どうもさっきから横を歩く斗貴子さんの様子がおかしい。やけに汗をかき、歩くペースが落ちてる。
「斗貴子さん、どうかしたの?」
そう聞いてみたが、斗貴子さんは全然反応してくれない。いや、できないのかもしれない。苦しそうだ。
「調子悪い?だったら休もうか」
彼女の前に回りこんで、ようやくオレのほうを見てくれた。
「いや……その、だな…」
「何?どっか痛む?」
「………腹が」
「腹痛!?大丈夫?歩ける?おぶっていこうか?」
「…そうではなくて……」
もじもじと身体を擦っている。どうしたんだ?
「…………トイレ……」
「え?トイレ?」
そうか、そういうことか。祭りに来たときにがつがつ食ってばかりいたから、そのつけが回ってきたのか。
「で、大きいほう、小さいほうどっち?」
「ち、小さいほうだ」
「小便ね、じゃあ行こうか」
オレは斗貴子さんの手を引いて公衆トイレのある方へと引っ張って行った。
「あまり引っ張らないで、……漏れる」
「あ、ゴメン」
トイレがあるところに着くと、途端に斗貴子さんの顔が真っ青になった。オレも少しばかり焦った。
「かなり、並んでるね……」
「…………」
斗貴子さんは口を開いたまま、ただ呆然とその長蛇の列を見ていた。いや、放心してるだけかもしれない。
「別のトイレ探す?」
とは言ったものの、オレはここしかトイレの場所を知らない。探す以前にここ以外はないかもしれない。
「無理だ……」
青い顔をした斗貴子さんはそう答えた。これはもう限界がかなり来てるようだ。
「どうしてもう少し早く言わなかったの?」
そうすればまだマシな状況だったはずだ。
「どうにかなると思っていたんだけど…」
「この状況はどうにもならんでしょ」
「うん……」
オレは頭をぽりぽり掻いた。どうしたもんか考えて、そしてふと名案が浮かんだ。
「斗貴子さん、こっち来て」
斗貴子さんの手を引っ張り列から離れた。
「どうしたカズキ!トイレは……」
「いいからいいから」
そのまま二人でトイレの脇から続いていた茂みの中へ分け入った。
「こんなところに引っ張って、何を考えている?」
「ここでするの」
進みながらそう答えた。
「………はぁ?」
「だーかーらー、茂みの奥で小便するんだよ」
疑問符を浮かべる彼女に今度は丁寧に教えた。
「誰にも見つかる心配ないし、安心だろ?」
我ながらナイスアイデアである。思わず得意げになってしまった。
だから彼女の顔が引き攣るように怒りに満ちていっていることに気付かなかった。
「こおぉの……ッ!!」
怒気を含みまくった声で彼女が声を上げた。オレの身体が小動物のように小さく震え上がった。
が、みるみるうちに彼女の怒気がしぼんでいく。腹を押さえてしゃがみ込んでしまった。
「――もういい。やけだ。行く」
すっと立ち上がり、そのまますたすたと早足で奥のほうへと歩いて行った。
「ち、ちょっと待ってよ!」
急いでその後を追いかけた。限界ぎりぎりのはず、無理して歩いてるに決まってる。
彼女の横に並んでその顔を覗き見た。平静を装っているけど、顔色は青く、かなり冷や汗が出ている。
ここは無理をしないように声を掛けるべきだな、と思ったとき、オレ達は少し開けたところに出た。
「じゃ」
あここでするといいよ、と言いかけて、オレは目の前の光景のせいで出てくるべき言葉が喉の奥で消え去った。
そこでは、数組の男女がそれぞれ、獣のように性交に没頭していた。
他のカップルは関係ないかのように、ただ己の欲望のままに相手とやっていた。
全身が、何かに魅入られたように動かなかった。動こうと思うことができなかった。
肉と肉がぶつかり合う音。絡み合う粘液の音。それぞれの男と女の喘ぐ声が、望まずとも耳から入ってくる。
横目で何とか斗貴子さんの顔を盗み見た。
