寄宿舎の前で待っていると、斗貴子さんが出てきた。  
うん、斗貴子さんだ。斗貴子さんなんだけど…浴衣。わかってはいたけど、浴衣。  
 
「どーした?」  
「凄く似合う…それにキレイ…」  
まひろが小学生の時に来ていた浴衣だ。でも、同じ浴衣なのに新鮮。  
あの時のまひろは可愛かったけど、今の斗貴子さんは凄くキレイ。全然、違う。  
「からかうな!…行くぞ!」  
少し顔を赤くした斗貴子さんが歩き出し、その後にオレも続いた。  
 
下駄を履いた艶やかな素足と細い足首が裾から覗く。  
見えそうで見えない体の線をたどりながら、脚、腰、背中と視線を上げる。  
想像力が刺激され、普段の制服より色気を感じる。  
白いうなじもキレイだ。思わず見とれしまう。  
 
斗貴子さんが足を止めて振り返り、横目でこちらを見た。あわてて追いかける。  
追いついて、近くで見ると、髪が流れる方向がいつもと少し違う。  
それから、ちょっとだけ化粧しているようだ。薄っすらと紅も引いている。  
なんだか新鮮で、ドキッとしてしまう。  
出合った次の日、保健室で斗貴子さんの肩が当たった時を思い出した。  
斗貴子さんがそんなオレを不思議そうに見ている。  
 
「お二人さん、何やってるんだ?」  
「早く行こう?」  
追いついてきたまひろ達に促されて、オレたちは再び歩き出した。  
 
神社に着いて、まずは、岡倉と金魚掬いに臨む。  
成果を得たオレは、少し離れて待っていた斗貴子さんに、それを渡した。  
一匹も掬えなかった岡倉は2回目に挑戦中。他の連中がそれを応援している。  
斗貴子さんは、こういう場所が珍しいようで、最初はきょろきょろしていたが、  
小さな金魚達を見て、少し落ち着いたようだ。  
「2匹か…キミは夜店の達人じゃなかったのか?」  
オレをからかう余裕まである。  
「ゴメン…あ、サクランボ?」  
謝りながら、髪留めに気がついた。  
「さっき、まひろがくれたんだが…何か変か?」  
「似合ってるし…かわいいよ、斗貴子さん」  
ぱぁ〜っと赤くなる斗貴子さん。食べてしまいたい。2人きりならきっとそうする。  
でも、ここは祭の人込みの中。この場所に似合った替わりのモノを思いついた。  
「そうだ!リンゴ飴、食べよう!」  
リンゴ飴の看板が出ている近くの夜店に走り込んだ。しかし。  
「がっくり、1個しかなかった…どうぞ」  
ひとりで食べるより、斗貴子さんが食べるのを見ている方がいい。  
「キミはいいのか?」  
そう言われると、食べたくなる。  
「え〜と…じゃあ、ちょっとだけ」  
斗貴子さんに少しわけてもらいながら、いっしょに歩いた。  
 
少しして、斗貴子さんがわたあめ屋で立ち止まった。  
そして、じぃーっと、わたあめを見つめる。買うどうか迷っている?  
オレは迷わず買って、斗貴子さんの前に出した。  
「どうぞ」  
「さっきの飴が途中なのに、他のモノを買うのは…」  
「じゃあ、これはオレのってことで。でも、いっしょに食べよう?」  
オレの言葉を聞いて、リンゴ飴とわたあめをかわるがわる見つめる斗貴子さん。  
そして、オレの手にあるわたあめにばくつく。好きなのかな?子供みたいで可愛い。  
そのまま言葉にしたら、また赤くなった。もっと赤くしたくて、追い討ちをかけてみる。  
「やっぱり斗貴子さん浴衣凄く似合…モガ」  
オレの口を塞ぐように突き出されたリンゴ飴。  
「わかったから、もうそのくらいにしておきなさい!」  
 
気がつくと、まひろ達が近くにいない。でも、斗貴子さんはあまり気にしてないようだ。  
2人でリンゴ飴とわたあめを食べ終えた後、斗貴子さんがヤキソバを買った。  
「おじょーちゃん、カワイイからオマケしちゃうよ」  
夜店の人がそんなことを言って、たこ焼きを何個か入れてくれた。  
「ここはいい街だな。今もそうだが、これを変に言われたことがない」  
斗貴子さんが歩きながら、自分の顔のキズ跡に指を当てて言った。  
「ウン、それが普通だと思うよ」  
キズがあってもなくても斗貴子さんなんだから。たこ焼きをたべながら、そう思う。  
 
