俺の部屋のベッドの上で、斗貴子さんと寄り添い合って座りながら会話する。
皆とのパーティの後にこれなんだから、幸せすぎるくらい幸せだ。
「クリスマスパーティ楽しかったね、斗貴子さん?」
「ああ。私もやっとああいう雰囲気に慣れてきた」
斗貴子さんとクリスマスを迎えるのは今年で二度目だ。
最初斗貴子さんは、受験間近なのに大丈夫なのか、なんて言って乗り気じゃなかった。
けどそれは本当に最初だけで、準備の段階になると積極的に手伝ってくれた。
「やっとって、もうすっかり馴染んでると思うけど?」
「そ、そうか?それならいいんだが…」
「…ね、それでさ斗貴子さん」
俺は斗貴子さんの肩を抱き寄せて、出来るだけ体をくっつける。
「斗貴子さんの言いたい事って……何?」
「…………」
パーティがお開きになった直後、二人で話がしたいと申し出てきたのは斗貴子さんの方だ。
勿論、俺にとっては願っても無い事だったんだけど。
「…カズキ…」
斗貴子さんが俺の名を呼んだ、その瞬間。
俺の体はベッドに仰向けで倒れ、その上で斗貴子さんが四つん這いになっていた。
「と、斗貴子さんっ!?」
「あ、す、すまない…痛かったか?」
「いや、そうじゃなくて!!」
一瞬宙を舞った様に感じたから、斗貴子さんが何かしらの体術を使って俺を押し倒したんだろう。
そこまでは予想がついた。
「きゅ、急にどうしたの!」
「いや、それは…あの」
斗貴子さんの目は完全に泳いでいたが、やがて吹っ切ったかの様に呟いた。
「…しよう」
「は?」
「え、えっちしよう!な!!」
自分でも顔が熱くなっているのが分かる。
当たり前だ。私がこのコを押し倒してまで事に及ぼうとするなんて、初めての経験なのだから。
出来るだけ速くカズキの服を脱がそうとするが、手が上手く動いてくれない。
「ちょ、ちょっと待ってよ斗貴子さん!!」
カズキは何故か私が誘った途端に呆けてしまっていたのだが、
私の手がもたついている所為か気を取り戻した。
「どうしたの斗貴子さん!!斗貴子さんからそーゆー事言ってくるなんて変だよ!」
「わ、私だって人間なんだ!性欲ぐらいあったっていいだろう!?」
私はムキになって言い返したが、カズキは折れてくれない。
「そんなんじゃなくて、こう、斗貴子さんが必死になってるのが分かるんだよ!
何か理由があってやってるんでしょ!?」
何でこのコはつまらないところで鋭くなるんだ…。
「教えて!そうじゃないと俺、納得出来ない!」
………。
「…い……言わなきゃダメか?」
私の問いに、カズキは力強く頷いてうんと答えるのみだった。
…キミには『あえて知ろうとしない』という優しさもあるという事を理解して欲しい…。
「キ…キミが」
「え?俺が?」
「……この前キミと一緒に寝た時に、キミが話しただろう。
『偶には斗貴子さんからのアプローチを受けてみたいなぁー』って…。
だ、だから、その、ふ、二つ目のクリスマスプレゼントに……」
頭に、というか顔に血が集まりすぎた所為か呂律も回らない。
そして、
「あ…あぁー。た、確かにそんなことあったねぇ。あは、あはははは………」
ほれ見ろ。キミも笑って誤魔化すしか無くなってるじゃないか。
だから聞いて欲しく無かったのに……。
「はは、は………」
「………」
カズキが一通り笑い終えると、恐ろしく気まずい雰囲気になってしまった。
…居た堪れない。
せめて、行為を続けて良いかどうかだけでも喋ってくれれば良いのに…。
「…あの〜、斗貴子さん?」
私の心を読んだかの様に、カズキが切り出してきてくれた。
「…何だ」
「…続けてくれると…嬉しいかな……って」
…キミは本当に私の心を読んでるのか。
「いいんだな?」
「うん、是非。斗貴子さんがわざわざ俺の為にやってくれてるんだって分かったし。
止める理由無いよ」
あ、でも、とカズキは続ける。
「無理はしないでね?斗貴子さんが嫌な事はしなくて良いんだから。
俺の為だからって、痛いのとか苦しいの我慢しちゃダメだよ」
分かってる、と私は出来るだけぶっきらぼうに聞える様に答えた。
…本心を隠したい時に乱暴になってしまうのは、悪い癖だとは分かっているのだが……。
じゃあ斗貴子さん、オネガイシマス。
え、万歳?体起して万歳?はい、ばんざーい!!…わっ。
こんな脱がされ方するの、幼稚園の時以来かも知れない。お母さんに脱がされるみたいだね。
…そろそろ斗貴子さんの事、ちゃんとお母さん達に紹介しなきゃなぁ…。
ううん、こっちの話。気にしないで。
じゃ、後は…斗貴子さんがイロイロしてくれるんだね?
