ちなみにまひろは、寄宿舎中を走り回っていたが
カズキたちがいる管理人室には「ブラボーがいなかったからいるワケない!」と行かず
見つけられないまま部屋に戻った。そして起きているパピヨンに喜んだ。
と同時に、ボケ進行中ボケ執行中なせいで色々忘れた。
カズキとどういう知り合いか尋ねたり、しかし今はカズキが不在なのを伝えたりとか。
そのままへーへーほーと与作が木を切るように息を整えている。汗が滲んでやや涼しい。
そんな様子をパピヨンは興味なさげにちらっと観察した。
(部屋に馴染んでいる所や顔つきからして、ヒマな学生といった所か。
しかし、どこかで…いや、似た光景を見たのか…?)
扉の前で汗をかき息をついている人間、それをどこかで。
スゴく重要なコトのように思えたが、とりあえずパピヨンは部屋の観察を済ませるコトにした。
好奇と言うより、やりかけたコトを頭の悪そうな女に中断されるのが気に入らないのだ。
まず、モッコスとかいう人形のある棚と扉の間にパイプ椅子が一つ。
首を動かし、視界の中でまひろを適当に流すと、部屋に備え付けの古い机と椅子が見えた。
机の上にはCDプレーヤーや洗って無さそうなコップ、筆記用具、
本がいくばくかと場違いな塩の小瓶が不規則に散乱している。
(ロクなヤツではないな)
結論づけたのは机上もそうだが、そことベッドの間にある本棚の状況だ。
パピヨンの枕元に近い場所で、不揃いな本たちがゴチャゴチャとはみ出している。
漫画に混じって看護や家庭医学に関する本が見えるが、しかし様子から熟読玩味は期待できない。
大方、ナース服と同じく格好をつける為だけに買ったのだろう。
そういう意味で、”ロクでもない”ヤツが
「37度7分も熱あったけど大丈夫? 変態さん」
扉の近くからひょいとパイプ椅子を取り上げながら聞いてきた。息は整っている。
「…変態? 俺がか? 蝶々の触覚からブーツの先までどうしようもなくステキじゃないか…!」
気だるそうに、だがきらびやかに答えた。
「オシャレ間違ってるよ変態さん! 蝶々はピンクと白じゃないと!」
「フン。まぁそれも悪くはないが、この毒々しい紫色のセクシャルには断じて及ばないね!」
まひろは白く固まった。セクシャルの意味が分からないのだ。
まひろは、服装のセンスについて「何ていうか口で言っても通じそうにないよね…」と諦め、黙った。
パピヨンも同じく黙った。今しがたオシャレについて語りはしたが
本来ならば、自分を中途半端な知識で『保護』しているつもりのヤツとは口も聞きたくないのだ。
カタ、と乾いた音がしてパイプ椅子がベッドの傍に置かれた。
コイツはしばらく傍にいるつもりらしい、そう認識した瞬間、パピヨンは天井を睨みつけた。
その顔を覗き込むと、まひろは小首を傾げた。
「アレ? もう傷が治ってる。カサブタもないし…なんでだろう」
まひろは知らない。パピヨンがホムンクルスという化け物で、あの程度の傷はすぐ治るなどと。
ちなみに核鉄も、どういうワケか気絶した瞬間に元の鞘に戻っていて、治癒を助けている。
だが二つの治癒能力を以ってしても、いまだ体は動かない。病気の気だるさも抜けない。
それがもたらす苛立ちは、当たり前のコトに驚くまひろともう一人とに向いていく。
(あのエロスめ。厄介な毒をよくもまぁ!)
珍しく顔は覚えた。明日必ず同じ目に合わせて燃やし尽くしてやる、そう誓った。
その刹那、頬がつつかれた。
「つつくな」
不機嫌まっさかりに手を出され、パピヨンは声を荒げた。
「うーんやっぱり治ってる…でもなんで? ねエねエどうして変態さん?」
「まだ変態というか! この衣装は……いいかよく聞けッ! 真の『オシャレ』とはッ!(中略)傷とか簡単に直るのさ!!」
「なら納得! あともう一つ… そのお面はどーやってつけてるの?
ゴムとか見当たらないけど。わーすごいぷにぷにー」
表情を忙しく変転させながら、結局まひろは頬をつつく。
「関係ないだろオシャレとは。ちょ…やめろコラ! やめ…」
パピヨンは怒鳴ってから口を頑として塞ぐ。ついつい喋りすぎてしまったと目を濁らせた。
どうも調子が狂う。というかついつい乗ってしまう。
(何故だ…?)
