俺達はNASAの宇宙飛行士。
今我々6名は月面着陸のミッションでスペースシャトルに乗っている。
最後に月面着陸を行ったアポロ17号から35年ぶりに人類が月に降り立つ。
このミッションに従事できることを俺は誇りに思う。
フロリダの時間基準で2007年12月24日18:30に我々は月の軌道に乗った。
シャトルから見える月面には荒れた砂漠が広がっている。
我々を乗せたシャトルはゆっくりと月面に着陸した。
俺達は宇宙服に身を包み月への一歩を踏み出した。
その次の瞬間俺の視界に信じがたい光景が飛び込んできた。
月面に立ち俺達のシャトルを見ていた男がいたのだ。
月には我々のチーム6名しか生物がいないはずなのに・・・
彼は20代くらいの黄色人種の男性だったが、何と宇宙服を着ていない生身の姿だった。
「これはまずいな。早くヴィクター殿とヴィクトリア嬢に報告せねば。」
そういうと共に彼の体は変形して金属状の大きな鷲の姿になり、そのままここを飛び去ってしまった。
あれは何だ?遠く彼方の銀河から飛来したエイリアン?
我々は未知の生物の調査のために大鷲の怪物が飛び去った方向へ月面車を走らせた。
10分ほど走った後に俺の視界に飛び込んできたのは月面に広がる街だった。
いくらこのあたりが地球から見えない位置とはいえ月に街が造成され知的生命がいるなどありえない。
だが俺の目に移る光景はまぎれもない事実だった。
しばらく月の街を眺めていると3名の人間のような生物が我々の方へ歩いてくる。
身長2m超の筋肉隆々の男性、金髪で華奢な美少女、そしてスーツに身を包んだ三日月の様な顔をした怪人・・・
筋肉隆々の男は悩んだように我々を見て言った。
「どうやら宇宙開発に携わる人間のようだな。どうしたものか。」
さらに金髪の少女が言う。
「人間にホムンクルスの存在を知られるわけにはいかないわ。彼らには地球に帰ってもらわないと。」
三日月顔の怪人は我々を見つめながら言った。
「む〜ん!!とりあえず錬金戦団にもこの事の連絡を入れないとね。」
3名は話し合いを前にして我々は完全に蚊帳の外だ。
「仕方がない。とりあえず眠ってもらうか。」
筋肉隆々の男がそういうと目の前から一瞬にして消え、同時に首に鋭い衝撃が走り俺達は昏倒した。
瞬時に我々の背後に回った彼はするどい手刀を振り下ろして我々の首を叩いたのだ。
薄れ行く意識の中で彼は自分の胸に手をあてて叫ぶのがぼんやりと見えた。
「武装錬金!!フェイタルアトラクション!!」
次の瞬間彼の手に武器のようなものが出現すると同時に我々の体は浮き上がり、地球のほうへと飛ばされた。
そこで俺の意識は完全に途絶えた。
気がつくと我々は宇宙服姿のままフロリダのケネディ宇宙センターの滑走路に横たわっていた。
俺達は月で見たことをありのままに報告したが、あまりに荒唐無稽なので上官には信じてもらえなかった。
『月へと飛び立った宇宙飛行士6名がスペースシャトルをなくし謎の帰還を遂げる』
この怪現象は世界中の翌日の新聞の1面を飾った。