「がはは、待て〜!!」  
「〜〜〜!」  
「あいつらまた…」  
風呂から上がってジュースを飲んでいたツナは部屋の外から聞こえる騒ぎにため息をつく。  
またランボがイーピンを追い回しているのだ。  
バン!と大きな音を立ててイーピンが逃げ込んでくる。  
「逃げてもムダだぞ〜!」  
その後を追ってランボも飛び込んでくる。  
「うるせーぞアホ牛」  
リボーンが床に置いてあった漫画をランボに投げつける。  
「ぐぴゃっ」  
見事角がランボの額に命中し、ランボは頭を抱えてうずくまる。  
(ああ、また泣くぞ…)  
ツナはハラハラしたが、予想に反してランボは「が・ま・ん」と涙を堪えた。  
(あれ、ちゃんと我慢できてる…)  
そういえば最近ランボは前みたいにすぐ泣かなくなった気がする。  
こいつも成長しているんだなぁとツナはしみじみ感心したのだが、  
気を取り直したランボは「ブロッコリーお化け〜!」と再びイーピンを追い回し始める。  
「こら部屋の中で騒ぐなよー!もう遅いんだから子どもは寝ろ!!」  
ツナの制止も聞かずバタバタと部屋中を走り回る。  
「うるせーって言ってるだろーが」  
リボーンの手から今度は広辞苑が飛び、ドスッと鈍い音と共にランボの後頭部にヒットする。  
ランボは悲鳴を上げることもできずにその場に倒れた。  
「ちょ、リボーン広辞苑はまずいって!」  
「こうでもしなきゃ凝りねーからな」  
「うぅ…が・ま…うわぁぁぁっ!!」  
今度の痛みには耐え切れなかったようでランボはわぁわぁと泣き出した。  
「〜〜〜?」  
ランボを心配してイーピンが近づいてきた。  
普段自分をいじめる相手でも気遣えるところがイーピンの良いところだ。  
「うわぁぁ!」  
ランボは泣きながらモジャモジャ頭の中から10年バズーカを取り出すと、ツナが止める間もなく発射した。  
 
ドガンという音と共に煙が巻き上がる。  
(結局こうなるのか…。イーピンにも当たったよな今)  
げんなりしながらツナは「こんばんは若きボンゴレ」といつもの調子で挨拶する大人ランボと  
「あれ?ここどこだろ?」と困惑顔の大人イーピンが出てくるのを待った。  
しかし煙の中から現れた2人の姿にツナは硬直した。  
 
ランボとイーピンは互いにしっかりと抱き合い熱いキスを交わしていた。  
それも仰向けになったイーピンにランボが跨る姿勢で、だ。  
さらにはイーピンは純白のブラジャーにスカートという格好で、  
すでに上半身裸のランボの手がイーピンの背中に回ってホックを外そうとしていた。  
どう見ても情事を始めようとしているところである。  
 
(な、な……)  
よく知っている相手のラブシーンにツナは真っ赤になって顎が外れるほど口を開けたまま固まっていた。  
ランボとイーピンは自分達が10年前にいることも、ツナとリボーンがすぐ側で見ていることにも気付かないほど  
お互い目の前の相手に夢中になっている。  
しかしホックを外したランボがそのままブラジャーをイーピンの胸から  
取り去ろうという動きを見せた瞬間ツナは我に返った。  
「ちょ、ストップー!!」  
「え!?」  
2人きりの世界にいたランボとイーピンは第三者の突然の制止に仰天した。  
2人の目が真っ赤になったツナといつもどおりのリボーンを捉える。  
「……っ。きゃあーっ!!」  
イーピンはランボを突き飛ばし、真っ赤になって両腕で胸元を隠した。  
床に頭を打ちつけたランボはうめきながら起き上がり、ツナを見ながらため息をつく。  
「子どものオレがまた10年バズーカを使ったんですね。  
 若きボンゴレ、すいませんがイーピンに体を隠す物を貸してもらえませんか」  
「あ、う、うん」  
ベッドの毛布を渡すとイーピンはそれで体をくるみ、中でブラジャーを付け直した。  
「ありがとうございます。えっと、変なところ見せちゃってごめんなさい」  
耳まで赤く染めて恥ずかしがるイーピンにツナは首を横に振った。  
「びっくりしたけどイーピンが悪いわけじゃないし」  
「悪いのは子どものオレだから。…ごめんイーピン恥ずかしい思いさせて」  
癖のある髪の毛を掻きながら頭を下げるランボを、イーピンは「仕方ないよ」と快く許した。  
 
