あのさ、オメェ俺にナンか言うべき事があんだろ?なぁ武藤。  
分かるべ?分かってんだべお前?目ぇ逸らすな。俺の眼を見ろ。  
しゃーねぇよな、何時までも過ぎちまったコトをグチグチ言ってもよぉ。時間は戻せ無ぇんだしな。  
あッ?いいってんなコト、言い訳は聞きたか無ぇよ。世の中結果が全てだろ、だから目ぇ逸らすな。  
何つーの、お前に悪気が無かったって事ぁ理解してんだよ。俺だってもうガキじゃ無ぇんだし。  
でもよ、あの場合原因はやっぱお前だろ?お前が軽口叩かなけりゃあんな悲劇起こっちゃ無ぇだろ?  
お前の一言が切っ掛けで絢爛豪華な惨劇が始まっちまったなぁ事実じゃねぇか、そうだべよ武藤。  
なのにお前は謝罪も無しか?チビっ子でも言えるゴメンナサイをド忘れする程のアホっ子か武藤は?  
凄ぇ痛かったんだぞ?血ぃやらナンやら飛び出すわはみ出るわしたんだぞ?何かちょっと死んだし。  
ほら気持ち?自分が悪かったっつー気持ちが伝わっちゃ来ねぇんだよな。武藤よ、誠意って何かね。  
……………オメェ今、俺のコトうぜぇと思っただろ。  
思ったよな、今一瞬何だコイツって目で俺を見たよな?あぁ違う違う、怒ってる訳じゃ無ぇって。  
だから言ってみ?正直にどう思ったか言葉にして語ってみ?目ぇ逸らすなっつってんだらぁがッ!!  
うぜぇんだろ!?分ぁるよ俺さっきから蝶うぜぇんだろ!?便器にへばり付く陰毛ぐらいによぉ!!  
でもなぁ陰毛だって一生懸命生きてんだよ!散っても散っても新たな命を精一杯創り出すんだよ!!  
それを何だお前は!陰毛ってだけで俺を見下すのか!?って違う!!俺は陰毛なんかじゃ無ぇッ!!  
俺を殺しかけた上にチン毛呼ぶぁりか!?俺よりMr.BIGだからって取巻き呼ぶぁりかッ!!?  
お前が望むならココで決着を着けてもイイんだぞクソファッキンガッデムクレイジージャップッ!!  
オラ掛かって来いよ!怖ぇか?怖ぇんか!?ビビってんじゃ無ぇぞおくびょうなカーレッジくん!?  
何だそのばっちいモノを眺める様な軽蔑の眼差しはッ!?俺は不憫な子なんかじゃ無いッ!!!  
 
…あぁ済まねぇ、もう落ち着いた。ちょっとラバウルで傭兵やってた頃の血が咆いじまっただけだ。  
………いや、いいって。本当にもう怒っちゃいねぇよ。こっちこそいきなり怒鳴って悪かったな。  
あの失言は俺のオホーツク海並みに広大で深厚な恩情で赦してやる、感謝しろ。敬え。俺を崇めろ。  
で、その代わりって訳じゃ無ぇんだけどよ、頼みっつーか協力して欲しいコトが一個あんだよ。  
先に言っとくがお前に拒否権は無いからな。俺がキズモノになったのはお前の責任なんだからな。  
お前がもっと確り止めに入ってれば先輩の両手は、もとい両足は血(俺の)に染まらずに済んだんだ。  
だからお前が悪い。九割方お前が悪い。ちなみに残り一割は先輩じゃ無ぇぞ千里ちゃんだ。  
…呼び方?べッ、別に深い意味は無ぇぞ!何て呼ぼうが俺の自由だろうが民主主義社会ナメんなッ!  
てかお前この変化を先輩に喋ったりすんなよ!?絶対ぇ洩らすなよ!お願いだから言わないでぇ!!  
俺が先輩以外のオンナの子を下の名前で呼んでるなんて事がバレたら今度こそ先輩に滅殺されるッ!  
ほら先輩って意外と独占欲強ぇじゃんよ?よそ見をするのはやめてよ私が誰よりいちばんじゃんよ?  
その愛らしいほっぺをハリセンボンの様にプックゥーと膨らませる程度のヤキモチなら大歓迎さ。  
だが浮気が発覚した途端に刺されるなんざぁマーチやらオーケストラやら某行軍歌だけで十分だ。  
今回俺を灰にしかけたのだって、俺と千里ちゃんの間にナニかあってんじゃねえかって嫉妬からだ。  
俺を自分だけのモノにしたいと願う乙女のポリシーを暴走させた先輩が起した理由無き反乱なんだ。  
だから先輩は俺の事を嫌っていない。むしろ好きだ。愛してるんだ。AIが止まらないんだ。  
解るんだ。不思議と解るんだ。先輩のコトなら何だって解るんだマジで。俺には超能力があるんだ。  
先輩が俺との血族を残す気満々なのだってお見通しだ。目を瞑れば勝手にビジョンが浮かぶからな。  
先輩はヤる気満々なんだ。……マンマンなんだ………それなのに俺は……俺は……どうして…………  
 
