「警視、これでいいですか……」  
カチューシャをいじりながらくるみが洗面所から出てくる。  
白い七分袖のブラウス、膝上丈の胸当て付きスカート、小さめの白いエプロン、  
そして黒のニーストッキング。  
「なんか…恥ずかしいです…」  
 
氷室はくるみの全身を一瞥する。  
「普通に似合うと思うが」  
「えへっ、そうですか?……でも、警視…」  
「ご主人様と呼べ。それから、一切の口答えを禁ずる。いいな」  
「え、え…っ?!そんなあ…」  
「もう一度言う。口答えをするな」  
「……はい…。分かりました……」  
くるみはスカートの裾を握り、口を尖らせて答えた。  
 
「け……ご主人様…、私、何をすれば…」  
氷室はモニタに向かいキーボードを叩いている。  
「…シカト…でございますか…。しょうがないなぁ、このへんの片付けを…」  
「勝手に触るなよ。ちゃんと分類している。ダスターで机でも拭いてろ」  
「はぁい……」  
くるみは机の空きスペースを拭き始めた。  
「…って、ホコリ一つないですけど…」  
「当たり前だろう。掃除は埃が溜まる前にするものだ」  
「はあ……。さすが警視…じゃない、ご主人様……」  
 
くるみは広い机の周囲を回って、念を入れて拭いてゆく。  
「……よし、終わったぁ…」  
ダスターを片付け、洗面所で手を洗って出てくると、氷室がエスプレッソマシーンの  
前に立っていた。  
「あ、私がお入れします」  
小走りに近づいたくるみだが、機械を前に戸惑った顔をする。  
「あれ…?んっと……」  
 
C 
「いい。自分でやる」  
氷室はデミタスカップをセットし、さっさとコーヒーを入れ始める。  
「すみません…。2、3回やればできると思うんですけど……」  
「そんな立て続けに飲めるか」  
カップを持って席に戻る氷室の後ろで、くるみは機械をのぞき込む。  
「えーっと…ここに入れて、ここから……あち!」  
「馬鹿、何やってる!」  
 
氷室はくるみの腕をつかんで洗面所へ引っぱってゆき、勢いよく水を出すと、  
その下にくるみの両手を入れた。  
ぽつりと赤い部分のできた手の甲に、冷たい水がかかる。  
「だ…大丈夫です、もう……」  
「子供か、君は…。世話を焼かせるな」  
そう言ってくるみにタオルを手渡すと、氷室は洗面所から出ていく。  
 
くるみが机のそばに行くと、氷室はコーヒーを飲みながらモニタを見ていた。  
「あの、大したことありませんでした…」  
氷室が大きなため息をつく。  
「ごめん…なさい…。お疲れ様です……」  
「別に…と言いたいところだが、気分的に疲れた」  
「あ…じゃあ、肩でもお揉みいたします…」  
「下手だったらやめてもらうぞ」  
「私、運動部にいたんですよ。マッサージ、うまいもん」  
 
くるみは氷室の後ろに回って、シャツの肩に触れる。  
「……鍛えてますね…。ん、背もたれが邪魔で揉みにくいなぁ…」  
「それなら腕にしてくれ」  
「はい」  
氷室の右側に移動したくるみは、手全体で氷室の肩をつかみ、ゆっくりと力を入れる。  
「痛かったら言って下さいね、け……ご主人様」  
「ああ」  
目を閉じた氷室をちらっと見て、くるみは揉む位置をすこしずつずらしていった。  
 
手首から手の甲を揉むと、次にくるみは氷室の手のひらに自分の左手を合わせた。  
指をかたく組んで握りしめ、曲げた指で氷室の指を強く引く。  
数回繰り返して、ふう、と息をついた。  
「……どうですか?」  
「ああ、悪くない」  
「良かった。じゃ、左も行きます」  
くるみは氷室の左側に回って、同じように揉み始めた。  
 
「はい、お疲れ様でした」  
氷室の左手を離し、くるみはやや上気した顔をしていた。  
氷室が目を開ける。  
「腕が軽いな。……疲れたか?」  
「全然!脚も行きましょう。こっち向いて下さい」  
椅子を回転させた氷室の、その足元にくるみはひざまずく。  
空気をはらんでふわりと広がったスカートから、白い膝が覗いた。  
 
靴を脱がせると、くるみは自分の腿の上に氷室の足を乗せ、靴下の足先、かかと、  
くるぶしを指先で揉み始める。  
さらに、ふくらはぎ、膝の裏、太腿へと手を移動させるが、腿の半ばあたりで  
ぴたりと手が止まった。  
「……どうした?」  
「…い、いえ…、あの……ちょっと…」  
無心にマッサージをしていたら、とんでもない所に触れそうになっていた。  
そのことに気がついて、くるみは真っ赤になる。  
 
