斗貴子さんと2人っきりの時はいい。  
みんなと一緒にいるときもまあいい。  
…部屋で1人っきりになるとダメだ。  
まひろのことばっかり考えてしまう。具体的には帰省していた1週間(プラス2日)の間のことを、だ。  
父さんの車で駅まで送ってもらって、銀成学園の寄宿舎へと向かう電車の中で、まひろに教えて  
もらった。俺の帰省中の間の射精回数、55回だって。  
…1日6回くらい出してたってことか? いや…思い返せばそのくらい出していたかもしれない。  
まひろにかわいくねだられると、お兄ちゃんは頑張ってしまうんだ、色々と。  
夢のような9日間だった、といいたいところだけど、感覚としては昔のまひろとの日々がそのまま  
戻ってきただけ、というのが実感だ。家を出るとき偉そうに「こんな関係は良くない」とまひろを  
諭したくせに、あっさりとまひろに誘われるまま、よりを戻してしまうのだから、兄貴の沽券も何も  
あったもんじゃない。  
…といいながら、俺は悟っていた。まひろの心にも、俺の心にも火がついてしまった。おそらくもう  
後戻りは出来ない。  
 
あまりに自分の思うように事が運んでしまったのでびっくり、ってのが実感かな。斗貴子さんのことも  
あるし、正直、私がモーションかけてもスルーされるか、怒られるかと思ってたんだけど。  
お風呂も毎日一緒だったし、寝る部屋は別かなと思ったらお母さんに、「クーラーつけるなら2人  
一緒の部屋に寝なさい」といわれて、あっさり一緒に寝ることになった。私は嬉しかったけど、  
お兄ちゃんは少しがっかりしてた。聞いて見ると、「一緒に寝るのもいいけど、夜這いするのも  
楽しいのに…」だって。  
確かに昔、夜中にこっそりお互いのお部屋を行き来するの楽しかったかも。親にバレないようこっそり  
「お兄ちゃん、今日、どうする?」  
「…そっちに行く」  
「パジャマ着たまま? 下だけ脱いでおく?」  
なんて、廊下ですれ違いざま、こそっと耳打ちし合ったりしてね。  
でもがっかりしてたのも一瞬、一緒の部屋なら一緒の部屋で、やっぱり楽しむんだからお兄ちゃんは  
現金だ。  
寄宿舎でもこういうの出来ないかな、無理かな…斗貴子さんもいるし、ね。  
 
今回の帰省では、もう1つ収穫があった。  
お兄ちゃんの口から、斗貴子さんとどういう感じでエッチしているのか聞けたことだ。  
前に斗貴子さんにも聞いてみたことあるんだけど、「兄妹そろってエロスはほどほどにしろ!」  
って怒られちゃって、結局教えてくれなかったからね。  
お兄ちゃんは結構マニアックだ。私が着替えたり、用を足したり(小の方)、オナニーしているのを  
見るのが好きだし、太ももを触ったり舐めたりするのも好きだし、口の中に射精するのも大好きだ。  
レイププレイも好きかも知れない。ベランダでしたときは興奮して凄かった。  
斗貴子さんは、そんなお兄ちゃんの性癖に、どのくらい応えてあげているのだろう。  
斗貴子さんの性格からして、そっち方面の欲求は、ほとんど満たされていないんじゃないかな?  
 
予想は当たっていた。  
最初は、妹に彼女の不満を告げ口するのは…って少し口を濁していたけど、斗貴子さんは、自分が  
着替えているところはあまり見せたがらないし、用を足してるところや、オナニーしてるところが  
みたいなんて言ったらブチ撒けられそうで頼めないし、つい最近まで、エッチのときに部屋を明るく  
するのも嫌がったし、精液の味がダメなので口の中に出すのはNG、いつもお腹か足だって。  
満たされてるのは、好きなだけ足を触ったり舐めたり出来ることくらいなんだ…  
「まだ、付き合って1年ちょっとだしさ。それに、恥ずかしがっていても、頑張って応えようとして  
くれる斗貴子さんを見てるとさ…」なんて一応、のろけてはいたけど、エッチ方面の不一致って  
カップルが別れる原因にもなるからね。  
…こんなことを言うからって、私は別に、お兄ちゃんと斗貴子さんに別れて欲しいってわけじゃない。  
ただ、お兄ちゃんの満たされない部分を私が埋めてあげれば、お兄ちゃんは喜んでくれるだろう。  
それが原因で、お兄ちゃんが斗貴子さんに愛想を付かしたとしても、それは私には関係ない。  
そうなりたくなかったら、斗貴子さんがもっと「努力」をすればいいだけの話だ。  
…もしかして私って怖い女?  
 
