「それじゃあ、この間、分けてもらった勇気、少し返そうか?」
斗貴子さんの両肩に手を掛けて言ってみると、真っ赤な顔をこちらに向けて絶句している。
「バカ……」
しばらくしてからそう言った斗貴子さんは、オレの手を引いて樹木が密集しているあたりへ移動した。
そして、大きめの樹を背にしてこちらを向くと、目を瞑って背伸びをした。
オレは斗貴子さんの背中に手を回して抱き寄せ、唇を重ねた。
そして………
パン、パン、パン。肉体がぶつかりあう音が響く。
オレの前では、前屈みになった斗貴子さんが樹の幹に手をついていた。
右膝あたりにぶらぶらしている白い下着が見える。
オレはトランクスとズボンをおろし、そんな斗貴子さんの後ろから侵入していた。
結合部を隠しているミニスカートを捲ると、固く充血した肉塊がピチャピチャと音を出して動いているのが見える。
いったん、粘膜の傘が膣から抜ける寸前まで腰を引いてみた。
すると、愛液でたっぶり濡れた肉柄の過半が姿を見せる。
全長を目測してから、再び、最深部まで進んだ。
先端がずいぶんと奥まで届いていることがわかる。
そのまま腰を密着させて、陰洞を広げるように上下左右に動いてみた。
柔らかく押し返してくる膣肉を感じて心地良い。
中心に戻ると、四方からぎゅっと締め付けられた。
「……ぁ……んぁ……ぁん」
そんなことを繰り返していると、激しい息音だけをさせていた斗貴子さんの口から声が漏れ始めた。
もうすぐ達っするのかもしれない。オレは単純で速い動きに切り替えた。
パンパンパンパンパン。
「…ぁっ…っぅ…っぁ」
声の間隔がだんだんと短くなっていく。
「あっ…あん…あっあん!」
ほどなく高い声を上げて背を反らし、膣の中を細かく震わせた。
堪えきれなくなったオレは、奥の方でヒクヒクしている何かに向かって、大量に射精した。
少しして落ち着くと、すぐ近くに人の気配を感じた。
昔から良く知っている雰囲気。おそるおそるそちらを見てみる。
にやけながら興味深げにこちらを見ているまひろがいた。
「うわああああッ」「きゃ────ッ」
気付いた斗貴子さんが大声を出し、浴衣姿のまひろも負けじと声を上げる。
「いやぁ〜〜この前、帰って来てからなんか雰囲気変わった思ったら!」
「あのネ、これはネ…」
樹から離した片手を誤魔化すように振りながら斗貴子さんが何かを言いかけた。
その時、結合部から白く濁った大粒の液体が溢れ出た。
これでは誤魔化しようがない。
「隠すコトじゃないじゃない。みんな、絶対、喜ぶよ。おめでと──」
斗貴子さんの太股をゆっくり降りていく白濁した雫を視線で追いながら、まひろがそう言った。
そして、ハンカチを差し出してこちらに背を向けた。
「サンキュ」「……ありがとう」
そうお礼を言ってから、つないでいた体を離し、受け取ったハンカチで性器をキレイにした。
すると、近づいてくるヘリ特有のプロペラ音が聞こえてきた。
ズボンを上げ、脱力気味の斗貴子さんを引き起こしてから、空を見上げる。
近づいてきたヘリが、縄梯子を降ろし、低空でホバリングを始めた。
そして、知った声が聞こえた。
「武藤!先輩!!」
へりの扉が開き、涙目の剛太が姿を見せた。どうしたんだろう?
「また任務?こんな急に…」
後ろから聞こえてくるまひろの声。すぐ近くなのに、とても遠い。
「でも、仕方ないっか。お兄ちゃんは『みんなの味方』だもんね」
「まひろちゃん…」
振り向いて答える斗貴子さん。振り向けないオレ。
「時間がありません、お早く!」
剛太の横にいた毒島さんが、残酷な事実を告げる。
「まひろ」
勇気を出して振り返った。
「今度は少し長いお別れになるけど、必ず帰ってくるから心配するな」
「うん」
一瞬の沈黙の後、大きく目を見開いたまひろから聞こえた短い返事。
オレはヘリの方に向き直り、気持が挫ける前に縄梯子を昇り始めた。
すぐに続いて昇ってくる斗貴子さん。
先にヘリに上がったオレは、縄梯子をあと数段残している斗貴子さんに手を貸そうと、下を向いた。
すると、こちらを見上げて叫んでいるまひろが見えた。
しかし、プロペラ音にかき消されて聞きとれない。
「!!」
斗貴子さんが何かに驚いて足を止め、下を見た。
その視線を追うと、白い物体が足元から落ちていく。
目の焦点を合わせてみると、斗貴子さんの下着だった。
さっきの行為の後、履かずに縄梯子を昇ってきたらしい。
まひろの後ろから姿を見せた六升たちの上空をヒラヒラと舞い落ちていく白い布。
そして、そんなことはおかまいなしに、ヘリはゆっくりと上昇を始めた。
(おわり)