翌日、目を覚ますと隣りには愛しい、愛しい、彼がいた。  
――もう一度、してしまったのだろうか。  
昨日のことは幸せすぎて、いまいち記憶していない。  
しかし、私の、裸と言う今の格好を考えるともう一度、彼と愛し合ったようだった。  
 
時計に目をやると、起床時間の一時間前。  
それに、今日は日曜日だ。  
 
彼を見ると、幸せそうに寝息を立てている。  
 
口付けをしようと彼の上に身を乗りだすと、足の辺りに、何か当たる感触が――  
 
「うひゃあっ!!」  
 
思わず悲鳴をあげてしまった。  
 
「ま、まったく…。寝てる間までそんなことを――。」  
 
少し――、というか、かなり、恥ずかしかった。  
 
こんなことの後だからだろうか、私はなにか悶々としてきて、彼を起こさないように、静かに自慰を、した。  
 
自慰をし疲れたのだろうか、気付くと眠っていた私はカズキの声で目が覚めた。  
 
彼は、裸のままぼーっとしている私を恥ずかしそうに諭した。  
 
「…えっ。あ、そ、その――。ぅ、み、見るなっ!」  
 
――自分でも何を言っているのかいまいち分からなかった。  
凄く、恥ずかしかった。  
 
ささっと着替えると、カズキが残念そうな顔をしたので、頭を小突いてやった。  
 
朝食の時間になったので、二人一緒に部屋を出ると、丁度、運悪く、その、彼の妹が扉の前を歩いていた。  
こちらに気付くと彼女はあからさまに好奇の目を寄せ、少し意地悪な笑みを浮かべながら、こちらへやってきた。  
 
「あれれー?なんでお兄ちゃんが斗貴子さんの部屋からでてくるのぉ?」  
 
『あれれー?』って台詞が某漫画の少年名探偵並にしらじらしい。  
 
「――そ、それは、その…。」  
 
二人して、顔を朱に染めて答えに戸惑っている様は、さぞ滑稽だったろう。  
彼女は、ごめんね、おめでとう。と私たちにほほ笑みをかけると、それじゃ。と言って、その先の――ちーちん?さーちゃん?  
どちらか分からないが、ともかく私の部屋の隣りの彼女の友人の部屋に入って行った。  
 
 
朝食をカズキとならんで食べていると、つつつ、と彼の妹のまひろちゃんがやってきた。  
 
「昨日、凄かったんだってね☆隣りまで筒抜けだったってょ☆」  
 
ぶッ!!  
思わず口に含んでいた味噌汁を吐いてしまうところだった。  
 
「――な、なんの、こ、ことだ?」  
 
動揺を隠すことは不可能だった。  
 
「な、なぁ、カズキッ!」  
 
カズキに助けを求め、隣りを向くとそこにいたはずの彼は忽然と姿を消しており、私は、出口からそそくさと逃げて行く彼の姿を確認できた。  
 
――あ、後で絶対にぶち撒けてやる…。  
 
「ちょっとぉ、斗貴子さん?聞いてる?」  
 
「え?ああ、えーと…。その、なんだな…。」  
 
こんなこと、普通に言える方がどうかしてる。  
彼女の詰問に屈せず、私はだまり通した――というよりも、なにも言えなかった。  
 
「もー!答えてくれないの?ひっどぉい!いいもん、絶対に喋ってもらうから!」  
 
そうに言うと彼女は私の腕を掴んで、彼女の部屋まで私を連行していった。  
 
 
連行の途中、カズキからメールが入った。  
 
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Sub:Re:Re:Re:Re:Re:  
From:武藤カズキ  
本文:  
ゴメンッ〓〓〓大丈夫、斗貴子  
さんならなんとかなるっ〓〓〓  
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――シンデシマエ…  
 
私が怒りに奮えていると、私を連行する彼女が到着を知らせ、私を中に半ば無理矢理連れ込んだ。  
 
…………  
…………………  
 
「……な、なにをしているッ!!?は、はなせっ!!」  
 
イスに座らされたかと思うと、部屋で既に待ちかまえていた、ちーちんとさーちゃんに、押さえつけられてしまった。  
すると、まひろちゃんが、どこから出してきたのか、荷造り用のひもで私を逃げられないように縛り上げた。  
 
「なんのつもりだ!やめろ!!」  
 
彼女たちは、私を見下ろすと  
 
「斗貴子さんには、全て話してもらうまで、返さないんだからっ」  
 
と言いはなった。  
 
――なぜ、こんなことに…  
私は首をうなだれるしかなかった。  
 
 
彼女たちに拉致&拘束され、数十分が経とうとしていた。  
私は彼女たちの言葉に、恥ずかしさに顔を真っ赤に染めながらも黙秘を続けた。  
 
「んー、、、さすが、斗貴子さん。ここまで粘るとは思わなかったね、まっぴー。」  
 
「うん…。でも、ここで返すわけにはいかないし…。」  
 
私の殺意の籠もった目を確認したからか、どうも、このまま収穫なしに返すと後が恐ろしいことになると判断したのだろう。  
 
――もぅ、イヤだ…。  
私は、怒りに奮えていたが、それ以上に、羞恥で心はいっぱいだった。  
なぜ、あんなことや、こんなことまで…。ああっ!もうっ!!  
 
