困った。  
本当に困った。  
防人は、彼にしては珍しく、そのその大きな体をぐったりと椅子に預けていた。  
ベッド横たわるのは津村斗貴子。  
その華奢な体を切り裂いた傷は殆ど治りかけていたが、何より彼女のメンタルが心配である。  
それはそれはショックだったろう。  
彼女の努力は何よりも教育を受け持ってきた自分が知っていた。  
彼女は努力だけではない、素質もあるのだ。  
たぶん、おそらくは…いや、あるはずだ。  
それこそ死ぬほどの訓練を繰り返し、やっと戦士の資格を得たというのにこの様では…笑えない。  
自分も彼女も悪くない。  
こんなことは本当に珍しいのだ。  
「核金の拒絶反応…か」  
ごくごく稀に、女性にだけ見られる核金の拒絶反応は、所有者の力を超えたパワーで自身の体を傷つ  
けてしまう現象だ。  
コントロール不能であるから、そのままではその人物は核金を使うこともままならない。  
こうやって斗貴子が生きていること自体奇跡に近いのだ。  
それでも彼女は納得しないだろう。  
彼女には素質がある。  
だから今ここに五体満足で居られるのだろう。  
拒絶反応が起こりうる女性戦士の共通点は、処女であること。  
男とまぐわったことのない女は、体内から核金にエネルギーを送ることが上手くいかないことがある。  
それで力が暴走してしまうのだ。  
原因はわからない。  
だがこれの解決策は単純である。  
しかし…  
「…戦士(仮)斗貴子…お前に恋人が居るとは考え辛いぞ」  
ぼそりと防人が呟く。  
 
生娘が駄目ならば、女になってしまえばいいのだ。  
男に抱かれれば全ては解決する。  
だが彼女の場合、生来の性格が原因なのか、どうも男子とどうのというのが想像しにくい。  
折角かわいらしい顔をしているのだから、もったいないとも思うのだが、そんなことを言えば思い切り眉を顰められるだろう。  
それにここ暫くの特訓で、そんなヒマも無かったはずだ。  
「戦士長」  
「お」  
声をかけられて、思考の海から舞い戻った防人はベッドの上の斗貴子を見た。  
「気がついたか。傷はまだ痛むか?」  
「いえ」  
斗貴子の口調ははっきりしていた。  
「何か食べたいものはあるか?良くなった祝いだ。俺が何かブラボーなものを買ってきてやろう」  
「戦士長」  
女の子は甘いものが好きだろ?なんだ、プリンとかプリンとか。と続けようとした声は、斗貴子によ  
って遮られる。  
その声はいつになく冷え切っていた。  
「今回の私の失態は…戦士見習いとして失格でしょうか」  
自分を追い詰めるような口調に、防人は閉口した。  
結果だけ見れば、今回の斗貴子の暴走で怪我をした人間も幾人か居たし、機材の破損もそこそこ激しかったことには間違い無い。  
しかしこれは仕方無いのだ。  
このケースは極々稀に起こることであり、前例も僅かで、誰も考えていなかったのだから、むしろ彼  
女は被害者という見方の方が懸命である。  
それに彼女は暴走状態であっても、周囲の被害を最小限に食い止めた。  
「断じて否、だ。戦士斗貴子。お前はよくやった」  
俯いた頭に手をのせる。  
ぱさりとした髪の毛が痛々しかった。  
「戦士なんて、言わないで下さい。…私は核金を扱えなかった…情けなくて…」  
細い肩が震える。  
強気な少女は、厳しい特訓の中でも涙を一度も見せたことがなかった。  
今でも必死に耐えているのだろう。  
 
