次は美術の授業なので、ツナ達は美術室へと移動していた。
獄寺・山本と一緒に廊下を歩いていると、途中にある応接室のドアの前で
イーピンがうろうろしていた。
「あれ?イーピン何してんの?」
「ふぉ!びっくりしたー!」
脅かさないでくださいよーと手をひらひらさせるイーピン。
「入んないの?応接室」
「あ、入りますよ、今から…!」
とイーピンはドアノブに手をかけるもそれを回そうとせずぱっと手を離してしまう。
その繰り返しだ。
(?)
ヒバリから聞いた話では、いつでもお構いなしにどこからでも侵入してくるらしいのだが、
どうも様子が違っている。彼女は妙に緊張しているような表情をしているのだ。
「ツナー、遅れるぜー」
山本が美術室の前から声をかけたので、ツナは
「今行くよー」
と返事をしてイーピンにじゃ、と言って駆けていく。
(どうしたんだろ?)
「あーダメだ!」
イーピンはドアの前で風呂敷包みを抱えてしゃがみこみ、一人悶々としていた。
「どんな顔してヒバリさんに会えばいいかわかんないー!」
その途端、ガチャッと応接室のドアが開いた。
「うわ!!」
ずさーっとイーピンは後ろに飛びのいた。ドアの前には不機嫌そうなヒバリが立っている。
「入るの入らないの」
「え、は、入ります!」
応接室に入ったイーピンはどきどきしながらも
「よくあたしが居るってわかりましたね」
と問いかけた。
ヒバリは目線だけ彼女に送り
「30分もドアの前で独り言言ってれば誰だって気づくよ」
とため息をつく。
「あ、そっか…」
「で、今日は何?」
半分やけになったような声でヒバリは言う。その声に今日の目的を思い出したイーピン。
「あ、今日はおやつを持ってきました!」
と風呂敷包みをほどき、中から取り出したのは揚げごま団子。
「ヒバリさん、つぶあんとこしあんどっちが好きですか?」
「…こしあん」
ちょうど3時のおやつの時間だったので、ヒバリは黙っていただくことにした。
下手に断ったほうが何だかんだとうるさいことをヒバリは理解していたからだ。
熱いお茶とともにごま団子を一口。外はカリッとしているが中はもっちりとしていて非常に美味だった。
食を進めながらヒバリがイーピンに質問をする。
「君、この一週間何してたの」
「一週間…あ、あたし風邪ひいて熱出しちゃったんですよー。頭ぐるんぐるん回るし
体の節々が痛いし動けなかったんです」
「そう… あ」
「ふぇ?」
ヒバリはイーピンの唇にくっついているごまを見つけると無意識のうちに手を伸ばし、
それを取ってやっていた。
ティッシュで自分の指を拭っていると、正面から異様な気配を感じてバッと顔をあげると…
゜゜・*:..。.。☆*・゜★。。.:*・☆*・。..:*・゜ (キラキラキラ
と目の中に星をとばしているイーピンがいた。
「ヒバリさ――ん!!」
両手を広げてヒバリに突進し抱きつくイーピン。
「ちょっと、離れて…!」
ヒバリはイーピンを離そうとするが、恋する乙女のパワーは計り知れなくビクともしない。
ぎゅううとヒバリに抱きついたまま、イーピンは
「やっぱりヒバリさんは優しくて素敵です!こんな素敵な人だから、あたし、あたし…!」
「いや、ちょっと!」
「あたし、我慢できなくて、」
「待って!」
サアァと嫌な予感がして血の気が引くヒバリ。
「寝てるヒバリさんの横でオナニーしちゃったんです――!!」
―――――――――――――――…
ヒバリは目の前が真っ白になった。必死で寝たフリをしていたのに、
当の本人の口から聞かされるとは夢にも思っていなかったからだ。
動きが止まったヒバリに気づいたイーピンは、左手でスカートの
チャックを下げ、すとんと足元に落とす。
