俺こと武藤カズキはベットの上で固まっている。
左手に『Hでキレイなお姉さん マキシマムDX』
右手に雄叫びをあげるポケットモンスター
正面に真っ赤な顔の斗貴子さん。
俺だって健全な思春期男子、欲求不満にだってなるさ。
岡倉に借りた最新号の雑誌には俺の想い人に良く似た女性の淫らな姿が
載っているものだから、押さえ切れない青い性がトレジャーするのも
しかたがない。単調な行為を繰り返すうち興奮は高まっていく。
我慢に我慢し欲望を吐き出そうとしたその時、自室のドアが開いた。
「カズキ、戦士長が呼ん・・・・っ!!」
ノックくらいして下さい斗貴子さん。
「カッ、カズキ!何をしている!」
違うんだ斗貴子さん、違わないけど違うんだ。
「私というものがありながら、そんな雑誌で…」
とりあえず言い訳を聞いて下さい斗貴子さん。
斗貴子さんの表情がゆっくりと変化していき音も無くバルキリースカートが起動した。
矛先は当然こちらを向いている。ちょっと待って斗貴子さん怖いって。
「せめて…苦しまないようにブチ撒けてやる……」
言ってること滅茶苦茶だよ斗貴子さん。
何でオナニーしただけで殺されなきゃいけないの斗貴子さん。
あぁんもう目が本気だよ、ブチ撒ける気マンマンだよ斗貴子さん。
ごめんよまひろ、兄ちゃんお前の花嫁姿を見れそうにないよ。
実は兄ちゃん披露宴で関白宣言歌うのが夢だったんだ。
でも俺の遺体誰が最初に見つけるのかなぁ。下半身丸出しで色々と
ブチ撒けてる遺体だから、新聞とかにも載るだろうしなぁ。
『銀成でブチ撒け殺人事件!被害者の下半身が語る愛憎劇?!』とか。
せめてガマン汁だけでも拭かせてもらえないか聞こうとした時、
斗貴子さんが開きっぱなしの雑誌を凝視している事に気が付いた。
「カズキ、その、その雑誌は何だ、その、ずっ随分と私に似た子が載ってるようだが!!」
今月号の『Hで(略)』の特集は [守ってあげたい☆ロリリンボディのお姉さま!]
と言う需要が有るのか無いのか分からないマニアックすぎるネタである。
たしかに斗貴子さんによく似た女性がお尻を突き上げて男性の物に舌を這わせている写真が
載っている。最後はこのページでと思い指を挟んでおいたシーンだ。
「キミは私の事を想って、オナ、じっ自慰をしていたのか?」
斗貴子さんによく似た子(胸のサイズは違うが)だからそう勘繰られても
仕方が無いさ。て言うかその進りだし。
「まあキミも若いから仕方の無い事かも知れないが、だからといってそんな雑誌を使わなくても!
たしかに最近は激務が続き、その、してなかったが…!」
大体1ヶ月半前俺と斗貴子さんは肉体的に結ばれた。俺の内なる獣は眠る事を知らず、
斗貴子さんをだいぶ疲れさせてしまったのが3週間ほど前。その後はしていない。
へそばかり攻めて怒られたりもしたなぁなどと色々思い出してリビドーが再炎しかけた時、
冷静になった斗貴子さんが何やらブツブツ言い出した。
「しかし余計な煩悩は戦闘にも影響するな。精神的にも良くは無い。」
斗貴子さん?
「早急に対処が必要だ。しかし一般人を巻き込む訳にはいかないな。」
あの、斗貴子さん?
「やはり私が…。かっ勘違いするな!あああくまで任務のためだからな!!」
斗貴子さーん?
「そりゃあ少しは寂しかったしカズキの方から会いに来てくれないかなとか
思わなかった訳じゃないけどエロスはほどほどにしろと言った本人がこんな事じゃ
示しが付かないしでもカズキに求められると嫌なんて言える訳無いし愛されてるって
実感できるから何度でも許しているだけでけっして私がエロスという訳では」
………。
「カズキが望むなら何でもしてあげたいし何でも我慢できるしでも我慢している訳でも
ないんだけどカズキいつも優しくしてくれるし相性もいいしいつも満足させてくれるから
本当は毎日だっていいくらいでって違うんだカズキ!