パピヨンは知らない。まひろが武藤カズキの妹で、似たような波長を持っているからなどと。
まひろは熱心にお面を見だした。どう付いているか気になるらしい。
「外したら死ぬぞ」と脅されると、ガクガクと震えて素直に引き下がりはしたが。
しかし、蝶々覆面は本当にどうやってついてるのか謎だ。エニグマ並みに謎だ。
(フン。取りあえず寝るか。これ以上口を聞きたくないからね)
不服そうに考えた。眠りについてコイツを徹底的に無視して、体の回復を待っていよう。
野ざらしで寝ていようと、部屋でベッドに包まれようと、どうせ同じだ。世界はどこでも変わりはしない。
パピヨンは目を閉じた。看護などされたくもないと思いながら。
「あ…また寝ちゃった。もっとお話したかったのに」
残念そうに呟いた。しかし流石に病人を起こす気にもならず、とりあえずタオルを替える。
天井から落ちてこようと、格好がかなりおかしかろうと、病人は病人。ちゃんと面倒はみるべきなのだ。
まひろは冷蔵庫からリンゴを取り出し、机に置いた。リンゴの皮剥きを看護の第一歩と信じている。
「けどその前に、ちょっとだけ休憩…」
汗を手で拭いつつ、机の方の椅子に腰掛けると、ふぅっと息が漏れた。
パピヨンを部屋まで運んだり、カズキを探す為に走ったせいで疲れているらしい。
机上のコップにコーラをなみなみとつぎ、それを半分ほど飲み干すと、頬杖をついて目をつむる。
(お兄ちゃん、毎日ドコへ行ってるんだろう。そだ、明日こそはちーちんとさーちゃんと歌を聴かなきゃ)
とりとめもなく考えていると、薄い眠気が巻き起こり、うつらうつらと舟をこぐ。ああ夢の世界でピンクのクジラさんが手招き
「って寝ちゃダメ! リンゴぉっ!!」
ガタンと立ち上がると、大慌てでリンゴを手にした。食べてもらえるかどうかは考えていない。
その頃大浜は、偶然入ったラジオ番組を聴いていた。
『ハーイ 二見坂コトミの”マシーネンナイト”の時間で──す。
リスナーのみんなぁ、さっそく恒例のオープニングクイズぅ──っ!
電子レンジに入れちゃダメなモノはネコと何?』
「ア……アルミホイル?」
『正解っ! 賞品は死刑!!』
「ええー!!」
『ジャンジャランジャ──ンジャンジャランジャ──ンジャ…ブツッピュウルリルィィン!』
アカペラのワルキューレの騎行が始まると、大浜は周波数を変えた(↑こんな音がする)。引いたのだ。
で、変えた先では。
『ザッ! ザー… ああ、ヘルトラマンの右腕がミキサーに掛けられてグチャグチャだよぉ…(丸文字)』
「ロ、ロクな番組がやってない…」
ヘコんだ。
ステキ衣装を腰の辺りにだぶつかせているパピヨンは、もっと寝ているべきだったと後悔していた。
寝ている時には気づかなかったが、下に座椅子が敷かれていたらしく、今はそれごと座る姿勢た。
そして上体の汗を拭かれている。それがたまらなく嫌で、
蝶野攻爵だった頃の惨めな気分に戻りそうで、苛立ちが募っていく。
一時間足らずで目を覚ました彼への第一声は「汗拭くねー」だった。勿論断ったが──…
「ダメだよ汗はちゃんと拭かなきゃ。じゃないと肺炎になっちゃうしギャングが舐めに来るよ。ブローノが来るよ!!」
「来るか! 幹部を上の名前で呼ぶな! 下らない看護婦ごっこに付き合わせずにとっとと寝かせろ!
