浜辺に横たわっているカズキの近くに歩み寄った。
目に見えない何かが体を覆い、体力を奪い始めた。
私はそれにかまわず、膝をついてカズキの手を握った。
「目を覚ませ、カズキ」
ジ、ジ、ジジ。ザシュ。
「夜が明けたら二人で向かおう。
もしかして何かキミを元に戻す手掛かりがあるかもしれない」
エネルギードレインが激しくなったが、私は言葉を続けた。
「私が君に埋め込んだ核鉄を手に入れた始まりの地へ!」
しばしの間、私はカズキの手を握ったまま彼の回復を願った。
そして、ふと思いついた。
─近づいただけでエネルギードレインが始まり、手を握るとそれが激しくなった。
─ということは、もっと密着すれば?
「剛太、少しの間、向こうに行ってくれ」
「今度は何すんだよ?
こいつ、エネルギードレインしてんだから、人工呼吸なんか要らないだろう?」
「人工呼吸ではない」
「じゃあ、何を?」
「…」
私は黙ったままカズキのジーパンとトランクスを一緒に脱がせた。
「斗貴子先輩!?」
「ドレインしやすくしようと思ってな」
私はそう言って、カズキの物を取り出し、口に含んだ。
「………うわあああん───」
そんな言葉を残して足音が走り去っていった。
カズキの物を含んだまま少しの間、口を動かす。
いつも程の大きさや堅さにならないが、やむをえないだろう。
自分の下着を脱いでカズキに跨り、ゆっくりと腰を降ろした。
そして、カズキの物を自分の中に入れた。
「ん…あっ…目を覚ましてくれ、カズキ」
そう言って、横たわったままのカズキの上半身に自分の体を密着させた。
この時ばかりは、胸が小くて密着しやすい自分の体をうれしく思った。
密着している上半身と、つながっている下半身の内側から力が抜け、
手を握っていた時とは比較にならない激しさで疲労が溜まっていく。
今の目的はカズキを生き返らせることなので、腰を動かしているわけではない。
そもそも、腿のケガのせいで、まとも動けそうにない。
だから、性的な快感は無いに等しいが、
自分から失われた力がカズキの回復に使われると思うと、それが悦ばしく思えた。
しばらくそうしていると、疲労のためか意識が朦朧としてきた。
そんなわずかな意識の片隅に、近づいてくる誰かの足音が聞こえた。
「…先輩─」
涙声。そして、背中に拳くらいの大きさの何かが置かれ、足音が去っていった。
ドレインは続いているが、体はずいぶん楽になったように感じる。
そして、カズキの顔にじょじょに生気が戻ってきた。
「──…
う……」
いけない…疲労で意識が飛んだ。何秒?何分?
誰かが背中に置いた何かは今は近くに無いようだ。
そして、意識が飛ぶ前は目の前にあったカズキの顔も見えない。
「カズ─」
慌てて周りを見回す。
「大丈夫?」
こちらに背を向けたカズキが波打ち際に立っていた。
「死んだり生き返ったり、生き返ったり死んだり。
いつも世話を焼かせてゴメン」