母さんと、姉さんと、俺。1LDKの世界。
富めるときも、貧しきときも―
母さんの笑顔、姉さんの笑顔。この世界が正しいと、信じていた。
冷たい人々。恐ろしい化物。
外の世界で思った。俺は姉さんを守るために生まれて来たのだと。
なのにどうして、俺は姉さんにあんなことをしたんだ?
俺たちの年が十も過ぎると、二次成長が始まった。
この時期は男より女のほうが発育がよく…同世代の女子より、姉さんはそれが顕著だった。
姉さんに初潮が来たとき、当時LXEにいた大人の女性が色々と世話を焼いてくれた。
(信奉者だったその女性は後に何かのミスで「脱落」してしまった…)
俺はおろおろしているばかりで、姉さんに何もしてやれなかったのだが…いや、それはどうでもいい。
おもえばこのころからか…俺が姉さんを「異性」として見始めたのは。
中学にもなると、俺にとって煩わしい話も聞くようになった。
「なー早坂、お前の姉さんってイイよな〜」
「…?」
「なあ彼氏とか、いるのか?」
この調子だ。はっきりいって姉さんをそういう目で見る奴には無性に腹が立つ。
「あんな美人の姉さんと一緒に暮らしてて、お前、やばくならね?」
「おいおい安藤…キョーダイで犯罪だぞそれは。近親ソーカンじゃん」
「って佐藤、どこまで話飛んでんだよ!うわーここに変態がいまーす!」
キンシンソウカン。何だろう…それは。
この時はまだわかっていなかった。そしてその意味を―外の世界のタブーを知ったとき―
俺は母さんの「悪意」を知ることとなった。
なぜこんなことをしたのだろう。こんな…守るべき人を傷つけるようなことを。
「秋水クン?どうしたの、眠れない?」
ケッコン式ごっこ。俺が姉さんと共に生きるという想い。
すべては母さんの悪意によって捏造されたものだったのか?
俺は姉さんをベッドに押し倒していた。
「秋水クン!?」戸惑いに強ばる姉さんの顔。
「姉さんお願いだ…俺を受け入れてくれ…!」
もっと確かな…姉さんとのつながりが欲しかった。
いや…それすらも言い訳か?以前から俺はただ姉さんとそうなりたかった?
姉さんは抵抗すらしなかった。
「秋水くん…わたし…」
体はこれから起こる未知の出来事に震えている。
「怖がらないで…俺に全部任せて。」
その豊かな乳房。間近で見て、ドキッとなった。
「綺麗だよ…姉さん」俺はうっとりと、そう呟いた。
桜色に色づいた乳首に、俺は乳飲み子のように吸い付いた。
ちゅぷっ、ちゅぷっ…
「やっ…秋水クン…」
俺はすっかり興奮していた。その間にも豊かなバストを手で攻める。
そして手は、自然に下のほうにも…
ふっくらとしたお尻、太もも。感度のいいところを撫で上げる。
そして脚を持ち上げ、秘部をさらけ出させた。
姉さんは顔を強ばらせ、瞳を閉じた。恥ずかしさで真っ赤になっている。
当然だ、今まで姉弟でも見せたところのない箇所なのだから…
「力抜いて…挿れるよ。」
それはこの世界での禁忌。あるいは母さんが望んでいた結果?
何でもいい、俺は自分の意思で、姉さんと二人きりで生きていくのだ。
「やっ…痛い!痛い!」姉さんは悲鳴を上げ、涙を流した…
事が終わって。
「ごめん姉さん…痛くして。俺、勉強不足で…」
「こんなことをしたことに対しては、謝ってくれないのね」
その責めるでも非難するでもない瞳。
「…ゴメン、姉さん」
「いいの。私が秋水クンにしてあげられることって、こんなことくらいしか、ないし。」
姉さんは、俺を失いたくなかったから、拒めなかったのだ。
誰かに守られなければ生きていけない小さな花。だからといって誰にその花を汚す権利があるのか。
姉さんは俺を信じていたはずなのに。どうして俺は自ら姉さんを汚してしまった?
守っていかなくてはならなかったのに。どうして自分の欲望のために姉さんを汚してしまった?
(終)