………何だよ武藤?……自分は何をすればいいのか?悪ぃ、まだ話してなかったな。  
そうだな、まずコレだけは絶対ぇ忘れんな。このプロジェクト"G"のキーパーソンは武藤、お前だ。  
俺に劣るとは言えお前も錬金の戦士、あの激しい戦火を潜り抜けて来た影の実力者ってヤツだ。  
そんなお前だからこそ、この過酷な任務を任せられるんだ。戦友である俺を失望させんなよ武藤?  
あと……今回のオペレーションは極秘中の極秘、他言無用なハイブリティシークレットってヤツだ。  
この前と同様に天然丸出しで迂闊にも口を滑らせたその時は……分かってんよな武藤?  
今度ばかりはうっかりミステイクじゃ済まされ無ぇ、お前だって俺の本気を体感したくは無ぇだろ。  
お口にチャックだぜ?お前が同じ過ちを二度も犯すこまったちゃんじゃ無ぇコトを信じてるからな。  
そんじゃ改めてお前の役割を説明する、耳の穴ダンボにして一言一句逃さず聴きやがれ。  
 
 
皆、良く此処迄生き延びた。これがラストミッションだ、最後に我等妖精帝國の意地を見せ様ぞ。  
では、現時刻を持ち作戦名『自分探しのルフラン』開始を宣言する。……諸君、地獄で再び逢おう。  
「あ、うん。行って来る。」  
軽ぃなお前!ホント計画通りやってくれよ!?お前の働き次第で大きく戦況が変わるんだからな!  
「だから一日中ずっと斗貴子さんと一緒に居ればいいんだろ?」  
あくまでも足止めだからな!俺に会いたがる先輩を夜になる迄引き離すのがお前の役目だからな!?  
毎日俺の美顔を見るのを日課としてる先輩の事だ、俺の姿が何処にも無いのに気付き不審に思う筈。  
俺の身にナニかあったんじゃないかと戸惑い、不安はやがて疑心暗鬼へと変貌を遂げてしまうんだ。  
焦った先輩は取り乱しながら二人か三人ぐらい殺す勢いで俺を探し求めるんだ。本能に身を任せ。  
そこでお前の出番だ武藤。俺の無事を報せ先輩を落ち着かせて、数時間だけ俺との接触を阻むんだ。  
「分かってるってば、片時も斗貴子さんから離れない。」  
何だその一心同体宣言ッ!?お前絶対ぇ先輩に手ぇ出すんじゃ無ぇぞ!柔肌に触れるんじゃ無ぇぞ!  
少しでも先輩にセクシャルハラスメンタルな事してみろ!俺の身体が俺の意志とは関係無く動くぞ!  
自我を解き放ちアドレナリンを垂流しにした俺の神懸り的なアタックコンボでお前のライフゲージを  
「それで結局俺が斗貴子さんと居る間に剛太は何をするんだ?」  
いやぁそれにしたって今日もおっとどっこい日本晴れだなぁ武藤?悪意すら感じる程の暑さだぜ。  
「いやだから、この後剛太はどうする…」  
ヘイ、サン!何がそんなにオマエを熱くさせるんだい!?オマエも誰かに恋心を懐いてるのかい!?  
情熱だけじゃ愛しのあの娘は落とせないんだぜ兄弟、時にはクールな顔をして男と女のラブゲームを  
「………分かったよ、聞かなきゃいいんだろ。じゃあ俺は行くからな、また後で。」  
恋なんてタイミングさ、だがオマエも俺もその感覚ってヤツを何時迄経っても掴め無ぇから聖杯が…  
 
