょう?」  
「む、骸・・・様ぁ」  
いやいやするように、顔を力なく振る凪に骸は、まだ一度も触れていない下腹部へと手を伸ばした。  
生え揃わない下の茂みは、うっすらと濡れていた。  
「い・・・あ、ああ」  
「ほら、ちゃんと立って、ね?」  
ガクガクと震える身体を、骸は、面白そうに眺めながら、茂みの奥へ手を伸ばす。  
「駄目、駄目で、すぅ・・・も、ぅ」  
立っているのが、辛いと、そう目で訴えるが、無視された。  
塗るつくそこを、人差し指と親指で押し広げた。しかし、中には入ってはこなかった。  
 
いつもは、ゆっくりと指で慣らされて、そして、?がるのに、今日はただその周りを、  
凪が感じる部分を的確に外して、指がうごめくだけである。  
ぐちゅぐちゅと水音だけが、あたりに響き気分だけがより一層高められる。  
「む、骸・・・さ・・・ま・・・」  
真珠のようなそこにも、触れそうになるが、掠るだけで決定的な快楽を得られない。  
こっそりと、自分でいいところに当たるように動いてもみたが、苦笑されるだけで、見事にかわされる。  
ただただ、緩い快楽だけが続いた。  
「い・・・や・・・も・・・もう・・・」  
立っているのにも、いつ終わるとも知れない緩い快楽にも限界だった。自分を攻める骸の手を凪は取った。  
思いのほか、手が震えていることに凪は驚いた。  
「どうしましたか?」  
骸は、いつもと変わらずににっこりと笑う。  
「おね・・・がいしま・・・す。もう、ここに・・・」  
そういって、凪はぎゅっと目をつぶり、骸の手を自分のヴァギナに押し当てる。  
骸は笑うだけで、何もしてこなかった。  
「あ・・・っ」  
「ほら、僕に何をして欲しいんですか?」  
「あの・・・」  
押し当てた骸の指が戯れに動いたりすると、クリトリスを掠ったりして凪の身体は、  
耐えられないというようにビクビクと震え、体重を骸の方に預ける。  
「ぃ、ひぃ・・・ん」  
「ほら、ちゃんと言えれば、僕も凪の欲しいものをあげますよ?ね?」  
耳元で囁くと、凪の目からだんだんと光が消えていった。  
「・・・いつも、僕は貴方の望むものを、差し上げたでしょう?」  
ヌルヌルと骸の指が何本か、凪の中に入ってくる。そうして、好き勝手に浅く深くと動き始めた。凪の身体が大きくのけぞる。  
「命も、仲間も、ご両親から逃れる手立ても、すべて・・・僕が・・・」  
とめどなく溢れる愛液は、凪の足を伝って落ちてゆく。  
「ああ、あ・・・骸さ・・・まぁ」  
「なんですか、凪・・・いえ、クローム?」  
「わた・・・私の・・・ここに、中に、な、中を・・・骸様ので、・・・あ、ぁ・・・骸様の●んぽください・・・っ!!!」  
「よく、言えました」  
 
凪は、世界が反転したように思った。なんてことはない、たんに骸に押し倒され、もう十分に熱くなっている場所に、突きたてられる。  
「ああああ、ああ!!!!」  
一気に奥の奥まで突き立てられ、凪は一瞬目の前が真っ暗になった。  
「ひあぁ、ああ!!む、骸・・・さまぁ」  
覆いかぶさる主に、腕を伸ばすとそっと手を取ってくれる。  
「ふふ、もっと、喜びなさい・・・ね?僕の、クローム?」  
ガクガクと容赦なく揺さぶられ、凪は自分の身体が今どうなっているかもよくわからなかった。でも、それでも、幸せだった。  
「骸、さ・・・ま」  
何度目かに、奥に熱いものを注がれて、凪はとても満足そうに笑って、ふっと意識を失った。  
 
終わり  
 

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