武装錬金  

「銀成エロ本顛末記」 

斗貴子さんに寄生していたホムンクルスもなんとか解毒できた。  
その斗貴子さんは、寄生された事による体力の消耗が思ったよりも  
激しかった為、回復するまでこの街に残るらしい。  
何にせよ平穏な日々が再び訪れた。そんなある日の事・・・  

カズキは、寮生御用達とも言われる本屋『銀成書店』へと出向いた。  
色々バタバタとしていたせいでもあるが、なんだかんだで  
命がけの戦いを行なってきたのであり、物事をゆっくりと考える  
余裕なんて一時も無かった。そんな日々が終わったのだ。  
そう思った時、不意にムラムラとするものがこみ上げてきた。  
実に当然だ。健康な男子高校生が、一週間以上もオナニーしない  
状況だったのだ。もう溜まりに溜まりまくっていた。  

あげく、自分の人生の中で最も好ましく思う女性「斗貴子さん」  
の存在がそれに拍車をかけている。魅力的すぎるのだ。  
しかも、なんだか微妙に無頓着な所もある。  
おヘソも見てしまった。抱きしめたりもした。部屋に連れ込まれて  
下着姿も見られた。あの時、私服姿の斗貴子さんのホットパンツを  
見て思わず勃起したのを、斗貴子さんは気付いてないのだろうか。  
既に我慢の限界は超えていた。かといってどうにも斗貴子さんを  
直接オカズにするのは気が引けた。複雑な男心だ。  
「オカヅを買いに行こう」  
こうしてカズキは決断したのだった。  

しかし、エロ本を買うのはさすがに若干の照れや気恥ずかしさもある。  
そんな時はどうすればいいのか。答えは単純だ。武装錬金は王道を行くのだ。  

すなわち少年漫画の王道たるべく「ちょっと大人な格好」をして買いに行くのだ。  
「とは言え、スーツ姿なんてベタなマネはしない。  
 『大学生くらいかな?それならまあいいや』と店員に思わせるのが、モアベター」  
アゴに手をあててニヤリと呟くカズキの姿は、サングラスに安物ジャケット  
という、どこのチンピラですか?と訪ねたくなるようないでたちだ。  
それでもカズキは「完璧」だと自負している。絶対にバレないさ。  
「えっと、あった!『Hでキレイなお姉さん』」  
カズキの選んだエロ本は、いわゆる『お姉さん系』のグラビア満載の  
月刊誌であった。カズキ一番のお気に入り雑誌である。  
それではレジで会計を、そう思ったカズキの視線の先では、信じがたい事態が  
展開していた。なんと、レジ係が自分と同い年くらいの女の子なのだ。  
すぐに奥に引っ込んでしまい、顔までは確認できなかったが、間違いなく女の子だ。  
「そんな・・・」  
いつもはエロ本購入にうるさく言わない爺さんがレジを打っていた。  
その爺さんは銀成学園出身者で、いわゆる「男と男の無言の会話」が  
成り立つタイプの人間だった。  

「オレ、女の子のレジ係になんて、この本出せないよ・・・」  
カズキは動揺していた。こんなコトになるなんて想像してなかったのだ。  
「ダメだ。やっぱりダメだ。悔しいけど、諦めよう・・・」  
カズキは、これ以上無いくらいにショボくれて家路についた。  

寮のホールで、カズキは岡倉に遭遇した。  
「カズキ!どうした?」  
「あ、岡倉か。いやちょっと」  
「どうした?悩みか?俺に相談しろよ」  
「いや、たいした事じゃないんだ」  
その時、岡倉の双眸はビカリと輝いた!  
「カーーーーーズキーーーー!水臭いぞ!  
 俺とお前は中学時代からの親友じゃないか!  
 俺に話せ!何でも話せ!」  
その時カズキは強く心を打たれた。そうだ。俺には友がいるじゃないか!  

「実は・・・」  
「む。みなまで言うな。大方、『例の件』だろ。今回はどんなのが欲しいんだ?  
 黙って俺に任せろ!俺がお前の欲しいブツを、どんなものでも入手してみせるぜ!」  
嗚呼、漢の友情ここに極まれり!  
男子たるもの、こういう友が欲しいものだ!  
「えーっと、じゃあ『Hでキレイなお姉さん』の今月号」  
「む。今月号か。それは流石に、我が『岡倉会』でも入手してないな。  
 待ってろ。俺が今から買ってくる」  
「あ、でも、銀成書店は新しくバイトの女の子が・・・」  

