海外にいる父さんと母さんが、俺とまひろにウィスキーボンボンを贈ってきてくれた。
どうも今はスイスにいるらしい。中々上等なチョコレートだった。
………早く父さん達に斗貴子さんの事紹介したいなぁ…。
そんな事を思いながらボンボンを味わっていると、斗貴子さんが部屋に入ってきた。
「居るかカズキ?入るぞ」
斗貴子さんは後ろ手に扉を閉めて、そのままカギをかける。
「あ、斗貴子さん!丁度良かった!!一緒に食べない?」
俺は斗貴子さんにボンボンの箱を見せた。
「ん、チョコレートか?おいしそうだな、どうしたんだ?」
「うん、父さん達、今スイス辺りに居るらしくってさ。それで」
「へぇ。……本当においしそうだな」
やっぱり食いついてきた。斗貴子さんが甘党だという事を俺はよく知っている。
夏祭りの時なんか、綿飴と林檎飴を一緒に食べていたぐらいだ。
「好きなだけ食べていいよ」
「い、いや流石にそれは悪い…でも、一つ貰おうか」
遠慮しなくてもいいのになぁ。奥床しくって素敵だけど。
斗貴子さんはきっといいお嫁さんになってくれるだろう。
「それじゃ…いただきます」
斗貴子さんがボンボンの包み紙を開いて、丸い塊を柔らかなくちびるに触れさせる。
…うん、可憐だ。その仕草を見ているだけで、笑みが零れてきた。
「…何を笑ってるんだキミは?確かにこのチョコはおいしいが、そんなに満面の笑みで…」
違う違う、と俺が説明しようとしたその瞬間。斗貴子さんの表情が固まった。
「…?ど、どうしたの?斗貴子さん?」
「こ…これ、まさか……お酒…」
斗貴子さんは小刻みに震えている。もしかしてお酒が駄目だったのだろうか?
「だ、大丈夫!?斗貴子さん!?」
「だ……だいじょっ…けど」
最早何を言ってるのかも分からない。
俺があたふたしている内に、斗貴子さんはこくんと一息で飲み込んでしまった。
そして、まるで気を失ってしまったかの様に俺に胸に倒れこんできた。
俺は斗貴子さんの両肩を支えて、少し揺すりながら話しかけた。
「と、斗貴子さん?しっかりして斗貴子さん!!」
「う…うん……」
斗貴子さんがこちらを見つめ返す。一応、平気な様だ。…って、あれ?
…瞳が潤んでいる。頬を赤く染めている。
「…カズキ?カズキか?」
声に甘いトーンが掛かっている。……もしかして酔っているんだろうか?
いやいやそんなまさか。だってあんなチョコレートの中に入るウィスキーの量なんて……
「……カズキィ」
斗貴子さんの両手が、俺の両肩に置かれる。斗貴子さんは更に重心を俺寄りにしてきた。
もうしなだれかかっているといった状態だ。
……やっぱり酔ってる…。
いつもの斗貴子さんは自分から甘えてきたりしない。極稀にあるけど。
「なぁ、カズキ………」
斗貴子さんが、徐々に徐々に体重をかけてきている。斗貴子さんの顔も近づいてくる。
「………しよう?」
待って、待ってください斗貴子さん。そんな表情で、そんな声で、そんな事囁かれたら。
赤面するとか心臓が早鐘を鳴らす様とかそれだけの事じゃ終わらないですよ。
とうとう、斗貴子さんは俺の体を押し倒してしまった。
「斗貴子さん…まだ昼間なんだよ……?」
「関係あるものか…キミとの時間の方がずっとずっと大事なんだから…」
いつもの斗貴子さんなら絶対に口にしないだろう台詞を、簡単に言ってくれた。
なんと言うか、感無量な気分。
俺の太腿辺りに馬乗りになった斗貴子さんは、桜色の顔で微笑んでいる。
「私が…ヨロコばせてあげるからな、カズキ……」
斗貴子さんは慣れた手付きでベルトを外しズボンを脱がし、俺をパンツ姿にしてしまった。
もちろん、そこには既にみっともないテントが張られている。
「フフ…いつも程々にしておけと言ってるのに、キミときたら……」
そう言いながら一気にパンツを引き剥がす斗貴子さんも、相当エロスだと思うんだけど。
とうとう斗貴子さんの目の前に、俺のものが何の隔ても無く現れてしまった。
斗貴子さんは躊躇いもなくそれに触れる。
「うわぁ…斗貴子さんの手、あったかい…」
「気持ちいいか?」
「うん、すごく…」
斗貴子さんの指は、竿と言わず袋と言わず、全体をくまなく刺激している。
優しく柔らかな愛撫は、簡単に俺を追いつめてゆく。
「斗貴子さぁん………」
「まぁもう少しだけ我慢しなさい…」
斗貴子さんはそう言いながら婀娜っぽく笑った。
…何をする気なんだろう。
俺がそう思った瞬間、斗貴子さんは、俺の先端を軽く口に含んだのだった。
その突然の行動で、俺の全身に電気の様な快楽が走ったのは言うまでも無い。
ちゅ、ちゅう。ちゅぅう…
斗貴子さんのぷるんとしたくちびるが、俺の亀頭を吸い上げている。
「ちょ、斗貴子さん、それはっ……!」
俺は静止の言葉を口にしようとしたのだが、興奮で舌が縺れてしまった。
斗貴子さんは更に深く深く、俺を飲み込んでいく。
「んむぅ…」
苦しそうな声が斗貴子さんの口から漏れた。その直後、斗貴子さんの頭が上下し始めた。
歯が当たらない様に接するのは難しいという事は、俺もよく知っている。
それでも、斗貴子さんのフェラは歯が当たらないどころか、舌の動きが止まる事すらない。
じゅ、じゅう…じゅむ、ぐちゅ。
唾液の音はいやらしく、それでいて心地いい。
何より、斗貴子さんが進んでそれをしてくれているという事実に、俺の心は揺さぶられていた。
「とっ……さん、俺、もぅ…」
自分でも悲しく思えるくらいに情けない声が口をついた。ホント、もう限界。
それを聞いた斗貴子さんは、目だけで妖しく笑っていた。口の動きを止める気配もない。
…え?斗貴子さん?
