空気読まずに投下。ちょっと未来ものになります。  
途中女の子同士が絡んだり、それぞれのカップリングに分かれていくので  
それらが苦手な人はスルーしてください。  
ちなみに、そのカップリングはディノビアの後はツナ京、獄ハル、骸凪になります。  
ちょっと前置き長いから、エロだけでいいよって人は名前欄にカップリング名でてくるまで飛ばしたほうがいいかも。  
 
真新しいその建物にはあまり人の気配はなく、ロビーはただ広くて、白いその空間に鮮やかな観葉植物の緑色だけが強く残っていた。  
(こ、ここであってるんでしょうか…)  
ハルは手元にある紙を見直す。建物の名前と簡単な地図が書かれていて、それと、リボーンからの短いメッセージ。  
ごくり、と唾を飲み込む。全部ちゃんと確かめたし、合っているはずだ。  
『将来のための大事な勉強だから時間に遅れるなよ。それと、獄寺には秘密に。』  
「勉強ってなんでしょう…、大学へ向けてでしょうか?」  
でもそれなら学校や塾でもうやってますし、とハルは一人呟く。  
――そう、あれからもう数年が経ち彼女達は高校2年生、花も恥らう17歳になっていた。  
 
キョロキョロと辺りを見渡していると受付の人らしい女性と目が合った。  
思わず顔ごと目を逸らしてしまうハル。その肩に手が置かれる。  
「ハヒッ?!」  
「わッ、」  
驚いたような声が返ってきて、振り返るとそこには京子の姿があった。  
「へ、京子ちゃん?」  
「ごめんね、驚かせちゃった?」  
えへへと笑う見慣れた顔に少しほっとする。  
「えーと…もしかして京子ちゃんも、ですか?」  
それ、と京子の手にある紙を指差してハルは言った。  
「…ハルちゃんも呼び出されたの?」  
「ええ、リボーンちゃんに。よかったです〜!ここ来るの初めてで。京子ちゃんと一緒なら安心です」  
「私も入るかどうしようかちょっと迷っちゃった‥でもツナくんに関わる大事なことだって手紙にあったから…」  
「はひ?そうなんですか?ハルのところにそんなことは…」  
「二人とも、遅いわよ」  
ロビーに響く声に視線を向けるとそこにいたのはビアンキだった。  
「ビアンキさん?!」  
「あれ、リボーンくんは?」  
「…今日の先生は私なの。さっさと受付すませて部屋に行くわよ」  
 
