パピヨンの核鉄回収騒ぎから2ヶ月たった2月半ばの夜のことだった。  
寄宿舎の一室に5人の男子生徒と5人の女子生徒と1人の大人が集まっていた。  
「じゃあ議題は来週のスキーについてだ。場所は新潟の白熊スキー場。参加者は13名だ。」  
六舛が場を仕切っているとまひろが大騒ぎしだした。  
「キャー!!みんなでスキー!!ひゃほおぉぉぉう!!」  
参加者は前回の海の時のカズキ、斗貴子、まひろ、岡倉、大浜、六舛、ちーちん、さーちゃん、  
ブラボーに加えて、3年の桜花、秋水、転入生の2年中村剛太、1年毒島華花も加えて13人になっていた。  
本当は3学期から赴任して何の因果か生徒の人気者になっていた火渡英語教諭をブラボーが誘ったのだが、  
「あ!?クソ寒い時期にクソ寒い場所にわざわざ行くなんて馬鹿のすることだ。」と一蹴されていた。  
「なお各自当日までにスキー用具一式を用意しておくこと。議題は以上!では解散。」  
今回の会議を仕切っていた六舛がそういうと、各自自分の部屋に戻っていった。  
スキー用具を買いに行かないといけないなと斗貴子が考えているとカズキが声をかけてきた。  
「ねぇ。斗貴子さん?いっしょにスキーウェア買いに行かない?それといっしょに映画でも・・・」  
そこまで聞いた後は斗貴子の耳には聞こえていなかった。  
(カズキとショッピングと映画。これは・・・これは俗に言う初デートと言う物かぁあああ!!)  
カズキは斗貴子のバックに荒れる日本海が見えたような気がした。  
「明日の金曜は14時で終わりだから放課後に行こう。じゃおやすみ。」  
そういうとカズキは自分の部屋に入っていった。  
その夜、斗貴子は深夜3時ごろまで興奮して眠ることが出来なかった。  
「2人でいっしょにショッピングを楽しみ、二人で愛をこめたおそろいのペアリングを買って、  
今話題の恋愛映画を見て、おしゃれなレストランで夕食。最後に2人は夜の街に消える。・・・。」  
斗貴子はベットのなかで多分他に人がいたら絶対に言うことはないようなひとり言を眠るまでつぶやいていた。  
初キスから半年はたつが、二人はまだ想いを遂げていなかった。  
「明日こそは・・・。」そう思うと斗貴子はいつの間にか眠りについていた。  
 
翌日の放課後、いったん寄宿舎に戻って2人は普段着に着替えた。  
カズキはジーンズに白いセーターと山吹色のマフラーという格好、斗貴子は紫色のパーカーに黒いミニスカート、  
毛糸の虹色の手袋に赤いマフラー、黄色のヘアバンドに髪で隠れた緑色のピアス、茶色のブーツと言う格好だった。  
ヘアバンドやピアス、ブーツなんて普段斗貴子は身に着けることはないが、今日は特別だった。  
自分の服を買いに来たり、ロッテリやで食事をしたりと頻繁に来る銀成の街だったが、斗貴子にだけは  
いつもと違って見えた。これが俗に言う恋する乙女フィルターなのだろうか?  
2人はまずスポーツ用品店に入った。  
 
「俺はスノーボードに挑戦してみようかな?斗貴子さんスキーやったことある?」  
「私の故郷は温暖な島だったからな。戦士となってからは任務ばかりでスキーは初めてだ。」  
「じゃあ俺が手取り足取り色々と教えてあげるよ。何を隠そう俺はスキーの達人だ!!」  
斗貴子はカズキとの2人だけのスキー教室を妄想して悦に浸っていた。  
「斗貴子さん?どうしたのボーっとして?」  
「は!?い・・・いや!!なんでもない!?気にするな!!」  
最近斗貴子は気がつくとカズキのことを考えてボーっとしていることが多くなっていた。  
2人はおそろいのスキーウェアとカズキはスノーボード、斗貴子はスキー板を購入した。  
斗貴子はペアルックでスキーをする光景を想像して顔を赤くしていたが、カズキは気がついていない。  
スポーツ用品店を出ると、斗貴子はカズキに言った。  
「なあ、二人で・・・。そのお揃いの指輪を買わ・・・」  
「次は映画だね。あ、次の上映時間もうすぐだ。急ごう。」  
「いや指輪・・・。まあいい。ところで映画は何を見るんだ?やはりここは今話題の『エンバーミングU』とか・・・。」  
「もちろん『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』だよ。」  
「はぁ?今なんて言った?ウルトラ・・・マン?」  
「だって昭和50年の1月放送のウルトラマンレオ第40話で円盤生物襲われて行方不明になったウルトラセブン、  
モロボシダンが31年ぶりに帰って来るんだよ!?これは男なら見に行くしかない!!」  
 