「ちょ、ちょっとぉ!そのままじゃ喉の奥に出しちゃうって!斗貴子さぁん!?」
「む、んん!」
俺のペニスを咥えた、というか飲み込んだまま喋られても何言ってるのか分かんないよ!
あぁ、これ以上の我慢は無理………。
「も、もう出るよ斗貴子さん!」
びくっ、びゅくぅ、びゅくん!
「ンンッ!む、んっ…」
斗貴子さんは目を瞑って、断続的に喉を鳴らしていたが、やがて俺から口を離した。
「ぷはぁっ!ふぅ、ふぅ…」
「ゴメンね斗貴子さん、苦しかったでしょ?」
「……キミが謝る事じゃない、私が勝手にやったんだから。それに…」
「それに?」
「キミの気持ち良さそうな顔見てたら…止めたくなくなった」
少しはにかみながら斗貴子さんはそんな事を言った。……すっごく嬉しい……。
やっぱり酔ってるんだろう、普段の斗貴子さんならそんな事思ってても口には出さない。
…まぁ、仕草とか表情とかでバレバレだったりするんだけど。
「さぁ、次だぞ…カズキ」
斗貴子さんは、ホックを外してスカートを脱いだ。
寝そべってる俺からでもショーツが湿っている事がハッキリと分かった。
「カズキ…私、キミにあんな事しただけで、こんなに……」
斗貴子さんがショーツのゴム部分をぐっと引き上げた。
すると、ショーツの許容量を超えた愛液が太腿を伝って垂れ落ちてきた。
エロス過ぎるよ斗貴子さんっ!濡れやすい体質なのは知ってるけどさぁ!
「もう我慢出来ないんだ………構わない、だろ?」
……俺が斗貴子さんのお願いを断れるワケないじゃないか。
「うん…いいよ。いつでも来て」
「すまない、それなら早速…」
とうとう斗貴子さんは下半身を露にしていった。
すらりとした足から引き抜かれていくショーツは、べとべとどころの話では無い。
斗貴子さんの秘所からは絶え間なく蜜が流れ出しているんだから。
斗貴子さんが、俺の屹立の真上に腰の照準を合わせた。
「カズキ、いくぞ…」
斗貴子さんの体の中に、俺が埋まって行く。
じゅぷぷぷぷ……
「ぁああああっ!」
斗貴子さんの下降が終わったのは、俺を全て飲み込み終わった時だった。
斗貴子さんの股間と俺の股間がぴったりとくっついて、
怒張の先端はしっかりと子宮口に触れている。体内の熱が独特の気持ちよさを与えてくれる。
「カズキイィ…すごく熱い…」
「斗貴子さんの中も……」
焼け爛れたかの様に潤んだ斗貴子さんの瞳が色っぽい。
卑猥な音を立てつつ、斗貴子さんの腰が動き出した。
ぐちゅっ、ちゅちゅ、じゅぷ、ちゅっ……
「と、斗貴子さんスゴイ…スッゴク気持ちいいよ……」
上下だけでなく、前後左右、円運動も加えた斗貴子さんの動きは圧巻の一言だった。
バルキリースカートの訓練によって鍛えられた足腰は伊達ではないといった所か。
「はぁ、私もぉ…動く度にキミのが奥に当たって………っ」
斗貴子さんがドコが感じるとか言う事って珍しいなあ。
そうだ、と俺は思いついた。せっかくだから斗貴子さんの性感帯について聞き出そう。
酔ってる今なら話してくれるかも!もっと斗貴子さんをヨロコばせるためにも必要な情報だ。
「ねぇ、斗貴子さん、どこがイイの?どういう事されたら一番気持ちいい?」
斗貴子さんの太腿に手を掛けながら、俺はストレートにそう質問した。
「そ、それはぁぁ…」
流石にこれは言い難いのだろう、斗貴子さんの顔には本日最高の赤みがさしていた。
「……どうしても…聞きたいか?」
自身の上下を止める事無く、斗貴子さんはそう言った。
「うん、聞きたい」
俺がそう言うと、斗貴子さんは意を決した様に喋り出した。
「私は……キミのが私の中に全部収まって、私の一番深い場所に当たってる時に、その…」
「その?」
「だ、だっ出されるのが………すごくいい……」
……それって。
「…出されるって、えーと…射精の事だよね?」
斗貴子さんはほんの少しだけ頷いた。
……それってつまり。
「……斗貴子さんって中出しが好きなのぉ!?」
「そんな風に言うなぁ!だから言いたくなかったんだ!!」
「で、でもそういう事でしょ!?」
「しょうがないだろっ!キミの脈動とか、温かいものが入ってくる感覚とか、キミの表情とかっ!