生活臭のしない、でもホテルというにはあまりにも柔らかい雰囲気を持った部屋だった。  
 
「ここ、ホテルじゃないんですよね。ビアンキさんのお部屋なんでしょうか」  
なんとなく本人に聞きにくいのかハルが京子に小声で話しかける。  
受付を済ませた二人はビアンキの後ろについて、部屋に入ったところだ。  
「んー…でもここ、前に花が言ってた建物だから…確か時間貸ししてるマンションみたいな感じだったと思うんだけど」  
「ホテルみたいだけどホテルじゃないんですね?へー、なんだか都会にある建物みたいです」  
「最近は並盛も開発されてきて、なんだか町並みも変わってきたしね〜。」  
知らない建物にいるという緊張感は見慣れた顔によってとけたのか、二人は他愛のない話を始める。  
そんな二人をちらりと横目で確認して、少しだけ溜息をつくビアンキ。  
(何も知らないのよね、この子たち……。でも、仕方ないわ)  
「紅茶を取ってくるから、適当に座ってて」  
(―――私に拒否権はないもの。)  
振り返り二人に声をかけると素直そうな瞳がこちらに向けられる。  
「あ、はい」  
「手伝いましょうか?」  
「いいの。私に任せておいて」  
(そうよ。リボーンたってのお願いなんだから…)  
ビアンキは言うとともにキッチンのあるらしい奥へと消えていった。  
「それにしても広いですねー!これなら夫婦とかで暮らせそうですよね」  
「すごいよね、綺麗だし。そういえば、ここ防音とかも完備してて騒いでも大丈夫みたいだよ?」  
「いいですね、それ!ハル、興奮しちゃうと声大きくなっちゃうんでよく五月蝿いって注意されるんですよ〜」  
「マンションだと隣の部屋の声聞こえちゃったりして気になったりするって言うし、防音っていいかも」  
「……それで、最近ツナさんとはどうなんですか?」  
それまでにこにこと笑顔だったハルの顔が少し変わる。笑顔からにやり、という感じの笑みに。  
防音完備、の話をしていながらその声は潜められている。女の子が集まれば恋の話というのはお決まりのパターンだ。  
「えっ・・・、うん…。あっ、そういえばハルちゃんは獄寺くんと最近どうなの?」  
言葉に詰まった後、顔を赤くした京子は恥ずかしくなったのか話題を変えようと獄寺の名前を出す。  
「ふっふっふ、話を逸らそうとしても無駄ですよ〜! それに!ハルはあんな人知りませんから!」  
語気が荒々しくなってることが京子の耳に妙にひっかかる。  
「…もしかして喧嘩でもしたの?」  
「うっ!…し、知りません! そんなことよりツナさんとどうなんですか?もう付き合って二年ぐらい経ちますよね」  
「うん、先週の金曜日で2年経ったよ。でも、話すほど何も進展してないというか…うーん。」  
京子は言葉を濁すと、それから考えた。確かに二年経っているがどうも進展らしい進展は一つもないのだ。  
手を繋いだのは付き合いだして一年経ったころ、キスは…片手で足りるほどしか。  
(私、もしかしてすっごくエッチなのかな…。こんなの、女の子からそれ以上望むなんてすごく変かもしれない)  
黙り込んで顔を赤くしてしまった京子にハルはどうしました、と声をかけるが返事は返ってこない。  
(…わ、悪いこと聞いちゃったんでしょうか)  
今更ながらに気にするハルだった。  
「…ねえ、ハルちゃん、二年経っても何もないって変かな」  
沈黙を破った京子が伏せがちな目で問う。  
「えーと…キスも、ですか?」  
「えっ、あ、き、キスは何度か…。……じゃ、なくて、その…それ以上」  
「それ以上?」  
「………………えっち、……とか」  
ともすれば聞き逃してしまいそうな小さな声だった。髪の間から見える京子の小さな耳は真っ赤に染まっている。  
二人しかいない部屋では(ましてや防音完備なのである)しっかりと聞こえたその言葉にハルまで赤くなる。  
自分から話題をふっておいてなんだが、素直にそんなところまで話が進むとハル自身思っていなかったのだ。  
 