ズボンも?そ、そうだよね。ゴメン。
あ、チャックの下ろし方分かる?違うって!バカにしてるんじゃなくて。
そこ、フックになってるからそれも外して…うん、そう。
…パ、パンツまで一遍に脱がしてくれるんだね…。いや、そりゃあその方が楽だけど……。
も、文句では無いです。ハイ。ただ斗貴子さんも結構大胆に剥いでいくなぁと。もうマッパだし。
ん、むう…ちゅ。
…急にキスしないでよ…。びっくりしたじゃない。
出し抜けにキスするのはキミの得意技じゃないか、って…それはそうなんだけどさ。
それにさっきから煩い?そうかなぁ。まぁ斗貴子さんがそう言うなら黙るよ。
……………………………………………。
………あっ。
……………ん、は…ぁ。ンン……。
……いっ…ふぁ。
…自然に出てる声なのに、そんな言い方無いんじゃない?
俺も斗貴子さんに乳首しゃぶられるなんて初めてだし…うん、気持ち良い。
あ、ちょっ、ちょっと待って!そんな突然触らないで!!痛くなくても本能的に怖いから…。
…あう…斗貴子さんが俺の乳首甘噛みしながらシゴいてくれてる…。
どこでこんなの知ったのさ…今の斗貴子さん、エロスすぎだよ…。
あ、そこ…いい。流石斗貴子さん、俺の性感帯は知り尽くしてるね。
そっ、その辺。先の方も、タマの方も…。斗貴子さん、やっぱり凄く上手だ…。
この調子じゃ、すぐ我慢の限界だよ…。
…え?我慢しなくてもいい…って。
いつもはほどほどにって言ってるじゃない。……それでも毎回三発くらい出してるけど。
…今日はいいの?好きなだけ?…ホントに?今出しちゃっても…いいの?
な、なら早速!!……ふぅ。
斗貴子さ――あ、ゴ、ゴメン!斗貴子さんが頷いてくれたら我慢出来なくなって…。
斗貴子さんがティッシュ取るまで耐えるべきだったね…全部手に掛けちゃった。
でも、その…斗貴子さんがそうしてくれるのが、とにかく気持ち良かったから…。
…まぁ、キミが満足してくれたのなら良いさ。手に掛かったぐらい、どうと言う事は無い。
ペロ…ちゅう、ちゅぱっ。
ちゅっ……な、何だその目は。何でそんな嬉し恥ずかしという感じの目線を寄越してくるんだ。
べ、別にいいじゃないか、舐め取っても。私が、キミのなら嫌じゃ無い事は知ってるだろうに。
そんな事より次だ。
…とは言ったものの、何をしようか……。キミは何をして欲しい?
…ふぇら?スマン、それがどういう意味か分からん。そういう言葉は、未だによく知らないんだ。
あぁそういう事か。よし、いいぞ。
んー、勢い良く出したからキミの自体にもいっぱい付いてるな。キレイにしてあげよう……。
れろ、れろ、ちゅ。んむぅ…ぢゅう。
はぁっ…。
…相も変わらず大きいな。私はキミのが小さくなってるところを見た事が無い気がするぞ。
……キミにとって、私はそんなに魅力的なのか?…そ、そうか……ありがと。
ゴホン!!つ、続けるぞ!いいな!!?
あむう…ぢゅっ、ぢゅう。
ん、じゅるぅ、くちゅ。
…ひもひいいは?…ん。
じゅっ、じゅるるる。ちゅう、ちゃぶ、ちゅっ。
……ほろほろ…は?
ぷはっ、ビクビクしてきたな…何回も言うが、いつ出しても良いからな。
スパートかけるから、キミのタイミングで好きな様に出せ。
ちゅう、ちゅっ…じゅるっ、はぁっ…。
はむっ、じゅぅ。
…ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ。
ちゅぶっ、じゅ、ちゅぶぶ。
ッ!!……ん、ん………。
じゅっ、じゅうう。こく、こくん……。
ちゅうう。ぷはぁっ……。
…ふぅ。また沢山出したな。そんなに気持ち良かったのか?