……ふぅ、どうやら行ったみてぇだな。アイツと一緒ってだけで常にヒヤヒヤ物だぜ、ったくよぉ。  
取り敢えずコレで先輩へのジェラシー対策はパーペキだろう、武藤に任せるってのは癪だがな。  
本当は武藤の力なんか借りたく無ぇんだ。武藤は先輩に害を及す蛆虫だからな。ゴキブリだからな。  
だが背に腹は変えられねぇ、もう切羽詰まってんだ。今この瞬間も刻は残酷に流れてんだ。  
ってもあの愚低民はブリキの脳味噌だからな、ナニも考えず俺が言った通りに行動してくれる筈だ。  
アイツを捨て駒にするコトで俺は自分の使命を果たせる。せいぜい骨の髄まで利用させて貰うぜ。  
己のノータリン加減を恨むんだな武藤、お前は無自覚の侭俺のラブフューチャーへの糧と成るんだ。  
全部終わったら角砂糖でもくれてやる、だから俺の為に一生懸命務めろ。頑張れ。俺を救ってみろ。  
おっと、こうしちゃいられねぇ。俺もマイアクションをクイックネスにレッツビギンだぜ。  
 
……目標捕捉………どうやら昨日聞いた三人娘でのお出かけは変更無く行われる模様だな……。  
さぁココからが勝負だぜ、五感を研ぎ澄まし集中力を高めターゲットの追跡に全神経を注ぐんだ。  
目的は遠くから千里ちゃんを眺め、暗がりの中見せる狂気を含んだ乱り顔以外の表情を知るコトだ。  
よし行くぞ、隠密顔負けのステップワークで気配を消し千里ちゃん達三人の後方で息を潜めるんだ。  
落ち着けよ俺。あの子等に気付かれたらゲームオーバーだ、コンティニューが無ぇコトを忘れんな。  
商店街に向かうのか?好都合だぜ、人ゴミに紛れ都会に身を隠せば尾行もスムーズに出来るだろう。  
フッ、勝利の女神は俺に微笑んでる様だぜ。慎重に行けばバレる事ぁ無ぇ、一撃でクリアーだ。  
……楽しそうにお喋りしているが、流石にこの距離じゃ会話の内容までは聞こえて来無ぇな。  
まあいい、これ以上近づくのはキケンだ。一定の間隔を保ちながら後姿を視るだけでも十分だろう。  
………こう、改めて見るとやっぱ普通の女の子だよなぁ………ぶっちゃけ、かなり可愛いと思うし。  
でもあの子は夜が来ると飢えた獣の様に俺の身体と言うどうぶつの森+を不逞な迄に蹂躙するんだ。  
月が闇を照らすとき冬の狼が爪牙で獲物を捕えるかの如き勢いで怒りの獣神もののけ姫と化すんだ。  
……何だかやけに背中の引っ掻き傷が疼きやがるぜ、昨晩珍しくピット・インさせて貰えたからか?  
どうやら八回も寸止めを喰らいながらも挿入に漕ぎ着けた瞬間の感動を身体が記憶している様だぜ。  
……凄ぇよかった、心底気持ちよかったんだ………あんなに……あんなに嫌だった筈なのに…………  
 