ぷちぷちとカーディガンのボタンを外しキャミソールを脱ぎ捨て、
再度ヒバリにぎゅっと抱きついた。
は、と意識が戻るヒバリは、目の前の下着姿のイーピンにさらに動揺する。
「な、な…」
イーピンはその体制のままソファに倒れこもうとするが、ヒバリは
自分の学ランをイーピンに羽織らせてそれを阻止する。
「何考えてるの、君」
「……ヒバリさん、あたしヒバリさんの事が好きです、今すぐエッチ
したいくらい…」
その声はいつもと違って神妙な響きで、ヒバリは少し冷静さを取り戻す。
「でも、ダメなんです。あたしはこの時代の人間じゃないから。
時代の違う人と体を重ねると未来を変えてしまうことになるからです」
「……」
「でも、頭ではわかっていてもダメ、なんです…我慢できない!」
イーピンはヒバリの体ごとソファに強引に倒れこむ。
「ヒバリさん…ごめんなさい…」
そう言うと、イーピンはヒバリの体の上で自身の胸を愛撫し始めた。
「なに、を」
「ん…」
ゆるゆると円を描くように揉み、片手でブラのホックを外すと痛いほどに
とがった乳首が露わになる。色白な肌に赤く色づいた果実、そのコントラストは
とても艶かしかった。
むに、と手のひら全体で胸を揉みしだき、指で先端をなぞる。
「んぅ!ん…」
頬を染め、自慰に喘ぐイーピン。ヒバリはそんな彼女の体の下から黙ってその
行為を見つめている。
す、とヒバリは上半身を起こし、自身の右手をイーピンの口元に持っていった。
「…ヒバリ、さん?」
意味がわからず、潤んだ瞳でヒバリを見つめるイーピン。ヒバリはその指を
イーピンの口の中にそっと入れた。
「…舐めて」
「ふぁ…ぅ、んっむ…」
言われるがままに、ヒバリの指を舐める。ぴちゃぴちゃと、夢中で舌を使い丁寧に。
ちゅる、と唾液の糸をひき指が引き抜かれる。
「ヒバリさ…あぁっ!」
ヒバリはイーピンの下着の中にその指を差し入れた。イーピンの唾液で濡らされたその指は
愛液とともにぬるぬると敏感な部分を這う。
「や、アァ… んは… あ!」
くっ、とヒバリの指が中に挿入される。中は熱く、ヒバリの指をきゅうきゅうと締め付けている。
ズッズッと強弱をつけてやれば、イーピンの腰がガクガクと揺れてくる。より快感を求めて
自分で感じるところに当てているのだ。
「指だけで充分そうだね…」
「んッは、あ ァ! ハァ、は」
快楽の蜜がぐちゅぐちゅと音をたて、ヒバリの手とソファを濡らす。
「あ、あ、もぅ…!」
ヒバリはすでに手を動かしていなかった。ひたすらに腰を上下に揺らしているイーピン。
肩にかけられた学ランが床に落ちる。
「イきそう…?」
かり、とイーピンの乳首を咬む。
「ひ!ぃ…やァ ア、アァ…っイ く ――!!」
びくんと体を反らせ、イーピンは絶頂に達した―――
ほんの少しの間気を失っていたのだろうか。イーピンは目を覚ました。
「ヒバリさん?」
きょろきょろと見回せば、頭上にヒバリを発見する。ヒバリが膝枕を
してくれていたのだ。
ヒバリと目が合い、イーピンは自分のとんでもない行為に今更ながら
顔を真っ赤にして焦っている。
がばっと飛び起き、
「す、すみませんあたしったら!!」
ヒバリはいつもの仏頂面で時計に目をやり
「君もうすぐ時間じゃないの」
と問う。イーピンも時計を見る、あと数十秒でタイムリミットだ。
「あ、そうですね…」
こんな破廉恥な行為しちゃって、ヒバリさんは絶対に許してくれないよね、とイーピンは覚悟を決めて口を開く。
「 ――あの、あたしもうここには…」
「またおいで」
思いもよらなかったヒバリの答え。イーピンは涙を浮かべ満面の笑顔で返事をした。
「―――はい!!」
END