「…そ、それは」  
しかし真剣に悩んでいるらしい京子にアドバイスらしいアドバイスができるほど自分には経験がない。  
なんとか言葉を返そうとしたその瞬間  
 
―――ピンポーン  
 
玄関のほうでインターフォンが鳴った。  
突然の音にびくりとしながら二人は顔をそちらに向けると、キッチンのほうからビアンキの声がした。  
「今手を離せないから代わりに出てちょうだい。きっとあの子が来たんだわ」  
「了解です!」  
「…あの子?」  
ハルがインターフォンにでると、相手はさっき受付にいた女の人だった。  
『お客様がそちらの206号室に行かれましたので』  
「あ、はい」  
『クローム・髑髏さん、と仰る方でしたがお客様がお待ちになっておられる方で合っていますか?』  
「あ、そうんなんですか?はい、大丈夫です知り合いです」  
『では玄関のベルが鳴りましたらご確認の上、インターフォン横にある開錠のボタンをお押しください。それでは、失礼しました。』  
「はい、ありがとうございました」  
ブツ、と内線の電話が切れたとほぼ同時にさっきとは微妙に違う電子音がなり、インターフォン横のランプが光る。  
「はい」  
『あ、あの…私、呼ばれて来たんですけど。‥クローム髑髏です。…その声、もしかして、ハルちゃん?』  
「そうですよ〜!今開けますね、ちょっと待ってください」  
光ったランプの下のボタンを押すとウィーンと扉のほうで開錠音がする、とすぐその後に扉は開かれた。  
そこに立っていたのはよく知る顔の女の子。鞄を前のほうで両腕で抱くように持っている。  
その癖は出会ったころからだったので、ハルはにこにこと笑うとどうぞと言った。  
「あ、髑髏ちゃん、久しぶり!」  
部屋に入ると先に京子が笑顔で挨拶をする。  
「えっ、あ、…こんにちは。‥あの、京子ちゃんとハルちゃんも?」  
ぺこりと頭を下げた後、おどおどしたように髑髏は周りを見渡す。  
「そうですよ〜!私もここに着いてから知ったんですけど!しかし何の勉強なんでしょう?」  
「先生はビアンキさんなんだよね」  
「……そうなんだ」  
(…京子ちゃんもハルちゃんも、ボスがマフィアのボスだって知らないのに…なんで…)  
「遅刻よ、髑髏。」  
部屋のドアが開くとビアンキが姿を現す。カチャリと音を立てて紅茶の入ったティーカップはテーブルの上に置かれた。  
「道に迷っちゃって……」  
申し訳なさそうに髑髏は返す。  
「本当にドジね。まあいいわ。 さあ、三人ともそれを飲んで。その後授業を始めるから」  
「ありがとうございます〜!」  
「いただきます」  
「…どうも」  
黄金色に輝くティーカップの中の水面はゆれる。一口、また一口とそれぞれの口の中へと流れ込んでいくのをビアンキはじっと見つめていた。  
しかし、髑髏だけは気が進まないのか紅茶があまり減っていなかった。  
「レモンティー、嫌いだった?」  
「…え、あ、違います。あの、」  
(…この子はリボーンから何か聞いているのかしら)  
「そうね、ティータイムにお菓子がないのはいけないわね。クッキーでもどうかしら。髑髏、手伝ってくれる?」  
「あ、ハルも手伝いますよ」  
ビアンキの視線と言外の意味に気づいた髑髏はハルに向けて  
「私が行ってくるからいいよ、ここに座ってて」  
と言うとビアンキとともにキッチンのほうへと消えた。  
 
「‥で、どこまで聞いてるの?」  
二人には聞こえないように注意を払いながらビアンキが言った。  
「・・・え?あ、…私は、マフィア関係者で女ならそれを武器にすることだってあるから、それを磨けと」  
ひどく気の進まない重い声だった。もともと他の二人とは違う立場にある少女は、元来明るさというものに少しかけている。  
「あの男とは寝たの?」  
「…?」  
「――六道骸。 あまり言わせないで、私はアイツ嫌いなんだから。」  
「・・ごめんなさい」  
そういうと黙り込んでしまって髑髏は俯く。  
はぁ、とビアンキは溜息をつく、が、その時ちらりと見えた髑髏の耳が真っ赤になっているのを確認した。  
どうやら生娘ではないらしい。  
(女の勘にハズレはない‥、ってとこかしら)  
「他の男と寝たくない、そんなところでしょう」  
「……でも今日は、」  
「安心して、今日はあの二人もいるんだから」  
くいっと顎で先ほどいた部屋のほうを指す。  
「…それにね、私だって好きな男がいるんだからアンタの気持ちは分かるわ。そのためのテクニックよ。」  
マフィアになるために生まれたわけでもなし、全く別の、それとは無縁の世界にいた、ただのひ弱な少女。  
薄い肩に背負わされた重い運命とやらを思ってビアンキは哀れみを覚えた。  
(――変ね、私。少し馴れ合いしすぎたのかしら)  
「男が心を許すのはベッドの上、――それも女に。…そこでしか手に入らない情報だってあるの」  
「……はい」  
「…今日は私が先生よ。言ってなかった? だからアナタ達生徒は実践はしなくていいの」  
「…はい」  
「それにあの二人の場合はちょっと事情が違うのよ」  
「?」  
「甲斐性がない男ってのは本当に困りものよ。なんで私が手助けなんてしなきゃいけないのかしら…」  
ブツブツと文句を言いながらビアンキは買ってきておいたらしいクッキーを袋から取り出す。  
「でも愛するリボーンのたっての頼みだもの。断れないわ」  
「そうですね…」  
(私も骸様に頼まれたら断れないもの……………)  
何を思い出したのか髑髏の顔がまた真っ赤になる。  
「…ちょっと、大丈夫? あ、それとレモンティーは飲んでおいたほうがいいわ。あとあと、ね」  
「?…はい…」  
これ、と渡されたクッキーの載った皿を受け取ると髑髏はあの、と申し訳なさそうな声でいった。  
「でも、"アレ"を教えるって、どうやって?」  
「フフ、心配しなくていいわ。今日は助手を呼んでるの」  
「?」  
さ、持ってってとビアンキに背を押されて髑髏は元いた部屋へと戻っていった。  
 