「斗貴子」  
防人は椅子から立ち上がり、彼女の手を取った。  
しゃがんでそのまま顔を覗き込む。  
「これは起こるべくして起こったことだ。お前に才能が無い訳ではない。むしろお前は優秀な戦士だ」  
斗貴子の顔色は、病み上がりにしては悪くない。  
それでも表情は暗かった。  
「じゃあなぜ…」  
縋るような目を見て、防人は苦笑する。  
彼女のこの真っ直ぐな性質はとても美しいが、この先彼女を苦しめることになるだろう。  
「斗貴子、心して聞け」  
元々、回りくどいのは得意ではない。  
防人は大きく息を吸い、暴走の原因とその解決法を一気に喋った。  
このことを伝えることは、彼女の教育を受け持った自分の仕事だ。  
全部喋り終えてから、斗貴子を見る。  
案の定、ぽかんと間抜けな表情を晒していた。  
とにかく防人は、問題の解決を提案しなければならない。  
「お前に恋人は居るか?」  
話の流れとしては解るが、これではいたいけな少女にセクハラする親父にしか見えない。  
斗貴子は渋い顔をした。これはあからさまな否定だろう。  
「じゃあ、好きな人は」  
斗貴子の目が泳ぐ。が、直に戻って眉を顰めた。  
おそらく頭の中で該当人物を検索し、結果が芳しくなかったのだろう。  
「いえ、残念ですが…」  
どんよりとした空気があたりに流れる。  
「そうか…」  
年頃なんだから、もっと恋とかしろ!と言おうとして、止めた。  
この空気には幾らなんでもそぐわないと思った。  
「お前が、なんだ、その、お前に好きな人が出来るまで待つことは、残念ながらでき」  
「戦士長が!」  
斗貴子が顔を上げる。  
白い病室で、彼女の黒髪は映えた。  
真っ直ぐな動きで彼女の輪郭をかたどった髪が、すとんと落ち着くまでが、まるでスローモーションにかかったかのように、防人の目に焼き付いた。  
 
「戦士長、が」  
斗貴子の目が防人を捕らえる。  
二度目の言葉は酷く歯切れが悪かった。  
「なんだ?」  
防人は出来るだけ優しく言葉を促す。  
自分がどうこうしてやれる問題では無いと思ったから、できるだけ彼女の力になってやりたかった。  
「戦士長が、嫌でなければ、その」  
斗貴子が珍しく言葉を選んでいる。  
防人は人の心に聡いほうではない。  
だから、反応が遅れた。  
彼女の意図することがつかめなかった。  
「!」  
斗貴子の華奢な腕が、防人の首に回される。  
耳元を彼女の髪が擽った。  
「わ、わた、私は、早く戦士として戦いたいんです!」  
搾り出すようなその声は、叫びに似ている。  
斗貴子の彼女らしいその台詞に、防人は彼女の頭を撫でた。  
「ブラボーだ、斗貴子。戦士に必要なのはその心意気だ」  
防人に他意は無い。  
全く無い。  
彼は子供好きである。だから斗貴子のことも大事に育てた。  
そして女性は胸が大きくて尻も大きくて、脂の乗った20代以降が守備範囲だった。  
勿論、斗貴子のことは否応なしに子供として見ていたから、彼女の言葉が一瞬理解出来なかったのだ。  
 
 
「戦士長!私を、お、お、女にしてください!」  
 
 
「…は?」  
一瞬間をおいて、防人の口から出たのは、彼らしく無い間抜けな音だった。  
優しく頭を撫でていた手は固まってしまっている。  
斗貴子は防人の首筋にぎこちなく頭を預けたまま、いっきにまくし立てた。  
「わ、私の周りにはあまり男性が居ません!こんなことをあなたに頼むのは失礼かもしれませんがッ、でも、あの、私は戦士長しか…」  
最後の方は哀れなほど尻すぼみになっていく。  
「…だから…」  
ちらり、と彼女の横顔を見ると耳まで赤い。  
防人はエヘンと咽喉を鳴らし、彼女を引き離す。  
(…つまり、アレか?俺が彼女を抱くことになるのか?)  
女に恥をかかせてはいけない…のだが、どうも気乗りがしない。  
斗貴子の目は縋るように自分を見ている。  
どうにも居心地が悪くなって、目線を逸らした。  
どう考えても自分が斗貴子を抱いている光景が想像できない。  
しかし…この場合は…致し方ないだろう。  
息を吸って、吐く。  
柄にも無く緊張していた。  
「斗貴子…」  
彼女の肩に手をかけたまま、じっと目を見つめる。  
彼女は愛らしい。  
健気さと、不屈の精神。それに、たまに見せる歳相応のあどけなさがとても可愛いと思う。  
しかし、その可愛いは年下の者に対するそれであり、彼女に劣情を感じたりといったことは全く無いのだ。  
「お前に後悔させたくない。俺で本当にいいのか?」  
本心だった。  
時間が無い、待てない、と言ったのは自分だ。  
それは事実であるが、彼女にどれだけのショックを与えたろう。  
胸が痛む。  
斗貴子はゆっくりと目を瞑り、そして開いた。  
「あなたしか居ません。キャプテン・ブラボー」  
斗貴子の目は、もう揺れていない。  
眩しくなるほど彼女らしい、真っ直ぐで鋭利な視線だった。  
 