寄宿舎に戻ってからは、なかなか、まひろと2人っきりになれる機会はなかった。  
まひろが俺の側にいるときは、かならず誰かも側にいる。ヘンなことは出来ない。  
無理して2人っきりになろうとすると、かえって怪しまれそうでなれない。こんなもどかしい気持ちに  
なるのは、ここに来て始めてかも知れない。  
一度、夜中にトイレに起きてまひろと鉢合わせた時、男子トイレの個室にまひろを誘って、壁に  
寄りかからせて片足をあげさせて、立ちながらしたけど、今のところまともに出来たのはこの  
一回だけだ。まひろのパジャマにベットリかけちゃって、匂いが取れないって怒られちゃった。  
あとは談話室で、みんなでまったりだべっている時、俺だけに見える角度で足を広げてスカートの中を  
見せてくれたくらいだろうか。ガン見は出来ないので、横見だったけど、しっかり目に焼き付けた!  
俺は横見の達人だっ!  
…触ったり出来ないので、かえってストレスになった気もするけど。  
これからの課題は、いかに怪しまれずして、まひろと2人っきりの時間を作るかだ。  
これは、俺の一存だけじゃどうにもならない。一度、まひろとも話し合わなきゃな。  
 
そんなことを画策しながら、斗貴子さんとはしっかり楽しんでいるんだから、俺ってヤツは…  
 
 
「…う〜ん、これは私やお兄ちゃんだけじゃ、どうにもならないからなぁ」  
俺の切り出した話を聞いて、まひろは唇に人差し指を当てながら首をかしげた。  
一人だけではいくら考えてもいい案が浮かばないので、思い切ってまひろに直接相談を  
持ちかけてみたんだ。まひろもまひろで、きっと2人だけの時間を作るにはどうしたらいいのか、  
考えているはずだから。  
「こういうと何だけど、まず斗貴子さんに自重してもらわないとねぇ…それも斗貴子さん本人が  
納得する形でね」  
そりゃ、まひろと2人っきりになりたいから、普段一緒にいる時間を、ちょっとまひろに割いて  
いいかなんて切り出したら、人に言えないようなことをまひろとしたいから、そんなことを言って  
いるって疑われ…いや、この場合は疑いじゃないんだけど、バレちゃうからな。  
いくら、このテの事に敏感とは言えない斗貴子さんと言えど、流石に…  
ちなみに現在、時刻は夜、場所はまひろの部屋。名目は、来週末のパーティーの打ち合わせ。  
来年の受験本番に向けて、最後にバカ騒ぎをして気勢を上げよう、って感じで、いつものメンバーに  
既に一足先に大学生になっている、桜花先輩をゲストに呼んだ。  
京都で修行中の秋水先輩にも来て欲しかったんだけど、都合がつかなくてキャンセル、残念。  
俺とまひろの2人が幹事を買って出たので、こうやって「合法的」に部屋で2人っきりでいるわけ。  
 