「あー、でも、ツナさんは優しいからですよ、きっと!」  
扉の向こうからでも聞こえるハルの声に、初めてできた女友達という存在を嬉しく感じる余裕が戻ってきていた。  
「…クッキー、食べる…?」  
ガチャリと扉を開けて、二人にぎこちないながらも笑顔を向ける。  
(ちゃんと笑えてるかな…)  
「ありがとう、髑髏ちゃん」  
「ありがとうございますー!」  
笑顔で元気よく返ってきた二人の返事に髑髏はほっと胸をなでおろす。  
 
「…私も話に入っていい…?」  
「勿論ですよ!ねっ、京子ちゃん?」  
「うん! …あ、でもちょっと恥ずかしいかも。軽蔑しないでね?」  
「もー大丈夫ですって!でも、こういうことはいろんな人の意見聞かないと参考になりませんよ!」  
と、ハルは席に着いた髑髏に今までのことを説明する。髑髏はそれをうんうんと頷きながら紅茶を飲み干した。  
「ちょっと興奮しすぎちゃったかもしれないです。はひー…熱い‥」  
「私も恥ずかしい話してたせいかな…」  
二人は制服の上着を脱いで鞄の上に置いた。  
「……」  
(…そっか…)  
髑髏は先ほどのビアンキの言葉を思い出して納得した後、空になったティーカップを恨めしそうに見つめた  
(全部飲まないほうがよかったかも…)  
「で、髑髏ちゃんはどう思いますか?」  
「え?」  
「ツナさんと京子ちゃんのことについてですよ!私はツナさん優しいからなんだと思いますよ。だから先に進めないっていうか」  
「…ボスは"奥手だから、"」  
「えっ」  
その言葉に京子が反応する。髑髏が沢田綱吉をボスと呼ぶのにはもう慣れていたので、二人が気なったのはそこではない。  
「"笹川京子と初体験したいけど最初の一歩が怖くて踏み出せないから待ってたら時間かかりますよ"  
 ……って骸様が言ってた」  
「…そ、そうなんですか」  
「待ってたら……」  
京子が繰り返した言葉にその時二人は気づいていなかった。  
「確かに初めては怖いけど、大丈夫だと思う…。ボスは優しいから、きっと京子ちゃんを傷付けないか不安なんだよ……たぶん」  
「…そうなのかな」  
「そうですよ!ハルは羨ましいですよ、ツナさんはとっても優しいし」  
「あ、そういえばハルちゃん獄寺くんと喧嘩したんだっけ?」  
「そうなの…?」  
「ハルは知りません、あんな人なんて!大体彼氏でもなんでもありませんから!関係ないです」  
「…ムキになるのは好きな証拠なんじゃ…」  
「髑髏ちゃん…それ言ったら」  
「ち、違います…!大体私なんていつまでたっても"オマエ"とか"アホ"とかろくな呼ばれ方しかされてませんから」  
「…隼人もダメね」  
「そうですよ!…ってビアンキさん?!」  
「きっと照れてるのよ、許してあげて?」  
はひー、いつから聞いてたんですかとハルが言うと全部、と笑顔で返ってきた。  
 
「授業を始めるから、こっちに来て」  
手招きされるままに三人は部屋を移る。  
広いその部屋にはキングサイズのベッドが一つと椅子が一つ、それを確認するのがやっとだった。――部屋は暗かった。  
「ここ、お部屋がたくさんあるんですね」  
「そうみたいだね」  
「……」  
 