防人はその視線に応える義務があった。  
男として、人間として、なにより彼女の教育者として。  
「わかった」  
短く答えると、防人は立ち上がる。  
自分を見つめる彼女の細い体を抱き締めた。  
処女を抱くのは良く考えれば初めてかもしれない。  
惚れた女を抱く時に、そんなこと一々考えていた訳ではないが。  
斗貴子は同じ年代の少女に比べ、女らしい凹凸が目立たない体であり、しっかりとした、それでも薄  
い筋肉が華奢な骨を守るようについている。  
しかしその不安定な柔らかさは紛れも無い少女のそれであり、防人は眉を寄せた。  
この少女を抱けば、彼女は戦士として新たな傷を体に刻む。  
自分はフェミニストでは無い。  
才能とやる気と元気と根気のある者は、男女関係なく戦士になるべきだと思う。  
錬金の戦士は、腕力が全てというわけではないから、男女の区別が余り無いのだ。  
それでも、今自分の腕の中に居る少女は華奢すぎた。  
「いいか、斗貴子」  
逃げてはいけない。  
この少女の痛い程健気な決意から、自分が逃げられる訳が無かった。  
「はい、キャプテン・ブラボー」  
耳元で響く声は、微かに震えている。  
「出来るだけ嫌な思いはさせたくない。嫌だったら途中で言いなさい。わかったか?」  
「…わかりました」  
斗貴子の肩が大きく呼吸をする。  
「それでも、私は痛みなら耐えられます」  
はっきりとした口調に、防人は感嘆した。彼女は今からなされる行為を、年頃の娘ならば少しは持ってあるであろう夢すら抱かずに受け入れよ  
うとしているのだ。  
「…痛くも、したくないのだがなぁ」  
苦笑する防人の顔を、斗貴子が覗き込んだ。  
「でも…」  
 
何か言おうとする唇を塞いでやろうとして、一瞬戸惑い、頬に口付けた。  
「!」  
ぴくりと反応する背中を優しく撫でながら、頬や鼻や耳や首筋に唇を落とした。  
がちがちに緊張している体が痛々しい。  
傷はもう殆ど治りかけていたが、それでも負担が少ないようにしてやりたかった。  
病院の安っぽいベットが二人ぶんの体重を支える。  
まだ昼間で、明るい。  
防人は斗貴子の頭を撫でてから、体を離した。  
「え…?」  
戸惑った声を出した斗貴子に微笑みかけ、カーテンを閉める。  
黄色のカーテンが閉められたせいで、部屋全体が薄い黄色になった。  
「これ以上は暗くならないみたいだ。すまない」  
「あ…ブラインドカーテンがありますけど…」  
「おお」  
斗貴子にはこの瞬間、この計り知れない強さを持ったどこか抜けている男が、とても身近に感じられ  
ていた。  
「よく見てなかったな…よし、これで大丈夫だ」  
部屋が薄暗くなる。  
ブラインドの端から漏れる光が、ふたりの輪郭を優しくかたどっていた。  
「よし、仕切りなおしだな」  
防人はそう言い、上着を脱ぐ。  
斗貴子が慌てて下を向いた。  
「斗貴子、別に見ろとは言わないが、この程度は恥ずかしがっていては最後まで終わらないぞ」  
斗貴子が困ったようにこちらを見る。  
防人はベットの上に戻り、彼女がかぶっていた布団を優しく取り払った。  
「えぇ…と」  
斗貴子は自分も脱ぐべきかどうか思案している様子だ。  
「ん?ああ、それくらい俺がやってやる」  
できるだけ、無理の無い形で進めたかったから、無理強いはしない。  
 