突然、氷室の爪先が腿の間に割り込んできた。  
「きゃあっ!いやん、何を……」  
思わず顔を上げると、氷室が肘掛けに頬杖をついて面白そうにくるみを見ている。  
「…続けたまえ」  
「えっ……だって…」  
「口答えをするなと言ったはずだが?」  
腿の間の爪先が奥に進んで、くるみのやわらかな部分に触れた。  
 
「あっ……!わ、分かりました、警視」  
もう一度、爪先がそこをつつく。  
「――じゃなくて、…ご主人様……」  
 
くるみは氷室の腿に置いた手を、おずおずと動かす。しかしもうマッサージでは  
なくなっていて、ただ服を撫でているようなものだった。  
足の付け根まで上がってきたものの、服の皺に触れたところでくるみは下を向く。  
顔の正面にある股間がまともに目に入り、そこにあるものを想像してしまった。  
恥ずかしさに、今にも消え入りそうな声を出す。  
「ごめんなさい……終わり、です…」  
 
「続けろ」  
「……許して…下さい…。お願い…」  
「………いいだろう」  
ほっとしたくるみの鼻先に氷室の中指が伸びた。少し武骨だが手入れの行き届いた指。  
「何か考えていたようだな。…これをどうする。やってみろ」  
くるみは息をのみ、頬を染めて、指先と氷室の顔とを交互に見つめた。  
 
「はい…ご主人様」  
そう言うと、目を伏せて氷室の指先に唇を当てる。  
大切な物のように何度もキスをすると、小さく舌を出して愛しげに舐めた。  
子猫がミルクを飲んでいるような音が立つ。  
それから小さく息を吐き、濡れた指先を下唇で微かにこすった。  
「……ん……」  
今度は指の中ほどまでをくわえると、唇を軽くすぼめてしごくように顔を前後させる。  
鼻から漏れる息が早くなる。  
さらに深く指を口に含むと、舌を押し当てて強く吸い上げる。  
指にからまった唾液の音が、じゅる、じゅるっと小さく聞こえた。  
 
氷室の足先を挟んだままのくるみの太腿が、もじもじと動く。  
そこに何かがあるというだけで、無意識の内に快感を覚えていた。  
腿の内側が熱くなって、じっとりと汗ばむ。  
 
「よし。もういい」  
動きを止めたくるみの口から、氷室は指を抜いた。  
唇を半開きに、胸を上下させながら、くるみは潤んだ目で氷室を見上げている。  
「良く出来たな…彩木」  
くるみは目を伏せ、恥ずかしそうに横を向いた。  
「……あ、ありがとうございます……」  
 
太腿の間の爪先が動いた。  
「ひ…ゃあ!」  
「………濡れてる」  
「…そ、そ、そんなこと…!」  
慌てるくるみをからかうように、爪先がそこをつ、となぞった。  
「い…ゃっ!やめて…」  
「靴を履かせてくれ」  
くるみは再び腿の上に乗った氷室の足を見た。  
靴下の先が濡れているような気がして、大急ぎで靴に足を押し込む。  
「乱暴だぞ。…まあいい……立て」  
 
「…はい…」  
くるみは立ち上がったが、ずっとひざまずいていた脚はうまく動かない。  
氷室にぐいと手を引かれ、よろけたくるみは氷室の上に腰を落とした。  
「きゃ!け、警視…?!」  
 
「ご主人様、だろう。で、何を考えていた?」  
氷室は指の腹でくるみの胸をなぞる。  
ブラウスと下着の上からでも、かたくなった乳首はすぐに見つかってしまう。  
「あ…んっ、ご…主人様……!私、何も…」  
ぴくんと体をのけぞらせて、くるみが震え声を出す。  
「何も?……そうかな」  
布越しの乳首を小刻みにこすると、くるみは上半身をよじって息を荒げた。  
「はぁっ…、んっ…、あっ…!」  
乳首はますますかたくなり、くるみの体温はさらに上昇する。  
 
氷室はくるみの片脚を抱えて、肘掛けに乗せる。  
「あ…ん!」  
指が短いスカートの下に入り、広げられた腿の奥に触れた。  
「やあっ…、…ご主人…さまぁっ…!」  
そこはぐっしょりと濡れて、布の外側にまで蜜がしみ出している。  
氷室の手が出ると、くるみは慌ててスカートの乱れを直した。  
「指を舐めただけでこれか。一体何を考えていた?」  
「な…何も…。警視の、ご主人様の…ことだけ…」  
「ほう…どんなことだ」  
顔を真っ赤にしたくるみは、首を横に振る。  
 