…と言っても、なにせ寄宿舎。いつ、誰が部屋を訪れるかは分からないわけで、せっかくこうして  
2人っきりになれても、出来ることはごくごく限られている。いかにもやってました、なんて状態を  
誰かに見られたら、弁解できないからなぁ。  
突然の訪問者に対するアリバイ作りのため、机の上に、買い物用のメモやらなんやらを散乱させて  
おいて、隣り合わせに座ると、服の上からまひろの柔らかい胸を揉んだり、腰やお尻を撫でたり、  
たまにチュッとキスしてみたり、スカートの中に手を…この程度で我慢しなきゃいけないのも、  
結構な拷問だ。思いっきりまひろを突きたいのに…  
「とにかく、私の方でも何か考えて見るね。工作するなら、女の子同士の方がやりやすいってことも  
あるし…くれぐれも先走らないでね」  
そう言うとまひろは、部屋の時計をチラッと見て、「…そろそろ戻った方がいいんじゃない」と  
耳打ちすると、立ち上がった俺のズボンのチャックを下ろして、中のモノを引っ張り出した。  
「…このままじゃ眠れないでしょ」  
久々のまひろの口の感触に、自分のものがグッといきり立つのを感じながら、俺はまひろの頭の  
上に手を置いた。  
 
「お兄ちゃん、斗貴子さんともしてるんでしょ。なのにすごい量…」  
口の中のモノを、やや苦心して飲み込んだ後、俺を見上げながらまひろは感心したように言った。  
確かに、まひろと思う存分出来ない鬱憤は、そのまま斗貴子さんとのエッチの起爆剤になっているのは  
事実だ。おかげで、斗貴子さんとのセックスライフは上々だ。  
そうやって十分満たされていても、まひろを見ると、欲しいと思ってしまう。  
まひろが自分以外の男とそういうことをするのを想像しただけで、そいつをサンライトハートで  
串刺しにして、「まひろは俺のものだ!」と高らかに叫びたくなる(自分には彼女がいるくせに)  
火渡じゃないけど、世の中ってのは、いつでも正しいことがまかり通るとは限らない、ってヤツかな。  
…火渡の言うことを、こんな形で実感することになるのは、ある意味皮肉だけど。  
「まひろ…今夜3時、トイレの前で会わないか? こないだみたいにさ…」  
「そんな時間まで起きてられないし、そんな時間に起きられないよー! 今、口でしてあげたので  
我慢してよ、もう」  
 仕方ないな。じゃ、まひろ、明日は俺の部屋で話し合いだ!  
「えー、お兄ちゃんの部屋って、しょっちゅうノック無しで、岡倉先輩とか乱入してくるじゃん。  
落ち着いて出来ないよ。それに斗貴子さんが来ちゃったら…」  
 うーん、するとやっぱり逢瀬は、まひろの部屋が安全なのか。でも、今みたいに名目があるなら  
ともかく、あんまり足繁く通うと流石に…  
 
夏が過ぎ、私たちも否応なく、来年度の受験に向けて本腰を入れなければならなくなる。  
私は自分の将来というものを、ここに来るまで明確に考えたことなどなかった。錬金の戦士として、  
地上からホムンクルスを一掃するためだけに生きる。それが私の唯一の存在理由だと信じていた。  
そんな私の確固たるはずの生き方が、ここに来て、カズキと出会ったことで変わった。  
まさか私が普通に学校生活を楽しんだり、仲間たちと騒いだり、その…恋愛をするなんて思っても  
みなかった。  
とはいえ、普通の生活を送るのもある意味戦いだ。特に来年の受験…カズキはきちんと自覚して  
いるのだろうか?  
…というようなお説教や愚痴は、とりあえず今日はやめにしようか。  
嬉々として何か叫びながら、あれこれ準備らしいことに奔走しているカズキたちを見ながら、私も何か  
手伝うべく、駆け寄っていった。  
 
