オレは斗貴子さんの手を引いて祭りの中を歩いていた。  
彼女はといえば、どこか上の空な様子で虚空を見上げている。  
(ほ、本当に妄想してるんだろうか…)  
よく見ると口の端から涎が垂れている。気付いていないのが恐い。  
でもそれだけ続きを待ち望んでいるってことか。オレは急いで寄宿舎へと帰ろうとした、その時、  
「あ、お兄ちゃん!」  
「おう、まひろ」  
妹のまひろが一人でオレのほうへ駆け寄ってきた。  
暑い祭りの夜だというのに、何故だろう、背中が一瞬だけ冷水を一滴だけ垂らされたような、不気味な寒気を感じた。  
「あらぁ〜、お義姉ちゃぁん」  
明るい笑顔でまひろが斗貴子さんに声を掛けた。  
むぎゅっ。  
「久しぶり」  
と、なぜかオレの腕に斗貴子さんがしがみついてきて、こちらは壮絶な笑みをまひろに向けていた。  
「と、とと斗貴子さん!!」  
うろたえて腕を引き抜こうとしたが、がっちりとロックされている。  
(まひろの前でこんなのしなくてもいいじゃないか!)  
さすがに焦った。  
「おにい」  
「へ……?」  
「ちゃああぁぁんんん」  
どういう原理でそう動いたのか、まひろがオレに正面から抱きついてきた。  
「こらこらこらぁっ!!?」  
振りほどこうにもなぜか二人とも異様な力でオレにしがみついている。  
女の子二人に抱きつかれたまま、突っ立っているしかなかった。  

「って、そういやまひろ」  
何とか話題を出してこの状況をどうにかしようと思った。  
「なにお兄ちゃん?」  
「お前友達と来てるんじゃなかったのか?」  
オレがまひろの姿を捉えたときにはすでに一人だった。こっちに来て別れたんだろうか。  
「そうそう。私、迷子になっちゃったの」  
「え、迷子かよ」  
ケロッとした様子でそう言われた。迷子か、まひろらしいといえばらしい。  
「だからお兄ちゃん、一緒に帰ろう」  
いいぞ、という言葉が胸の辺りまででかかって呑みこんだ。  
下手に一緒に帰ると、斗貴子さんとあんなことやそんなことができなくなるかもしれないと思ったからだ。  
そしてそこでまた斗貴子さんが動いた。  
「すまないがカズキはこれから私とお・と・な・の用事がある。またにしてくれ」  
「え゛――っ!!おおおおお、大人の関係をお義姉さんと!!?」  
妹よ、少し回路が飛びすぎてる気がするぞ。ていうか斗貴子さんももっと巧い言い方があるでしょ。  
オレがその場を乗り切ろうと口を開きかけた時、斗貴子さんがそれを遮った。  
「そういうことだ。だからお子様は早く帰りなさい」  
「え゛――っ!!」  
今度はオレ。だからそんなややこしくなるようなことは言わないでください。  
「こどっ…、な、何よ!お義姉さんのほうがぺったんこのくせにぃ!!」  
「まひろ!それは言ってはいけないお約束――」  
「脳髄を、ブチ撒け」  
「斗貴子さんもストオォォップ!!!」  
今にも殺し合いを始めてしまいそうな二人の間に割ってはいった。  
「どいてお兄ちゃん!そいつ殺せないっ!!」  
「怖いこと言うなよぉっ!」  
「どけカズキ!そいつを楽に殺してやるっ!!」  
「斗貴子さんまで!!?」  

(一体なんで?なんでなんでなんで??)  
そもそも二人は何故こんなに仲が悪いのか。始めのころはそうでもなかったはずだ。  
二人を落ち着かせたオレはそのまま答えの出ない問答を繰り返していた。  
「お兄ちゃん」「カズキ」  
「はいぃっ!?」  
声が裏返った。  
「そろそろはっきりして」  
「しなければ肢体を切り裂く」  
怖すぎる。これは脅迫されているようなものじゃないか。  
「妹の私と」  
「年上の私と」  
『どっち?』  

どっち、とはまた抽象的な問いかけじゃないか。  
(この場合は…どっちと一緒に帰るか、ってことだよな)  
だけど今のオレは一緒に帰るだけじゃ絶対すまない。あんなことやそんなことをするはずだ。  
妹にそれは拙いと思う。思うけど、背徳的でそれもいいじゃん、という考えが湧いてきた。今のオレは病んでいる。  
発育のよい妹か……貧乳だが年上のお姉さんか……。  

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A.ここは可愛い妹だよな  
B.スタンダードに斗貴子さんだろ  
C.男は度胸!二人一緒に喰ってみるのさ  

