『誓い』
「どうしたの斗貴子さん? 震えてるケド…やっぱ怖いの?」
オレは両腕で優しく彼女を包み込み、安心させるようにささやいた。
「ち、違うッ! …ただ初めてだから落ち着かないだけだッ!」
斗貴子さんは強がっているというか、緊張しているというか、
薄紅色の傷がさらに真赤になるくらいの表情で応える。
そう…オレ達は今日、本当の意味で一心同体になろうとしている。
勿論、これまでずっとまるごと全部斗貴子さんの事が好きだったし、
これからも一生彼女を守りたい気持ちでいっぱいだ。
しかも、オレ達は将来結婚し子供が生まれるのも判っている。
ソウヤの奴元気かな…。
でもよく考えたら、元気なソウヤをこの時代で
平和に育てるためには、どうしてもやらなきゃいけないコトがあった!
それをまぁ、これからやろうとしていたわけで。
でも実は、オレも初めてだから緊張してないというのはウソになる。
本音を言えば、斗貴子さんのおヘソを見られただけで満足してしまったのだけど、
それだけじゃあソウヤと誓った約束、「再会」は果たせない。
オレは意を決して斗貴子さんを抱きしめた。
次にふたりの手と手が絶対離れないように握りあってから、
斗貴子さんとの、そしてソウヤとの「誓い」を秘め、行動に出た。
「いくよ、斗貴子さん!」
◇
「あぁっ…あんっ!」
今、私はどんな表情(カオ)をしているのだろう…?
出会った頃、最初はきっと険しい表情。
それは、戦いの世界へ巻き込んでしまったカズキへの罪悪感が出ていたハズ。
でも、彼の笑顔は私を逆に戦いの世界から日常へと引き戻してくれた。
彼を守るつもりが実は守られていて、最後はこの惑星をも守ろうとした少年。
そんな彼が私は大好きだ。
それに最近はすっかりカズキ色に染められて、
表情も彼に似てきてしまったのではないかと危惧する始末だが。
サンライトイエローの綺麗な光は、例え武装錬金を発動していなくとも、
私の身体を明るく照らしてくれている。
例えどんな暗闇でも、方向を失わない優しくも力強い光。
灯りの消えたこの部屋であっても、カズキがどんなカオをしているか私にはわかる。
一生離れないと決意したあの日のように、私はカズキと身体を重ねる。
私達の「誓い」がいつまでもつづくように。
今、私はどんな表情(カオ)をしているのだろう…?
<了>