皆さ〜ん、お待ちかね、ここは銀成学園高校寄宿舎の女子風呂ォォォッ!!  
珍しく斗貴子さんがまひろちゃんと一緒に入浴しています。  
「珍しく」というのは、斗貴子さんが風呂嫌いという訳でも、もちろんまひろちゃんのことが  
嫌いな訳でもありません。未来の義妹ですし。  
ただ「すべすべー」攻撃をリアルスキンでやられるのは流石に辛いと。  
で、今は二人仲良く洗い場に並んで身体を洗っています。  
従って斗貴子さんが横を見ると、そこには当然、まひろちゃんがいます。  
同性ながら、そのスタイルの良さに思わず見入ってしまいます。声に出さずとも心の中で、  
「しかし本当、このコはスタイルがいいな。  
 胸なんか『ビルの街にガオー!』だし、『夜のハイウェイにガオー!』だし」  
 
……えっ?何だこの鉄人2○号の歌は、ですか?  
そりゃあなた、「スッポンポンより着衣がエロス」と昔の偉い人の言葉にもありますように、  
想像力によるエロスこそが全てのエロスの王です。  
つまり伏字の代わりですね。  
××××とか△△△△とかじゃ芸がないでしょ?  
それに、この位ならJASR○Cから暗闇仕留人が送り込まれることもないでしょう、きっと。  
まあ歌が古いのはご愛嬌。では現場に戻りましょう。  
 
「それに引きかえ、私の胸は『貧しさに負けた』で、『いいえ、世間に負けた』だし。まあ脚には  
 ちょっと自信があるが。…ええい、カズキが気に入ってくれてるからいいんだ!!」  
と、その時。まひろちゃんと反対側の横、つまり今、斗貴子さんの後頭部の方向から  
突然の悪寒が!  
大体どういう展開か、既に斗貴子さんにも読めましたので、いやいや振り返ります。  
「アラアラ、津村さん。お久し振り」  
「(やっぱり…)早坂桜花!!なんでお前がここにいる?  
 お前は寄宿生じゃないだろうが!」  
「いえ、自宅のお風呂が壊れまして。困っておりましたら管理人のブラボーさんが、寄宿舎の  
 お風呂の使用を許可して下さいまして。今、秋水クンも男子の方へ」  
「(戦士長ッ〜!!)銭湯に行けば良いだろうが!」  
「それが最近、蝶々スタイルの人が出入りしているようで、なんだか怖くて」  
「お前、顔見知りだろうがッ!」  
「あっ、桜花先輩だ〜」  
まひろちゃんが桜花先輩に気がついたようです。  
「うわ〜、桜花先輩、スタイルいい〜!『身長57メートル体重550トン』で、  
 『巨体が唸るぞ 空飛ぶぞ』なんて〜!うらやまし〜」  
「アラアラ、そういうまひろちゃんだって『空にそびえるクロガネの城』な  
 『スーパーロボット マジ○ガーZ』で『無敵の力は僕らのために』じゃない」  
「それに引きかえツムリン、おめぇ…『この世で一匹!平面ガエ』ルゴァ!!」  
「あっ、ゴゼン様だ〜」  
まひろちゃんが洗面器に押しつぶされたゴゼン様に気がついたようです。  
「もう出る!!」  
斗貴子さんはお湯を浴びると、さっさと脱衣所に戻ってしましました。  
 
さて脱衣所に付き物といえば、体重計。乙女の強敵(とも)。  
ここにも当然あります。しかも柱の頭に丸型の表示部がつくタイプです。  
「そういえば最近、量ってなかったな」  
そう思って斗貴子さんが体重計に乗りました。  
で、表示部を見ると――  
「アラアラ、『思い込んだら試練の道を』kgfですか?」  
「!"#$%&'() 桜花ッ!何を覗き込んでいる!っていうか、読むなっ!」  
「それよりキャラクターファイルのスペックより随分…」  
「言うな!…きっと壊れているんだ。間違いない!」  
「じゃあ私が…変ですね?ほぼデータ通りですけど。  
 あぁ、まひろちゃん。あなたも量ってみて?…う〜ん、別に壊れてないようですが?  
 …こらこら、壊そうとしない」  
と桜花先輩が斗貴子さんを取り押さえます。  
「ふふふ…幸せ太りですか?」  
「うっ、うるさいッ!!」  
斗貴子さんはそう言い捨て、得意の早着替えで服を身につけると部屋に戻ってしましました。  
途中、泣きながら男子浴場から飛び出したゴーチンとすれ違いますが、気にする余裕が  
ありません。  
桜花先輩。アンタ、何かやったでしょ?  
「アラアラアラ…」  
 