「言えないようなこと…か」  
「そん…な…、…きゃっ!」  
氷室は片手でブラウスのボタンをはずしていく。  
阻もうとするくるみの手を軽く払いのけ、前を大きくはだけさせた。  
「なおさら聞きたいものだな。言え」  
「…イヤッ、言えませ…ん」  
スカートの胸当てを引き下ろし、ブラジャーの下に手を滑り込ませると、  
くるみの白い乳房をぐいと握った。  
「あぁん…っ!」  
こぼれ出した胸を震わせて、くるみは身をよじる。  
 
業を煮やした氷室は、再びスカートの中に手を潜らせた。  
「…は…、あぁっ……」  
「早く答えたまえ。それとも、ずっとこうしていたいのか?」  
氷室の声の振動までもが、くるみの芯を疼かせる。  
さらに、布の上の荒々しい指の動きが、敏感になった蕾を苛んだ。  
「ん、んっ…!…だ、だめです……、言えない、の…っ!」  
くるみは苦しそうに声を絞り出す。が、氷室の指が布ごと割れ目にめり込むと、  
小さな叫び声を上げて震え、くたっと大人しくなった。  
「まったく…強情な奴だ」  
そうつぶやいて、氷室は口の端で小さく笑った。  
 
ぼんやりとしているくるみの呼吸が落ち着くと、氷室はその耳に囁く。  
「勝手にいったな。…まだ早いぞ」  
「…え……?」  
氷室の指で軽い絶頂に達してしまったことに、くるみは初めて気づいた。  
しかも、氷室にはすっかり見抜かれている。  
「やだ…っ……すみません…」  
 
氷室はくるみを膝の上から下ろすと、机に手をつかせ前屈みにさせた。  
ひらりと短いスカートをめくり、腰から下着をはがす。  
「きゃ…あぁぁん…!エ…エッチ……!!」  
「馬鹿。大声を出すな」  
「何するんですかっ、いきなり…!」  
「許可なくいった罰だ、脱ぎたまえ。第一、すでに本来の用をなしておらん」  
「だ…、だって…あれは、警視…が……」  
「――口答えの罰も考えるか」  
「……ぬ、…脱ぎます……」  
くるみは唇を噛んで、下ろした下着から脚を抜いた。  
 
濡れて重みを増した下着を丸めると、エプロンのポケットにねじ込む。  
氷室の視線を気にして、スカートの後ろを隠した。  
「服装は直すな。そのままでいろ」  
「えぇ…っ!?」  
氷室は片手を上げ、すたすたと歩み去る。  
「シャワーを浴びてくる。ベッドリネンを整えておくように」  
「は…、はい……」  
どきんと高鳴った胸を押さえ、くるみは寝室へ向かった。  
 
ベッドの上は大して乱れていなかったが、それでもシーツの皺を伸ばしてみたり、  
枕を叩いてふくらませてみたり、気がつく限りのことをした。  
やり尽してしまってから、ふと、氷室の枕を抱いて顔を埋める。  
「……ふ……」  
微かに氷室の香りがして、くるみは深く息を吸い込む。  
 
「どうした……大丈夫か?」  
入口から氷室の声が聞こえて、くるみは慌てて枕を元に戻す。  
「…は、はい…っ、何でもありません…!」  
バスローブの氷室が、紙コップを手に入ってくる。  
余り意味がなかったが、くるみは胸を隠し、スカートを下に引っぱった。  
 
氷室はコップの水を半分ほど飲むと、テーブルにそれを置き、ベッドに寝転がる。  
上体を起こして枕に寄りかかり、黙りこくったくるみの顔を見上げた。  
「……来い」  
有無を言わさぬ口調で命じられ、くるみは吸い寄せられるように氷室に近づく。  
ベッドの端にゆっくりと膝を乗せると、背中を抱かれ氷室に重なった。  
 
「…っ……ぅ…んん……」  
舌を吸い、執拗に絡めてくる淫らなキスに、くるみの頭の中は真っ白になる。  
熱にうかされたように、手が氷室の脇腹から腰骨の辺りをさまよった。  
氷室の手がその手をバスローブの下へ導く。  
「……っ…!」  
熱く硬いものに触れ、くるみは短く息を吸い込む。  
それに指を回し軽く握って、上下に動かす。摩擦を受けて一層硬さを増したそれの、  
はっきりとした形を上へとなぞり、やわらかな先端を手のひらで押し包んだ。  
そのまま小さく手を動かしながら震えたため息をつく。  
「あぁ……ご主人…さま……」  
乱れた服を直すことも忘れ、氷室の肩にもたれかかった。  
 
