もう十二時半かぁ。そろそろ、いいかな…?  
 布団から出て、そっと戸を開けて、ゆっくり音を立てないように廊下を歩く。  
 いつまでたっても、この瞬間はドキドキするなぁ。それでも何だか顔はニヤけてきちゃう。うふふっ。  
『2‐B 武藤』の札がかかったお部屋の前で立ち止まる。  
 周りを見回したけど誰もいない。こんなとこ見られたら大変だもん。  
「……ふぅ」  
 一度、大きく深呼吸をする。  
 それから、いつも通りノックはせずに、静かに戸を開ける。  
 お部屋の中は真っ暗。  
 でも、いつも嗅ぎ慣れたいい匂いがする。お兄ちゃんの匂い……。  
「……お兄ちゃん、起きてる?」  
 小声で呼びかけると、ベッドの方から優しい声が聞こえてきた。  
「起きてるよ……おいで、まひろ」  
「うん♪」  
 わたしは手探りでベッドに近づいて、お兄ちゃんのいるお布団の中に飛び込む。  
 わたしの二番目に幸せな瞬間。え? じゃあ一番はいつかって?  
 それは……。  
「……まひろ」  
 お兄ちゃんがギュッと抱き締めてくれる。  
「……お兄ちゃん」  
 わたしも負けずにお兄ちゃんを抱き締める。  
 お兄ちゃんはわたしを抱き締めたまま、そっとキスしてくれる。  
 体はきつく抱き締められてるけど、唇には優しくキスしてくれる。  
 これが……わたしの一番幸せな瞬間。このまま世界が終わってもいいくらい……。  
 しばらくキスした後、唇を離して見つめ合う。  
 お兄ちゃんはいつも笑顔でわたしの髪を撫でてくれる。  
 
「……お兄ちゃん、大好き。愛してる……」  
「オレも、まひろのことが大好きだよ」  
 そう言うと、お兄ちゃんはおでこやほっぺや首筋にいっぱいキスしてくれる。  
「……やぁん」  
 ちょっとくすぐったいけど、お兄ちゃんのキスは大好き。  
「ん〜、わたしもするぅ……」  
 でも、いざとなると何だか恥ずかしい……。お兄ちゃんの唇にキスしただけで、あとは何もできなくなっちゃう。  
 だって、恥ずかしいんだもん……。  
 お兄ちゃんはそんなわたしを見て、おかしそうに笑ってる。  
「むぅ〜」  
 わたしがふくれていると、お兄ちゃんはわたしの頭やほっぺを撫でてくれた。えへへ、何か幸せ。  
 でも……。  
「……ねえ、お兄ちゃん」  
「ん? 何?」  
「あのね、実家にいた頃みたいに毎日一緒に寝たり、一緒にお風呂入ったりできればいいなぁ、なんて……思ったりして……」  
 お兄ちゃんは笑ってるけど、少し困った顔になっちゃった。  
 ……わかってるんだ。わたし達は寄宿舎生活だし、お兄ちゃんには……斗貴子さんがいるし…。  
「……ごめんね、ワガママ言っちゃった…」  
 お兄ちゃんの胸に顔をくっつけたまま、何も言えなくなっちゃう。  
「……オレの方こそごめんな。たまにしかこうしてやれなくて。でも、いつもまひろのことを考えてるから……」  
 そう言うと、お兄ちゃんはまたキスしてくれる。  
「……んむぁ…あふ…」  
 お兄ちゃんの舌がわたしのお口の中に入ってくる。すごく情熱的なキス。気持ち良くなって、なんだかボーッとしちゃう……。  
 
 ゆっくりと、でも激しく、お兄ちゃんの舌がお口の中で動いてる。  
 少し苦しくなって、息が荒くなってきちゃう。お兄ちゃんに聞かれるのがすごく恥ずかしいよぉ……。  
 それなのに体が熱くなって、恥ずかしいのか、Hな気分になってるのかよく分かんなくなっちゃう。  
 あっ……、お兄ちゃんがわたしのパジャマのボタン外してる。……ダメ…ダメだよ…。  
「……んん…」  
 お兄ちゃんの手がパジャマの中に入ってきちゃった。  
 わたしの胸を優しく触ってくれてる。  
「あん…! ダ、ダメ……」  
 すごく、気持ちいい。我慢できない……。もっとして欲しい。  
 でも……今日は、ダメなの…。  
「あぁ……お、お兄ちゃん、待って……」  
「……?」  
 お兄ちゃんが心配そうにわたしの顔を覗き込む。  
「どした? 今日はイヤ? それとも、体調悪い?」  
「……そうじゃないの。そうじゃないんだけど、んと…その……今日は……ダメ…」  
 お兄ちゃんは不思議そうな顔をしながら、首をかしげてる。  
 もぉ、鈍感なんだからぁ。これ以上、言わせないでよぉ……。  
 か、顔が熱い…。  
「だからぁ……その…えと……なんてゆーか…アレが、ソレで…」  
「……あ。そ、そっか…! ごめんな、まひろ…」  
 お兄ちゃんは顔を真っ赤にしながら、わたしのパジャマのボタンをとめていく。  
 ほんの少し残念そうな顔をしてるように見えるのは、わたしの思い過ごしなのかな……。  
 なんだか、すごく申し訳無い気分……。  
 