初めの頃は絶望感さえ感じていた千里ちゃんに拠る凌辱劇、俺が服従を誓う迄行われる無観客試合。  
毎夜毎晩繰り返されるデザイアカーニバルは過激の一途を辿り濁流の様に俺を呑み込んで行った。  
終演を迎え無い情慾の日々、だがそれは俺との絆を繋ぎ止める為に少女が考案した苦肉の策だった。  
あの子は純粋に俺を愛している。俺の消失こそが何よりの恐怖、故に肉体と精神を俺に捧げ続ける。  
正しく無い行為だとしても俺と二人だけの秘事を共有したい、自分を傷付けてでも俺の傍に居たい。  
そんな千里ちゃんの気持ちを、俺は無下にしたくは無い。千里ちゃんの想いに、応えてあげたい。  
しかし俺には先輩が居る。ただひたすら健気に俺の帰りを待ち続けている大切な婚約者が居る。  
俺の中で千里ちゃんと云う存在が拡大してるのは事実、でも俺には先輩を裏切る事なんて出来無い。  
そうさ俺は二人の女性を同時に愛してしまった愚かなジプシー、道徳に背いた哀憐なる放浪民族。  
ヘイ、ゴット!教えてくれ!何故アンタは運命の紅い糸を二本も俺の小指に括り付やがったんだ!?  
ちゃめっ気だったら掠りもして無ぇぞゴラァ!!例え神サマが相手でもあの二人の為なら俺は究極の  
ってヤベッ!見失っちまう!?余計なコト考えずにコンセントレーション維持しとけや俺ぇッ!!  
 
…彼此一時間以上後を付けている訳だが、俺は千里ちゃんの魅力を見誤ってたんじゃ無ぇだろうか?  
友人に見せる飾り気の無い天真爛漫な笑顔にもうノックアウト寸前。むしろ沈んだ好きだ大好きだ。  
先輩一筋の俺をこうもあっさり堕とすなんて、やはり俺に取っての運命のキミは千里ちゃんなのか?  
いや待て、いくらなんでもこの段階で決め付けるのは時期尚早なスピードグラファーってヤツだ。  
何故こんな世知辛く渇き切ったビルの谷間で休日すら返上して特命リサーチに邁進してんだ?  
それは不可知なる物を学ぶ為、まだ見ぬあの子の一面を捉える為にみつめてナイトをやってんだろ。  
もっと千里ちゃんの事を良く知りてぇから影に潜みお前を盾にしてんじゃねぇか、そうだろ電信柱?  
俺が本当に愛してるのは先輩なのか千里ちゃんなのか…難解なミステリーを抱えちまったモンだぜ。  
…しかし俺ぁ随分と変わっちまったな、一昔前の俺ならノーシンキングで先輩を選んでた筈なのに。  
ゴメンよ先輩、何時迄も俺がハッキリしないから今日だって寂しい思いをさせてるんだよね。  
でも俺の心に千里ちゃんが介入して来て、フィフティフィフティ状態の侭決意出来ずにいるんだ。  
もちろん今でも飽きれる程にそうさ傍に居てあげたい、小さなその胸エンジェルハートに戻りたい。  
だが俺のボディは肌と肌とのぶつかり合いを、千里ちゃんとのブルージェンダーを記憶しちまった。  
段々と積極的な千里ちゃんに惹かれていく俺、恋愛に対し消極的な先輩を幸せにしたいと願う俺。  
二つのペルソナを身に纏いながら俺は途方に暮れている。俺の終着地点は一体何処なんだ………。  
 
ん?今一瞬あの三人の中で一番貧相な身体をしている…沙織ちゃん?がこっちを見なかったか……。  
気の所為だよな、あの恐ろしく鋭い勘を持つ千里ちゃんが武藤の妹と一緒にはしゃいでる位だし。  
それにしてもマキシマムパワーで遊んでんな、通りすがりのサラリーマンが引いてらっしゃるぞ。  
特に千里ちゃんだ。昨日もあんだけ俺の上でロデオボーイったのに何であんなにゲンキ百倍なんだ?  
女子高生のポテンシャルってヤツぁ侮れ無ぇな、恐らくアレで一晩分のスタミナを残してあるんだ。  
まぁでも連日のはりもぐハーリーで疲れが溜まってるだろうからな、今夜は抑え気味に五発程度で…  
………な、何で俺はこれ程重要で驚愕な真理を今迄認識せずに見過ごして来たってんだ?  
もう既に千里ちゃんとのトレイントレインは生活リズムの一部として組み込まれてんじゃねぇか!?  
星屑の下で千里ちゃんの思うまま我がままにファラウェイされんのを心待ちにしてんじゃねぇか!?  
俺の身体は千里ちゃん無しじゃ存在出来無くなってる!世界が終るまでは離れる事もなくなってる!  
俺は…何時に間にか蜘蛛の巣に引っ掛かってたんだ……ハングリースパイダーに捕食されてたんだ。  
千里ちゃんはいいさ、俺と永遠のドリーマーになれるんだからな。ドリームズカムトゥルーだろう。  
だが先輩はどうなる?先輩に安らぎを与えられんのは孤独なんかじゃ無ぇ、俺の愛情だけなのに…。  
そして何より怖ぇのは、このスったモンだが先輩の耳に届いたりしたら……想像したくも無ぇが……  
そうもし仮に先輩が俺と千里ちゃんの徒ならぬプロミスを知ったらどうなってしまうのだろうか。  
 