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オレは呼びかけた。  
「――まひろ」  
「なにお兄ちゃんッ!?」  
ものすごい勢いでまひろがオレに飛びついてきた。見上げてくるその目はうるうると潤んでいる。  
「カズキぃいィ……!」  
横で斗貴子さんが恐ろしいまでの殺気を放ってくる。オレは泣いちゃいそうだ。  
けど今はそれに構っていられない。  
俺はまひろの頭に手を置いて優しい口調で言った。  
「まひろ、お前友達と一緒なんだろ?だったらそいつら探したほうがいい、うん絶対そうしろ」  
期待に満ちていたまひろの瞳からだんだんと光りが失われていく。  
「カズ、キ……」  
斗貴子さんからも次第に殺気が霧散していくのがわかった。  
「んじゃそういうことだから、頑張って探すんだぞ!」  
すっと手を上げてまひろに別れの挨拶をした。逆の手で斗貴子さんの腕を掴み引っ張っていく。  
「行こうか、斗貴子さん」  
「カズキ……うん」  
恥ずかしそうに俯く斗貴子さんがとても可愛らしい。年上のお姉さんとは思えない。  
が、それはそれで、いい。  

「………」  
一人ぽつんと取り残されたまひろ。  
「……ぁぁ…ぁあそう…」  
ぼそぼそと、周囲の誰にも聞こえないように小さく呟く。  
「あ、いたいた。おーいまひ…ろぉ……」  
「あんた一人で離れてい……って……」  
まひろを見つけた二人の友人が近づくが、彼女の様子に二人は言葉を失った。  
「お義姉ちゃん……誰がお兄ちゃんを一番悦ばせてあげられるか教えてあげなきゃねぇ…」  
肩を揺らして不気味に笑い続けるまひろに恐怖を見て、二人は震え上がった。  

 
 

斗貴子さんを部屋に連れ込む前にしておくことがあった。  
部屋の前で少し待つよう言った。探し物があるんだ。  
「な、なんじゃこりゃあ……?」  
なぜか俺の部屋が荒らされていた。それもオレ秘蔵コレクションが眠っているところが重点的に。  
「まさか、こそ泥!?」  
それは拙い。そんなやつに盗まれたりしたら二度と見つからないかもしれないじゃないか。  
「斗貴子さん!もう少し待ってて」  
時間がかかりそうだったのでまず断っておいた。もちろんその間は妄想しているように、とも言った。  
ある程度片付けて、そして一番必要なものがなくなっていることに気付いた。  
「オレがこの日のために用意しておいた斗貴子さん専用バイブが……」  
そしてさらに気がついた。岡倉からの支給品であるエロスな本がなくなっていた。  
「それも、すべてお姉さん系のやつが……」  
なんとなく、オレと気が合いそうなこそ泥だ。だが今はそれが大問題である。  
「…仕方ないか。道具無しでやるか」  
道具プレイがしたかったオレはちょっとがっくりした。また岡倉に頼まないとダメか。  
「斗貴子さん。入っていいよってうわわわわっ!!」  
「カズキぃぃ……。もっと満足さ・せ・て…」  
ドアを開けるなり抱きつかれ、耳元で囁かれた。妄想がいき過ぎている。  
んが、もちろんその要望には応える気満々だ!  

「そぉれえぇぇぇい!」  
斗貴子さんの浴衣の帯を力任せに引っ張った。華奢な身体がくるくると回ってベッドの上にぽてんと落ちた。  
「目、目が回るじゃないか…」  
言ってくる彼女の上に身を重ねた。二人の身体が密着した。  
触れ合うと彼女の身体は思ったとおり熱っぽく、じっとりと汗ばんでいた。  
首筋に口付けるとぴくっと身体が縮み上がった。  
かまわずにぺろぺろと舌でくすぐり、首筋から鎖骨、そして身体にフィットしたスポブラの、緩やかな丘陵へと移動した。  
「はぁんっ!」  
二つの小さな丘のひとつ、その頂上のしこりを口で挟んだ。  
「は、はぁ、はぁぁ…ッ」  
胸が敏感な斗貴子さんは過剰なまでの反応を示してくれる。  
この悶え喘ぐさまを見ると、ぞくぞくと虐待心にも似た感情が膨らんでくる。  
口に含んで軽く舌先で愛撫する。  
「んぁあ、あぅ…」  
苦しげな呻き。快楽の証。心の中から愉悦がこみ上げてきた。  
斗貴子さんが大好きな胸を口でいたぶりながら、下半身のショーツへと手を伸ばす。  
「ッひゃうぅ!!」  
二つの薄い襞の間に指を這わす。やはりうっすらと湿っていた。  
「胸だけで濡らすなんて、斗貴子さんはエロスだね」  
「はぅぅッ…」  
恥ずかしがる斗貴子さんからはだけた浴衣を剥ぎ取った。  
先端の濡れたスポブラと、股の間の濡れたショーツだけというあられもない姿でベッドの上に横たわっている。  
ごくりと唾を飲み込んだ。下半身がパンパンに張っていた。  
オレは上着とズボンを脱ぎ、シャツと963パンツ姿になった。  