でも、彼女たちの好奇心で一杯の目を見ると、逃れられない現実を認めざるを得なかった。  
 
いろいろ考えていると、突然、後方から手が伸びてきて、私の胸を鷲掴みにした。  
 
「うひゃぁッ!………な、ななな、、、」  
 
「ふーん、まっぴーのお兄ちゃんは、この胸を揉んだのね。」  
 
「ちょっとー、さーちゃんずるいよぉ、私も揉むの!」  
 
彼女たちは私の胸の取り合いを始めた。  
………な、なんなんだ、この状況は…。  
 
――ど、どうしよう……。声、が、出て、しまい、そうだ…。  
 
「……や、やめ……っ。あ、、んっっ!」  
 
どうしよう……。我慢できなかった……。  
 
「あー、斗貴子さん感じてるーー!!」  
 
歓喜の声があがる。  
 
「お、おね、がい……。あっ…ん…。も、、、もう、やめてぇ………っああっ!」  
 
必死に、必死に懇願した。  
しかし、ちらりと彼女たちの目を見ると、誰もが、好奇心に、目を光らせていた。  
――ああ、もう駄目だ…。  
私は悟った。  
 
どれくらいの時が経ったろう。  
もう、あきらめてしまった私は、もう、彼女らのなすが儘だった。  
 
「キャハッ!斗貴子さん、これで、もう、5回目?エッチだね〜☆」  
 
――そんな、ことを、、言わないで……。  
 
私の思いとは裏腹に、私の体は嬌声を発し続けた。  
 
いつしか、私はベッドに手足を固定された状態で寝かされていた。  
彼女たちもみな、裸となり、私の上でなまめかしく踊っていた。  
 
「ああんんんっ!いっちゃうよぉ、さーちゃぁんッ!」  
「だ、だめぇぇぇぇぇっ!きちゃうっ!きちゃうよぉぉ!」  
 
彼女らのあえぎ声は辺りに響き、この、空間を演出していた。  
 
私の膣には誰が持っていたのか、ローターが押し当てられ、私は身をくねらせ、その快感に  
耐えることも叶わず、嬌声をあげ続けていた。  
 
彼女らのうちの一人、カズキの妹であるまひろちゃんが、私の上にちょうど覆い被さるように乗り、  
クリトリスを私のそれと擦りつけ、喘いでいる。  
彼女の胸と私の胸が擦れ、快感が生み出され、下でも同様に快感が生み出されていった。  
 
「だ、だめぇぇぇぇぇっ!!はぁぁんっ!ああっ!!」  
 
私は、、、そう叫ぶと、意識を、失った。  
 
 
目を覚ますと、私の上には布団が被せられており、辺りを見回すと、彼女らが座っておしゃべりをしていた。  
 
私に気づいた誰かが私が起きたことを他の二人に告げ、こっちにやってきた。  
 
「………。斗貴子さん、全然起きないから、びっくりしちゃった!」  
 
――…………。  
 
私は、彼女らを睨み付けた。  
 
私の殺気に彼女らの顔色が変わった。  
今更ながら自分たちのしたことに気づいたのか、怯えた子犬のように私に許しを請い始めた。  
 
――許すものか…。  
 
私は彼女らに当たり散らした。  
彼女らは怯えから泣き出してしたが、構わず私は怒った。  
 
一通り喚き散らすと私は服を着て、部屋を出て行った。  
部屋の中からは彼女らの泣き声がずっと、聞こえていた。  
 
 
私は部屋のイスに座り、腕を組んでいた。  
もちろん、この動作は怒りからくるものだった。  
 
先日、カズキからプレゼントされたクマのぬいぐるみをぶち撒けて、少し落ち着いたものの  
やはり、怒りは抜けなかった。  
 
そんな時、素っ頓狂なメロディーが携帯から奏でられ、私はそれを手に取った。  
 
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Sub:  
From:武藤まひろ  
本文:  
さっきは、本当に、ごめんなさい…。  
つい、調子に乗ってしまいました。  
本当に、本当に、ごめんなさい…。  
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………。  
携帯を閉じ、床に目をやった。  
カズキにもらったクマのぬいぐるみの、破片となったその目が、私を見つめていた。  
なんだか、急に、自分がとても済まないことをしてしまった気持ちになった。  
 