そういうの全部が私を気持ち良くさせるんだからぁっ!!」
斗貴子さんはまるで叫ぶかの様にそう言った。
俺から聞いておいてなんだけど、正直恥ずかしかった。
自分の頬が紅潮しているのが、はっきりと分かる。
「じゃあ、斗貴子さんもうすぐ気持ちよくなれるよ…」
「…正直に出そうだと言わないか」
こんな話をしながらも斗貴子さんは動き続けていたので、俺はもうギリギリだったのだ。
「まぁいい。…いつでも好きな時に、好きなだけ出しなさい」
さっきとは百八十度調子を変えて、優しくも艶っぽい声で斗貴子さんは言った。
「斗貴子さんってやっぱりエロスい…」
「キミにだけは言われたくなかったんだがな」
斗貴子さんはくすくす笑いながら腰の動きを加速させた。
じゅぽっ、ぐぷ、じゅぷっ……
「うぁぁぁ……斗貴子さん…」
俺も何とか斗貴子さんを突き上げようしているが、斗貴子さんの動きが複雑すぎて叶わない。
普段なら有り得ない、斗貴子さんによる完全リード状態だ。
「…カズキ…気持ちいいか?」
斗貴子さんの声が俄かに震えている。斗貴子さんも絶頂が近いらしい。
「気持ちよすぎだよ斗貴子さん、俺もう…もう!」
「いいぞカズキ、いつでも出せっ……」
斗貴子さんがそう言い終わった瞬間、俺はあっけなく達してしまった。
「と、斗貴子さん、斗貴子さぁあん!!」
びゅるっ、びゅくぅ、びゅるるっ!
狙い澄ましたかの様に斗貴子さんの腰が降りてきて、放たれた精が子宮口を打つ。
「ひゃあっ、ひゃああああん!!」
斗貴子さんの体が俺の上で大きく反り返って、びくびくと痙攣した。
「………はぁぁぁぁ」
快感の余韻の所為か力が抜けた斗貴子さんは、俺に抱き付く様に倒れこんできた。
「良かったよ、斗貴子さん」
「……私も…」
俺が斗貴子さんの頭を撫でてあげると、斗貴子さんは恥ずかしそうに笑ってくれた。
――翌朝――
「斗貴子さんの酔い癖、もうホントに凄かったよねー」
「だ、だからもう止めてくれぇ!!」
斗貴子は顔を真っ赤にしている。
「あ、あれはあくまで、本当に酔ってしまったからで…いつもは」
「いやぁそれにしても、まさか斗貴子さんがあそこまでエロスだとは」
「止めろぉおお!!」
斗貴子は腹の底から絶叫した。
斗貴子が目覚めた時、酔いが綺麗さっぱり覚めていた事は彼女にとって幸運だった。
しかし、昨晩の自分の行いをはっきり覚えていた事は彼女にとって大きな不幸だった。
カズキは目覚めてからずっとこの調子で斗貴子をからかっているのだ。
「イヤイヤ、別に悪い事だなんて言ってないよ?昨日の斗貴子さん、滅茶苦茶かわいかったし」
斗貴子は彼のこの発言に少しムッとした。
(何だかそれじゃあいつもの私がかわいくないみたいじゃないか!)
斗貴子がそう考えた瞬間、カズキが口を開いた。
「違うって。いつもの斗貴子さんも滅茶苦茶かわいいけど、ああいう一面も、っていう意味」
まるで心を読んだかの様な彼の発言に、斗貴子は思わずどきりとする。
「な、何を言っている!私はそんな事思って――」
ぎゅう。
突然、カズキの腕が斗貴子の腰に回され、彼女を抱き寄せた。
「うわっ…」
「えへへ。やっぱりこの方が落ち着くよね」
カズキは勝手な事を言いながら、一人で愉快そうに笑っている。
「……もう」
彼の眩しい程の笑顔を見て、斗貴子の怒る気もどこかに飛んでいってしまった。
斗貴子は仕方なく、彼の背中に腕を回した。
そして、にこやかに微笑んでこちらをみているカズキに向かって、こう言い放つのだった。
何だかんだでいつもやり込められてしまう、最愛の人に向かって。
「……もうキミの前では絶対にアルコール類は飲まない!」
愛する人はお酒に弱い―――了