激昂から飢えたハイエナの様に眼球を血走らせた先輩の怒鳴り声が室内に響き渡る。  
「質問に答えろ剛太ッ!!キミ達二人は一体どう言う関係なんだ!?」  
俺に怒号を浴びせながらも、先輩の目線は俺の右隣で妖艶な笑みを浮べる千里ちゃんから離れない。  
「私とゴーたんは恋人同士です。とっても親密な間柄なんですよ、斗貴子さん?」  
だが千里ちゃんは先輩の眼光に臆する事無く俺の腰にしがみ付き、俺を自らの所有物だと誇示する。  
「沙織から何も聞いて無いんですか?私達卒業したら籍を入れるんです。ゴールインするんです。」  
「そんなッ!?信じないぞ私は!!お願いだ剛太!嘘では嫌好きと言って純潔のくちびるでッ!!」  
悲鳴に近い先輩の絶叫。俯き何も返さ無い俺を目の当たりにして、先輩の全身から力が抜けて行く。  
先輩の様子と俺の表情を見詰め、千里ちゃんは何かを決意した様に強い口調で先輩を責め立てる。  
「兎に角、これ以上私達彼氏彼女の事情に首を挿むのは止めてください。  
 他人にとやかく言われる筋合いは無いんです、こんなコトだって自然に出来る仲なんですから。」  
そう吐き棄て千里ちゃんはズボン越しに俺のゲットワイルドを慣れた手付きでこねくり回し始める。  
「や、止めなさい破廉恥な!!人前でそんなコトッ…キミも抵抗しないか剛太ッ!?」  
予想外の状況に声が上擦る先輩。そんな先輩を勝ち誇った様に眺めながら千里ちゃんは掌を動かす。  
先輩に見られてる羞恥も手伝ってか、俺のめっけモンは熱の帯びグリーエンへと加速し続ける。  
そして俺の性感帯を熟知してる千里ちゃんの指捌きでビックモスはアグレッシブモードへ移行した。  
「フフ…ほら、私と気持ち良くなりたいってこんなパンパンに腫れ上がってる……。  
 これで解ったでしょう?ゴーたんが求めているのは私。私が相手だからこんなになるんですよ?」  
唖然と立ち尽くしていた先輩だが、挑発とも取れるその言葉に眉を顰め大声で反論し始める。  
「そんな事は無いッ!私だって剛太を悦ばせられる筈だ!……私だって…私も、剛太のコトがッ!」  
「ゴーたんは渡しませんッ!いくら斗貴子さんでも、これだけは譲れ無いんですッ!!」  
木霊が止み、静寂と重苦しい酸素だけが沈澱する一室。二人は睨み合った侭微動だにしない。  
不意に千里ちゃんが俺から離れ、険しい形相でガンを飛ばす先輩の方向に歩み寄って行く。  
「……こうしませんか?私と斗貴子さん、どっちが彼に相応しいか、彼自身に決めて貰うんです。」  
言葉の意味が理解出来ず真意を問おうとした先輩を、千里ちゃんは強引に俺のベットへ押し倒した。  
「何をするんだ!?そこを退きなさいッ!コ、コラッ!?何処を触って!?や、止めてッ!!?」  
千里ちゃんは先輩の上に圧し掛かると、短いスカートに手を入れ下着を剥ぎ取ると言う暴挙に出た。  
「身体の相性が良いのは何方か、確かめて貰うんです。ゴーたんもこの侭じゃ辛いでしょうし……」  
自らもショーツを脱ぎ捨てる千里ちゃん。先輩は顔を真紅に染め千里ちゃんに常識を諭そうとする。  
「自分が何を言ってるか分かってるのかッ!?身を重ねると言うコトはとても重要で簡単な事では」  
「私には自信が有ります!私がゴーたんの一番なんです…誰にも……斗貴子さんにも負けません!」  
美しく繊細に作られたガラス細工程、脆く壊れやすい物は無い。  
「…私だって…負けんッ!私はもう何年も剛太を想い続けているんだ、この恋が…叶うのなら……」  
とても微弱な衝撃で、硝子の靡風は崩れ落ちてしまう。  
「……剛太…………キミが私を、選んでくれるのなら……私は………どんなコトだって………」  
仰向けの先輩は潤んだ瞳で俺の双眼を眺めながら、より一層大きく脚を開き切願の意志を示す。  
「ゴぉーたぁん………はやくぅ……いつもみたいにしてぇ……オチンチンしてぇぇ………」  
俯せの千里ちゃんは顔だけを此方側に向け、桃尻を突き上げ左右に腰を振り懇願して魅せる。  
錯乱する感情の中淫欲に負けた俺は、ただ貪汚な本能に身を任せ少女達の恥丘に躙り寄って行った。  
 
