ふたりのじかん
「たっだいま〜っ!」
…まひろ、父さんと母さん、帰国するの明後日だから、家には誰もいないぞ。
「ダメだよお兄ちゃん。帰ってきたら、ちゃんとただいまって言わなくちゃ!」
やけに上機嫌なまひろに促されて、俺も思わず「ただいまーっ!」と口に出てしまった。
父さんと母さんが外国に行きっぱなしなので、夏休みや春休みの長期休暇でも、俺とまひろは
帰省せず、銀成学園の寮でそのまま過ごすことが恒例だった。てっきり今年もそうなのか、と
思っていたわけだけど、上手い具合に父さんと母さんが揃って1週間の長期休暇をとって、こっちに
戻ってくると言うので、俺たちもそれに合わせて、久々に帰省することにしたわけだ。
高校に入ってから、長期休暇中に帰省するなんて初めてだ。まあ、俺も高校3年だし、大学進学を
希望しているので、そのことも親に一応、言っておかなくちゃならないし。
実は良い機会なので、両親に斗貴子さんを紹介しようと思って、一緒に来ないかって誘ったんだけど、
「…キミのご両親にもいずれきちんと挨拶すべきだろうが、カズキもまひろちゃんも、高校に入って
以来、ご両親と全く会っていないのだろう。こういう時くらい、親子水入らずで過ごすと良い」
と、やんわり断わられてしまった。残念だな、別に遠慮しなくてもいいのに。
「お兄ちゃん…斗貴子さんと一緒じゃなくて寂しい?」
あ…顔に出ていたのか。いや、まあ、ほんのちょっと…
「斗貴子さんがいない分は、私が頑張るからだいじょーぶ!」
まひろはそういってにこっと笑うと、今度は俺の目を覗き込みながら、
「お兄ちゃん、せっかく2人っきりなんだから、一緒に楽しもうね」
とこそっと呟く。その言葉の意味することは、俺にはよく分かる。なにせ俺とまひろは…
「うーん、お掃除する必要はないみたいだね」
そりゃ、定期的にハウスキーパーの人が来てくれているから。そうじゃなきゃ、家ん中は凄いことに
なってるよ。俺たちの手に負えないくらいね。
「…汗かいちゃった。お兄ちゃん、とりあえずお風呂入らない。もちろん一緒に…ね」
お風呂か。そういや、中学卒業するまで、ほとんど毎日、まひろと一緒に風呂に入っていたっけ。
ほとんど…ってのは、まあ、まひろも女の子だから、いろいろと具合の悪い日なんかもあるわけで、
そういう時は当然、別だ。いくら兄妹だからって、そういうことには気を使わないとダメだ。
「久しぶりだよねー、流石に寮じゃ、一緒に入れないし」
当たり前だろ。
「でもお兄ちゃん、休み期間になると、たまに夜中、斗貴子さんと2人でこっそり入ってるでしょ」
え、なんで知ってるんだよ。いや…ほら…済ませた後はどうしても、洗わないと匂いとか…
「斗貴子さんもきれいな裸してるけど、私だって負けてないよ。たまにはおっきな胸もいいでしょ?
昔みたいにいっぱい…ね。お父さんたち帰ってきたら、出来ないでしょ?」
いや、一緒に風呂に入ったり、一緒の部屋で寝たりするくらいは大丈夫だと思うけど。
年子でいつも一緒で、反抗期と言われる時期にも反目することがまったくなかった俺たちは、小学校の
高学年くらいから、まひろの胸が目立って大きくなるのに合わせて、自然と身体の関係を持つように
なった。
最初はお互いの好奇心って部分が多かったけど、だんだん、自分の性欲ってのを自覚するようになる
と、キスやペッティング程度の単なるじゃれあいから、お互いのモノを舐めたり咥えたり、手で扱いて
もらったり指を入れたり、という行動にエスカレートし、まひろが小学校を卒業した春休みに、ついに
一線を越えてしまった。
思えば斗貴子さんとはじめてしたとき、まごつかずに済んだのも、まひろとの経験の賜物だ。
斗貴子さんがこのテのことに聡ければ、初めてじゃないということがバレたかもしれないけど、幸い
「カズキは私がはじめてじゃないのか?」なんて詰問を受けることはなかった。
思えばあの頃の俺とまひろは、まったく罪悪感の欠片も感じないまま、親の目を盗んで、時間さえ
あればエッチなことをしていた。初めてのときは興奮しすぎて中に出してしまったけれど、妊娠の
こととかあるので、それ以後は、十分気をつけていた。小遣いの少なからぬ部分がコンドーム代に
なっちゃったのはきつかったけど、まひろが妊娠したりしたら大変だからな。兄は妹を守るもの。
俺は避妊の達人だっ!
