カズキ――。
君の人を愛する優しい心はどんな鳥の奏でる歌よりも澄んでいるよ。
君の優しく、温かい、――太陽のような心に、私は包まれたい。
他人(ひと)は私を、君を美化し過ぎだと、嗤うかもしれない。
しかし、君の――。その、その心がこの、私の、顔の醜く深い傷のように深く、深く傷ついた、小鳥のように小さな、この、胸を、心を、癒してくれている。
フフ。こんなことを私が君に想っているなどと君が知ったら、どう思うだろうか。
この想いを伝えられず、君に会う度に胸が、私を締め付けていた。
甘く、切なく、私を縛り上げる、この心は、私の弱い、心だった。
君を想うと、何時でも、私は、そう、胸の苦しさの中にも喜びを覚えていた――。
「カズキ、居るか?」
君に会いたくなって、夜の君の部屋を訪れた。
………。君の返事は聞こえなかった。
――風呂にでも、入っているだろうか。
――ズキン。
君の部屋に、君がいないと言うのに私がいる。という背徳感が私の胸を刺激した。
そして、そして――。
私はここで、ある種、興奮を覚えていたことも話さねばなるまい。
私の、女性の本能は、君を求め、疼いていた。
そのことに気付いた私は、頬を赤らめ、内股で、独り、俯いていた。
私は、いつしか、自分の疼きを、受け入れていた。
君のベッドの上で、君の、匂いのする、ここで。
私の胸の二つの小さな丘は、その存在を最大限に現し、君をひたすら求め、私の、私の女の部分は、君を欲し、そこに洪水を起こした。
それらの興奮を、私は、自らの手で、揉み、いじり、一層高揚させ、己を快楽の境地へと向かわせて行った。
私は己が絶頂に達するのを感じ、同時に、戦いとは違う、ある種、空虚を含んだ疲労を覚えた。
――私は、なにをしているのだ。
急に、羞恥心から、本能に歯止めがかかった。
膝のあたりまで下ろしたショーツを、もう一度穿くと、なんだか、冷たくねっとりしていて気持ち悪かった。
ベッドに目をやると、私の作った水溜まりが見え、なんだか、すごく、恥ずかしくなって、自分の部屋へ駆け戻った。
部屋に舞い戻ると、私の胸は、背徳感に激しく高揚していた。
私の本能が君を強く、強く求め、咆哮していた。
私の胸の高鳴りは全身に伝播した。
私の君を最も欲する部位は、君への欲望の滴でそこを満たした。
私は情動を抑えられなかった。君を電話で呼び出し、君の目の前で、私は、服を、脱ぎ捨てた。
心は羞恥心で溢れ返っていた。しかし、それも認知できぬほど、私の君を求める本能は荒狂い、雄叫びをあげていた。
君は、私の必死の呼掛けに、応じてくれた。
たどたどしく服を脱ぐ君が愛しかった。
淫乱と称されても、変態と詰られようとも構わなかった。ただ、ただ、君を私は欲した。
君の股間に聳える、その、君の男の象徴に、私の体は、加速度的に高揚し、その時にはもう、理性などこれっぽっちも残っていなかった。
ただ、ただ、君が欲しい。
君にしゃぶりつき、その味を楽しんだ。
君の全身をなめ回した。
君に触れる度、私の魂が、歓喜の叫びをあげた。
ベッドに寝ると、私は自らの足を抱え、腰を浮かせ、君に、濡れに濡れてもう、海のようになったソコを広げ、君を求める言葉を発した。
君が入ってくるのを感じた。魂が、全身が君で満たされるのを感じ、私は、腰を大きく振り、その幸せを全身で受け止めた。
君は何度も私を突き、その度に私は歓喜の嬌声をあげた。
君の体が私に重なる。私は君を強く抱き締め、快楽の渦に飲まれ、そのまま、イッた。
目を覚ますと隣りには君がいた。
冷静になって思い返すと、凄く、凄く、恥ずかしかった。
私が、君を認めるとすぐ、外方を向いたのはそんな、理由からだった。
君は私に身を寄せ、呟いた。
「…斗貴子さん、とても、可愛かったよ。」
その言葉は私の心を喜びで満たした。
嬉しくて、嬉しくて、堪らなかった私は、君の方を振り向くと、強く、強く、ずっと、君を、抱き締め、涙した。