オレは自分が狂ってしまったのだと思った。目を覚ますたびに覚えのない  
死体が転がっていた。  
記憶がとぎれだしたのはあの子供の面倒を見るようになって間もない頃からだ。  
そう、六道骸というボスが拾ってきたあの子供…  
 
 
 
「―――う、……!!」  
まただ。また辺りは血の海で何体もの死体が足元に転がっている。  
「オレ、は…」  
体を動かそうとして、ふと自身の腕が何かを抱いていることに気づく。  
それは、すでに体温を失い冷たくなった恋人の遺体だった。  
「――うあああぁぁあぁぁあ!!!!」  
 
オレはどのぐらい嗚咽していただろう、茫然自失のまま銃を取り出し  
己のこめかみに当て、引き金を引こうとする。  
だが、死ねなかった。そのうち、身も心も六道骸に支配され、オレは  
奴の操り人形と化した。  
 
 
六道骸は世界屈指のファミリー・ボンゴレの乗っ取りを計画し、  
仲間を脱獄させて日本にやってきた。  
廃墟である黒曜ヘルシーランドを拠点におき、そこに仲間達を  
呼び寄せる。城島犬、柿本千種、双子のジジ・ヂヂ、バーズ、そして…  
 
 
 
「あ〜超ヒマ!」  
建物の一室で休んでいたオレに、ヒマを持て余したMMがやってきた。  
「ここテレビも雑誌もなーんにもないのよね!」  
両手をやれやれ、という風に広げた彼女はため息をつきながら言う。  
「ランチア、だっけ、あんたここで何してんの?」  
「…瞑想だ」  
「瞑想?何それ楽しいの?」  
あぐらをかいているオレの様子を不思議そうに見ている。  
「心を静かに保ち己と向き合うことで…」  
「あー小難しい話ならいいわ!」  
自分で話しかけておきながら一方的に会話を終わらせる。どうやらこの少女は  
わがままで短気な性格らしい。  
MMは置いてあるソファにぽんっと飛び乗る。その瞬間、短い制服のスカートがひらりと  
舞い下着が見えそうになった。オレは目を閉じ、彼女に忠告する。  
「動きには気をつけろ、見えるぞ」  
「見えるって何が…あ!ちょっとあんたあたしのパンツ見たの!?」  
きっとオレを睨み付ける。  
「そんなものに興味はない、見えるのが嫌なら丈を短くしすぎるな」  
「古臭いこと言わないでよね」  
ふん、と横をむくMM。  
「あんたって絶対恋人にうるさくいうタイプでしょ。露出しすぎるなとかー」  
オレは恋人、という言葉に反応した。あの日の記憶が蘇えり、鼓動が激しくなる。  
MMはそんなオレの様子に気づかずしゃべり続けた。  
「女は料理が上手でないとだめとか、おしとやかにしてろとかさー」  
「…黙れ」  
「そんな事言ってたら彼女できないわよー」  
「黙れ!!」  
 
オレは立ち上がり、片手でMMの首を掴みソファに押し付けていた。  
冷たくなった恋人の亡骸。ファミリーの死体。血に濡れた己の手…  
ぐるぐると頭の中を巡り吐き気がする。  
「か‥は」  
首を締め付けられたMMは目を見開き苦しそうに顔をゆがめている。  
は、と我に返り手を離す。  
「ごほっ、ゲホ!」  
床に座り込み、首を押さえ咳き込むMM。  
「…すまん」  
彼女の横にひざをつき、謝罪する。  
(何をしているんだオレは…)  
 
はぁ、と呼吸を整えたMMが顔をあげオレを見上げる。  
「ね…あんたって歳いくつ?」  
唐突な質問に驚きつつも、一応答えた。  
「オレはみなしごだったからな、正確にはわからないが24,5くらいだ」  
「ふぅん…」  
と彼女はオレの着ている制服のボタンを外し始めた。シャツは着ていなかったので  
前を開かれると素肌があらわれる。  
「思ったとおり、いいカラダしてる」  
MMは指でオレの腹筋あたりをなぞり、そのままぎゅ、とオレの首にしがみついてきた。  
「ねえ、あたしとセックスしない?」  
 
「退屈しのぎよ、別に深い意味はないわ」  
MMはキスをしてくる。最初は触れるだけのキスから徐々にディープに。舌をねじこませて  
歯列をなぞってゆく。かなり慣れている様子だ。  
「ん…」  
ちゅく、と唾液が糸をひいた。オレは黙って彼女を見つめていた。  
「あたしがしたいからしてるだけ。あんた動かなくていいからね」  
随分と勝手な言い分だ。そう思っている間にMMはオレの上にのしかかり、  
ボトムのジッパーを下げてオレのモノを取り出す。  
それはまだ反応を見せておらず、力なく下を向いている状態。MMはそれに顔を近づけ、  
ぺろぺろと舌で舐め始めた。  
「ふふ…」  
立ち上がりかけた様子を満足そうにながめながら、MMは口にくわえこみ吸い上げる。  
「んん、ぅむ…」  
MMはフェラをしながら自身の下半身に手をのばし、いじり始める。  
「ん!う、んん‥」  
ぬちゅ、ぐちゅという卑猥な音が部屋の中に響く。立ち上がったオレ自身から口を離し、MMは  
「楽しませてね‥」  
と濡れた恥部にオレを飲み込ませていった。ぐぶぶ、と根元まで埋め込まれてゆく。  
「っはぁァ!!」  
恍惚の表情で喉をのけぞらせるMM。ぶるぶると太ももが震えている。どうやら挿入しただけで  
軽くイッたらしい。  
「ねぇ‥腰使って…ぇ」  
「動いたらいけないんじゃなかったか?」  
「そ…な野暮なこと、言わな……あああ!!」  
望みどおり下から腰を打ち付けてやると、  
「ひっあ、あ、おっきぃ…!」  
唇の端から唾液をこぼして嬌声をあげるMM。  
「んァ、あ! 奥まであたってるぅぅ!」  
ぐちゃぐちゃと粘液がからみあいお互いの下半身を濡らしていく。きゅ、きゅ、と  
MMの膣の中が痙攣し始めた。頂点が近い、そう思ったオレは更に腰をグラインドさせる。  
「ひぃ、っあっ…―――あああイく!!」  
ぎゅっと目を瞑り背をそらし、MMは達した。  
 
はぁ、はぁ…」  
「拭いておけ」  
力なくソファの上に横たわっている彼女にタオルを投げてやる。MMは黙って受け取り  
汚れを拭いている。オレはボトムのジッパーを上げ着衣した。  
「ねぇ、あんたイッてなかったわよね」  
「……ああ」  
「あたしの体気持ちよくなかった?」  
「……」  
「ふん、かっこつけちゃって」  
服を整えたMMはドアのほうに向かいながら振り向き、  
「骸ちゃんが30分後に配置につけってさ」  
と言いさっさと部屋を出て行った。  
 
 
オレは武器を用意し、皮の手袋をする。いよいよ来たか。  
「ボンゴレ、どんなものか…」  
オレはそう独り言をいい、部屋を後にした。この戦いがオレの心の闇を  
照らしてくれるとは思いもせずに―――  
 
 
 
終わり  
 
 

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