…まあ、そんなに妊娠が心配なら、まひろとそういうことをしなけりゃいいだけの話なんだけど、一度
知ってしまった快楽の味は、そう簡単に忘れられるものではなかった。
高校に入学し、家を出るのを機に、俺はまひろとのそういう関係を絶とうと考えた。
というのは、まひろはかなりそっちの欲求が強いのか、一度始めるとなかなか放してくれないし、それ
に応じていると、俺もありえないほど消耗してしまい、生活のリズムがおかしくなってしまうからだった。両親がそんな仲良しな俺たちに、一度たりとも疑いの目を向けなかったのは、今にして思うと
すごく不思議だ。まあ、俺たちも十分に注意していたけど。
まひろは兄の俺の目から見ても文句なしに可愛いし、男子生徒からも告白されたりしていたみたい
だけど、「私にはお兄ちゃんがいるからいい」と言って、まったく見向きもしなかった。
俺が家を出たのは、その翌年に両親の海外赴任が決まったので、実家に残っていると一人暮らしをしな
いといけないから、それを心配した両親が、全寮制の銀成学園を進めたってコトもあるんだけど、一番
の理由は、俺に極度に依存し、周りが見えなくなりかけてるまひろと、距離を置くためだった。
実際、両親はまひろを一緒に向こうに連れて行って、向こうの学校に通わせるつもりだったみたいだけ
ど、それを嫌がったまひろは、なんと俺と同じ銀成学園に入学してきてしまった。
…まあ、それを嬉しいと思ってしまった俺も、兄貴失格だな。
寮だと人の目があるし、男女の間の行き来は、寮監が厳しくチェックしているから、たとえ兄妹と
言えども、寮内で不用意なことは出来なかった(ブラボーが寮監になってからは、色々と融通が利く
ようになったけど)
両親は帰国してこないし、まひろはまひろで、ちーちんやさーちゃんたちと楽しくやってるみたい
だし、俺には斗貴子さんという彼女も出来たし、まひろも斗貴子さんのことをえらく気に入ってるし、
これでこのまま、俺たちは普通の兄妹に戻れるな、そう思った矢先の今回の帰省だった。
俺は甘かった。まひろの情念の凄さを、両親が帰国するまでの2日間で、俺は知ることになる。
お父さんとお母さんがこの夏に帰国する、と聞いたとき、ついにチャンスが来たと思った。
「2人が帰って来る日に合わせればいいじゃないか」と渋るお兄ちゃんを説き伏せて、2人の帰国の
前々日に、私とお兄ちゃんは懐かしの我が家に、なんとまあ、高校入学以来はじめて帰ってきた。
それにしても2年がかりかぁ…ホント、お父さん、お母さん、もっと足しげく帰ってきてよ…
「まひろ、俺はお前のことが嫌いになったから、こんなことを言ってるんじゃない。このままだと…」
お兄ちゃんが銀成学園に合格して、家を出て寄宿舎住まいをすることが決まったとき、私は悲しく
なって泣いてしまった。グスグス泣く私を見て、困った顔をしながら、こう言ったお兄ちゃんの顔を
私は今でもよく覚えている。
そんなこと分かってる。お兄ちゃんが、私に言いたい事もよく分かっている。頭では。
いくら好きだからって、将来結婚できるわけでもないし、そういう関係だってことを誰にも言うことは
出来ない。このままズルズル、深みに嵌っていったら、待っているのは破滅だということも分かって
いた。
それでも私は、お兄ちゃんのことを諦めることは出来なかった。
お兄ちゃんの困った顔を見たくないから、きちんと分かった風を装って、笑顔でお兄ちゃんを送り
出しはしたけど、その笑顔の下で私は、お兄ちゃんを自分の元に取り戻すためにはどうしたら良いか、
そのプランを練り始めていた。
お父さんとお母さんは、若いうちに海外を見て見聞を広めるのもいいことだよと、自分たちと一緒に
赴任先へ私を連れて行って、向こうのハイスクールに私を行かせたいようだったけど、私は断固
それを拒否した。
英語は苦手だし、向こうに行って男の人にレイプされたりしたらイヤだもん。お兄ちゃん以外の男の子
に体を触られたり、自分の身体を触らせたり、セックスしたりする気など、私にはさらさらない。