まあ、今日のパーティーに限らず、このメンツは何かあれば、このテのバカ騒ぎをするのが習い性に  
なっている。そんなメンバーの中に、自分もそれなりに溶け込めているのが、今の私には嬉しい。  
突っ込み役がいないので、カズキたちのバカ話に一々突っ込みを入れたり、ちーちんやさーちゃん  
から、例のごとくカズキとのことをあれこれ聞かれてやや辟易したり、なぜかその話に聞き耳を  
立てている剛太をぶちのめしたり、まあそれなりに楽しく過ごしていたのだが、場の熱に浮かされて  
私も少し飲みすぎたのだろう(言っておくが、アルコールは嗜んでいない)、トイレに行きたくなった  
私は、一人その場を離れようと会場に踵を向けた。そのとき私は、見たのだった。  
まひろちゃんが桜花の腕を引いて、人目が自分に向いていないのを伺うようなそぶりをしながら、  
どこかに連れて行こうとするのを…  
私がそんな様子に、視線を向けたことにも気づいていないらしい。  
なにやら胸騒ぎを感じた私は、後を追って見ることにした。まひろちゃんの様子が不自然だし、  
なにせ相手が悪い。あの早坂桜花だ。ほっておいたら、まひろちゃんに何を吹き込むか分かった  
ものじゃない。決して覗き趣味ではないぞ。まひろちゃんは私にとっても、妹のようなものだから…  
 
2人の話し声から、居場所はすぐに分かった。私も錬金の戦士、潜入や潜伏の基礎訓練は十分に  
受けている。相手に気取られることなく、追跡するなどお手のものだ。  
まひろちゃんが何かしゃべって、桜花が時折相槌を打っているようだが、パーティーの場で話せない  
ような話ってのは何なのだ?  
そう思って聞き耳を立てた私は、会話のところどころにカズキの名が混じっているのを聞いて、  
胸騒ぎを覚えた。  
 
「…秋水先輩、今日来れなくて残念でしたね。寂しくありません?」  
「正直言うとちょっとね…離れ離れっていうのも、少し寂しいものね…それにしても、武藤君と  
まひろちゃんは相変わらず仲がいいわね」  
「はい」  
「でも、あんまり仲良くすると、津村さんが臍を曲げるんじゃない?」  
「私、斗貴子さんのことも大好きだから問題なーし」  
まひろちゃんは本当に良い子だ。それに引き換えあの腹黒女は…私がまひろちゃんに嫉妬するとでも  
思っているのだろうか。  
「でも、大好きなお兄ちゃんに彼女が出来て、寂しいって思ったことはない? 正直に言って」  
まひろちゃんのことだから、そんなことないって言うだろうな、と思っていたが、まひろちゃんは  
少し間をおくと、  
「うん…正直言うと…ちょっとだけ」  
その声が少し沈み気味だったのが気になった。私はさらに集中して聞き耳を立てる。  
「夏休み、久々に実家に帰って、お兄ちゃんといっぱい話したり、遊んだりしたから…かな。なんか  
こっちに帰って、いつもの生活に戻ったら、ちょっぴり寂しくなっちゃって…」  
「まひろちゃん…」  
「でも、こんなこと言うと、お兄ちゃんや斗貴子さんに気、使わせちゃうからね。特に斗貴子さん、  
結構気にしそうだから…」  
「……」  
まひろちゃんの本音を聞いて、私の心はちくっと痛んだ。  
まひろちゃんはいつでも天真爛漫だ。そして、こう言っちゃ悪いけど、あまり思慮深いタイプでは  
ないな、と思っていた。カズキもそんな感じだし。  
そんなまひろちゃんの口から、私を気遣う言葉が出てきたのが、ある意味ショックだった。  
「でも兄妹なんだし…そんなに我慢して遠慮しなくてもいいんじゃないかしら」  
桜花の言うことに理があると認めるのは悔しいけど、私も同感だ。まひろちゃんが寂しい思いをして  
いるのに、私は…  
「お兄ちゃんにとって私は妹でも、斗貴子さんにとっては、1学年年下の女の子だから…いくら妹でも  
自分の彼氏に女の子が纏わりついていたら、いい感じはしないと思います…でも斗貴子さん、きっと  
私に嫉妬するなんて恥ずかしいことだって、無理にでも我慢するに決まってます。斗貴子さんって、  
そういう人だから…」  
それに対し、桜花が何か言ったようだが、私にはその言葉はもはや耳には入っていなかった。  
私はショックでぼんやりと立ちすくんでいたのだろう。我に返ったのは、まひろちゃんに声をかけられ  
たときだった。  
「…斗貴子さんもトイレ〜? へへ、私もちょっと飲みすぎちゃって」  
「こういう場所だとついつい過ごしてしまいますね」  
いつものように、ニコッと笑うまひろちゃんの顔を、私はしっかり見つめ返すことが出来なかった。  
「斗貴子さ〜ん、はやく戻ってきてね〜」  
そんなまひろちゃんの声を背にしながら、私はそそくさとトイレへ向かった。  
 