だから、斗貴子が肩を竦めるのを見て、防人は病院着の裾から手を離した。  
「自分で脱いだ方がいいか?」  
防人に見つめられ、斗貴子が居心地悪そうに首を縦に振った。  
「よし。じゃあ俺は後ろを向いておいてやるから、脱いだら声をかけなさい」  
そう言って、ベットの上に座ったまま、くるりと後ろを向く。  
無機質な病院の壁と、何も置かれていない机に、少し胸が痛んだ。  
(彼女には見舞いに来てくれる友人すら居ないのか…)  
本来ならば、一番楽しい時期を謳歌しているはずだった彼女。  
自分で選んだ道であったにしろ、余りに過酷だ。  
一瞬の間の後に、するすると絹擦れの音が聞こえる。  
どんな想いで、彼女は自分を受け入れようとしているのだろう。  
「…脱ぎました」  
消え入りそうな声が、はっきりと聞こえた。  
何も言わず振り向く。  
全裸の少女が、頬を染めてベットの上に座っていた。  
「ブラボー。綺麗だ。斗貴子」  
素直に感想を口にする。  
普通、下着くらいは男に脱がさせるものだが、彼女はそのようなことを望んでは居なかった。  
まったくの全裸である彼女の薄い体は、それでも完全に少女である。  
ささやかなふたつの膨らみに、細い腰と、両手で隠してある陰部や、すらりと長い脚が眩しいほどだった。  
白い肌にはまだ癒えない傷が残っているが、それでも彼女は美しかった。  
薄暗い中でも、その青い肉体がほのかに光っている。  
どうしていいかわからないといった様子の斗貴子を、改めて優しく押し倒した。  
ぎゅ、と目を瞑る斗貴子の頬を撫で、もう一度顔に唇を落としていく。  
そのたびに睫がぴくぴくと動くのがわかって、その健気さに防人の胸が高鳴った。  
両手で体の側面を摩る。  
唇を奪うのには抵抗があったから、そのまま薄い乳房に口付けた。  
 
「んっ…」  
斗貴子が顔を顰める雰囲気が伝わる。  
それでもふっくらとした彼女の乳房の上に存在する小さな乳首は、ゆるやかなメスの匂いを放っていた。  
出来るだけ斗貴子がびっくりしないように行為を行っていきたいと思っている防人であったが、最近てんでご無沙汰だったことを思い出し  
 
て、少し不安になった。  
(上手くやれるといいが…)  
おかしなことをして、彼女に変なトラウマが残ったらそれは自分の責任になるのだ。  
デリケートな問題は、実際には苦手な防人であったが、この場合、ガラス細工を扱うように慎重にコトを進めるべきであることは重々承知  
 
していた。  
自分の無骨な手が、柔らかい少女の体を撫でることにも抵抗がある。  
緊張を隠しきれない斗貴子の体をどうにか解そうとして、何度も何度も体を撫でる。  
それは性的な快感を高めるというよりも、むしろ彼女を愛しいと思う気持ちの表れでもあった。  
そう。愛しい。  
彼女のその健気な決意が愛しかった。  
ゆっくりと、何事も性急にコトを進める彼にしては本当にゆっくりと、彼女の体を愛撫した。  
「う…、あ」  
斗貴子が呻く。  
少し不安になって顔を覗き込むと、真っ赤な顔を両手で顔を覆っていた。  
「大丈夫か?」  
「大丈夫です!続けて下さい!」  
防人がその手を除けようとすると、斗貴子が鋭く叫ぶ。  
その辺りが彼女らしいといえばらしいのだが、どうしても苦笑を禁じえない。  
「斗貴子、力を抜け。何も考えるな」  
耳元で囁き、そのまま耳朶を口に含んだ。  
「あ…」  
少なからず色を含んだ吐息に、少しだけ安心する。  
 
