円「ねー!!ねー!!知ってる?
巨乳<爆乳<超乳<魔乳<鬼乳<奇乳の順におっきいらしいわよ!
ああ〜、もういっそ整形しようかしら!!胸欲しいいいい!!胸さえあればあああ!!!」
戦「それは整形という名の大工事だな・・・」
犬「豊乳ってのも聞いたことあるよ!」
火「まぁ何にせよデケェのが一番だな」
円山「ちょっと毒島ちゃん!赤ワイン頼んでー!あと焼酎、芋でお願いね!!」
火「中瓶ももうねェぞ、10本くらい頼んどけ」
毒島「はっ、はいぃ!!」
ハイペースでグラスが空くので忙しく酌をして回っていた毒島であったが、
火渡の言葉を聞いた時、平静を装っていたが内心は心臓を鷲掴みにされたような心持であった。
追加の注文の為廊下に出た時、思わず溜め息が漏れた。
「はぁ…やっぱり火渡様は胸の大きな女性が好きなのですね。私なんかじゃとても…。」
何となく部屋に戻り辛く、廊下に座り込み、膝を抱え込んだ。
ああ、今すぐに成長期が訪れて、来年の今頃には背も胸も人並みに大きくなっていたらいいのに…と思いながら。
ふと、気付くと。いつの間にか根来が側らに立っていた。
「女性の価値は胸の大きさで決まるものではないぞ。そう落ち込むな」
感情を感じさせない口調はいつもと変わりなかったが、その雰囲気は普段よりも若干柔らかであった。
「あ、根来さん…。あ、あ…りがとうございます。
私、自分が幼児体型なこと、いつも気にしてるわけではないんですけど。
でも、やっぱり胸とかあった方が女性らしくて魅力的ですよねー…」
「毒島は」
「…はい?」
「今のままで十分女性らしい」
根来は表情を崩すことなく言葉を続けた。
「あっ、あの」
「それに、可愛い。」
「え……」
そして毒島の頭をポンポンと軽く撫でた。
常日頃火渡にぞんざいに扱われ、誉めらることに慣れていない毒島は、
普段の根来らしからぬ優しい言動と行動に耳まで真っ赤になった。
「あ、あ、あ、あのっ、フォロー、有り難く思います!……どっ、どどどうかお気遣いなく!!」
恥ずかしさが極限に達し、どう振る舞うのが正解なのか分からなくなった毒島は、
意味不明な言葉を言い残し、脱兎の如くその場を逃げ出した。
「…オイてめ、聞こえたぞ」
廊下に面した襖が開き、不機嫌を露にした表情で火渡が現れた。
「根来よォ、ガキからかって随分楽しそうじゃねェか」
「……別に、何も。」
「フン、……手ェ出したら殺すぞ」
「…承知。」
火渡が酒の席に戻った後、
今の所はな、と根来は呟いた。