「えっと…大人ランボと大人イーピンて付き合ってるんだ?」  
ツナの問いに2人は頷いた。  
「そうです。最近10年前に呼び出されることがなかったので  
 若きボンゴレには報告が遅れてしまいましたね」  
「最近子どもランボ泣かなくなってバズーカ使わなくなったからなー。  
 でも10年後ってランボはイタリアでイーピンは日本にいるんだよね?」  
「はい、だから遠距離恋愛なんです。今日は久しぶりにランボが日本に来ていて…ね」  
照れくさそうに微笑み合う目の前の2人と、喧嘩ばかりしている子どもの2人の姿を  
思い浮かべて(未来って分かんないもんだなー)とツナはつくづく感心した。  
一体いつからお互いを想い合うようになったのかは分からないが、  
2人の間に流れる温かな空気をツナは好ましく感じた。  
「おめでとうランボ、イーピン。2人ともいつまでも仲良くね!!」  
「はい」  
2人が頷くのと同時にボンと音を立てて煙が巻き上がった。  
煙が晴れて出てきた子どもランボと子どもイーピンは丸くなって眠っていた。  
しゃがみこんで2人の寝顔を覗き込む。  
「こいつらが恋人になるなんてなぁ…」  
「あのアホ牛がよくイーピンをゲットできたもんだな」  
流石のリボーンもこの2人が付き合うことになるとは予想していなかったようだ。  
ランボはだらしない寝顔でいびきをかき、イーピンは小さな寝息を立てている。  
ツナは2人の頭をそっと撫で、  
「いつまでも仲良くな…」  
10年後の2人に言ったのと同じ言葉を小さな子ども達に贈った。  
 
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※  
 
一方10年後のイーピンの部屋に戻ってきた2人は――。  
「…どうしよう毛布借りたまま持ってきちゃった」  
「今度10年前に呼び出されたら返せばいいんじゃない?  
 いつになるか分からないけど。それか今のボンゴレに返すか」  
「それなら今の沢田さんに聞けばいいんじゃないの?あの後私達毛布返しに来ましたかって」  
「そっか。じゃあ帰ったら聞いておく」  
よろしくね、とイーピンは毛布を丁寧に畳んで押入れにしまった。  
 
「でもビックリしたなー。まさかあんな時に10年前に呼び出されちゃうなんて…」  
あんな所見られちゃうなんて、と赤くなった頬を押さえるイーピンに  
「でもほら、最中じゃなかっただけよかったんじゃない?」  
とランボが変なフォローをし、  
「そういう問題じゃないでしょー!」  
と怒られた。  
ランボはごめんごめんとイーピンの体を引き寄せ、並んでベッドに腰掛ける。  
「さっきの続き…しよう?」  
頬を染めながらも頷きかけたイーピンは、はっと不安そうにランボを見上げた。  
「また10年前に行ったりしない?」  
「そんなに心配しなくて大丈夫だよ」  
たぶん…という言葉は口の中で飲み込んで、イーピンの唇に自分の唇を押し当てる。  
「ん…ふぅっ…」  
舌を絡ませながらイーピンの背中に手を回しホックを外す。  
綺麗な形の乳房に手を這わせ、柔らかな感触を楽しむ。  
「あん…、んぅ…ん」  
「イーピンの肌、相変わらず綺麗だね…」  
耳元で囁くとイーピンはふるっと薄い肩を震わせた。  
微笑んでゆっくりとその体を押し倒し、ぴんと立った愛らしい乳首に舌を寄せる。  
イーピンは体を捩じらせ切ない声を上げた。  
久々に会った恋人から受ける愛撫に体はすぐに快楽に染まっていく。  
下着の奥が濡れていくのを感じるが、ランボはなぜか下には触ってこない。  
首筋に吸いつき、胸を揉みわき腹を擦るだけでスカートをめくりもしないのだ。  
「ラ、ランボ…」  
「どうしたの?」  
呼びかけると優しく答える。  
しかしその瞳が子どもの頃と同じ悪戯っぽく輝くのを見て、  
イーピンはこれがわざとだと気付いた。  
ランボはイーピンが自分から下に触るように言い出すのを待っているのだ。  
(そんなこと恥ずかしくて言えるわけないのにっ…)  
しかしそうしている間にも秘部は触れてほしいと疼いて蜜を溢れさせる。  
自然と太股をランボの腰に寄せてしまう。もう限界だった。  
「ランボお願いっ…」  
「だから、どうしたの?」  
「下…下も触って」  
「下?」  
わざとらしく聞き返してランボはスカートの中に手を入れ下着越しに秘部を触る。  
しかし触れただけでそのまま手を止めてしまった。  
 