彼女は耳が弱いらしい。  
「いいか、お前は綺麗だ。斗貴子。今だけは戦士でもなんでもない。恥ずかしがるな。いいか?これは命令だ」  
囁くように、優しく吹き込まれる言葉に、斗貴子がゆっくりと息を吐く。  
「…は…ぃ」  
返事を確認し、防人は改めて彼女の体を愛撫し始める。  
今度は出来るだけ快楽を引き出すように。  
薄い胸は彼の手には小さすぎるほどだったが、それでも少女らしい柔らかさがある。  
「く…う…ん」  
淡い桃色の乳首を唇で挟むと、斗貴子が甘えた声を出した。  
彼女のおずおずとした様子は次第に払拭されては居たが、遠慮がちな声であった。  
ぴっちりと合わさった脚を撫でるようにして、指を恥丘に添える。  
少しだけふわりとした感触が指を愉しませた。  
「あ、戦士長…!」  
膝を割って、そこに体を滑り込ませた防人に、斗貴子が慌てた声を出す。  
「ん?なんだ?」  
防人は手を止めず、その秘部にそっと手を這わせた。  
「あう…っ」  
薄暗い中で密かに息づくそれは、しっとりと湿っていた。  
 
それに防人は少しだけ安堵する。  
少しずつ考えることを放棄し始めていた斗貴子だったが、その部分に防人が顔を近づけようとした瞬間、細い足をばたつかせた。  
「戦士長!?な、何を!」  
体を起こそうとして、防人に制止される。  
「じっとしておけ」  
「で、でも…」  
「命令だ。聞こえなかったか?」  
細い足首を掴み、それでも優しく脚を開かせる。  
「う…うぅ」  
命令、と言われれば、斗貴子はもう何も言えなかった。  
真っ赤になってるであろう顔を両手で覆って、羞恥と必死に戦っている。  
年頃の少女らしいそこは、薄い茂みに覆われて、恥ずかしげにそこに存在していた。  
そっと指で押し開くと、桃色のそこから溢れる甘く濡れた香りが防人を刺激した。  
「舐めるぞ」  
「え?!…あッ!!」  
有無を言わさず、防人はそこに口付けた。  
「いッ!せ、戦士長ッ!」  
斗貴子の両足が暴れる。  
防人は太股を優しく摩りながら、少女の女陰全体を舌で味わった。  
たっぷりと唾液を含ませながらゆっくりとさねの包皮を剥き、唇で挟んでやる。  
じたばたと暴れていた脚が急にぴん、と伸ばされて体全体が緊張した。  
 
ひっ、と息を呑む音がして、舌と唇でそこを愛撫するたびにびくびくと体が痙攣する。  
「あっ、あっ、あっ…」  
どんどんと彼女の息が乱れてくるのに合わさって、そこは熱とぬめり気を帯びてくる。  
防人は己の雄が思った以上に反応しているのに気がつき、少し慌てた。  
俺が落ち着いてなくてどうする。  
久しぶりの視覚的な刺激に張り切る息子を叱咤しながら、防人は愛撫を続けた。  
べちゃべちゃに濡れているそこは、彼の鼻の辺りまでを湿らせている。  
細い媚声が耳を擽り、それに合わせるようにして、彼の指は斗貴子の細い細い未開の膣内へそっと挿入された。  
「ぐ…ぅ」  
快楽の淵を漂っていた斗貴子が、異物の挿入に顔をゆがめる。  
防人の愛撫で入り口はその強固さを緩めてはいたが、それでも指一本で彼女に苦痛を与えているのだ。  
「辛いか?」  
指をゆっくりと抜き挿しし、防人が尋ねる。  
「い…いえ、平気です。痛みならば、耐え、られま…すッ」  
斗貴子の声は少し上ずっていた。  
自分の手で彼女に辛い思いをさせるのは本当に心が痛む。  
それでもゆっくりと指を抜き差しし、びしょびしょに濡れた鼻を拭ってから片方の指でクリトリスを優しく摩ってやると、斗貴子は再び悶え始めた。  
「あ…はん…ッん!あ…!」  
小さな悲鳴を何度も上げ、斗貴子は健気に体を震わせる。  
指の異物感が快楽に変わる頃に、防人は斗貴子の体を抱き上げた。  
「ん…あ…」  
顔を真っ赤にした彼女がおずおずと防人を見上げる。  
「すまない、斗貴子。俺もそろそろ辛い」  
苦笑する防人の言葉の意味を斗貴子が解するのに一瞬の間があった。  
「あ…」  
彼のズボンの前方部分は固く張り出していて、今にもはじけそうになっていたのだ。  
斗貴子がどうしていいかわからないといった様子で眉を顰める。  
防人は少しだけ体を動かし、斗貴子の小さな体を自分の膝の上に向かい合わせに座らせてしまった。  
 

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