…フフフ、そうか。キミがして欲しいなら、何回でもしてやるぞ。
どうする?もう一度同じのをするか?…それとも――。
「よし、挿れるぞ…良いな?」
カズキの怒張の先端に照準を合わせ、斗貴子が馬乗りに腰を下ろす。
必要以上に潤っているそこは、簡単にカズキを飲み込んでしまう。
「斗貴子さん濡れすぎ…」
「わ、悪いかっ!体質みたいなものなんだからしょうが無いだろう!」
斗貴子の怒声を笑顔で受け止めながら、カズキは彼女の太腿を撫でた。
「ふ…ぁ」
簡単な動作で声を上げてしまう彼女が、彼にとっては堪らなくいとおしい。
「斗貴子さんかわいい」
「…お世辞はいいから……。動くぞ」
お世辞じゃないの分かってる癖に、とカズキは思ったが、口に出す事はしなかった。
結合部から聞え出した水音をかき消したくなかったからだ。
ず、ずっ、じゅっ、ぢゅ、じゅぽっ。
粘度の高い水分が空気を含んで、扇情的な響きを醸し出す。
「斗貴子さん……」
「はっ、はぁぁ……カズキィ」
二人が互いを呼び合う声さえも、この一時ばかりは艶かしくなる。
じゅぷ、じゅぷ、ぐぷっ。
「あぁ、んっ……ふぁっ…」
「斗貴子さん、斗貴子さんの中がぎゅうってなってるよ…」
「ん、ンン、気持ちい…か?」
「ウン…すっごく」
カズキの答えに満足そうな笑みを浮かべる斗貴子に、カズキは更におねだりをする。
「…ちゅー…して欲しいな…」
「いいぞ…はぁっ、私も…したかったところだ…」
斗貴子は上体を倒し、正上位に近い体形を取る。
絶妙な角度で膝を立て腰を浮かし、動き続けながらだ。
「斗貴子さんって、何て言うか、床上手…なんだね」
「バカ…そんな言葉どこで覚えた…」
上り詰めながらも、二人の会話は止まる所を知らない様だ。
しかし、二人のくちびるが重なる時だけは別である。
「どこって、それは――むっ!」
「ちゅっ…。いい加減黙ったらどうだ?……キスして欲しいんじゃなかったのか?」
「…今してくれたじゃない」
「ほう、あんなくちびるが触れただけのような奴で良かったのか?」
カズキが否定する前に、斗貴子は再び顔を近付けていた。
ちゅっ、ちゅっ。
舌同士の触れ合いは、淡く切ないものから始まり、
ぢゅ、じゅうっ、ずちゅ。
次第に濃く甘くなっていく。
「ほ、ちゅうっ、ほひほはん…」
カズキはそろそろ限界を感じていた。
何とか会話を成立させようとするが、斗貴子は舌の繋がりを断つつもりは無いらしい。
それどころか、より強くカズキを抱き寄せ、腰の動きを強めた。
「ほっ……はん…」
斗貴子は『いつ達しても構わない』という前言を体で表していたのだ。
カズキもそれを感じ取り、斗貴子とのディープキスに集中する事にした。
じゅ、ちゅっ、ずちゅっ。
ぐぷっ、じゅぽ、ぢゅぷ。
音と音の間隔が、どんどん短くなっていく。
「む…ほっ…はん…」
カズキの体が大きく波打ち、斗貴子の中に精を放ち始めた。
「ふっ!!……はぁ、あ…」
それを受けて、斗貴子も上り詰めた。
二人の脈動が重なり、最大の快感が生まれる。
カズキの口中に、斗貴子の声ならざる声が響いていた。
達した余韻が引くと、まず斗貴子が口火を切った。
「…どうだった?」
「もう何て言うか、すっごい良かった!言葉に出来ないぐらい!!」
はしゃぐカズキを見て、斗貴子はどこかほっとした。
もしかしたらヨロコんで無かったんじゃ、と考えていたからだ。
「…ねぇ斗貴子さん、もう一回、良いよね?」
一方カズキはのんきなもので、早々に硬さを取り戻した一物を上下させていた。
「まぁ今日は好きなだけ…って言ったのは私だからな。とことん付き合わせてもらうが…。
何だってキミはそんなに回復が早いんだ?」
カズキの精力に内心溜息を吐きながら、斗貴子は率直な疑問を口にした。
「そりゃ勿論、斗貴子さんが好きだから!」
カズキはそう答えると、力強く斗貴子を抱き締めた。
「す、好きだからって……まぁいいか」
それ以上の追求が億劫になった斗貴子は、カズキを抱き返しつつ、彼の耳元で囁くのだった。
今夜の行いは、全て彼女からの働きかけである事の証しに。
「こ、今夜は……寝かせないからな……」
クリスマスプレゼント―――了