Yes/Yes  
 
「くしゅ」  
寒くて目が覚めた。カーテン越しに薄い陽の光が差している。  
隣を見ると、カズキが掛布団を独占していた。  
当然、私は裸を外気に晒しているわけで、どうりで寒かったわけだ。  
「くしゅ」  
このままでは風邪を引く。  
でも、カズキから布団を剥して起してはかわいそう。  
替わりに何か羽織るものを探そうと起きあがった。  
その拍子に、昨晩の行為の結果が秘所からトロリと流れ出た。  
誰かが見ているわけでもないのに恥しくて、こそこそと拭き取ってから、  
ベッドを離れた。  
 
ジャージでも着ようとタンスの前まで来た。  
そこでふと思いついて、カズキの衣類の引き出しを開けてみた。  
最初に目に入ったのは、高校の学生服。  
古い衣類はそれぞれ自分で整理しているので、とってあるとは思わなかった。  
取り出して着込んでみる。  
「これを着て戦ったこともあったな…」  
直に着ているので少しごわごわするが、なつかしさが先に立つ。  
鏡の前に立ち、くるくると回りながら自分の格好を眺めてみる。  
やっぱり、なつかしい。  
普段着がミニスカートのせいか、下半身はあまり寒くないので、  
これだけを着て、ベッドに戻った。  
 
ベッドに戻ると、  
今度は掛布団を抱き枕のように抱いたカズキが、裸の背中をこちらに向けている。  
ベッドに上り、そんなカズキの隣に座った。  
すると、さっきよりも強い陽の光に照されて、私の枕の汚れが目に入った。  
結婚祝いにまひろちゃんが買ってれた、YesNo枕の片方だ。  
「毎晩、『YES』枕だからな…」  
しかも、洗濯しようとすると、カズキが悲しそうな顔をするので、洗えないのだ。  
「『YES』枕じゃなくても、いつだって私は『YES』なんだがな…」  
そう言葉にしてから自分で恥かしくなり、枕を抱きしめて顔を隠す。  
「─ゴホッ、ゴホッ!」  
汚れだけじゃなく、少しほこりっぽい。  
まひろちゃんに売っている店を聞いて、同じ枕をもう1組買ってこよう。  
そう思いながら、カズキの裸の背中に抱き付いた。  
 
(終り)  
 

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