唖然とした顔で、間抜けに口が半開きだった。蒼白だった顔も、萌えるように朱色に染まっている。
彼女のそんな顔を見たとき、オレの中でちょっと変化が起こった。
ポク ポク ポク チーン 計算完了
さんざんお金を使ってあげたんだから、これくらいしても罰は当たらないはずだ。
そう思ったら急に、下半身が熱く疼きだした。
「それじゃここでしよっか」
そう言うと斗貴子さんがオレのほうを振り返り、小さな声で強く言った。
「こ、ここここ、こんなところでできるわけがない!」
「なんで?」
「だ、だてっ、こんなにエロスが充満しているところで用をたすなんて…」
そして彼女が俯いた。その隙にオレは背後に回り、後ろからきゅっと抱きしめるように腕を回した。
「なッ……!」
彼女が驚いて顔を上げ、俺のほうに首を曲げた。言葉が出ない彼女にオレは告げた。
「オレが手伝ってあげるからさ、我慢せずにしていいよ」
回した腕をそっと這わせ、彼女の薄く毛の生えた恥丘に指を伸ばす。
「ッはぁ…!」
触れただけで、以上と思えるほど鋭く反応してくれる。
「だ、ダメぇ…こんなところで…ひぅッ!」
言葉でいくら体裁を取り繕おうとしても、身体は素直に反応する斗貴子さんは可愛らしい。
つい虐めたくなる。
「どうしたの?限界が近かったのになかなかでないよ」
そう言いながら彼女の小さな蕾があるところをつんつんと指で刺激する。
「んん……ッ」
声を漏らさないように我慢し、身体が小刻みに震えているのがよくわかる。
空いているほうの手を浴衣の中に滑り込ませ、下着もつけていない小振りな、というかほとんどないに等しい胸を手に収める。
「あ…胸ぇ、いや……」
「嫌がらなくてもいいよ。オレ、小さいほうが好きだし」
お世辞でもそう言っておかなければ後が怖すぎる。
彼女を持ち上げるつもりで言ったが、思いのほか素直にその言葉を受け容れてくれたみたいだ。
嫌がる様子もなく、オレに任せるように胸を弄らせてくれる。
「あんんっ!」
ちょっと乳首を撫でただけで初々しい反応をしてくれる。普段とのギャップがたまらない。
「むね…も、と……もっとぉ…」
小さくて感度が良好な斗貴子さんは胸だけですぐその気になってくれるから楽でいい。
いつもは触らせてくれないからこういう機会にとことん弄らないと、次はいつになるかわからない。
斗貴子さんは猛獣みたいなものだ。いつもはこんなことを迫っても噛み付かれてしまう。
でも一旦こっちの手の内に丸め込めばあとはもう堕ちてくれる一方だ。
ただ、次の日になるといつものように噛み付かれてしまう。だからこの機は逃せない。
「胸胸ってさぁ、斗貴子さんは用をたしたいんだろ?だったら」
今度は蕾を指で挟むようにした。
「ひぃっ!あ、はぁ…あああ!」
凛々しい戦士としての姿の欠片もなく、なすがままに喘いでくれる斗貴子さん。
下半身の疼きは激しくなり、体中の熱が集まっているように熱くなってきた。
いつもなら我慢できずにそのまま彼女と繋がるところだが、今日ばかりはちょっと違った。
彼女の腹に消えていったお金の分まで、きっちり身体で払ってもらうつもりだ。
「ほらほら。せっかく手伝ってあげてるんだから早く出しなよ」
そう言って斗貴子さんの秘芽を責める手をさらに激しく動かした。
指で尿道付近を押すと電撃に撃たれたように彼女の背が反り返った。
「はぁあ、んうぅ…あああっ!か、カズキぃ…も、我慢、でき…ない」
「ん、じゃあ出していいよ」
「あぅんっ、違うぅ…っ」
「違う?何が?」
わかっていてそう聞いた。彼女の股間からは熱い愛汁が少しずつだが溢れてきていた。
彼女が俯いて押し黙ってしまった。言う気がないようだ。
オレは彼女の感情を煽るために硬く張ったズボンをお尻に擦りつけてあげた。