パチリ、と音がすると窓のないその部屋に明かりが灯る。  
しかしその光はすこしオレンジがかったぼんやりとしたもので、はっきりとものは見えない。  
「ビアンキさん?」  
ハルが明かりをつけた主を見やると彼女は少し笑っていた。その顔は女の自分でも色っぽいと感じるほど婀娜めいていた。  
「三人にこれから教えるのは保健体育よ、――学校の教科で言えばね。」  
「はひ?!」「えっ?!」「……」  
「意気地のない男どもには困ったものだわ。今から実演するのは、あなたたちが求めることのヒントや手助けになるの  
 だから、途中で逃げ出したりしないように」  
「私帰ります!そ、そんな変態なことに付き合ってられません!」  
「…本当に手助けになりますか?」  
いち早くその場を立ち去ろうとしたハルは、その言葉に京子のほうを見た。彼女はいたって真剣である。  
「私、ツナくんと何もないのは私に女の子としての魅力が足りないからだと思ってました‥」  
「京子ちゃん…」  
「もし、ヒントになるなら‥お願いします」  
「……」  
(ボスにも見せてあげたい…こんなにも思われるって)  
「安心して、あなた達は見るだけ。実践は…そうね、男とはしなくていいの」  
「…それはどういうことですか?」  
訝しげな瞳でハルが言った。  
「知識としてだけでは不十分なところを教えてあげようってことよ。  
 性交渉は確かに、初めてだと怖いかもしれないけれど快楽を伴うものだってことを、ね」  
フ、とビアンキはまた笑った。  
「髑髏は?」  
突然向けられた質問に一瞬びくりと体を縮こまらせるが、一息置いてすぐに  
「…私も残るよ。骸様のために」  
よくできた答えだわとビアンキは髑髏に視線を送るが、髑髏はすぐに目を逸らした。  
(だって、嘘は言ってないもの。…役に立ちたいから…これぐらいでしか、役に立てないから)  
「二人は残るらしいわよ?…で、ハルはどうするのかしら?」  
「う〜…友達二人を置いてなんていけません…から残り、ます‥」  
(大事な友達二人のためです…!我慢…!)  
宜しいといわんばかりにビアンキは満足そうな笑みを浮かべると早速部屋の中央の方へと進む。  
「実演するのは私と、あと、助手の――コイツよ」  
バサリと音がして、先ほどまでただの椅子だと思っていたそれから布が剥ぎ取られた。  
「リボーンから頼みたいことがあるっていわれて来てみればこれか」  
正確には、椅子に縛り付けられた黒いサングラスをした男がそこにいたのである。  
「情けないザマね。今まで声ひとつ上げないでいるなんて」  
「うるせーよ毒サソリ。部屋入った途端人を気絶させておいて。オレは空気読んでただけだ。  
 だいたい、いたいけな女の子達に何教えようとしてんだテメェは」  
「だからアンタの可愛い弟分が甲斐性ないからこうなったのよ。悪く思わないでちょうだい」  
ビアンキはそう言いながら淡々と作業を進めていく。カチャカチャと音がしてベルトが外された。  
「はひ!」  
見てられません、とハルは両手で顔を覆ってしまう。ああは言ったものの、経験のない京子もばつが悪そうに視線を泳がせた。  
そんな二人の反応とは別の、強い視線をディーノは感じた。  
「‥オレ、見られて興奮するような変態じゃないんだけど」  
「お喋りな男はキライよ。大体これは授業だから仕方ないっていってるじゃない。」  
めんどくさそうにいいながら、ビアンキは起用に口でズボンのジッパーを下ろす。  
広い部屋には妙に静かで、僅かな衣擦れの音も大きく響く。  
 
