例の弁当をかけた手合わせ以来、ヒバリのイーピンに対する態度がやや柔和になった。  
相も変わらずイーピンの一方的な押しかけに顔をしかめるヒバリだが、  
心の底から嫌がっているようではないようだ。  
 
 
 
しかしある日を境に、ぱったりとイーピンは姿を見せなくなった。  
応接室で風紀委員の業務をこなしながら、ヒバリは少し気になっていた。  
それまでは毎日のように顔を出していたのに、もう1週間以上も来ない。  
沢田綱吉が何か知っているんじゃないか、と思ってツナに聞いてみても、  
『え、うちのイーピンは変わった様子はないですよ』  
という。  
(まあ、静かでいいんだけどね…)  
イーピンが来るようになって、そのたび追い掛け回されていたので書類は山のように  
たまっている。黙々とデスクワークをこなすヒバリだった。  
 
 
「ヒバリさ〜ん…」  
珍しくドアから応接室に入るイーピンは、ソファで居眠りをしているヒバリを発見する。  
普段は眠りが浅く、少しの音でも目を覚ますと聞いていたのだがヒバリは起きない。  
座った体制で腕を組み、うつむいて目を閉じている。  
イーピンはそんなヒバリの隣にそうっと腰を下ろし、そばにおいてあった毛布をヒバリの  
肩にかけてやる。  
「……っ」  
ヒバリが身じろいだ。起こしてしまったか、と焦るイーピンだがヒバリからは定期的な  
寝息が聞こえてくるのでほっとする。その瞬間、ヒバリの体が大きくゆれて  
イーピンのほうへぐらりと倒れてきた。  
(わっ!)  
イーピンはヒバリごとソファに倒れこんだ。自分の体の上にいるヒバリは起きる様子はなく、  
すぅすぅと寝息をたてている。耳元ではっきりと息遣いが聞こえ、顔を赤くするイーピン。  
(あ、ヒバリさん、いい匂い…)  
シャンプーの香りなのか柔軟剤の香りなのか、ともかく清潔でいい匂いがした。  
さらさらとヒバリの髪が頬をくすぐる。  
「う…ん」  
とヒバリが寝返りをうつように体制を変えたその時、ヒバリの左肩がイーピンの胸をかすめ  
(あッ!)  
びくりとイーピンの体が反応した。急に鼓動が早くなる。体が熱を帯びてくる。  
 
(や…だ)  
太ももの間がジュンと熱く潤うのが分かった。ドキドキしながら、イーピンはそうっと  
スカートの中に自身の左手を入れ、下着の上から敏感になっている部分を触ってみた。  
そこはしっとりと濡れ、ぴくぴくと細かく震えていた。  
思い切って直に指で触れてみる。  
(ふ…ぁ!)  
クリトリスはすっかり充血し肥大して快感に喜んでいる。中指でくりくりといじると  
頭の先まで痺れるような快感がイーピンの体を走った。  
「…っん…」  
ヒバリを起こさないように声を押し殺す。  
(ダ、メ ヒバリさんがいるのに…ア、ぁ でも…!)  
好きな人の横でオナニーしているというこのシチュエーションに少なからず興奮してしまっている  
イーピンの手は止まらなくなり、より激しくクリトリスを刺激し続けていた。  
愛液があふれ、ぐちゅぐちゅという卑猥な音がより情欲を掻き立てる。  
(アァ ん、ふ…)  
手の動きが早まり、快感の波が一気に押し寄せてくる。  
(あっ、あっ、  ふァ……い イっちゃう…!)  
「んぁ!」  
びくびくと体を震わせイーピンは達した。  
 
 
 
我にかえったイーピンは、カアァァと頬を染めいてもたってもいられなくなり  
そっとヒバリから離れると焦って応接室の窓から出て行った。  
(あ、あ、あたしヒバリさんのそばでなんてことを――!!!)  
顔から火を噴く勢いでひょいひょいと屋根を飛び移って沢田家に向かうイーピン。  
 
一方、イーピンが出て行った事を確認したヒバリはもぞ、と体を起こす。  
「……まいったな…」  
耳を真っ赤にして片手で髪をくしゃっとかきあげるヒバリ。  
途中目が覚めたものの、起きるタイミングを逃してしまいどうしたものかと  
悩んでいるうちにイーピンの情事が始まってしまったのだった…  
 
 
 
 
 
 
END  

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