某月某日。その日は鬱陶しいほどの雨が降り続いていた。
その日オレは岡倉から一本のビデオテープを渡された。
あいつが裏のルートから手に入れてくる無修正エロビデオだ。
いつもなら悦び勇んで貸してくれる岡倉が、その日ばかりは様子が違っていた。
「とんでもねえブツを手に入れちまったよ――」
その一言がオレの耳奥にこびり付いている。
あいつがびびる程のブツとは、一体何が映っているんだろうか。
「さ、ってと」
いつものオレのスタイルが完成していた。
左手にはビデオのリモコン。そして側にティッシュ箱。
右手で二、三度拳を作り開く。良好だ。これならばっちりだ。
「じゃあイくか」
期待に胸膨らませ、多少の不安をはらみつつも再生ボタンを押した。
タイトルは素人投稿で有名なシリーズ物だ。
そしていよいよ今回の投稿者の女性が出てきた。
「斗貴子さんじゃねえかっっっ!!?」
見間違うはずがない。特徴的な鼻の傷があったからだ。
「ってここオレの部屋じゃん!!!?」
家具の配置から部屋の配色までオレがいつも見ているこの部屋と同じだった。
頭の中がパニックになった。何故オレの部屋がこのビデオに記録されているのか。
そして斗貴子さんがむしゃぶりついている眠りこけている男は、
(オレじゃん!!!)
とうとう声も出せなくなった。
オレの痴態が、このビデオを目にしたもの全員にさらされてしまう。
そう思うときがおかしくなりそうだった。
(と、とにかく!)
何故こんなことになっているのか斗貴子さんに問いただす必要がある。
「ああそのことか。少し小遣いが欲しくてな」
なんとも単純な答えが返ってきた。
「小遣い……ですか?」
「うむ」
心の中に冷風が吹きすさんだ。
「大体キミも悪い。キミが起きてくれれば私もそこはかとなく楽しめたのだ」
その言い草にカチンときた。
「だったら今悦ばせてあげるよっ!!」
斗貴子さんの隙を付いてがばっと飛びかかった。
「あ、ああダメカズキッ!まだ夜じゃない……」
「関係ないさッ!!」
斗貴子さんの制服を引ん剥いて胸に、あそこに手を伸ばした。
「はぁッ、はぁぁッ!い、いいッッ!!」
「今日はとことん悦ばせてあげるよ!」
「ああ、お願いカズキぃッ!!」
そうしてオレは斗貴子さんの身体を貪りつくした。お粗末さまでした。