「アラ、本当に反応してないのね」  
取り出したディーノのそれを見つめてビアンキが言った。  
「だーから!この状況で反応するほど変態じゃねーって!」  
「ホラ、こっちこないと分からないでしょ。みんなもうちょっとこっち来て見なさい」  
「お前‥!」  
男性の性器といえば、幼い頃兄と一緒にお風呂に入ったときに見たぐらいで、知識と言っても花から聞いた話や  
なかば無理矢理に貸された本で見た文字による描写だけだった。  
(…なんとなく怖い…でも、)  
ゴクリ、と唾を飲み込んで京子が一歩を踏み出そうとしたとき、先に影がひとつ動いた。――髑髏だった。  
(髑髏ちゃん………そうだよ、私ひとりじゃないし、私もツナくんのため・・・待ってたらいつまでたっても進めないから)  
京子が足を進めようと動かしたとき、片腕が掴まれる。  
「い、行くんですか?」  
「……うん。このままじゃ嫌なの」  
京子の瞳に強い意志があるのを見て、ハルはなんとなく負けたなと思った。  
ツナが京子に告白したその時からもう勝負はついていたし、今では本当に心から二人の幸せを願っているけれど  
確かに昔、ほんの数年前までハルは本当にツナが好きだった。  
ぎゅっと握り締められた京子の手が僅かに震えているのを目にして、それだけツナを好きなんだと実感すると  
なんだかほっとした。この二人はきっと上手くいく、そんなことをぼんやりと思った。  
「ハルも…行きます」  
「ハルちゃん…」  
二人はそろそろとビアンキとディーノがいる部屋の中央の方へと足をすすめた。  
やっぱり直視できない、とハルは目を閉じる――が、他の感覚を拒絶した中では音だけが妙にリアルに響くのだ。  
あの音は唇がふれているのだろうかとか、ビアンキが動いてできる衣擦れの音やら。勝手に頭の中で映像が作られる。  
「……う、」  
「性器はデリケートだから力加減に気をつけてね」  
声とも息ともつかないものがディーノの口から漏れるのを無視してビアンキは露出された性器を見つめたまま言う。  
(…こういう風にするんだ…。変な感じ…人がシてるのを生で見るのは初めてだからかな。  
 そういえば犬が変なビデオ見てるときに部屋に入って怒られたっけ…)  
半勃ち状態になったモノにちゅ、と音を立ててビアンキが鬼頭の部分にキスをする。  
顔の横に垂れてきた髪を耳にかけ直し、もう片手は竿の部分を支えるかのように添えられている。  
その光景は奇妙な物体と美女という不思議なバランスで、美しくさえも見えた。  
三人の少女の胸はどきどきと五月蝿く鳴り響き、目の前でおきているそれに釘付けになっている。  
――自分たちの息が少しずつ熱くなってきていることにそのときはまだ気づいていなかった。  
 
「男の性感帯は大抵裏よ、鬼頭なら特に敏感なのはココ」  
そういいながらビアンキはカリの部分にチロチロと赤い舌を這わせる。  
そしてそのままペニスの先はビアンキの口の中へと飲み込まれる。  
ハルの手はしっかりと京子の左腕へとしがみついていた。目を逸らしたくても逸らせない何かがそこにあった。  
くちゅくちゅと水音が部屋に響く。鬼頭より少し舌まで包むと、その中で舌を使いカリを刺激する。  
カリの下側をなぞっていたと思っていた舌が尿道口へとつう、と進む。  
唾液で湿った口内でディーノのペニスは大きさを増すだけだった。  
 