「何をやっているんだメビウス!!そこだ!!行け!!臓物をぶちまけろ!!」  
「と・・・斗貴子さん・・・?」  
幼い頃津村家の屋敷で牛部少年とウルトラマンシリーズのビデオを見ていた斗貴子は、気がついたら  
カズキの数十倍以上大興奮していた。とくに好きだったウルトラマンタロウが登場すると鼻血まで出す始末。  
「そこだ!!殺れ殺れ!!超獣の脳漿をぶちまけろ!!」  
「あの・・・うちの子がうるさいって言っているんで少し静かにできませんか?」  
「すみません。すみません。本当にすみません。」  
大興奮して鼻血を出しながら暴走する斗貴子、後のおじさんに注意されて平謝りするカズキ、  
そして映画はクライマックス。結局カズキは童心に戻りまくった斗貴子を最後まで止められなかった。  
「いいぞブラボーだ!!ウルトラ兄弟!!蝶サイコーだ!!・・・・は!?」  
口調まで変わるほど大興奮していた斗貴子はエンディング終了と同時に我に返り、顔を真っ赤にした。  
よほど恥ずかしかったのかカズキをを置いて半泣きで映画館を飛び出していった。  
 
「ハァハァハァ・・・。最悪だ。史上最悪だ。私は馬鹿だ」  
映画館から逃げ出した斗貴子は映画館の裏の人気のない狭い路地で自己嫌悪モードに入っていた。  
18にもなって人前で、しかもカズキの前で興奮して映画館で大騒ぎをしてしまった。  
しかも興奮して鼻血まで出してしまったし、きっとこの噂は町中に広まるだろう。  
それにカズキからも特撮ヲタの変態女として白い目で見られるに違いない。  
そう思うととてつもなく気が重かった。  
「いたいた。斗貴子さん?あ、まだ鼻血止まってなかったんだ。はい、ティッシュ。」  
映画館館内から点々と垂れていた鼻血の後をたどってカズキが追いついてきた。  
「斗貴子さん。ビックリしたよ。あんなに興奮して・・・。」  
「すまない。私もパピヨンと同レベルの変態かもしれない。もう死んでしまいたい・・・。」  
「斗貴子さんもウルトラマン好きなんだ。こんど俺の部屋でいっしょにDVD見ない?」  
さっきの自分の痴態を気にもとめていないカズキに斗貴子は安心した。  
「・・・ああ。ありがとう。君といっしょか。」  
 
「そろそろ夕食時だな。何を食べるんだ?」  
「え?そりゃあいつもの店(=ロッテリや)でしょ?」  
斗貴子の問いにカズキは当然のように答えた。  
「いや・・・。今日はもっと別の店にしないか?」  
「ん〜。たしか駅の東口高架下のラーメン屋が美味しいって評判だったなぁ。」  
「もっとおしゃれな店にしてみないか?例えば海の見えるビルの高層階のレストランとか・・・」  
「埼玉に海ないよ。あ、高層階の店がいいなら駅ビル5階の焼肉バイキングにする?」  
「・・・・・・・・。ロッテリやでいい・・・。」  
 
二人がロッテリやに入ると錬金戦団戦士長にして私立銀成学園高校英語教諭の火渡が座っていた。  
「よう。高校生の分際で逢引きとかいい度胸してるな?」  
二人で糖尿病になるくらい甘い夜をすごしたかった斗貴子はこの野暮な男には関わりたくなかった。  
「出るぞカズキ!!店員さん!!やっぱりお持ち帰りで!!」  
「え、いいんですかブチマケ女さん?偽善君はあちらの盛り上がってますけど?」  
「誰がブチマケ女だ!!ってえぇ!?」  
驚いて斗貴子は振り返る。  
二人は一生懸命教頭先生への不満をぶちまけていた。  
 
「教頭のクソハゲが!!校舎裏でヤンキーといっしょに煙草吸ってたぐらいで怒鳴りやがって!!」  
「うんうん。俺なんかLXE戦のころにブラボーの特訓でバテて廊下で熟睡したら叩き起こして教頭室送り。」  
「あとこの前も3年の不良と校庭の落ち葉を集めて火遊びしてたら花壇に飛び火して減給処分だ!!」  
「何て横暴なんだ教頭先生!!火渡は校庭の掃除をしてゴミを焼却処分しただけなのに!!」  
「武藤カズキ!!お前とは案外気が合いそうだな!!」  
「あんたこそ思ったよりも面白い人だな。」  
生徒と煙草を吸うなんて怒られて当然だし、廊下で白目剥いて熟睡していたら誰だって注意するし、  
最後の火遊びにいたっては全焼した花壇からさらに校舎に飛び火しそうだったのだから減給は当然だ。  
そう斗貴子はツッコミを入れたかったが、二人の空気に斗貴子が入っていくのは容易でなかった。  
結局カズキと火渡は2時間話し続けてその間斗貴子は蚊帳の外だった。  
 
斗貴子は少し落ち込んでいた。ショッピング、映画、夕食と立て続けに失敗している。  
しかもこの空気では二人で愛の世界に入ることは難しい。  
「火渡って第一印象は超最悪だったけど、そこまで悪い人じゃないね。」  
「ああ。そうかもしれないな。」  
カズキのたわいもない話にどこか上の空で返事を返す斗貴子。  
斗貴子がふと気がつくと二人はラブホテルが立ち並ぶホテル街を歩いていた。  
こんなところに連れてくるとはカズキも最初からそのつもりだったのかと斗貴子は思った。  
「・・・。君が望むのなら私は覚悟はできている。ただゴムだけは忘れるな。」  
「え、ああ輪ゴムならカバンの中にいくつか入れてあるけど?なんに使うの?」  
「馬鹿!!そのゴムじゃなくて・・・」  
「ああ、ヘアゴムならまひろのがカバンの中にあるよ。」  
「違う!!っていうか何で妹のヘアゴムを持ってるんだ!?私が言っているのはコ・・・コンドー・・・ム」  
「コ・・コンドー?あ、ああ新撰組局長の近藤勇ですか?」  
「カズキ?わざと言っているだろ?コンドーム!!避妊具だ!!」  
その斗貴子の台詞を聞いたカズキは顔を真っ赤にして激しく動揺した。  
「え?え?えぇええええ!?でも、あの?俺達高校生だし?それに、あの、その・・・。」  
「・・・。そうか。君はそういう気じゃなかったのか。スマン忘れてくれ。」  
「・・・・。斗貴子さん!!」  
「な・・・なんだ!?」  
「俺まだそういう経験はないからお手柔らかにお願いします。」  
「馬鹿を言うな。私だって初めてだ。」  
 
ホテルに入る前にコンビニに寄る二人。  
かごの中にコンドームと雑誌、ホットコーヒーなどを入れてレジに並ぶ。  
レジの店員は20代前半くらいの男だった。  
(あいつらこれからヤるのかよ。うらやましいぜ畜生。)  
店員がレジを打っている間斗貴子は店員にそう思われているような気がして真っ赤になった。  
もちろん店員はいつものことなので気にもとめていないはずだが、やはりこういうものを買うのは恥ずかしい。  
「店員さん。これってどういう風に使えばいいんでしょう?俺初めてだからよくわからなくて・・・。」  
カズキは特に何も考えていないのだろうが、店員と斗貴子はギョッとした。  
さらに顔を真っ赤にした斗貴子はカズキの目を指で突き、会計を済ませるとカズキを引きずってコンビニを出た。  
「あ!!お客様4231円お釣りが!!お客様!?」  
恥ずかしさのあまり斗貴子には店員の言葉は聞こえていなかった。  
店員は慌てて追いかけるが、店の外に出た頃にはすでに錬金の戦士の身体能力で遠くに走り去った後だった。  
 
二人ともラブホテルは初体験。フロントで案内されて部屋に入った。  
「へ〜。ラブホってこういう感じになってるんだ。そこらのビジネスホテルより設備いいや。」  
「まったく。コンビニの店員にあんなことを聞いて。馬鹿か?」  
「いや、間違って斗貴子さんを妊娠させたら申し訳ないから使い方を聞こうかと。」  
「こういうのは説明書が付いてる。それにしても一度も君は私を求めてこなかったから少し不安だった。」  
「俺も・・・。斗貴子さんにそういう話をして嫌われたらって思うとなかなかいい出せなくて。」  
「私はずっと待っていたんだがな。女の子のほうから言わせるなんて君は最低か?」  
「ごめんなさい。反論の余地もありません。」  
「謝罪はいい。代わりに精一杯の愛で返してくれればな。」  
そういうと二人は抱き合って甘く、熱いキスをした。  
キスをしたままカズキが斗貴子の服に手をかけて上手に脱がしていく。  
「か、カズキ!?君は本当に初めてか?脱がすのが異常に上手いのだが?」  
「ああ、昔何度かまひろで練習しているからね。」  
「な!?ななななな!?君達は兄妹でそんなことを!?」  
「幼稚園の頃に両親の寝室での行為を真似して。って脱がしあいだけだよ!!近親相姦とかじゃないから!!」  
「な、ならいいが。幼い兄妹ってそんなものか?」  
 
ついに斗貴子を生まれたままの姿にしたカズキはその美しい裸体に見とれていた。  
「ジーっと見るな!!恥ずかしいじゃないか!!」  
「斗貴子さん。綺麗だよ。」  
「そうか?私は桜花やまひろのように胸はないし、正直スタイルに自信はないぞ?」  
「スタイルなんか気にすることはないよ。斗貴子さんは世界中の誰よりも綺麗だよ。」  
「ありがとうカズキ。」  
カズキは斗貴子の秘部を舌で愛撫し始めた。  
「ん・・・あぁああ!!か・・カズキぃ・・・。」  
斗貴子の甘い声がラブホテルの一室に響き渡る。  
まだ斗貴子は処女で誰にも性感帯は未開発、しかも自慰行為も経験がない。  
なのに何故チェリーのカズキがここまで感じさせるテクニックを持っているのか斗貴子は不思議だった。  
だが途中から快感が全身を貫き、それ以上考えることが出来なくなった。  
「あぁあ!!あ!!あぁああ!!カズキ・・・そろそろ。」  
「ん。了解。じゃあ挿れるよ。」  
カズキの陰茎を斗貴子の陰部が飲み込む。斗貴子の陰部からは処女を失った証の鮮血が流れた。  
「斗貴子さん?痛くない?」  
「す・・・少し痛いが今までの戦闘での傷の痛みに比べれば何と言うことはない。」  
「じゃあ動かすよ。」  
カズキのピストン運動に最初は苦痛を伴ったが、すぐに快感へと変わった。  
「斗貴子さんの膣内。暖かくてすごく気持ちいい。」  
「か、カズキのが私の膣内で暴れている!!あぁああ!!あ!!すごい!!」  
挿入開始から8分が経過し、そろそろ二人とも絶頂を迎えようとしていた。  
「斗貴子さん!!俺もうそろそろ・・・」  
「いいぞカズキ!!私も何か・・・変な感覚が・・・」  
「あ!!出すよ斗貴子さん!!」  
「あぁああ!!あ!!は・・・臓物に!!ぶちまけろ!!」  
カズキと斗貴子は同時に絶頂を迎えた。  
 
「臓物にぶちまけたら妊娠しちゃうよ。それにゴムつけてるし。」  
「わかってる。だが快感で脳内が真っ白になる瞬間自然に出てきたんだ。」  
「ね、斗貴子さん?もう1回いい?」  
「ああ。君が望むなら。って待てぇ!!そのまま挿れる気か!!ゴムを新品に交換しろ!!」  
 