 ジッと見てると、やっぱりお兄ちゃんは残念そうな顔をしてるような気がする。  
 そんな気がしてならない。  
 なんか、どんどん嫌な気分になってくる。わたしが悪いのに……。  
 これ以上ここにいたら泣きたくなっちゃうし……お兄ちゃんに迷惑かけちゃう…。  
「……ごめんね、こんななのに来ちゃって………………わたし、帰るね…」  
 お布団から出ようとしたわたしの手を、お兄ちゃんが痛いくらい強く掴んだ。  
「ま、待てよ、まひろ!」  
「何…?」  
 お兄ちゃん、すごく真剣な顔してる。少し恐いくらい……。  
「別にオレ、それだけがしたい訳じゃないんだから…。まひろと一緒にいるだけでもいいんだよ。まひろが側にいてくれれば、十分幸せだよ。だから、そんなこと言うなよ…」  
「……お兄ちゃん」  
「今日は朝まで一緒に寝よう…? もし見られたって斗貴子さんも岡倉達も、オレ達兄妹のことだからって笑って済ませるよ、きっと」  
 お兄ちゃんはもう笑ってる。  
 わたしも、涙がこぼれ出さないように眼をゴシゴシ擦って、精一杯笑う。  
 もう…。お兄ちゃんはわたしの方が困っちゃうくらい、素敵なお兄ちゃんなんだから……。  
 わたしはまたお布団の中に飛び込んで、お兄ちゃんに抱きついた。  
「あ、でも、ちーちんとさーちゃんには怒られちゃうかもよ。『高校生にもなって』って」  
 でも、お兄ちゃんはわたしを抱き寄せて笑ってる。  
「気にしない、気にしない」  
 
 ……ん〜、そういえば。  
 前にさーちゃんから聞いたことがある。男の人は、女の人と違ってあっちの方は大変なんだって。一度その気になると、なかなか治まらないって。  
 今のお兄ちゃんもそうなのかな? だとしたら、やっぱり申し訳無いし…。  
 どうしよう……?。  
 ああは言ってたけど、我慢してるんだったらかわいそうだし…。う〜ん。でも、わたしの方からしたことないし。第一、すっっっごく恥ずかしいし……。  
 でも、でも…………。  
 よし! 決めた! お兄ちゃんに喜んでもらえるなら、恥ずかしくても大丈夫!  
 頑張るんだから!  
 ぜぇ〜〜〜ったい、頑張っちゃうんだから!  
「そりゃっ! ……よいしょ、よいしょ」  
「わわわわわっ! ま、まひろっ、何するんだよっ!?」  
 お布団の中に潜り込んで、お兄ちゃんの両脚の間に入る。お兄ちゃんはびっくりしてるみたいだけど…。  
「お兄ちゃん、腰浮かせて。ズボンを脱がせられないよぉ」  
「だ、だからオレはいいって言ったろ!? やめろって、まひろ!」  
「お兄ちゃんが良くても、わたしが良くないの! いいからぁ!」  
 お兄ちゃんは抵抗してるけど、無理矢理ズボンを下ろす。  
 ムギュ。  
 ん……? 暗くて見えないけど、何かがわたしのほっぺを押してる…。  
 こ、これって……。  
「ま、まひろ……」  
 こ、これって……お兄ちゃんのおちんちん…だよね? す、すごくおっきくなってる…!  
 
 やっぱりお兄ちゃん我慢してたんだ……。  
 すごく大きくて、固くて、はち切れそうになってる……。  
 え、えと…どうしよう……。と、とりあえず握ってみよ。  
「うっ! ……ま、まひろ…」  
 お兄ちゃんが切なそうな声をあげてる。気持ちいいのかな…?  
 ん〜と、まず頭の中を整理しなきゃ。え〜っと、さーちゃんは舐めたり、手でしごいたり、くわえて頭を動かしたりするって言ってたよね?  
 ……あ、あれ? ……そ、それ以外思い出せない……。  
 うぅ〜、とりあえず頑張ってみよう!  
 しっかり握ったまま、ソフトクリームを舐める要領でおちんちんを舐め上げてみる。  
「……んっ…んんっ…んんっ…んんっ…」  
 なんだか、お兄ちゃんのおちんちん、しょっぱい…。それに先の方から何か出てきてる。これって精液…? でも、それにしてはサラサラしてるし…。大体、精液ってイク時に出るんじゃなかったっけ……?  
 ……いけない、お口がお留守になってた。ちゃんと舐めないと…。  
「んんっ…んんっ…んぁふ…んむぁ…」  
「うぅっ…! まひろ……き、気持ちいいよ…」  
 お兄ちゃんが喜んでくれてる。気持ちいいんだ…。よかったぁ。  
 じゃ、じゃあ今度はしごいてみようかな…?  
 両手でしっかりおちんちんを握って、力を入れてしごいてみる。  
 両手が上下する度に、お兄ちゃんが腰を浮かせてピクピクしてる。  
 そんなに気持ちいいんだ…。よぉ〜し、もっと力を入れてっと…。  
「……ま、まひろ、そんなに、したら…うっ…!」  
 