さて皆揃って楽しい夕食。  
カズキ君達も、いつものメンバーで集まって…おや?  
「あれ、剛太は?」  
「剛太君なら、地獄を見れば心が乾く、そっとしておいてくれ、って」  
「具合でも悪いのかな?風呂場で秋水先輩と話してたときは元気そうだったのに」  
「いやその直後、飛び出していったぞ、アイツ。何か泣いてたよーな」  
「比べたんじゃないかな」  
「…そうだね…」  
「?後で私が様子を見に…」  
「悪いね。頼むよ、ちーちん。…あれ、斗貴子さん、どうしたの?  
 全然食べてないじゃない。斗貴子さんも具合悪いの?」  
「いや、そういう訳じゃないが…」  
「斗貴子氏、レモンとか酸味のあるものを少し舐めたら?刺激になって――」  
「酸味〜?つまりは酸っぱい物!酸っぱい物が欲しい、つまりツワリ、ってことは〜!  
 カズキィ!!貴様、高校生の身でありながら『さあ立ち上がれライ○ィーン、ライデ○ーン』  
 で、『フェードイン、フェードイン』になって、『たちまち溢れる神秘の力』をし」ボギャ  
「黙れエロス!もういい、カズキ、先に戻るぞ!」  
ほうじ茶の入ったヤカンが命中しました。斗貴子さん、飲食物と備品は大事に扱わないと。  
ところで先に戻るって?お二人の部屋は別グドブリャ  
 
ああ、すいません。身体の一部と気を失ってまして。  
今はえ〜と、翌日のお昼休みですね。  
屋上にいつものメンバーが集まって、お昼ご飯ですか。今日はゴーチンもいますね。  
「でも斗貴子さん、今朝も食べてないじゃないか。どこか具合が悪いなら病院に」  
「いや、何でもない」  
「でも」  
「大丈夫だといっている!少し黙っていろ!!」  
「ヤだよ。こういうコトはちゃんと言う、って言ったよね?」  
「………すまない。つい…イライラして」  
ああ、ま〜た二人だけの世界を作っています。別名:苺時空。  
「実は、な。体重が…その…少し…増えたみたいで…。  
 トレーニングは以前と変わらずやってるのに…」  
「見た感じ、変わってないと思うけど?…どれ」  
というや否や、カズキ君が斗貴子さんをお姫様抱っこしました。全読者を狂喜乱舞させた  
ピリオドのタイトルバックのポーズですな。  
えっ?この場合、ミニスカートだから、見えちゃうだろうって?大丈夫、ちゃんとカズキ君が  
手でスカートの裾を押さえています。  
ただこの場合、自動的にお尻の部分に『ぼうや 良い子だ ねんねしな』となりますが、  
まあ『今も昔も変わりなく』だから大丈夫でしょう、多分。  
「…ちょっ、カズキ!そこ触らない!!///」  
「変だな、前と変わらないよ?  
 それに毎晩、『夜は墓場で運動会』で『楽しいな 楽しいな』で充分だと思うけど。  
 それとも『白いマットのジャングルに』で『今日も嵐が吹き荒れる』な状態で  
 『ルール無用の悪党に』のまま『正義のパンチをぶちかませ』にする?」  
「誤解を招くようなことをいうなッ!  
 大体キミは『涙 キスで拭った』まだキスだけだ!!私はいつでもOKなのに『ロンリーウェイ  
 この僕の』、って、なんで肝心の部分に歌入らない?!」  
あ〜ごめんなさい。TVオープニングVer.使っちゃいました。はしーれエロスのよおにー♪てか。  
 
「って、カズキィ〜ッ!!お前、以前からそんなことしてんのかーッ?!」  
「お兄ちゃん、きゃーっ!!」  
「まっぴーのお兄ちゃん、凄すぎるー!!」  
「…あうあう…」  
「なんか…凄く恥ずかしい気が…って、中村先輩?!」  
「うん、泡を吹いてひっくり返っているね。何か余程のショックを受けたみたいだな」  
「いや冷静に観察してる場合じゃないって!保健室、連れていかないと!」  
やっと皆も我に返りました。  
 
「お昼休みだからって、何を騒いでいるんです?あら、武藤クン達でしたの」  
桜花先輩がやってきました。  
「一体、何の騒ぎです?下の教室まで響いてましたわよ」  
「桜花先輩、実はお兄ちゃん達が、『赤く赤く赤く唸る翼』で『燃える燃える燃える  
 太陽のある限り』になっちゃって」  
「いやU○ードなんて誰も知らないから!」  
「歌っていたのはフォー○ーブスだね」  
「本当に何者だ?」  
「アラアラアラアラ…。ごめんなさい、津村さん。実は…後ろから覗き込む時、体重計の上に  
 脚を乗せて、ちょっと押したんですの。  
 軽い冗談で」  
「……冗談で済むかァァァァっー!!」  
「ダメだよ斗貴子さん、食べてないのに暴れちゃ!ほら、おにぎりを」  
「待てカズキ。夕べから何も食べていないのに、いきなり固形物はまずい」  
「そっか。じゃあ…この青汁DXを!」  
「あぁ、いや、私は…青汁は…ちょっと…」  
「えっ、飲み物も喉を通り辛くなっちゃったの?…よし、じゃあ口移しで」  
「///待てッ、待て〜!!///」  
「嫌なの?う〜ん…  
 それじゃあ『どんな敵でも味方でも構わない』にして『この手を離すもんか 真赤な誓い』  
 にする?」  
 
   「「「 きゃあ〜〜!!!」」」  
 
〜おわり〜  
 
 

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