「攻爵様のハァハァ計画」 
 
昔はこれでももてた。  
学校始まって以来の天才と呼ばれて、寄ってくる女には不自由しなかった。  
それなのに、発病して入退院を繰り返していく内にどんどん減っていき、  
一年経ち、留年したころにはまったく近づいてこなくなった。  
あのころに遠慮無く喰っておくんだったと、ベッドの上でどれほど後悔したことだろう。  
せめて死ぬにしても、女を孕ませてから死にたいと繰り返し繰り返し思った。  
俺がいたことを、何かに刻みつけてからでないと、死んでも死にきれなかった。  
 
今。  
もうすぐ俺は超人になる。  
そして、同時にもう一つの目的も達成される。  
あの生意気な戦士の女に取り憑かせたホムンクルスは、  
俺の分身を作る前段階として造り上げた人間型の試作品だ。  
ベースにした細胞は俺の精液の中から選りすぐった精子そのもの。  
俺の精子が、俺の分身があの女の胎内に宿っている。  
ゆったりとあたたかい子宮に収まり、身体の内側から蹂躙していっている。  
プライドの高い女が、犯されて孕んだ子供の陣痛で苦しんでいる。  
ああ、爽快だ。実に爽快だ。  
何年もの間繰り返し繰り返し頭の中で描いていたことが現実となっていく。  
俺は今生きているんだ。これからも生きていくんだ。  
 
……処女だといい。  
……きっと処女だ。  
……処女に決まっている。  
男に汚されていない胎内に味わい尽くしてから、  
処女膜を内側から破り、産まれてくる俺の子供にして分身。いや、俺自身!  
それはまさに、処女受胎したマリアから生まれるキリストそのものじゃないか。  
ああ、俺は蝶からキリストになるんだ!  
いやつまり、そのキリストの父である俺は神そのものとなる。  
神だ神!死にかけていたこの俺が神になるんだ!神神神神!神だ!  
いやいやいやいやいやいやいや、それだけじゃない。  
あれに用いた精子は実験段階で生存率を上げるため、X染色体を有する精子だった。  
実験があの段階でもうまくいっていれば、産まれてくるホムンクルスは女だろう。  
あの生意気な外見を残したまま、俺に絶対服従するキリストの女。  
それを手にして犯して、俺は神以上の神になるんだ。  
芋虫が蝶になり、蝶が蝶人に、蝶人が超人に、超人が神になり、神が神を超えるんだ。  
あははははははははははははははははははははははははははははははは!!!  
 

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