私は「お兄ちゃんと同じ銀成学園に行きたい」と2人に訴えた。幸い、お父さんもお母さんも、私の
意思を聞いた以上、自分たちについて来いと無理強いすることもなく、私は翌年、無事に銀成学園に
合格し、愛しい兄の後を追って埼玉県に行くことになった。
「ここの制服可愛いから、どうしてもここに来たかったんだ」
お兄ちゃんにはそう言ったけど、もちろん、それが目的じゃない。でもでも、ここの制服可愛いから
好きって言うのは本当だけど。
ここまでは計算どおりだった。
ただ、寄宿舎住まいというのは、いろいろと規則も多くて、しかも寮監がけっこう厳しい人だったこと
もあって、たとえ兄妹といえども、自由にお互いの部屋を行き来することは出来なかった。
ちーちんやさーちゃんといった仲のいいお友達や、お兄ちゃんのお友達ともお友達になって、それなり
に楽しく学生生活を過ごせたけど、お兄ちゃん相手にそういう方向に雰囲気を持っていけそうな機会は
いつまでたってもやって来なかった。
そのうちお兄ちゃんは、転校生の津村斗貴子さんって人と恋仲になっちゃったりして、ますます私の
付け入る隙はなくなってしまった。とりあえず、斗貴子さんとも仲良くしつつ、私はお兄ちゃんを
取り戻す機会を伺っていた。
海外に行った両親が、行きっぱなしのまま、まったく帰国してこないので夏も年末年始も春も
帰省することが出来ず、私は2年生に進級し、お兄ちゃんは3年生になった。留年してくれたら同じ
学年になれたのにな。
そんな悶々とした日々を過ごしていた矢先、両親が帰国してきたことで、待ち続けていた機会が
ようやくめぐってきたのだった。
まひろに引っ張られて、結局俺は…3年ぶりか? まひろと一緒に風呂に入ることになってしまった。
それにしてもまひろ、しばらく見ないうちにまた大きく…などと、服を脱ぐまひろをみながらぽやっと
考えていると、パンツ1枚になったまひろが、何かを待っているかのように俺を眺めている。
なんか恥ずかしくなって目を逸らすと、まひろは少し膨れて拗ねたような表情をして、
「…最後の一枚は相手に脱がせてもらうの、昔からのお約束でしょ」
その言葉を聞いて、俺は不穏な空気を一瞬感じたのだが、まあ…ここでその、雰囲気をぶち壊して
も仕方ない気もしたし、せっかく久々に一緒に入るのだから、昔に戻ってみるのも悪くないか、と思い
「それ、3年ぶりに妹の成長振り、見せてもらうぜっ!」
と手をかけて脱がしたのだが…見事な成長ぶりに、俺の股間のサンライトハートが起動しそうです。
「ほらほら、お兄ちゃんも早く脱げっ…ちょ、なんかひっかかってトランクスが脱げないよ」
…済みません、起動してしまいました。
ボディソープを手で泡立てると、まひろの胸からおなかの辺りを、軽く揉むように手を動かしながら、
洗っていく。3年ぶりでも、身体はきちんと覚えているのだから、我ながら恐ろしい。
「やっぱり、お兄ちゃんに手で洗ってもらうと気持ちいい〜」
俺も気持ちいい。柔らかくて張りがあって。
「デリケートな部分は、特にていねいにお願い」
はい、胸とお尻とあそこですね…って、すっかり俺はまひろのペースに巻き込まれ、昔の感覚を完全に
取り戻していた。片手で胸を揉みながら、もう一方の手をまひろの股間に伸ばす。
まひろも待っていたかのように、後ろに身体をあずけると、少しずつ息を荒げていく。
風呂の中を静寂と、ソープのくちゅくちゅという音と、まひろの吐息が支配していく。
何かが切れた。
「…ごめんお兄ちゃん。気持ちよすぎて、ちょっと漏らしちゃったかも」
あ…やっぱ、今、手にかかった熱いのはそうか。ま、風呂場だし、気にしなくていいけどな。
「お兄ちゃん…斗貴子さんともこういうこと、してる?」
そ…そりゃまあ、斗貴子さんと俺は世間で言うところのいわゆる恋人同士で、だから当然、そんなこと
もするわけで、時には一緒にお風呂に入ることもあったりで、そうすればその…
「ふふっ、よく分かったから…照れちゃって、ヘンなお兄ちゃん」
おまえがいきなり斗貴子さんの話なんか振るからだろ!