「ぁッ…」
切ない吐息が漏れた。そのせいでオレのほうが興奮してきた。
「ここ、弄って欲しい?」
彼女の口から言わせるつもりだったけど我慢できずにオレが聞き出すことにした。
ショーツの上から薄い毛がしょりしょりする感触を指で確かめながら聞いた。
「………ん」
ちょっと間をおいて彼女が頷いた。恥ずかしげに答えた彼女にさらに興奮した。
だが、ここでもっと焦らさないとお金に申し訳ない。
「してもいいけどさ、まずはこっちどうにかしようよ」
斗貴子さんの尿道付近をさすった。
「うん…わかった」
オレの腕の束縛を押し上げてすっと抜け出し、側にあった木へ移動した。。
そこで用をたすつもりらしい。
周りを見回すと、そこがちょうど他のカップルの死角になっている位置にあたった。
見られることを恥ずかしがってのことだと思うけど、他は他で楽しんでいるから気にする必要もないと思った。
ショーツを膝元まで脱いでしゃがみ込んだ。
そこで、オレの中に一つの悪戯心が生まれた。
「斗貴子さーん」
出す直前だった彼女に近づき、脇の下に手を入れて強引に立たせた。
「なななな、何をするっ!?」
いきなり邪魔されて斗貴子さんも慌てふためいている。そんな彼女の耳元で告げた。
「斗貴子さんの立ちションが見たいんだ!」
「っっっば!!」
バカと言いたかったんだと思う。でも斗貴子さんは言葉をつまらせてそこまでしか言えなかったようだ。
我ながら本当にバカなことだと思う。思うけど、これはこれで素晴らしいかと…。
「見たいんだ」
こういうときは胸。浴衣の上から両方の胸を優しく揉みしだいた。
「はぁうっ…」
すぐに身体中の力が抜けて俺の胸に寄りかかってきた。斗貴子さんがこんな胸で本当によかったと思う。
「見たいんだ」
同じ言葉を繰り返した。
顔を朱に染めて俯いて、また答える気がないようだ。
もう答えを待つ気はない。剥きだしになった彼女の下半身に手を伸ばし、直接そこを刺激した。
「んひぃっ!!」
今までにないほどの苦痛、快楽に歪んだ顔を見せてくれた。もう堪らん。
「お腹もパンパンだよ。もう出そうよ」
グリグリと刺激を与え続ける。歯を食いしばり、涎が口の端から出ている。
「あぅ…で、るぅ……」
とうとう彼女の口からそう漏れた。
「浴衣にかからないようにちゃんと持ってて」
オレの言うことが聞こえているのかも微妙だったけど彼女の手が動いた。
弱々しい手つきで浴衣の裾を持ち上げ、下半身を完全に曝け出した。
「はんんっ、出る…出るうぅっ」
尿道を弄っていた指をクリの辺りまで退避させた。
その直後に、さっきまで弄っていた穴から勢いよく一筋の線が飛び出した。
直線を描くほどの勢いある放尿が、目の前にある木の根元を黒く染め上げていく。
オレは食い入るようにその様子を見つめていた。
永遠とも思えるほどの勢いがあったそれが、徐々に力を失っていき、やがて一滴、一滴と地面に落ちていくだけのものになった。
「んふぅ、はぁ、はぁ……あぁぁ」
長い間溜めていたものが排出できたおかげか、彼女が満足気な溜め息をついた。
「ぃよしっ!じゃあ戻ろう」
わざと元気よくそう言った。斗貴子さんはえっ?という顔でオレのほうを見てきた。
「あ…ま、待てカズキ!」
「なに?」
また、オレはわかっているのにそう聞いた。
「え、あ、そ…そのぉ……」
もじもじと下半身を擦り合わせる。して欲しい、そう思ってるのは間違いない。
「続き、オレの部屋でしよう」
ここでさらにおあずけ。何度も言うようにすぐにしてしまったらお金に申し訳ない。
「わ、私はすぐ、今すぐにでも……」
「ダメ。オレの部屋に行くまで我慢して。その間は妄想でもしてなよ」
オレは彼女の手を引いて祭りの場へと戻っていった。