くるみはバーンと地下室の扉を開ける。
「おはよぉございまーーす、氷室警視!エヘヘヘ♥」
コーヒーを飲みながら考え事をしていた氷室が振り返る。
「ノ…ノックくらいしろ!それに私は入っていいとは言ってないぞ…」
「あっ、すみませ〜〜ん!デヘ♥」
翌朝、くるみは再びバーンと地下室の扉を開ける。
「おはよぉございまーーす、氷室警視〜!」
シャツに袖を通しかけていた氷室が振り向く。
「ノックをしろと言っただろう…!まったく、落ち着かん…」
「あ…お着替え中でした?すみませ〜〜ん!デヘ♥」
その次の朝、くるみはまたもやバーンと地下室の扉を開ける。
「おはよおございまーーすっ、氷室警視〜〜!」
肩にかけたタオルで顔を拭いている、上半身裸の氷室が洗面所に引っ込む。
「ノックをしろと何度言えば分かる!ひとの話を聞いているのか、君は!」
「きゃっ、顔洗ってたんですか?すみませ〜〜ん!デヘ♥」
「……彩木……」
さらにその次の朝、くるみは同じようにバーンと地下室の扉を開ける。
「おっはよおございまーーすっ、ひむ…」
「OH!!」
パンツ一丁の巨大な肉塊がくるみの目の前で固まっている。
「う…ボブさん………ごめんなさい……」
一気にやる気をなくしたくるみは、よろよろと部屋を出て行く。
「ひどいよ、コウ……見られちゃった…」
寝室から全裸の氷室が顔を出す。
「悪く思うな、こっちも危なかったんだ。……だがまあ、明日からしばらくは
ゆっくりできるだろう。協力感謝する♥」
――A別館内部の攻防は続く……。
〈了〉