「それじゃ次は、私がお兄ちゃんに、斗貴子さんでは物理的に無理なことをしてあげよー」
だいたい、どんな類のことか想像は付くけど、あんまり斗貴子さんを貶めるなよ、あれで結構気にして
るみたいだから。
「…だけど、今のお兄ちゃんの攻撃で、まひろはまだ身動きが取れないであります!」
へろへろと右手を挙げるまひろ。見たかっ、これが兄の力だ! 何を隠そう、俺は指技の達人だっ!
「ちっちゃいころ、お風呂場でいろんなことしたよねぇ…指で開いて見せたり、手で擦っておっきく
して先っちょ剥いたら、戻らなくなって慌てたりね」
そうだな。そういや、はじめての射精も、確かここで、まひろの見てる前だったんだよな。
「そうそう、いつもみたいに手でいじって遊んでたら、ネバネバしたものがいきなり…お兄ちゃん、
出したら腰抜かしちゃうし、私びっくりしたよ」
あと、まひろ、よくここでオシッコしてたよな。いきなりもよおしてさ。
「指で中をいじられてると、刺激されてしたくなっちゃうことがあるの。お兄ちゃんの目の前で、
見られながらするのって、何か変な感じだったな」
思いつくまま、まひろとこんなことを話したりしていた。
この時点でもう、俺たちは壊れていたのかもしれない。
後ろからお兄ちゃんに抱きつきながら、密着させた胸とお腹をゆっくりと上下させる。
胸がおっきくなり始めた頃から、一緒にお風呂に入るたびにこれをやってあげていた。柔らかくて
すべすべしてて気持ちいいってお兄ちゃんは言ってくれるし、洗ってる私も気持ちいい。
頃合を見て、お兄ちゃんの股間に手を伸ばすと、根本の方はもうカチカチで、筋がボコボコ浮いて
いるのが、感触だけで分かる。ソープのついた手で、根本を軽く扱いたり、根本を持ってムチみたいに
振ってみたりする。
握っている手の甲に透明なカウパー液が飛んで、亀頭と手の甲の間に糸を引いている。
「まひろ…そうやってあまり振ると、出ちゃいそう」
お風呂で出すのは1回だけってのがルールだからね。もうちょっと持たせてもらわないと…私は握って
いた手をとりあえず1度離すと、背中を洗うのに集中した。
わざわざ、父さんや母さんが帰ってくる前々日の帰省をまひろが主張したとき、「まひろは何か
考えてるな」とは思ったけど、事ここに至って、まひろの意図がはっきりと見えていた。
まひろは寂しかったのだろう。
身体の関係を絶つときも、俺が一方的に家を離れるというやり方だったし、言葉を尽くしてまひろを
説得するという労を、俺は取らなかった。お前のことが嫌いになったわけじゃない、いつまでもこんな
ことを続けてたら…なんていう、通り一遍なことしか言わなかった。
俺はそれで、まひろが分かってくれたものだとばかり思っていた。けど、実は違ったのだ。
さらに悪いのは俺自身が、今こうしてまひろと、兄妹の間では絶対にしてはいけない禁断の行為に
ふけりながら、それに対して微塵も、嫌悪感や罪悪感を抱けないということだった。
俺には、斗貴子さんという大切な人がいる。
今俺のしていることは、どんな理屈をつけようとも浮気、いわば斗貴子さんへの裏切り行為のはずだ。
これがもし、相手が千歳さんや桜花先輩だったら、俺は斗貴子さんへの申し訳なさと罪悪心で、多分
興奮したり、勃起させたりは出来ないだろう…と思う、多分。
それがこと、まひろに対しては、自制がまったく利かないのだ。
「まひろは俺にとって特別な存在だ。他の女の子と一緒に考えられるものじゃない」
「高校に入って以来、六桝たちばっかりとつるんでたし、斗貴子さんと知り合ってからは斗貴子さん
ばっかりで、まひろにはあんまり構ってやってなかったな…」
「せめてここにいる間は、まひろの望むことは全部きいてやりたい」
まひろのためといいながら、自分にとっても都合のいい理屈が、いくらでも出てくる。