色んな気持ちが爆発して、私は、うずくまって、泣き叫んだ。  
 
 
「カズキぃ、カズキぃ!!」  
 
私は泣きながら、彼の体をポカポカと叩いていた。  
 
カズキは済まなそうな顔をしながら、私の頭を撫でてくれていた。  
 
カズキは、私が、くまのぬいぐるみをぶち撒けたことを怒ることはなかった。  
 
――私は、私は、……。  
なんて、不器用なんだ……。いつでも人を傷つけてばかりいる。  
彼女たちも、なにも悪気があった訳ではなかったと、今、思う。  
私のことを、好いてくれていた。一緒に、いてくれた、友達だったではないか。  
確かに、私は、過ぎたことをされた。  
しかし、同時に、楽しんでいる、私も、そこには同居していた。  
彼女たちを、傷つけてしまった。  
私は、ひたすら、後悔した…。  
 
――カズキ……。  
君にもらった、クマのぬいぐるみ、ぶち撒けてしまったよ…。  
君の思いが詰まった、可愛い、可愛い、ぬいぐるみだったのに。  
いつも、君のことを思うときは、この子を抱いていた。  
しかし、私は、いつも、怒りとともに、前後不覚に陥ってしまう、バカな女なんだ…。  
どうして、こうも、私は、人の、気持ちを、軽々しく、、踏みにじってしまうんだ……。  
 
顔を上げると、カズキは、逃げたことを詫びていた。  
 
私は、、、胸が締め付けられ、その痛みで、泣いた。  
 
カズキと、ともに、布団に入った。  
私は、布団の中でカズキの胸にもぐりこみ、うずくまって、泣いた。  
カズキは、なにがあったのか、決して聞かなかった。  
ただ、優しく、優しく、私を抱きしめてくれていた。  
それが、とても、とても、うれしくて、同時に、とても、とても、辛かった。  
 
どれくらい泣いただろう。だいぶ、私は、正気を取り戻していた。  
 
「カズキ、本当に、ごめん…。いつも、すまない……。」  
 
カズキに、謝らなければならないと、思った。  
カズキは、ただ、うなずいて、私を、抱きしめてくれた。  
不覚にも、また、前が、ぼやけてきてしまった。  
 
――私は…。どうしてしまったのだろう…。  
私は、こんなにも、弱い女だったのか…。  
自分の弱さ故に、虚を張り、強がり、人を、遠ざけて生きてきたと知った。  
しかし、ここのみんなは、私を、こんな私を、受け入れてくれた。優しくしてくれた。  
―友達、になってくれた。  
 
私は、彼女たちと、このまま、こんな、こんな、ままで、居たくなかった。  
 
カズキに、待っててと告げ、涙を拭くと、私は、彼女らの部屋に向かった。  
 
ドアを開けると、彼女たちは、部屋にうずくまって、今にも泣きそうだった。  
私を認めると、彼女たちは、一斉に、泣き出してしまった。  
 
私の胸はとても、とても、締め付けられた。  
 
「さ、さっきは―――。」  
 
――なんと、言ったら良いのだろう…。  
しかし、私は、ここで引いては、いけないと、思った。  
 
「さっきは、、、その……。すまなかった……。私は、君たちを、、傷つけてしまった。  
 私は、君たちが、、とても、大事だ……。こんな、私のことを、許してくれるなんて、  
 思えない。でも、でも、―――――。」  
 
涙が溢れてきて、それ以上の言葉が出なかった。  
私が、彼女たちの前で、泣き崩れると、彼女たちは、私に、泣きながら、ぽつり、ぽつり、と、言った。  
 
「私たち、斗貴子さんが、、大好きだよ。ねぇ、あんなこと、しちゃって……、ごめんなさい。  
 とても、反省、、しています…。私たちのこと、、、嫌わないで、、ください……。」  
 
私たちは、一緒に、ずっと、ずっと、泣き続けた。  
 
 
数時間後、彼女たちに笑顔で別れを告げて、私は、部屋に帰ってきた。  
 
涙で、真っ赤に、真っ赤に、腫れあがった瞳を、カズキは、優しく、舐めてくれた。  
 
――ネコじゃ、ないんだから…。  
でも、、とても、嬉しかった。  
 
私たちは、その夜も、枕を共にし、愛し合った。  
 
 
 

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