えいっ! えいっ! えいっ! えいっ!  
「ま、まひろ!? ダメだって! そんな激しくしたら出ちゃうよ! ストップ、ストップ!」  
「え!? ご、ごめん! ついつい……」  
 お兄ちゃんのおちんちんはさっきよりおっきくなってて、フルフル震えてる。今にも爆発しそう……。  
 やっぱり、まだイッてなかったんだ。  
「まひろ、くわえて…。口でしてよ……。」  
「……うん」  
 お兄ちゃんのすごくおっきいおちんちんを、あ〜んとくわえてみる。  
 ふ、太くて顎が外れそう……。それに先から出てる汁がしょっぱいような、苦いような…。えっと、このまま頭を動かすんだよね?ちょっと苦しいけど……。  
「んふぁ…んむぅ…むぐぅ…んぶぅ…」  
 すごい…。お口の中でおちんちんがピクピクいってる。唾と変な汁がお口の中に溜ってきちゃうけど、おちんちんがあるからなかなか飲み込めないや。わわっ、お口から溢れちゃった。  
「あぁ…まひろ……すごく気持ちいいよ…もっと奥まで……」  
 お、奥って言っても喉につっかえちゃうよぉ…。で、でも…何とか…頑張って……。  
 そう思ってると、お兄ちゃんが突然掛け布団を全部まくってしまった。  
 こ、これじゃわたしがお口でしてるとこが、お兄ちゃんに丸見え……。  
 
「ん゙〜〜〜〜〜!!」  
 びっくりしたのと恥ずかしいのとで、お口を離そうとしたけど、お兄ちゃんがわたしの頭を両手でガッチリ押さえてるから、身動きが取れない。  
 あぁ…お兄ちゃんが、わたしがおちんちんくわえてるとこを見てる…。は、恥ずかしいよぉぉ……。  
「……まひろ、やめないで。もう少しだから…」  
 お兄ちゃんはそう言うと、わたしの頭を無理矢理動かして、腰まで動かし始めた。  
 喉の奥におちんちんが当たって、息もできない。  
「んぶっ! んぐっ! んんっ! んぶっ! んんっ!」  
 お、お兄ちゃん……苦しいよぉ……吐きそう……。  
「あぁっ! ま、まひろっ! イクよっ! うううぅ…!!」  
 お兄ちゃんのおちんちんが一瞬膨れあがったかと思うと、喉の奥に精液がいっぱい流れ込んできた。  
 く、苦しい…!  
 てゆーかお兄ちゃん、ちゃんと飲んであげるから手を離してよぉ!  
「……まひ…ろ…」  
 いっぱい精液を出して力が抜けたお兄ちゃんは、やっと頭から手を離してくれた。  
「けほ! けほ! けほ! けほ! けほ!」  
 あんまりに喉の奥に出されたせいで、ムセ込みが止まんない。  
 せっかくのお兄ちゃんの精液も、お布団の上に全部こぼしちゃった。  
 あ……もったいない……飲みたかったのに……。  
 
…………………………………………  
 
「ひどいよ、お兄ちゃん! あんなことするなんて! わたし、すっごく苦しかったんだからね!」  
 後始末が終わって、お兄ちゃんに抱き締められながらも、わたしは怒るのをやめない。  
 だって、だって。ひどいよ!  
 あんな苦しいことされたし、初めてお口に出してもらった精液も飲めなかったし……。  
「ホントにごめん! なぁ、機嫌直してよ〜。ね? まひろ…」  
「がぶ!」  
「いててて! か、噛みつくなって! ごめんね、まひろ。ホラ、まひろがすごく上手で気持ち良かったから、つい……」  
 ん……?  
「……ホント? わたし、そんなに上手だった? 気持ち良かった?」  
「うん、すごく気持ち良かったよ。まひろ、才能あるよ。今度してもらう時は、もうあんなことしないからさ。だから、許してよ。……な?」  
 そう言って、お兄ちゃんはおでこやほっぺにいっぱいキスしてくれる。  
 そうかぁ…わたし上手だったんだぁ…。照れちゃうなぁ……えへへ♪  
「しょうがないなぁ……。じゃあ、許してあげる! ……また今度もお口でしてあげるね♪」  
「うん、ありがとう。……そろそろ寝よっか?」  
「そだね。……ねえ…今日は朝までいてもいいんでしょ…?」  
「ああ、一緒に寝ような。……おやすみ…愛してるよ」  
「……うん、わたしも愛してる。……おやすみ」  
 
 ……今度、こうして過ごせるのはいつだろう? このまま、一緒にいることもなくなっちゃうのかな? お兄ちゃんはずっとわたしのこと愛してくれるのかな?  
 ……ふわぁあ。なんか眠いや。そんなことは明日考えよ……。  
 わたしはもう一度お兄ちゃんにキスして、目を閉じた。  
 

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