ゴメン、斗貴子さん。俺、もう我慢出来ないかも。
「はいお兄ちゃん、流すから立ってね」
そう言ってお兄ちゃんを立たせると、シャワーでボディソープを洗い流していく。落とし終わると私は
お兄ちゃんの正面に跪いて、亀頭部分を口に含んで、顔を前後に動かし出した。
昔から、フェラチオを始めた時がフィニッシュの合図。私が咥えたら必ず射精するってのがルール。
お兄ちゃんもそれを思い出したのか、私の頭に添えられた手が、私の顔の動きと連動している。
唾液を絡めてたっぷりと吸い上げる、尿道口に舌を這わす、亀頭のくびれた部分に歯の裏側を軽く
引っ掛けてクイッと引っ張る、全部、お兄ちゃんと一緒に身につけたこと、お兄ちゃんにしかした
ことのないこと。
「まひろ…俺、そろそろダメ…」
その声を聞いて、浅めに咥えなおすと、根本を扱きながら亀頭に舌を這わせる。3年経っても
お兄ちゃんの声1つで、自動的にモードが切り替わる。経験ってのは凄い。
「まひろ…出る…」
お兄ちゃんの荒い息遣いを聞きながら、口の中で感じる、久々の熱い感触と味を感じていた。
まひろはしばらく、口の中でくちゅくちゅと、出された精液と自分の唾液を混ぜて、やおや、
俺に向かって口を開いた。細かい泡の立った白い粘液が、口の中に溜まっているのが見える。
そしてまひろは口を閉じると、俺の目を見つめたまま、目を閉じると喉を鳴らして口の中の
ものを飲み込んだ。
これ、目の前でやられると、すっごくくるんだよな。
「お兄ちゃん元気だねー」
まひろはニコッと笑うと、「口の中にまだ残ってる〜、苦いよー」とか言いながら、水で口を
ゆすぎ始めた。
「お兄ちゃん、そろそろ上がろうか、すっきりしたでしょ」
…はい、すっきりしました。
風呂場で一戦交えて、すっかり吹っ切れてしまったのだろう。俺とまひろは、昔、両親が揃って家を
空けていて不在だった時にしていたような過ごし方で、両親が帰ってくるまでの2日間を過ごした。
寝るのと風呂はもちろん一緒。
まひろのつける下着は(着けるか着けないかも含めて)全部俺のセレクト。
家の中でエッチを挑まれたらその場で応じる。廊下でも、階段でも、トイレの最中でも…「お願い
だからオシッコ拭かせてよ〜」と困り顔のまひろに興奮して、指で中をこねくり回して、トイレの
床を潮で汚したり、ベランダでした時は、声が近所に響くからと渋ったまひろの口に、捻ったタオルを
噛ませて、外から見えないように、ベランダの床に組み敷いて正上位で思いっきり突いたが、苦悶の
表情を浮かべるまひろを見て、まるでレイプしているみたいで興奮してしまい、ゴムをつけてないのを忘れて、あやうく中出しするところだった。
おまけに済んだ後、身体中をあちこち蚊に食われて、俺もまひろもえらく痒い思いをした。
やっぱり夏場は外でやるのは、考えた方が良さそうだ。まひろもすっごく興奮して、気持ちよかった
って言ってくれたし、今度、斗貴子さんとも、野外でしてみたいんだけどな。
当然、まひろの方からも俺にエッチを仕掛けてくる。大浜と携帯で話している最中に挑まれて、口と
手でねぶりまわされて受け答えに難儀した挙句、大浜の間抜け声を視聴しながら射精するという
トラウマものの経験もした。射精先が、まひろの口の中だったことが、不幸中の幸いだ。
「トイレのときの仕返しだー! 大浜先輩の声聞いてイッちゃうなんて、お兄ちゃんの変態ー!」
してやったり、と得意満面のまひろの顔を見て、柄にもなくちょっと落ち込んだのは内緒だ。
「お兄ちゃんを取り戻せ」大作戦、あっさり成功しちゃったみたい。ちょっと唖然。
今は斗貴子さんっていう彼女もいるし、正直、お兄ちゃんがどの程度、腹を括れるものなのか、
疑問だったけど、まあ、なんせお兄ちゃんとのエッチのキャリアは斗貴子さんより、私の方が
上ですから!