「女 が 怖 く て エ ロ 本 が 買 え る か !」  

つんざめく怒号!ここに真の勇者が爆誕した。  

さて、早速銀成書店に出向いた岡倉。  
何も変装などせず、実に清々しくも凛々しい表情だ。  
曰く「男がエロ本買うのは当たり前。何を恥じるコトがある」  
素早く青年雑誌コーナーに足を運び、目的のブツを発見。  
即座にレジへ持っていく。この間、実に1分。  
『そして、この消費税をあらかじめ計算して、一円のズレも無い  
 代金をはらって任務完了。まさに俺、絶好調』  
岡倉がそう思ったのも無理も無い事だ。  
彼にはレジ係がバイトの女の子だろうが何だろうが関係無いのだ!  
ところが・・・  

「ン。『Hでキレイなお姉さん今月号』690円になります」  
はて、この声は。ていうか何でタイトル読みあげてますか?  
不意に顔を見上げると、なんとその人は、  

「と・・・とととととと斗貴子しゃん!?」  
なんと、カズキが遠目で見て諦めた「バイトの女の子」とは  
斗貴子さんだったのだ。  
「ととと・・・斗貴子しゃん、何でここに?」  
「なんだ。誰かと思えば、キミはカズキの友人じゃないか。  
 キミは毎回こういう本を買っているのか。  
 エロスは程々にしときなさいと言っただろう。  
 と言うか、なんだ。キミ、エッチでエロスにも程があるぞ」  
エッチでエロスにも程がある・・・  
チャリーンと音を鳴らし、呆然とする岡倉の手から小銭がこぼれる。  
「790円丁度だな。毎度ありがとうございます」  
「程がある・・・エッチでエロスにも・・・」  
「キミ、商品はどうするんだ。おいキミ」  
もはや何を言われても耳には届かない。  
真っ白になりながら、岡倉は寮へと帰った。  
「まいったな。まあ、どうせカズキに頼まれたのだろう。  
 後で届けるとするか」  
そう言いながらパラパラとページをめくる斗貴子さん。  
「それにしても・・・みんな胸が大きいな。これ、同い年なのか。  
 やはりカズキもこれくらい大きい方が・・・  
 まったく。エロスも程々にしろと言ったのに・・・」  
その時、斗貴子さんの目がギラリと光った。  

 

「大浜ー、岡倉はまだ帰ってきてないのか」  
「あれ、さっき帰って来たのを見たよ。今は部屋にいるんじゃないかな」  
悶々としたまま待たされているカズキには、岡倉の帰りが  
待ち遠しくて仕方なかった。その岡倉が姿を見せない。  
どうしたんだろう。もしかしてブツのゲットに失敗したんだろうか。  
まさか、あの岡倉が?  
とりあえず夕食をすませ、岡倉の部屋に行くカズキだが、  
岡倉は部屋の中で泣いているようで、声をかけられなかった。  
「岡倉・・・どうしたんだろう」  
しかし、他人の心配より自分の心配。なんせ限界破裂だ。  
「しょうがないな。もう我慢できないし、想像だけでスルか」  
そう決意しズボンと下着を降ろした瞬間、カズキのアレは天高く勃起した。  
「やっぱりメチャクチャ溜まってたんだなぁ。オレ」  
苦笑しながらこすりはじめる。一度はオカヅにしまいと決めたが、  
こうなると我慢できない。やはりオカヅは斗貴子さんだ。  
一度始めたらもう止まらない。久々の快感に思わず声が漏れる。  
「ああう・・・斗貴子さん・・・」  
「呼んだか」  
その瞬間、窓がガラリと開いて斗貴子さんが現われた。  

「なーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」  
思わず叫ぶカズキ。下半身はスッポンポンのままだ。  
しかもそそり立ったままだ。  
「騒ぐな。男の裸など見慣れている。それにキミは、一度私に  
 全裸を見られているんだぞ」  
「・・・あうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあう」  
もはや声にならない。やはり蛙マンとの戦いの後、ホテルで  
全裸を見られてたのか。いや、そういう問題じゃない。  
今まさに、もっと恥ずかしい姿を見られてるじゃないか!  
「と!斗貴子さん!オレ今その、なんて言うかその!  
 違うんだ!違うんだよ!オレは斗貴子さんでなんて、なんて言うか!」  
うろたえるカズキとは対照的に、斗貴子さんは割と平然としながら  
なにやら包みを渡してくる。  
「男のコがそーゆー気分になるコトくらい、私だって知っている。  
 今まで戦い通しだったから、今日くらいはそんなコトをしても許す。  
 まあ、エロスは程ほどに、な。  
 私は今、銀成書店でアルバイト兼情報収集をしているから、  
 用があったらそこに来るように」  
それだけ言うと、斗貴子さんは包みを押し付けて、2階の窓から  
飛び降りて、バタバタと帰って行ってしまった。  
カズキはその日、結局シコれず、フトンに潜って泣き伏したという。  

ちなみにその時、斗貴子さんがカズキに手渡した包みの中には、  
いわゆる『お姉さん系』でオカッパ髪で、ちょっと胸の小振りなアイドルの、  
あまり過激じゃない水着グラビア写真集が入ってましたとさ。  

 
 
 

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル