剛太が斗貴子に木刀でボコボコにされて数時間。(>>225参照)
夜は明けて午前8時過ぎに斗貴子の部屋をノックする男がいた。
ゴンゴン
「斗貴子さん。入っていい?」
「いいぞカズキ。今は手が離せないから勝手に入ってくれ。」
カズキは扉を開けて斗貴子の部屋に入る。
部屋の中で斗貴子は扉に背を向けて木刀を丁寧に磨いていた。
斗貴子他大半の戦士は錬金戦団に核鉄を回収され、武装錬金を発動させることができなくなった。
だが長年戦士として生きてきた斗貴子は手元に武器を置いていないと少し不安で落ち着かないらしく、
核鉄の代替として秋水から譲り受けた安物の木刀を常時ベッドの下に置いている。
去年北海道で修学旅行中に秋水が購入したものだそうで柄には「洞爺湖」と掘ってある。
「へ〜。秋水先輩にもらった安物でもやっぱり愛着をもってるんだね。」
「ああ。それに武装錬金ではない武器は戦闘後には手入れをしないとな。」
カズキはドキッとした。
まさか月に渡らずに地球に残存したホムンクルスが襲ってきたのだろうかと思ったからだ。
ホムンクルスは武装錬金以外の武器で完全に倒すことはできない。
「斗貴子さん!!戦闘ってまさかホムンクルス!?だったら俺がサンライトハート+でトドメを!!」
カズキがそういうと木刀を磨き終えた斗貴子がカズキのほうに振り向いた。
斗貴子は顔中が血まみれだった。
「斗貴子さん!!顔から血が!!」
「ああ、そういえばまだ顔を洗ってないからな。返り血が残ってたか。」
「返り血・・・っていうか誰と戦ったの!?」
「剛太だ。たまには何かをぶちまけないとやっぱり勘が鈍るな。」
「ご・・・剛太?ぶちまけ?そういえば今朝から見ないけど・・・。」
「ああ。裏の林に埋めてきた。」
「埋めた!?埋めたって!?剛太死んだの!?」
「その可能性は無きにしも非ずかな。まあ戦士の任務中の殉職は本望だからな。」
「いや、今任務中じゃ・・・・っていうか殉職ってやっぱり殺したの!?」
「まあ死んでなかったら作戦第2弾があるからそれはそれでいいけどな。」
「作戦第2弾!?剛太をどうするつもりなの!?」
普段の構図と違ってカズキが突っ込み役になっている。
「斗貴子さん・・・。剛太と何かあったの?」
その問いに斗貴子は額には血管が浮かせ、全身から邪悪で真っ黒なオーラを放った。
『死にたくなければ聞くな。さもなくばぶちまけるぞ!!』
斗貴子の表情はそう物語っていた。
カズキはもはや何も聞けなくなる。
こういうオーラを放出している時の斗貴子は本気でキレているからだ。
斗貴子は本気でキレるとかなりバイオレンスな行為に出るためにヘタをすると自分まで巻き添えになる。
「さ〜て剛太が戻ってきたら。作戦第2弾夢攻撃決行だ。フフフフフフ。」
斗貴子は邪悪な笑顔でにやりと笑った。
触らぬ神にたたりなし。カズキは今聞いた話は忘れることにした。
そのころ寄宿舎裏の林の中に首から下が土の中に埋められた剛太がいた。
その隣にはパピヨンが岩に腰掛けて座っている。
剛太の頭の上にはパピヨン所有の核鉄が置かれている。
「パピヨン。核鉄で治療してくれてサンキューな。」
「ふん。貴様が女にボコられてぶざまな醜態を晒していてのを見て哀れに思えただけだ。」
「いや、お前が核鉄を貸してくれなかったらマジで俺出血多量で死んでたと思う。」
「武藤といい貴様といい、難儀な女に惚れたものだな。しかし何であんなにボコボコにされていたんだ?」
「それが実はな・・・」
剛太はパピヨンに事の顛末を詳細に話した。
パピヨンはそれを聞いて剛太をあざける様に笑うする。
「フフフフフフ!!お前蝶サイコーだ!!こんな馬鹿久しぶりに見たぞ!!」
「てめぇ。笑うなよ。俺はこれでも本気で斗貴子先輩を想っていたんだぞ。」
「ふん。本気で想っていたんならなぜそんな卑怯な手を使う?自分の本当の魅力で傷女を自分に振り向かせる
くらいできないのか?哀れな男だ。正攻法で傷女を振り向かせることを諦めた地点で貴様はアンダードッグだ!」
そのパピヨンの言葉を聴いて剛太は深く反省し、パピヨンのことを見直した。
剛太はたしかに自分の力で斗貴子を自分のほうに振り向かせるような自信は持ち合わせていなかった。
むしろ、だからこそあんな卑怯な手段をとったのだ。
「卑怯な手でつかんだ愛など本当の愛ではない。」
「本当の・・・愛・・・。」
「本当の愛はお互いが想い合う無償の愛だ。貴様のは自己満足の一方通行の愛に過ぎないんだ。」
「お前・・・ただの変態じゃなかったんだな。」
「そう。俺は蝶人パピヨンだからな。俺は自分を信じ自分の最大限の魅力で女を口説くのさ。」
「すげぇ・・・・師匠って呼んでいいか?」
「ふん!!貴様みたいなアンダードッグが弟子なんて真っ平ごめんだ。さてそろそろ核鉄返せ。」
「あ、待ってくれ。」
「何だ?治療はほぼ終了している。あとは自然治癒で治せ。」
「いや、ここから出してくれ。」
「そこまで付き合ってやる義理はないな。さらばだ。」
パピヨンは武装錬金ニアデスハピネスを展開して空に飛び立った。
一人取り残された剛太は地中に埋ったままで身動きすら出来ない。
「待て!!出してくれ!!頼むから!!蝶人パピヨン様ヘルプ!!」
だがパピヨンは無視してそのまま去っていく。
結局剛太は夕焼けが西に沈む頃にやっとこさ自力で出ることに成功した。
今朝のパピヨンとの会話は剛太の心を変えた。
もう二度と卑怯な手段で斗貴子の心を動かすような真似をしないと決めた。
そして裸一貫、自分自身の魅力のみで斗貴子を自分に振り向かせるように努力をしようと。
まずは男気をみがき、根性を鍛える。
真っ赤な夕焼けの中そう誓いを立てる剛太。
だが斗貴子はそんな剛太を自室の窓から見ている者がいた。
斗貴子だ。彼女はまた邪悪な笑みを浮かべた。
「ふふふ。夜になればお前はさらなる地獄をみる羽目になるんだ。」
その夜屋根裏から剛太の部屋に斗貴子が侵入してきた。
「ふふふ。貴様も夢で苦痛を与えてやる。昨日までの復讐だ。」
斗貴子は剛太の枕元に立って耳元でつぶやき始めた。
「叩〜く!!叩〜く!!ムチで叩〜く!!」
それは昨晩まで剛太が使っていたものと同じカズキ直伝の誘導催眠だ。
どうやら拷問の悪夢で剛太を苦しめる計画のようだ。
ここは剛太の夢の中。
剛太は全裸の状態で縄で拘束されていた。
「くそ!!?なんだこれは!!」
そこへ一人の女性が歩いてくる。
それは剛太が恋心を抱いている斗貴子だ。
その手には禍々しく凶悪なムチを携えている。
「貴様にはお仕置きが必要だ!!覚悟するがいい!!」
パチィン!!ベチィン!!バチィン!!ムチが剛太の肌に襲い掛かる。
「痛いか!!苦しいか!!もがけ!!悲鳴をぶちまけろ!!」
「ぎぃやぁああ!!うぎゃぁあああ!!」
苦痛に耐える剛太だったが、その時あることに気がついた。
(ま、待てよ!!これはSMプレイか!!)
そう思うと何故か痛みは緩和されてむしろ快感になってきた。
(斗貴子先輩とSMプレイ・・・。夢のようだ。蝶サイコーだ。)
パチィン!!ビチィン!!ベチィン!!
「あぁああ!!もっと!!もっとお願いします先輩。いえ、斗貴子女王様!!」
「!!?」
一方現実の世界では。
「むにゃむにゃ・・・。斗貴子女王様・・・。もっと・・・。」
「女王様?もっと?拷問刑の夢のはずなんだが・・・。何!?」
斗貴子の目に入ったのは大きく膨らんだ剛太のふとんだった。
「まさかこいつ拷問の夢で勃起しているのか!?」
驚いた斗貴子はまさかとおもってふとんをめくってみた。
ふとんの下の剛太は下半身裸だった。恐らく自慰の途中で眠ってしまったのだろう。
ドピュドピュ!!次の瞬間夢のSMプレイの興奮が頂点に達したのか剛太は夢精した。
発射された精液はふとんをめくり上げた斗貴子の顔面に直撃した。
いわゆる顔射である。
「・・・・・。剛太貴様ぁ!!」
斗貴子の突然の大声で剛太は目を覚ました。
目を覚ますと目の前には自分の精液を顔面に受けて怒りに震える斗貴子がいた。
「ふにゃ?先輩どうして俺の部屋に?っていうかその格好は?」
「うるさい!!ぶちまける!!死ね!!」
「ひぎゃああ!!俺が何をしたって言うんですか!?」
こうして斗貴子の復讐は剛太に快楽を与えるだけの失敗に終わったのだった・・・。
斗貴子とのSMプレイの夢と斗貴子の顔射された顔はしばらく剛太のおかずにされたのは言うまでもない。