遂に俺のライジングソウルが二人のマンホールにイングリモングリ潜入調査!まんッ!掘ーるッ!!  
イきヌく者の定めよ死に行くモノの定めよ!脈打つ維新の風と散って護国の戦花ビラ咲き誇れッ!!  
バ、バァ、バーニングプレッシャャァーーーーッ!!……あ?…あ、ああッ!!ちょっと出てるッ!  
いけねぇ…俺とした事がまた心のシュピーゲルが映し出すイリュージョンに閉じ込められちまった。  
………し、しかしこの発想は無かったぜ。1+1がインフィニティなこの世の天国、学園ヘブン!  
青少年の憧れ誰もが夢見る心の小宇宙(コスモ)ペガサス幻想!吹き荒れる嵐メンオブデスティニー!  
例え俗世から隔離され脱出不可能常態な迷宮のプリズナーであろうとも僕の地獄に音楽は絶えない!  
国が一夫多妻を認めなくたって構わねぇ!本人達が幸せなら世論なんざぁ二階の窓から投げ捨てろ!  
ほどばしる熱いパトスはもう誰にも止められ無ぇんだッ!!あぁんもう二人共愛してるぜベイベ☆☆  
つまり俺はわんぱくでも逞しくトリニティブラット始動へのムーブメントを起こすべきなんだな!?  
そうすりゃ二匹のムンムラプッシーキャットが俺のホットミルクを奪い合いせめぎ合うんだなッ!?  
よぅし!そうと決まれば早速ファラオのように淫らな匂ひを侍らせて姫胡桃の熱い歓びをこの手に…  
 
