「はい、彩木です。あ、警視、おつ…」
「すぐ俺の部屋に来い。しよう」
「…いやん……今すぐ行きます……」
「はい、彩木です。いま移動中…」
「今日君は危険日だったな」
「へ…そうなんですか?」
「自分の排卵日くらい把握しろ。基礎体温を測っておけ!」
「……はあ…」
「ところで今君のいる辺りに、コンビニかドラッグストアがあるか」
「えーと…はい、あります」
「男性用避妊具が手元になかった。買ってきてくれ」
「…は?!」
「コンドームを買ってこいと言っている」
「やだあ!アタシ女の子ですよ!買えません!!!」
「君は立派な成人女性であり、社会人だろう。買えるはずだ」
「イヤ!恥ずかしいもん!」
「リスクを犯すつもりはない。今日はやめだ、帰っていいぞ」
「う…わかりました…買います……。もう、通販とかで買っておいて下さいよ!」
「バカ言うな。受け取るのは華江さんだ。そんなことさせられるか」
「で、アタシがパシリですか…。1箱でいいですよね?」
「1箱では何日ももたん。1ダースくらい買っとけ」
「げ、そんなに?……カゴ一杯……やだなぁ…」
「恥ずかしいなら、領収書でももらえばいい」
「領収書?じゃ、いつものように『A級未決事件特別捜査室 室長 氷室光三郎』
でいいですね、『コンドーム代』で」
「……それじゃ流用できんだろうが…。『上様』『御品代』だ」
「裏金でも作るんですか?…うわ、レジ混んでる!」
「なんでもいいからさっさとしろ。領収書を忘れるなよ」
「え、もしもし、警視?!うっ、目立ってるう……もうイヤッ、警視のバカ!!」