「今帰ったぞ、妻・千歳」
帰ってきたのは深夜2:00過ぎ。どんなに帰ってくるのが遅くても妻は絶対に待っていてくれる。愛の結晶こそまだできていないが、防人は幸せだった。
いつもならこの後は風呂に入り、遅い夕飯を日によって食べたり食べなかったり……
そしてニャンニャンするのだが、今日は違った。
「おかえりなさい!あな……ちょっと、あなた?
このコートについた口紅と香水の匂いは何?」
今日はエイプリルフール、少しからかってやるか!防人は至って呑気だった。
「秘密だ、なぜならその方がかっこいいから!!」
冗談のつもりだった。
「今ならまだ間に合うわよ?」
この手のことに鈍い防人は今の千歳の心情が理解できなかった。
「善だろうと悪だろうと己の信念を貫きとおす、それだけだ」
冗談のつもりだった。
「そう……わたしに言えないようなことをしたの…」
フライパンやどこで手に入れたのか釘付きバットがいつの間にか千歳の手に現れる。
「ま、待て、千歳、今日がなんの日かわかるだろう?某アニメの主人公のてっぺんに一本しかない髪を大事にする父親と同じでな、ほんとは電車で―」
ドガッ!!
千歳は床に穴を開けて黙らせた。
「信念を貫きとおすんでしょう?」
「いやーーーーーーーーー!!」
深夜にパトロールをしていたお巡りさんは、道路に血だらけで倒れ、お〇りの穴にバットを突っ込まれたマッチョ漢を保護してあげましたとさ。
エイプリルフールだからって冗談も嘘もほどほどにな