んあ?何だアンタ達……警察?……話しがある?悪いが後にしてくれ、俺は今多忙を極めてるんだ。  
……しつけぇな!国家権力にしっぽを振るワンちゃんがこの俺に何の用だってんだよ!?ええッ!!  
………ストーカー?……ナニを言ってるんだアンタ。はぁ?通報があったって、どちら様から………  
こっち見てる。何か凄ぇ俺を見てる。睨む様な眼付きで唯ひたすらに俺の方をウォッチングしてる。  
惨めな胸をしたお嬢さんが惚れてんじゃねぇかって位俺の事を凝視してる。視姦と勘違いする程に。  
視線が合ったからって後退るな!恐れるな!誇りを捨てるな!!チクショウ間違い無ぇあの子だッ!  
またあの子がヤらかしやがった!一度ならず二度迄もトラブルチョコレートを持ち込みやがったッ!  
オイ警官!やっぱ俺はナンもして無ぇぞ無罪確定だ!自意識過剰なあの子の妄言に惑わされんな!  
……犯人はみんなそう言う?違ぇよ俺は潔白なんだってッ!アンタそりゃ見込み捜査ってヤツで……  
署までご同行だぁ!?冗談じゃ無ぇ!おい止めろ触んな!肩を掴むな!ドント・タッチ・ミーッ!!  
俺の自由を奪えるのは先輩と千里ちゃんだけだ!アンタは二択に含まれちゃいねぇぞポリスメン!?  
「あれ、剛太じゃん。もう用事は済んだ……え、お巡りさん?………え?いや、ナニこの状況?」  
おおッ武藤!?丁度イイ所に来てくれた!見ての通り俺がピンチで危機的状況だ!俺を救ってみろ!  
つーかお前今どっから出てきたんだ?………ホテル・カリフォルニア?む、武藤……お前、まさか…  
「どうしたカズキ、何をそんなに慌てている?」  
読めてたオチだけど武藤ォォぉーーッ!!あんだけ釘を刺しといたってのにキサマはぁぁぁッ!!?  
俺の信頼を最悪な形でブチ壊してくれたな武藤!?よくも先輩をその天井知らずな獣性の毒牙にッ!  
先輩を辱めたお前の業は万死に値するッ!直ちに若さ故の過ちを月に変わってお仕置きしてやらぁ!  
俺の忠告を無視し先輩をモーテルに連れ込んだ重罪を冥府の底で号泣しながら懺悔するがいいッ!!  
…ああ!?何だよ邪魔すんな!俺達の血税で働く犬っころが…暴力行為!?これは正義の鉄槌だ!!  
俺は法に変わりそこに居る諸悪の根源を葬り去るんだ!守るべき未来と愛を信じて永遠へ!永遠へ!  
だからゴチャゴチャ言ってねぇで速やかにこの場から撤退しやがれ不誠実な税金ドロボーが………  
所で先程からアンタの後ろで柔軟体操してるアドンとサムソンみたいなスキンヘッズは何者なんだ?  
何て威圧感を醸し出してんだ……いやいや身を乗り出すなよ……こっち来んな!胸板を動かすなッ!  
テメー等何するつもりだ!?増援呼んで迄……痛て!痛てて!た、たんまストップブレイキング!!  
痛ぇっつてんだろ!?間接、間接が!卑怯だぞコノヤロウ俺一人にこんな大勢で!恥を知れ恥をッ!  
オマエ等は小さなお子様達の憧れ弱者を救う鋼のメシア、夢のヒーローだった筈じゃねぇのか!?  
それにお得意の民事不介入はどうした!?これは俺達ティーンエイジャーの次世代闘争なんだぞッ!  
ロートルは下手にしゃしゃり出ず縁側で茶ぁでも啜ってりゃいいんだ!解ったらさっさと俺を解放…  
ちょ、ちょっと待ってそんなムリヤリ!ひゃッ!?ヤぁぁ!ら、らめぇぇ!らめなのぉぉぉォッ!!  
 
 
…………あ、ブラボー戦士長ッ!!来てくれたんスね!?おつかれサマですッ!!  
……あの、怒っておられますか?違うんスよ、俺は無実なんです。コレは誤認逮捕なんです。  
無能な国家公務員共がまた一つ冤罪を作り上げたんです。加害者どころか被害者なんスよ、俺は。  
俺が犯罪なんて無様な真似をする訳……濡れ衣だった自分で何とかしろ?それは…そうっスけど。  
俺も次期戦士長候補と噂される戦団のエースですからその気になりゃあんなヤツ等瞬殺ですよ瞬殺。  
でもアイツ等…言う事聞かないともっと酷い目に遭わせるって……いやらしい眼付きで俺の身体を…  
……あの蛮族共は何て言ってるんスか?何時迄俺をこんな所に拘束してるつもりなんスかね?  
………ええ、はい……じゃ俺はお家に帰れるんっスね!?ラブリーエンジェルズの待つ我が家にッ!  
そんじゃ早速バミューダトライアングルな楽園で先輩に癒され千里ちゃんからは刺激を……戦士長?  
……ナニか言うべき事があるだろ?そ、そうっスね、ワザワザご足労頂いたってのに。えーっと……  
 
俺を救ってみろ。  
                               第二話 FLASH BASK  完  
 

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