翌朝、土曜日の午前9時。  
カズキと斗貴子はラブホテルから出てきたところで聞きなれた声が聞こえた。  
「お兄ちゃんおめでとう!!斗貴子さん?お兄ちゃんとの感想は!?」  
「カァアアアアズキィイイイ!!ついにそこまで行ったのかこのヤロウ!!」  
「おめでとうカズキ君。」  
「ついにチェリー卒業か。お祝いに何かおごれ。」  
「マッピーのお兄さん朝帰り!!」  
「ま・・・まだ二人とも高校生なのに・・・。過激です・・・。」  
ホテルの入口にまひろ、岡倉、大浜、六舛、さーちゃん、華花が立っていた。  
「な!!何故君達がここに?」  
顔を真っ赤にした斗貴子がみんなに尋ねると6人の後からパピヨンが現れた。  
「蝶人パピヨンは空から何でもお見通しさ。ちょっと冷やかしてやろうと彼らを案内したんだ♪」  
再びラブホテルの扉が開いて高校生の男女が出てきた。  
初体験を終えて男の顔になった剛太と何故かメガネをしていないちーちんだ。  
「あれ?斗貴子先輩?武藤?何で?」  
「み・・・みんないるの?恥ずかしい?」  
突然の出来事に驚く剛太と恥ずかしそうにしているちーちん。  
「きゃぁあああ!!ちーちんもおめでとう!!剛太先輩と結ばれたのね!!」  
まひろはさらに超ハイテンションで大騒ぎ。そこへさーちゃんが一言。  
「ところで何でめがねをしていないの?」  
「え?剛太さんが『メガネがない君も可愛い』っていうからコンタクトにしてみたの。」  
そこへ毒島華花の一言でカズキ、斗貴子、剛太は凍りついた。  
「あれ?千里さんめがねがないと斗貴子さんに似てますね。」  
他のみんなは「似てるなぁ〜」という反応だったが、かつての剛太の想いを知っている者は何か察したのだろう。  
「剛太・・・。まさかお前・・・・。」  
「武藤カズキ君?何ノ話デスカ?私ニハさっぱりわからないアルネ。」  
しらばっくれてはみたがバレバレだった。  
「誰か核鉄を持ってないか?ちょっと臓物をぶちまけたいんだが?」  
斗貴子にいたっては剛太を恐怖に陥れるほど殺気立っている。  
「ひぃいいいいいいいい。こ、殺される!!」  
 
殺気を放つ斗貴子に剛太が怯えているとさらにラブホテルの扉が開いて高校生の男女が出てきた。  
「お前は秋水!!それに桜花!!」  
「きゃあああああ!!実の姉弟の禁断の恋!!」  
「さ、さすがの蝶人パピヨンもこれは・・・。うぉおお!!あ!!マスクが!!」  
驚く斗貴子、さらに大騒ぎするまひろ、そして驚きのあまりパピヨンマスクを落として動揺するパピヨン。  
「あらあら。私たちは銀成学園行きの最終バスに乗り遅れたから宿泊しただけですのに。」  
「姉さん。この状況は誤解されても無理はないと俺は思う。」  
当の桜花と秋水は案外動揺していなかった。  
「そうかぁああ!!これは6人でトリプルストロベリー!!乱交プレ・・ぬぶらぁ!!」  
そこまで言いかけたところで斗貴子の拳が岡倉の腹部を貫いた。  
「そんなことするかぁああ!!黙れ空前絶後超絶エロス!!」  
 
そのころ彼らをビルの屋上から見つめている者がいた。  
「ん。青春は良い!!とてもブラボーだ!!」  
「っていうか防人君?彼らと合流するんじゃなかったの?」  
「いや、あの空気の中に割って入るのも野暮だろう?ところで千歳?俺達も彼らのように・・・」  
「嫌!!却下!!」  
「・・・・・・・・」  
 
さらにそんなブラボーと千歳をさらに高いビルの屋上から見つめる者がいた。  
「防人君。人間の色恋とは難しく、そして空しいものなのですよ。」  
「照星サン。老頭児が出刃亀とはいやらしいことこの上ねぇぞ?」  
「火渡君ちょっと。HAHAHAHAHAHAHAHA!!」  
 
今日は晴天、冬なのに日差しが暖かで過ごしやすい。  
スキーまであと6日。  

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