そんな買い食いをしながらしばらく歩くと、射的屋の前に集まっているまひろ達を見つけた。  
うまく当てられなようで、みんな熱くなっている。  
「私がやってみよう」  
斗貴子さんが、そう言って、夜店の人にお金を払い、銃を受け取った。  
そして、金魚をオレに預けながら、小声でつぶやく。  
「精密照準なら得意だ」  
…結局、斗貴子さんの弾は半数が当たった。夜店の人が顔を引きつらせている。  
受け取った景品はまひろ達と分けた。でも、斗貴子さんは不満顔。  
「生体電流で照準できれば、全数必中なんだが…」  
…武装錬金じゃないんだから。  
 
みんなと歩いていると、だんだん人が増えてきて、また、まひろ達とはぐれてしまった。  
「なんか、混んできたね?」  
「そうだな。はぐれないように手でもつなぐか?」  
「ウン」  
斗貴子さんの手を握る。戦闘や任務に関係なく手をつなぐのは初めてかも。少し、照れる。  
 
その後、イカ焼きやハッカパイプと買ったり、ヨーヨーを釣ったりして、時間を過ごす。  
気がつくと、花火大会が始まっていた。手をつないだまま足を止め、そちらを向いた。  
また一緒にくる約束をした後、しばらく黙って、花火を見続けた。  
次々と、光が同心円に広がったり、柳の枝のように落ちていったり。  
ヒュ〜。  
不意にオレの手を握る力が強くなった。  
「カズキ、キミと」ド〜ン。  
かき消された言葉。でも、きっと、想いは同じ。  
「斗貴子さん、オレも」ヒュ〜〜バ〜ン。  
たぶん、オレの言葉も途中までしか聞こえていない。  
それでも、斗貴子さんは嬉しそうに頷いてくれた。  
 
花火が終わった後、まひろ達と合流しての、帰り道。  
「あっ!」  
突然、斗貴子さんが転びかけた。  
身軽で体術に優れる斗貴子さんには珍しい。慌てて、手を貸して起こす。  
「鼻緒、切れてるよ?」  
駆け寄ってきたまひろが斗貴子さんの下駄を見てそう言った。  
オレは黙って斗貴子さんを背負った。  
「すまない…」  
「これじゃ、仕方ないよ」  
 
背中いっぱいに斗貴子さんを感じる。  
前に、オンブした時は、それどころじゃなかったからな。  
「久し振りのオンブだね」  
「そうだな」  
ささやくようにしゃべる斗貴子さんの息と香りを耳元に感じる。  
ずーっと、このままいたい。そう思いながら、歩き続ける。  
 
ちょっとしたやり取りの後、斗貴子さんにべったりとくっつかれた。  
体重や、体温を感じる。浴衣越しに動悸が伝わり、胸の形までわかる気がする。  
まひろ達はそんなオレ達をからかった後、なんだか自分たちだけで盛り上がってしまい、  
どんどんと歩いていった。距離もかなり離れている。  
「!」  
いきなり斗貴子さんが息を呑み、持っていた金魚の袋を前に出した。  
オレは袋のヒモを口で受け取り、それを見た。袋の中で2匹の金魚がキスしていた。  
オレは、斗貴子さんに袋を返して、顔を後に回した。  
斗貴子さんはしばらく迷った後、唇を重ねてくれた。  
 
うれしかった。  
 
寄宿舎に戻った後、金魚の袋を机のライトに吊った。  
そして、いつものようにオレのベッドに座った斗貴子さんに、  
いつものようにミネラルウォーターのペッドボトルを渡す。  
斗貴子さんが赤くなっているので、視線を追うと、金魚達がまたキスしていた。  
オレも負けじと、斗貴子さんの横に座り、唇を重ねる。今度は迷わず応えてくれる斗貴子さん。  
 
互いを貪るように唇を吸いあう。  
「ぅ…ん…ぁん─」  
キスをしているだけなのに、斗貴子さんから色っぽい声が漏れる。  
そんな長い長いキスの後、斗貴子さんがとろーんとした目で自身の体をベッドに横たえた。  
「…いいぞ…カズキ」  
着崩れしているようで、浴衣がはだけ、白い太股が見えている。  
普段のミニスカートで見慣れているのに、なんだかとてもまぶしい。  
オレはきっかけをくれた金魚達に感謝しながら、斗貴子さんに覆い被さった。  
 
さっきよりも長いキスをした後、斗貴子さんをベッドの真ん中に移した。  
足の指先を舐め上げると、甘いあえぎ声が聞こえてきた。  
その声に感じながら、更に舌を足首、脛、膝、股へと進め、キレイな脚を堪能していく。  
太股の付け根まで達した後、下着に手を掛けて足首まで下ろした。  
斗貴子さんが片足を抜いてくれたので、オレは脚を広げて、股間の秘肉を味わった。  
 