「ほう(どう)?」  
「く、・・じょう、とう・・・」  
尿道口を刺激するのを止めたと思った途端ジュポッと勢いよく音を立てて、ビアンキの口は奥へと一物を飲み込む。  
竿の裏側をざらざらした舌が撫でていく。じゅいやらしい音とともに上下するビアンキの顔を見つめながら三人はただ立ち尽くしていた。  
規則的な水音が部屋に響いたと思うと今度は緩急をつけて動く。  
(…タイミング、みてる)  
髑髏はその光景を見ながら、ふと、自分の下着が湿りはじめているのに気づいた。  
(どうしよう、薬がきいてきたのかも…)  
ちらりと横の二人を見てみると(薄暗い部屋ではあったが)、二人の視線が少し熱に浮かされているのが確認できた。  
ちゅぽん、と音をたててビアンキが口からモノを解放してやると、そこには最初に見たものとは全く別もののように隆起したペニスがあった。  
(はひー‥なんだかとってもグロテスクです…)  
(あれが男の人の…)  
「これが、勃起した状態よ。さっきみたいに口に含んでいろいろ刺激してみるといいわ。  
 その時に相手の反応を見てあげて、個人の好みもあるから。好きなところを刺激されると女の子でもキモチイイでしょ?」  
そうも言いながらヌラヌラと光る(もちろんビアンキの唾液で、だ)ペニスを片手で握るようにして包み、竿部分を行き来させている。  
「さっき私がしたみたいに口の中全体を使うのも有効よ。でもその時歯を立てないように気をつけなさい。  
 死ぬほど痛いらしいから」  
まあ、逃げるときには有効かもねと付け足すとビアンキは髑髏へと視線を送った。  
「喉まで使うのは玄人技だし普通の人はしないからいいとして、この部分が裏側なんだけど」  
そういうとツーとビアンキの細くて綺麗な指が根元から鬼頭へと陰茎の裏側を滑った。  
「ここに舌を這わせて刺激するのもキモチイイらしいわ」  
そういうと直ぐに姿勢を低くして、ディーノの足元へと跪くような体勢を取ったビアンキは睾丸の方から鬼頭へと舌を移動させた。  
「先っぽのここ、も敏感よ」  
ぐりぐりと少しへこんだ尿道口を指で刺激する。柔らかいビアンキの指先と粘膜で敏感なそこへの刺激にビアンキの唾液とは違う  
少し濁った液体が出てきた。  
恥ずかしいという気持ちはどこかの時空に置き去ったように、三人の視線はディーノのそこに注がれている。  
「何、もう限界近いの?」  
「…こんだけいろいろやられればな……」  
ふーん、とさも関心なさそうにビアンキは半身を起こすと、着ていたキャミソール二枚を脱いで、ブラジャーのホックを外す。  
「お前、なにす…」  
「何するも何も、これはテクニックの実演よ?できることはやるわ」  
ブラジャーを捨て去るとそこには豊かなバストがあらわになる。柔らかそうなそれは形を保つ布から解放されて形をすこし変えた。  
重力に反するように少し上向いた薄紅色の乳首がピンとたっている。  
何か言い足そうにごくりと唾を飲み込んだディーノを無視してビアンキは三人に顔だけ向けて言った。  
「やらなくてもいいけど、こういうのが好きな人もいるから一応教えとくわね」  
三人はと言うとビアンキのそうの豊満なバストに釘付けでこくこくと頷くだけだった。  
ふにゅ、と両脇から抱えられた柔らかく温かい胸がそそり立つペニスを包み込むように形を変える。  
「出るときは言って」  
そう言い放つとビアンキは身体を動かしながら、胸の間から顔をだしたそれを口に含む。  
部屋に響くのは水音と苦しそうなビアンキの息とディーノの堪える声だけだった。  
「んッ、・・はむ…」  
「…っ、で、る…!」  
声がしたと意識するよりも早く胸の間のそれが一際大きくなったかと思うとびゅるびゅると生暖かいものが口の中に注ぎ込まれた。  
飲みきれなかったのか、少しだけ口の端から零れた白濁とした精液がそのまま顎から垂れて胸へと落ちた。  
ビアンキはというと、ベッドの横にあるサイドテーブルからティッシュを取り、そこへと口の中のものを吐き出す。  
「……」  
「‥リボーン以外のは飲む気なんてしないわ。マズイもの。」  
精液が飲めるのは相手を愛している証拠とでも言わんばかりの冷たい視線がディーノを突き放す。  
射精後のなんともいえない脱力感に返す言葉もなくサングラスの下の目は伏せられた。  
 