大成功だ…  
桜花先輩と肩を並べて歩きながら、私は心の中で喝采をあげた。  
私はあらかじめ桜花先輩に「ご相談があります」と持ちかけて、わざと斗貴子さんの目に付くような  
不自然な行動で、桜花先輩を会場の外に連れ出した。斗貴子さんが少し後ろからつけてくるのも、  
廊下の角を曲がるときに横目で確認していたし、桜花先輩と話を始めたとき、壁際に立ち止まったのも  
分かった。  
斗貴子さん、桜花先輩とはなにかと角突き合わせているから、きっと「心配」してつけてきたのだろう。  
今の話を聞いてしまった斗貴子さんが、このあと、どういう行動に出るのか、私には手をとるように  
分かる。こんな話を聞いて、知らん顔をして口をぬぐうような人ではない。  
そんなまひろの様子を見やりながら、桜花は桜花で、何か悟ったような顔をしている。  
「まひろちゃんも…悪い子ね」  
はてさて早坂桜花、今の一連のやり取りで、どこまで何を悟ったのやら。  
 
「カズキ…ちょっといいか?」  
パーティーがはけ、後片付けを済ませ、部屋でくつろいでいるカズキの下へと斗貴子が訪れたのは、  
夜も1時を回ろうかという時刻だった。  
「カズキにちょっと聞いて欲しいことがある」  
そういって切り出したのは他でもない、まひろと桜花の例の会話のことだった。  
その話に相槌をうちながら、カズキは悟っていた。まひろのヤツ、桜花先輩を利用して手を打ったな。  
「斗貴子さんが納得する形で、斗貴子さん自身に自重してもらう」  
斗貴子の性格を考えれば、まひろのとった行動は、極めて効果的、かつ狡猾極まりない…  
だが、一瞬、妹の作戦に戦慄を覚えても、それを責める気にはなれないのがカズキという男だった。  
こんな関係を続けていくからには、時には人をも欺かなければならない。  
能天気を絵に描いたようなカズキにも、その程度の世知はあるのだ。  
「…カズキ、キミはもう少し、まひろちゃんとの時間を持つべきだと思う。  
私とカズキは、お互いが望めば、これからずっと一緒に人生を歩んでいくことが出来る。死ぬまでな。  
ただ、兄妹はそうはいかない。いずれお互いに家庭を持ち、仕事を持てば否応なく離れてしまう。  
今、一緒にいられる時間を大切にすることを、もっと真剣に考えた方が良くはないだろうか?  
思えば私も思慮が足りなかった。まひろちゃんはああいう性格だから、ずっと我慢して来たのだろう」  
「そうか…まひろがそんなことを…」  
「あと…な、カズキ。このことはまひろちゃんには内密に頼む。立ち聞きしていたなんて、あまり  
褒められたものではないからな」  
そんな斗貴子の言葉を、カズキはどこか遠くから聞こえるもののように感じていた。  
 
 
「やっぱり斗貴子さん、お兄ちゃんを説得に来たか…私の目論見どおりだね」  
ここはまひろの部屋。確認に訪れたカズキに、まひろは当然というようにそう答える。  
「まひろは悪女だな…」  
お兄ちゃんだって共犯でしょ、そういって首筋に唇を寄せるカズキに身体をあずけながら、  
まひろは呟く。  
「これで会う機会が増やせるね。なにせ、カノジョ公認だから…お出かけ名目でデートも出来るし、  
人目に気をつければ、外でとか、ホテルに行ったりとか…出来るでしょ」  
いたいずらっぽく笑うまひろを見てカズキは、「俺、浪人しちゃうかも」と嬉しさと困惑が  
ないまぜになるという、不思議な感覚を味わっていた。  
 
 

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