「……ここはどこだろう?」
レイフォンは天蓋つきのベッドの上で横たわっていた。
見覚えのない部屋。
物は少なく簡素だが、高級感のある家具が並んでいる。
すぐ隣からいい香りがし、ボロボロになった心を癒してくれるようだ。
隣……。
横を向くと整った顔立ちをした裸の女性がいた。
グレンダンに入った途端、無邪気に襲い掛かってきたクラリーベル。
切り落とした腕は元通りに戻っており、傷跡も残っていない。
なぜか幸せそうな顔をしてレイフォンに巻き付きながら眠っている。
レイフォンが身体を起こそうとすると首に掛かったクラリーベルの腕に力が入り、起きることは出来ない。
無意識にレイフォンと離れるのを嫌がっているようだった。
なんでクラリーベルがこんなところに?
いや僕がここにいるのがおかしいのか。
頭を働かせながら昨日あったことを思い出す。
グレンダンへの侵入、ニーナと合流、子供たちとの和解、デルク・リーリンとの再会。
格好のいい言葉を使い、言い訳をするような考えだった。
武芸者に囲まれ、力を出すことをせずに地に伏せたレイフォンを助けたクラリーベル。
力なく倒れたレイフォンは自分の思いに気が付いた。
そこまでしか覚えていない。
その後は何が――
と、問うまでもない。
鈍いレイフォンでも何があったかなんて理解できる。
いつもなら焦るような状況なんだろう。
だが失意のレイフォンはありのままを受け入れた。
隣にいるクラリーベルの寝顔を眺めながら状況に身を任せる。
それからいくらかの時間が過ぎ、クラリーベルが目を覚ました。
ん〜〜、と言いながら伸びをした後、クラリーベルはまたレイフォンの身体に巻きつきレイフォンの頬にキスをする。
「おはようございます、レイフォン様。
昨夜は最高でした。あんなにも激しく求められるなんて思っていませんでしたから。
あっ、もし妊娠していたらちゃんと産みますのでご安心を。しっかり育てて次の天険にさせてみせます」
「クラリーベル様、あの……」
「私のことはクララとお呼びください。他人行儀な呼び方などもう必要ありません。なにせ私たちは結ばれたのですから。
あなたはやはり最高です。闘い以外でこんなにも満たさせた気持ちになったのは初めてです。
傷の手当てをするために連れ帰っただけだったのですが、部屋に着くなり襲い掛かられるとは思いもしませんでした。
私の抵抗など全く意味をなしませんでしたね。ここまで力の差があったなんてショックでしたが、そんなことをすぐに忘れてしまうほど激しくされて……。
とても気持ちが良かったです。果てることなく何度も突き上げられ、私がもうダメだと言っても離してくれない。
射精す時には当たり前のように膣で出し、果てたと思ったら元気なままで抜かずに続けられる。
闘いの中でもこのような高揚感を味わったことはありません。女性と関係を持ちたがる先生の気持ちがわかった気がします。
気持ちが良くて、心地が良くて、それでいて激しく情熱的にもなれる。
ふふふ、思い出したら我慢できなくなりそうです」
「あ、あの、クララ。何を言って……」
「ああっ、ダメです。我慢できそうにありません。レイフォン様、朝早いですがもう一戦交えましょう。
今度は負けませんよ。いえ、そうは思っていても負けてしまうでしょうが、それがまた堪りません。
気を失いそうな状態で攻めに次ぐ攻めをされる。一切容赦はなく私が何をしても力で押さえつけられ、私が何を言っても許してくれない。
どんどん私を貶めていくあなたは男らしく、私の理想の男性です。
そうだ。もうあなたから離れないことにします。子供が出来たら次の天険に、というのは撤回しますね。
私はこれからずっとあなたの傍にいますから。
あなたはツェルニへ帰るのでしょう? 私も連れて行ってください。いえ、嫌がっても付いていきます。
私はもうあなたなしでは生きていけません。この責任は取っていただきますからね。
何があってもあなたに付いて行くと王家の名誉に掛けて誓いましょう。
ツェルニですか。私も学生になるのですね。王家の人間として教育は受けていますから十分やっていけると思います。
もし何かありましたら協力してくださいね。私もあなたの為になら何でもしましょう」
「僕の話を聞いてくれないかな?」
「はい、これからのことですね?それは後からじっくりと話し合いましょう。ですから今は私の欲求を満たしてください。
ツェルニはまだ脚の修復中ですのでまだここでゆっくりする時間はあります。
安心して励んでください。
そうだ、射精する時は膣内にお願いしますね。そちらの方が気持ち良いので。
妊娠の心配などはしないで結構です。先ほども言いましたが昨日した時にもう何億ものあなたの精子が私の卵子を捜している状態ですから今更気にしたところで意味がありませんから」
自分の言いたいことだけを言ったクラリーベルは――