ボンゴレ史上最大最悪のクーデター・ゆりかご。
クーデターの首謀者が9代目の息子ザンザスだということは機密扱いにされ、
知るのはほんの一握りの上層部のみ。
ザンザスはその時重症を負い、今もボンゴレの監視の下眠り続けている。
世界最高峰の設備を備えた小ぢんまりとした一軒家が用意され、その一室の
ベッドで恐ろしいほどの怒りと執念を増幅させながら―――
眠っている間にもザンザスの肉体は成長を続けていた。クーデター勃発時はまだ
10代半ばであった彼は、その顔に面影を残しつつも青年となっていた。
点滴の交換や家の中の掃除等、世話をする必要があったため、専用の機関ができた、
チェルベッロ機関である。
ある夏の終わり、その日もチェルベッロの娘は世話をしにザンザスのもとを訪れる。
「おはようございますザンザス様」
返事は期待できない彼に向かって娘は一礼をし、持ってきたタオルを湯で絞ると
「失礼します」
と言ってザンザスの身体を拭き清める。この8年間幾度となく繰り返された光景だ。
娘はまずザンザスの纏っているバスローブのような衣服の腰紐をほどく。
その下には一糸まとわぬ肉体が在った。上半身を拭き終わると、次は下半身に視線を送る。
「……」
娘はタオルを置き、すっとザンザスの上に馬乗りになった。その手を自身の秘部に這わせ
下着の上から割れ目をなぞる。
「んっ…」
敏感な肉芽を二本の指でつまみ、くりくりとこねればあっという間に下着が濡れてくる。
「はっあ…ぁあん」
下着の中に手を入れ直接触れて刺激を与える。そのまま自慰にふける娘――
彼女は世話係の順番が回ってくるたびにその行為を行っていた。
静かに眠るザンザス。顔には大きな傷が生々しく残っているが精悍な顔立ち、
均整の取れた身体、そして何より女を狂わせる何かをもっていたのだ。
「んぅ、はぁ ぁ!」
本当はこの濡れた蜜壷にザンザスの肉棒を銜え込み、中をぐちゃぐちゃにかき回したい。
だがザンザスの分身はいくら刺激を与えても全く反応を示さないのだ。
「や、ぁ ザンザスさま…ぁ」
代わりに持参したバイブを秘所にあてがい一気に己を貫く。
「ひ…ぃ! あア、ンァ!」
ヴヴヴ、と振動するそれで膣の壁をこすりあげ、快感に酔う娘……
瞬間、ぴくりとザンザスの眉が動いた。娘ははっとして手を止める。
(気のせいか?)
そう思っていると今度はきゅっと眉根が寄り、ゆっくりと瞼が持ち上がり深い赤の瞳が現れた。
8年間眠り続けていたザンザスが目を覚ましたのだ。娘は動揺しながらもザンザスの顔を覗き込み
「ザンザス様!?」
と声をかけた。その声に反応し、視線が娘に向く。
「ザンザ―― がはッッ!!」
ザンザスの右手が娘の腹部を攻撃し、娘はそのまま壁に叩きつけられる。
鈍く嫌な音が部屋に響く。ザンザスは無言のままゆらりと立ち上がり、きょろ、と周りを
見渡した。そしてベッドから降りると部屋を出てシャワールームへと足を運ぶ。
「う゛お゛ぉい、来たぞぉ!」
乱暴に玄関のドアが開き、クーデターの首謀者の一人・スクアーロが入ってきた。
ザンザスの眠る部屋に進むが、そこには空っぽのベッドと血を流し気絶しているチェルベッロ。
「な!?」
状況が飲み込めず、緊急事態だということだけは理解したスクアーロは人の気配のする
シャワールームへと足音を忍ばせ近づく。
(上層部がついに始末しに来たかぁ!?)
刀を構え戦闘態勢になるスクアーロ。
だが、ガチャッとシャワールームから姿を現したのは、誰であろう己が忠誠を誓った男・ザンザスだった。
「―――!」
言葉なく立ち尽くすスクアーロ。そんな彼を一見したザンザスは
「随分伸びたじゃねぇか、髪」
と口を開いた。
「…誰かさんが8年も待たせたからなぁ」
こみ上げる感情を抑えそういうのがやっとのスクアーロ。
「状況を説明しろ」
「ああ」
そうして壮大なる計画の幕が再び上がろうとしていた――――