「8月7日って斗貴子さんの誕生日だよね?」
「そうだが。何故、知っている?」
「転校して来た時、質問に答えてたから。海から帰ってすぐだよね。何か欲しいプレゼントとかある?」
海水浴に向う途中、カズキからこんな質問をされた。
誕生日なんて自分にはなんの意味もない。過ぎる度に、潜入任務の担当が変わるだけ。
高校への潜入任務は17歳前後の戦士が充てられ、大学への潜入任務は20歳前後の戦士が充てられる。
それだけのこと…そう思っていたのだが。
「物じゃなくてもいいなら…その…なんだ…キミとの時間(ごにょごにょ)」
「え?なに?」
(時間というか、カズキそのものが欲しいというか─)
(ラッピングされていて好きにできるカズキが欲しいというか─)
(遠まわしに言ってキミが理解してくれると思えないが─)
(かといって、そのまま言うのは─ (///))
「ええと、斗貴子さん?」
「(欲しいものはばっちり決まっているが、表現が思いつかないので)少し考えさせてくれ」
「うん、わかった。まだ、時間はちょっとあるしね。オレが用意できるモノならなんでもいいから!」
(そうか、なんでもいいのか…やはり、ここはカズキを─)
果てしない妄想に落ちていく斗貴子さんであった。
(おわり)