斗貴子さんの湿ったショーツへ舌を伸ばしかけた時、  
「あ……斗貴子さん、ションベン臭…イタイイタイ」  
ぽろっと漏らしたらげしげしと足で蹴られた。  
「こ、こんな時にそんなことを言うな!」  
「でもこんな時に言うから萌えッテエエェッッ!!」  
鼻っ柱にかかとを直撃された。当たり所が悪ければ折れていたに違いない。  
「早く続きをしなさいっ!」  
喜んでやりましょう!彼女からの催促ならば仕方ない!  
「そんじゃあ…」  
斗貴子さんからショーツを脱がせた。しなやかな足から剥ぎ取り、ちょっと匂いを嗅いで  
「嗅ぐなぁっ!」  
「嗅いでないよ!」  
我ながら苦しい言い訳をしつつ慌ててショーツを投げ捨てた。  
「じゃあ気を取り直して…」  
彼女の股間部へ顔を近づける。  
年上のはず、なのだがつるつるだ。無毛のそこがたまらなく欲情させる。  
気付かれないように匂いを嗅いだ。鼻に突き抜けるアンモニア臭と、粘膜を溶かすような斗貴子さんの匂いがする。  
襞を押し分けるようにして舌を膣口へと侵入させていった。  
「ぅんん……」  
押し殺した声を漏らす。同時に愛汁もたらたらと溢れてきた。  
快感から腰をくねらせて逃げようとする彼女を逃がさないようにしっかりと腰を抱く。  
さらにぺろぺろと、嬲るように攻め続ける。  
「くぅんんッ!」  
可愛い鳴き声だ。こんなしおらしい斗貴子さんが大好きだ。  

十分すぎるほど彼女の秘裂には汁が満ちていた。彼女の準備は万端だ。  
「斗貴子さん。次はオレのをしてよ」  
パンツを脱ぎ、天上にそそり立つ自慢のモノを取り出した。  
「口で濡らすだけでいいよ」  
そう言うと斗貴子さんが体勢を変え、その小さな口をそろそろと近づけてきた。  
彼女の吐息がくすぐったく感じられる。  
「いくぞ」  
オレの返事を待たずに彼女の口内へと導かれていった。  
薄い唇がきゅっと剛直の中ほどを締め付けてくる。  
根元付近を手で握り、手と頭を激しく振ってオレのモノ全体を刺激する。  
「ん、んぅ、はん、んむぅ…」  
甘い声が口内で響き、微妙な振動が口に入ったところをぴくぴくと振るわせる。  
「うぅぁ…」  
思わず声を漏らしてしまった。じゅるじゅると音を立てて斗貴子さんがむしゃぶりついている。  
唾液で十分湿ったモノを彼女の口から引き抜いた。  
惜しむように彼女は手でしごき続ける。それをやめさせ、再びベッドに横たえた。  
割れ目に亀頭を擦りつけると、斗貴子さんはそれだけでとろけるような声を、顔を浮かべる。  
「挿れてもいいかな?」  
分かりきったことをわざと聞く。  
「んぅ、意地悪なことを言うな…」  
それだけ聞ければ満足だ。腰を一気に突き入れた。  
「んぁ――ッ!」  
オレのが斗貴子さんの子宮を突き上げ、彼女の息が肺から漏れて声を詰まらせた。  
「ぃたいぃ…」  
消え入りそうな声を上げるけどオレは手を緩めるつもりはない。  
斗貴子さんの中で乱暴に棒を動かし、掻きまわした。  
「あ、あ、あ、あ……ん、ふぁ、ぅう…」  
肉壁が、食いちぎっていくような締め付けでオレの根元から蠢き、波打っていく。  
股間から全身へと、一気に身体に快楽が波及した。  

「締まり、いい…」  
彼女の身体を貪るように腰を抽迭し続けた。  
動きに合わせてオレ達の口から息が溢れ出ていく。  
「はぁぁ、カズキぃ…」  
腕が首に回されてキスを求められた。もちろん応える。お互いの舌が口内へ侵入し、中を舐めていく。  
オレも彼女の背に手を回して抱きしめ肌と肌を密着させる。挿入がさらに深まった。  
奥の奥までいったオレのは優しく、いやらしく動く彼女の中で限界を向かえそうになった。  
自分の白い欲望を吐き出すために腰を動かそうとした。その時、  

コンコン  

「だ、誰かきたぁ!?」  
ドアのノックに慌てて身体を起こそうとした。  
「あぁん、ダメぇ」  
ぐいっと斗貴子さんに引き寄せられた。  
「ま、まずいって!こんなところ見られたら…」  
ドアの向こうに聞こえないように小声で話し続けた。  
「ん、ん、んんぅ」  
「はぅぅ…!」  
下の斗貴子さんが積極的に腰を動かして俺を攻める。拙い、このままは非常にまず  

ガチャリ  

(開けやがった!!)  
もうオレの目の前が真っ暗になってきた。  
カズキ、寄宿舎で女をたらしこむ。明日の新聞の見出しはこれで決まりだ。  
「お兄ちゃぁぁんっ」  
(それも妹が目撃者かよ!!?)  
冷や汗だらだら。オレの高校生活は終局を迎えようとしていた。  

 
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