「では…実践だ。練習通りにな」  
命令というよりはむしろ許可を与えられた気がして、くるみはぴくんと身じろぐ。  
「…はい……」  
体を起こし、氷室の腰の横に正座すると、かがみ込んでその部分に顔を近付ける。  
中程にそっと手を添え、先端に優しく唇を押し当てた。  
赤い舌が唇の隙間からのぞいて、肉を舐め、唾液を塗り付ける。  
「……はぁ……ん、ん……っ…」  
先端の割れた中を、鋭く反った返りの部分を、濡れた舌がなぞってゆく。  
 
氷室の喉から微かな吐息が漏れた。  
硬く、血管の浮き出たそれに、くるみは舌を当て、唇を押しつけ、頬ずりをする。  
「…あぁ………」  
はずんだ息の合間からため息をついて、回した指でそれを少し起こした。  
上から、ゆっくりと、口に含む。  
「ん…っ…、ん……、く…」  
唇で包んで頭を上下させる。ただし、練習の時よりも幾分苦しそうに。  
 
氷室の指がカチューシャをなぞり、くるみの髪を梳いて、頭頂部を押さえた。  
「……ん…ん…」  
くるみは口一杯に入ったものに舌を這わせながら吸い始める。  
たっぷりの唾液が音を立ててまとわりつき、それを刺激した。  
氷室は眉を寄せて低く唸ると、くるみの頭に置いた手を背中に移し、背中から腰、  
腰から尻を撫で、蜜のあふれた襞の間に指を差し入れる。  
「…ん!…んっ…、うー…っ!」  
くるみは腰を捩って、くぐもった呻き声を漏らす。  
「ぅ…、んーっ!…む…ぐ…、ん…っ…」  
径を増したそれを細い指先が締め付けて擦り、唇が先端を強く吸い上げた。  
 
「…う、ぅ…っ…!」  
二つの呻き声が重なった瞬間、くるみの口の中で氷室の体が大きく脈打ち、射精する。  
口内に放出された温かい液体を、半ばむせながらくるみは飲み込んだ。  
「んっ…、ぅ…んんっ…、…え…ふっ、えふん…っ、…けほ…」  
唇を離し、目を潤ませた赤い顔で大きく息をする。  
「…そこに水がある…。飲むといい」  
くるみはうなずくと、ふらりと立ってコップを手に取り、喉を反らせて水を飲んだ。  
 
飲み干してから、口の端の白い液体を指で拭い、とろんとした涙目で氷室を見る。  
あらわになったままの胸や乱れたスカートも、もう気にならないようだった。  
「――上達したな、彩木……。格段の進歩だ」  
氷室の言葉に、くるみはぴくんと震えて答えた。  
「……ありがと…ございます、…ご主人…様……」  
 
氷室は身を起こし、ベッドに片膝を立てて座る。  
「上がって…後ろを向け。分かるな」  
「……は、は…い」  
くるみはベッドに上って氷室の前に正座し、お辞儀をするように頭を下げた。  
氷室がするりとスカートをめくると、丸く、白い尻が現れる。  
微かに窺える花弁は濡れそぼり、腿の内側が溢れた蜜で光っていた。  
 
くるみの尻を抱えた氷室が膝立ちになる。くるみも膝をつき腰を高く上げる。  
潤んだ薄紅色の裂け目に、硬さを保つ氷室のそれがあてがわれた。  
「あ…ぁ、…ご主人様…、……ご主人…さまぁ…」  
くるみが切なげに呼ぶ。  
求められているのを承知で、氷室は敢えてゆるやかに挿入する。  
ひくひくとうごめく襞がまとわりつき、柔らかく熱い膣壁が絞まるのを味わう。  
「はぁあ……、…んんっ…、あぁ…ん…」  
やがて、氷室の体が根元までくるみの中に沈んだ。  
 
口まで突き抜けそうなそれが、突然ずるりと後ろに下がり、再び奥まで貫いてくる。  
膣壁に受ける摩擦に、子宮を突き上げる圧力に、くるみは悲鳴を上げた。  
「は…ぁああああ!!…ご…主人様……、そっ、そんなにしたら、…私、また……」  
「…何だ?」  
「ああ…んっ……!へ、変に…、変になって、しまい…ますぅ……!」  
氷室はにやりと笑って、さらに激しく腰を動かした。  
「許可する。好きなだけいきたまえ」  
「…ひ…っ、あ、あああぁー…っ…!!ご…ごしゅじん……さまぁ…っ…!!!」  
 
*****************************************************  
 
「――は…はい、もしもし、太田黒…。……何だ、母ちゃん……」  
「何だじゃないよ、ユースケ!あんたは一体いつになったら嫁さんを…」  
「あーーもーー!!…今忙しいんだよ、また今度、電話するから………」  
 
                            〈完〉  
 

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