しばらくそうした後、今度は、顔を上半身に動かし、唇を吸う。  
そして、片手の指で膣肉の感触を楽しみながら、残った手を胸元に入れて揉みしだいた。  
オンブの時に感じた形のそのままだ。甘かった斗貴子さんの声が激しくなっていく。  
 
気持ちが昂ぶり、自分の逸物がはちきれそうになった。  
そんな異変に気づいた斗貴子さんが、ズボンを脱がして取り出してくれた。  
ごくり─取り出したモノを見た斗貴子さんが息を飲む。  
「…続けてもいい?」  
斗貴子さんは深呼吸した後、何かを覚悟したように答えた。  
「…ああ、いいぞ」  
 
オレは斗貴子さんの脚を大きく広げ、蜜が溢れる秘口に自分の先をあてがった。  
狭くきつい膣道にゆっくり入っていくと、壁にぶち当たった。  
痛そうな顔で後ずさる斗貴子さん。その拍子に胸がはだけた。  
 
なめらかに隆起した小振りな山の頂上にイチゴ色の突起が露になる。  
斗貴子さんの苦痛を和らげたくて、そのイチゴを口に含んで、舌で転がした。  
上目で見ると、小さく口を開けた斗貴子さんが首をのけぞらせている。  
そして、そのまま甘い息でささやいた。  
「…カズキ、続けるんだ…」  
言われた通りに、両方を交互にしゃぶり続ける。  
「そうじゃない!」  
あ、こっちか。オレは体を起こし、先端だけを入れたままだった肉槍を前に進めた。  
何かを突破する感覚。一気に腰が進む。そして、先端が温かい柔穴の奥に当たった。  
一瞬、顔に苦痛を浮かべ、息を荒くする斗貴子さん。その息に同期して脈動する膣壁が四方からオレを締め付ける。  
少し動くだけで達してしまいそうだ。もったいないので、動かず攻めれる場所を探す。  
 
まずは、浴衣の袖を腕から抜いて、腰まで降ろす。  
「斗貴子さんのおヘソ…」  
「ヘソに注目するな!」  
かまわず、おヘソを見つめて考える。つながったまま攻めるのは難しそう。  
「だから、ヘソばかり見るn…ンム」  
次は、キスしてみることにする。  
両手を背中に回して斗貴子さんを抱きしめ、何か言いかけた唇を塞ぎ、舌を絡め合う。  
唇を離すと2人分の唾液が糸を引いた。その糸を舌で拾い集めてまたキスを繰り返す。  
「ん…んむ…クチュ…ピチュ…ん…ぁん…」  
次は、右の耳朶を噛んだ。そして、耳の裏を舐め回す。間を空けず反対の耳朶と耳裏を攻めた。  
手はお尻に移し、感触の良い肉感を楽しむ。  
斗貴子さんが攻められている耳を隠すように顔を横に倒したので、今度は横から首筋を舐めた。  
 
だんだんと、斗貴子さんの顔が上気していき、横を向いたままで途切れ途切れに口を開いた。  
「…カズキ…こっちも…」  
そう言って、腰を動かす。  
「斗貴子さん、そっちは…んああ!」  
絡みついた膣襞が肉塔の周りをヌルヌルザラザラと蠢く。イキそうになるのをなんとかこらえた。  
 
「…気持ち…いいぞ…いっしょに…」  
腰を動かし続ける斗貴子さんが顔を上に向け、真っ直ぐオレを見た。  
斗貴子さんもイキそうなんだ。いっしょにイキたい。  
オレも腰を動かし始めた。求めあう気持ちが二人の動きをシンクロさせる。  
「…オレも…斗貴子さんの中…すごく気持ち…いい…」  
粘膜が激しく擦れ合い、収縮する膣膜が大量の悦液を出しながら別の液体を欲しがる。  
オレの肉砲がそれに応えた。  
「んぁ…ぁぁ…ぁっ」  
大量の命液が断続的に斗貴子さんに注ぎ込まれる。ドクッドクッ─そんな音が聞こえそう。  
「っっっ…っっっ」  
同時に声にならない声を出しながら、背中を仰け反らせる斗貴子さん。  
最後の一滴まで搾り取るように、肉壺がビクビクと動き続けた。  
 
しばらくつながったままでキスを繰り返し、余韻を味わった後、まだ少し息が荒い斗貴子さんが言った。  
「…ところで、キミは浴衣の着付けはできるか?」  
「…できないけど?」  
「そうか…部屋に戻る方法を考えないとな」  
帯だけが残る浴衣姿の斗貴子さんが、そう言って苦笑した。  
 
(おわり)  
 

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