2日間、たっぷりと楽しんだせいか、お父さんとお母さんが戻ってきて、久々に家族が揃ったときも、
お兄ちゃんと私のほとぼりは冷めなかった。もともと仲が良くて、べったりくっついている感じ
だから、2人っきりで、どっちかの部屋に入り浸っていても何にも言われないし、一緒にお風呂に
入ろうとしたときなんて…この年齢だし、いくら何でも止められるかと思いきや、
「ふふ、2人とも本当に、幾つになっても仲が良いこと。これからも仲の良いままでいなさいね」
「寮じゃいくら兄妹でも、人目もあるし一緒にお風呂には入れないだろう。ウチにいる間くらい、
2人でゆっくり入りなさい」
だって。ホント、うちの両親ってアバウトというか…
そして、両親がいるということが、なんか一種のスパイスになって、お兄ちゃんとのエッチもますます
拍車がかかっちゃった。人目を気にせずに思いっきりやるのもいいけど、人目を気にしながらってのも
これはこれでいい。お兄ちゃんの手が、こっそりスカートの中に入ってきて、内ももやクロッチの部分
を擦られたり、上着をちろっと捲くられて乳首を吸われたり、ズボンの上からお兄ちゃんの固いのを
握ってみたり、親の目を盗んでのペッティング、昔もしていたけどやっぱりスリル満点。
…あ、もちろんお兄ちゃんとのエッチばっかりじゃなくて、久々に親子水入らず、のんびり過ごしたよ
でも一番の収穫は、お兄ちゃんの心に、おっきな楔を打ち込めたこと、かな。
<何も知らない斗貴子>
1週間ぶりにカズキとまひろちゃんを見たとき、少し雰囲気が変わったな、という印象を受けた。
なぜそうなのかは私にも分からないが、おそらく、久しぶりに両親と過ごしたことで、2人とも
心置きなく「子供」、「兄妹」に戻ることが出来たのだろう。
例のヴィクターとの一件以来、カズキはまひろちゃんを悲しませたことを悔いていたし、錬金術に
かかわったことで、否応なく超常世界の不条理を、身をもって体験することになってしまった。
私にも負い目がある。心理的な後遺症も心配だった。
今回の帰省が、少しでも2人のためになったのなら、私は嬉しい。
それに私は、いくら恋人とはいえ、このところカズキを独占しすぎている。まひろちゃんだって
寂しいだろう。たまには「お兄ちゃん」を、まひろちゃんに返してあげなくちゃね。
<一方的に宣戦布告するまひろ>
「斗貴子さん…斗貴子さんには迷惑かもしれないけど、私は斗貴子さんに宣戦布告します!
お兄ちゃんを全部手に入れたいのなら、私に勝ってください」
私は心の中でそう呟くと、久々に斗貴子さんのすべすべお肌を堪能すべく、手を広げて
斗貴子さんの下に向かっていった。
<壊れ気味のカズキ>
…あれ以来、まひろを見ると勃っちゃって困る。ま、このテの感情を周りに悟られないように
するのは慣れているけど、下半身だけはどうにも誤魔化せないんだよな…
斗貴子さんとしている最中も、まひろのことを思い出…いや、こんなのダメだ!
斗貴子さんと夜、行き来するのは完全に黙認されているからいいけど、まひろとはなかなか
逢瀬の機会が作れない。
こないだ、真夜中にトイレに起きたとき、トイレの前でばったりまひろと鉢合わせて…
男子トイレの個室に引っ張り込んでやったけど、見つかるんじゃないかと興奮したなー
はてさて、この3人の三角関係、どうなることやら。