相性がいいとは言ったがキミ以外と関係を持ったことは無い!本当だ!!」
え?あっ?何?すいません。
「兎に角だっ!欲求不満なら私に言いなさい!私は何時でも構わないからっ!」
えっと……いいの? 真っ赤な顔でそっぽを向いたままの斗貴子さんは小さく頷いた。
その仕草が愛らしくていとおしくて俺は斗貴子さんを抱きしめた。
「カズキ…」
ゆっくりと斗貴子さんをベットに寝かせる(『Hで(略)』は床にぶん投げた)
唇を重ね舌を絡ませる。お互いの唾液を交換する様な濃厚な口付け。
斗貴子さんの制服のリボンに手をかけたその時
「二人ともそこまでだ。」
『うわああああああぁああああっ!!!』
ベットのすぐ横でブラボーが仁王立ちで笑顔を浮かべていた。
錬金戦団にはノックという概念は無いんだろうか。おそらく無いんだろう。
「ストロべリるのは後にしてくれ。まったく何時まで経っても来ないと思ったら。」
台詞とは裏腹に笑顔は押さえ切れない様だ。お父さんに隠してたAVがばれた時の気分。
「戦士長!?こっこれはそのっ私とカズキは!」
「落ち着け戦士斗貴子、戦団は恋愛を禁止してはいない。それに俺個人は
二人を祝福したいと思っているぞ。恥じる事は無いだろう。」
そういえば斗貴子さんとブラボーを見ているとまるで家族の様に接して合ってる時がある。
二人の過去をすべて聞いた訳では無いがブラボーは斗貴子さんの兄代わりや
父親代わりだったんじゃないかと思う。お義父さんに隠してたAVがばれた時の気分。
「隠すつもりは無かったのですが、言い出し辛くて。……ありがとうございます戦士長。」
あれか、俺はブラボーにむすめさんを下さいと言わないといけないのか?
シルバースキンを着込み湯のみの前であぐらを掻くブラボーに頭を下げるのか?
「しかし俺が呼んでいるのを忘れるのはブラボーじゃ無いな。まぁ急ぎの用件でも
ないんだが、早い方が良いと思ってな。」
お義父さん俺さっきむすめさんにブチ撒けられそうになりましたよ?
どんな教育してきたんですか?むしろ教育のたわものですか?
「新しい任務では無いのですか?カズキも呼んで来いと言われたのでそうだとばかり。」
「いや、ここ数日二人は任務漬けだったのでな、短いが休暇を用意した。少しの間戦う事から離れ
心身共に休めて来てくれ。これからまだまだ忙しくなりそうだからな。」
斗貴子さんとの休暇なら喜んで。体は休まるとは限らないけど。
「来月の頭に連休があるだろ。学校も休みだからちょうどいいと思ってな、温泉宿に予約を
入れておいた。もちろん戦団持ちだから楽しんで来い。」
「そこまでして頂かなくても、休暇を貰えるだけで十分です(カズキと旅行!)」
「そう言うな。たまにはゆっくりして来い。」
「ありがとうございます戦士長(カズキと温泉!!)」
今日の不運はきっと神様が「来たるべき日の為にチャージしとけ」という暗示だったんだろう。
休暇と言う名の婚前旅行は俺と斗貴子さんの絆を日本海並みに深い物にしてくれるはずだ。
「しかしもう少し早くお前たちの事を知っていればな。もっと気を使ったのだが。」
「どう言う事ですか?」
まさかブラボーも来るのか?
「戦士剛太もいっしょだ。」
その頃剛太のポケットモンスターは7ターン目に突入していた。
『Hで(略)』の斗貴子さん似のページで……。
カメールの みずでっぽう!
こうかは ばつぐんだ!
第一話TRIAS 完