「な、なんかすごかったね…」  
「…そ、そうですね」  
いつの間にか京子の腕にぎゅっと抱きつくような形になっていたハルは正直思考停止状態だった。  
頭の芯があつくて、あそこがじんじんと熱い。その身体の熱さとは対照的に下着が冷たい。  
(…ぬ、濡れてる? なんか、身体がおかしいです…)  
目の前で先ほどまで起こっていた出来事も充分衝撃的だったが、それよりも途中から自分の身体のほうがおかしくなっていた気がする。  
「…きょうこちゃ、」  
声をかけようとして、京子が足を擦るようにしてもじもじとしているのにハルは気づいた。  
(やっぱり私ってすごくエッチでいけない子なのかも…)  
今まで何度かアソコが濡れるようなエッチな気持ちになったことはあったけれど、今日はすごくおかしいと思う。  
(何か変だよ…さっきまで他の人の、を見てたからかな?)  
セックスの経験はおろか、自慰もしたことがない二人には耐え難い弱い快感の波に困惑していた。  
そんな二人の様子を見て何かを理解したらしい髑髏は、潤んだ大きな瞳を向けた。  
「あのね、多分、ふたりも同じことになってると思うんだけど…その、身体、おかしくなって、ない?」  
「えっ、ど、髑髏ちゃんもですか?」  
「三人とも?」  
「…うん」  
恥ずかしそうに髑髏は瞳を伏せてスカートの端をぎゅっと握り締める。その内腿はぴたり隙間なく閉じられている。  
(…欲しい、……骸様…)  
「その、…ふたりが嫌なら、シないけど…。 きっとビアンキさんが言ってたのって………」  
そこで言葉がでなくなって、頬を赤くした髑髏は口をパクパクさせるだけだった。  
「…する?」  
「…何をですか?」  
冷静に会話をしているようだが、三人ともどうも判断力も鈍っているようでうまくかみ合わない。  
耳には自分の早打つ心臓の音がやけに五月蝿い。  
「こういうことよ」  
三人の遣り取りをずっと聞いていたらしいビアンキが痺れを切らしたように手を出す。  
「んぅッ!?」  
ハルと京子には一体何が起こったのか一瞬分からなかった。当事者の髑髏には息苦しさと精液独特の青臭さが口内に広がるのを感じた。  
思わず固く閉じた瞳をそーっと開いていけば予想通り、声の主であるビアンキの整った顔が眼前にあった。  
伏せられた長い睫毛に縁取られた瞳と目が合ったと思った瞬間、精液混じりのビアンキの唾液が口内に流し込まれる。  
くいっ、と顎を上向きにさせられて、腰を抱くようにしていた手が太ももから尻へとなぞるとビクンと身体が反応して  
行き場のなくなった息とともにその苦い液体を飲み込んでしまう。  
(…しらないあじ…、)  
「まだまだね」  
「・・・はっ、はぁ、っは」  
唇を解放してやれば、ビアンキの余裕そうな表情と対照的に、髑髏は足の力が抜けて立っていられなくなったのか床に座り込む。  
突然の出来事に思わず唖然として言葉もでなくなったらしい二人にビアンキが視線を向けると、一瞬、身体が硬直するのが見て取れた。  
「熱を持て余してるなら、外に出してしまったほうがいいわよ?」  
「…でも、」  
「言ったわよね、男と"は"しなくていいって。セックスに対する恐怖心を消すには快楽が一番だと思うのよ」  
私は参加しないから三人で頑張んなさいとビアンキはその場から離れていった。  
ぎゅう、と自身の身体を抱きしめるようにして何かを堪えるようにしているらしい髑髏の肩は少し震えている。  
(…快楽を一度経験してしまった者が一番ソレに弱いのよ)  
その小さな背中を見てビアンキは思う。  
 
無言になってしまった三人に妙な空気が流れ始める。どうしていいかわからないという、不安や戸惑い  
―――それと、少しの好奇心。  
「こういう場でこう言うのも変だと思うけど…」  
「…?」  
「私はこの先にあるものをちょっと見てみたい、と…思うの」  
それにこの身体、どうにかしないと帰れないしと呟いた。こういうところで思い切りがいいのが  
可愛らしい見た目とは反対にサバサバとしている京子である。  
「そ、そうですね」  
「…私も……」  
熱っぽい髑髏の見上げるような視線に二人は何かを感じる。  
「その、でも…何から始めればいいんでしょうか…」  
傍からみれば不思議なその光景は、当の少女達にとってはもはや別空間へと移動していてそこで三人以外の存在は抹消されていた。  
「…キス、はしなくていいと思う……だって、」  
ふたりとも、好きな人としたいよね?と確認するように髑髏が言った。  
勢いよく二人の顔は縦に振られる。それぞれ頭に思い浮かんだその人を少し思う。  
(ツナくん…ごめんね、許して…でも私、)  
(…はひ!なんでこんな時に獄寺さんの顔が?!き、消えてください!!私、私)  
「ど、髑髏ちゃんもしかしなくても経験者?」  
「…へ、そうなんですか?」  
「………」  
黙ったまま、ただ一度肯定の返事がされた。  
「じゃあ、頼りにしてるね、よろしく…」  
「そうですね、先輩ですね、よろしくお願いします…ってこんなこというのも何か変ですけど」  
「…こちらこそよろしく……」  
(女の子とはシたことないけど…大丈夫かな)  
人から頼られるということの喜びが先行して、少しだけ髑髏の頬が緩む。  
(でも、頑張らないと)  
 
「じゃあ、まず服を脱いで…あそこに移動…しよう?」  
髑髏が指差したのは乱れる様子も一切ない、キングサイズのベッドだった。  
 
 
 

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