「触ったよイーピン?」  
微笑むランボを憎たらしく思いながらイーピンは潤んだ瞳で彼を見つめた。  
「そうじゃなくてもっと…もっと触って…」  
「こう?」  
下着の上から割れ目に沿ってゆるゆると指を動かす。  
もどかしい感触にイーピンは唇を噛んだ。  
「ランボ、意地悪しないで直接触って…。ランボに触ってほしいのっ…。  
 ランボが欲しいの、お願っ…」  
必死の懇願は言い終わらないうちにランボの唇に吸い込まれた。  
口の中をランボの熱い舌が這い回り顎を唾液が伝う。  
息が苦しくなるほど激しいキスにイーピンがランボの胸板を叩くと、ようやくランボは唇を離した。  
肩で息をするイーピンの頭を撫でる。  
「意地悪してごめん。どうしてもイーピンの口からオレが欲しいって言ってもらいたかったんだ。  
 離れてるとどうしても不安になるから」  
「…もう」  
イーピンはランボの首に腕を回して抱きついた。  
「不安になることなんてないよ。離れてたって私の心にはいつもランボがいるんだから…」  
「イーピン…」  
ランボはイーピンを強く抱きしめ返した。  
2人はしばらくお互いの体温を感じあった。  
 
そっとランボの手がスカートを脱がせベッドの下に落とす。  
ブラジャーとお揃いの純白のショーツはとろとろに濡れている。  
「意地悪したお詫びに、気持ちよくさせるから」  
ランボの言葉にイーピンは顔を赤くしたが、小さく頷いた。  
ショーツを下ろすと淡い繁みと淫猥に濡れる秘裂が丸見えになる。  
ランボは顔を寄せて蜜に舌を這わせ、ぷっくりとした突起を弄る。  
「あぁん!やぁっ、ひ、ふぁ…あぁっ!」  
更に奥へと進む舌にイーピンの瞳から快楽の涙がこぼれる。  
ランボは舌を抜くと代わりに指を入れ、くちゅくちゅと中をかき回す。  
「ランボ…っ。もう入れて…」  
掠れた声でランボを求める。  
ランボも頷いてすでに勃ち上がったペニスを入り口に押し当て、  
ゆっくりと味わうように侵入させていく。  
「ふぅ…っ」  
イーピンはランボの肩に抱きついて圧迫感に耐えた。  
それが奥まで届くとランボは小さく息を吐き、涙に濡れたイーピンの頬をぺろりと舐めた。  
 
「動くよ」  
一言告げてランボは腰を前後に動かした。  
「ひゃんっ!あ、あぁん、やぁ…っ」  
柔らかな内部をかき回され、イーピンの唇からは抑えても抑えきれない声が溢れ出す。  
「イーピン…っ」  
吸いつくようなキスに体の中から蕩けそうになる。  
イーピンの方からも舌を絡ませ、2人の間で甘い吐息が漏れる。  
ランボは腕の中の存在を確かめるように強く腰を打ちつけた。  
「あぁっ…」  
激しく突き上げられイーピンはランボの背に必死でしがみついた。  
締めつけられ顔を歪めながらランボは腰の動きを強めた。  
「あぁ――っ!」  
体の奥に熱いものが注がれたのを感じた瞬間イーピンの意識は途切れた。  
 
「ん…」  
意識を取り戻して目を開けるとランボが微笑んで見つめていた。  
照れくさくて毛布の中に隠れようとするとやんわりと止められる。  
「今更恥ずかしがることないだろ?」  
「そうだけど…」  
「でも恥ずかしがるイーピンは可愛いよ」  
「かっ……。どうしてそういうキザなこと平気で言うかなぁ〜…」  
再び頬を真っ赤に染めるイーピンをランボは笑って抱きしめた。  
イーピンもランボの胸に顔を埋めて幸せそうに目を閉じる。  
いつまでも仲良くというツナの願いは無事叶いそうである。  
 

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