抱きかかえて身を起こすなスーツをズリ下げ…こ、こら! 脇なんか拭くな…」
「まぁまぁ。いいからいいからーテリーを信じてー くすぐったいだろうけど脇は一番汗かいてるから念入りに〜」
「何一つ良くないし、俺はドリーじゃないから信じ…う、うおお、脇はやめ、やめッ…………ぁっ…」
とまぁ、聞きたくもない口を聞かされた上に押し切られ、体を拭かれ始めて約1分。
大分楽になっているが首以外は動かないので、されるがままだ。
毒を排出しているせいか汗は嫌な光だ。それはまひろはせっせせっせと一生懸命拭いていく。
パピヨンの肌をタオルが撫でるたび、爽やかな空気が体に触れるが、しかし腹立たしい。
人間嫌いの性質ゆえに、すぐ間近で蠢くベトついた栗色の髪と
そこから漂うくすんだ汗と脂の匂いが腹立たしい。
人の汗より自分の汗をどうにかしろ、そう思っているうちにタオルが離れ、ステキ衣装が着せられた。
「とりあえず終わりっ! 2分20秒また世界を縮めたー!」
気楽極まりない笑顔で終了を告げるまひろに、少しだけパピヨンは驚いた。
確かに拭かれ始めてから3分も経っていない。今までなら5分はかかっていた。
(手際の良さだけが救いか)
どの看護婦よりも真っ当な迅速さと丁寧さを感じつつ、憎々しげに鼻を鳴らした。
と同時に、グウウウ…と何とも間抜けな音が響いた。
それが自分のモノだと気づくと、パピヨンは恨めしい気分になる。
ホムンクルスでも腹は減る。傷を負った後なら尚更に。
屋根裏やら管理人室やらココやらで騒ぎすぎたせいもあるだろう。
「お腹空いてるみたいだね。ちょうど良かった」
まひろは待ってましたとばかりに立ち上がり、先ほどパピヨンが観察したベッドサイドテーブルを引っ張ってきた。
「『コの字』!…と私はコレを名付けて呼んでるんだけどね」
言いながらくるりと踵を返すと、「コ」の支柱の部分へ回り込み、ゆっくりと、乳母車でも押すような仕草で押しながら続ける。
「昨日通販で買ったんだよー ちなみに使ったのは変態さんが初めてだからおめでとー!」
心底嬉しそうな声と共に、あまりめでたくないパピヨンの眼前へ木製の板がスライドしていき、やがて止まった。
パピヨンの胸中は揺れた。
まだビニールすら剥がされていない板の上には、ガラスの皿が一つ。
そこには綺麗に剥かれたリンゴが山と積まれている。
リンゴは食べたい。けど腕は動かない。迷っていると、まひろがコの字を挟んで右斜め前に移動した。
このままではリンゴを人の手により喰わされる。それは矜持が許さない。
(動けッ! 俺の腕!! なぜ動かんッッ! クソ…今は動けないそれが運命らしいが諦めはしないぞ!)
だが哀れ。まひろは屈み込み、フォークをざくっとリンゴに刺して口の前に持ってきた。ああここからいなくなりたい。
「さぁ口開けて」
優しく朗らかに言われたが開かない。他人に食わせてもらって嬉しいワケがない。
「おいしいよー」
まひろはリンゴをぐぃぐぃっと唇に押し当て始めた。そうすりゃ開くと思っているらしい。
(殺す…つーか痛いぞ! フォークがリンゴから突き出して唇を通って歯に当たり、ガチガチ鳴ってるぞ!)
思った。こんなワケの分からないアホに比べたら、まだ無表情な看護婦の方がマシだと。自分はボケかツッコミか分からないと。
「リンゴは嫌い?」
「オマエが嫌いだ」
一旦手を下げたアホに言ってやりたいが、口を開けば絶対にリンゴをガツンと突っ込んでくる。そう突っ込んでくる。
そうしかねないアホは、無言のまま凄まじく濁る目を不思議そうに覗き込み、突如叫んだ。
「コーラだ!」
「は?」
思わず声が漏れ、慌てて口をつぐんだ。しかし何を突然言い出すのだ。
「コーラみたいな目だね」
何を言っているんだ本当に。腐ったドブ川がコーラに見えるのか。
「オマエ… 感性がおかしいだろ?」
皮肉げに言われたまひろは、蝶々覆面とステキ衣装とを交互に見比べ、呆れた微笑を浮かべた。
パピヨンはそのアホ丸出しの表情に一層腹が立った。
正確には、アホにステキ衣装を観察されて少し嬉しい自分に腹を立てた。
「あ、そうだ」
まひろはパン!とかしわ手を打つと、机から飲みかけのコーラと塩の小瓶を持ってきた。
話を変えたのではなく、思いつくまま動いてるだけらしい。
「変態さんはこーいうの知ってる?」
皿の横にコップを置き、その中へ塩を振りかけると、底面から巻き起こった無数の泡が表面で小気味よくぷしぷしと弾け始めた。
「すごいでしょー? 更に取っておきのダメ押しで塩をもう一つまみ…エイ! おお〜」
(すごくも珍しくもないな。というか身を乗り出してくるな! ああ汗臭い上にやかましい! ああリンゴ喰いたい!)
塩が炭酸を追い出しているだけの光景を、キャーキャー騒ぐ。
その楽しげな顔のせいで頬はますます引きつった。
ちなみに、コーラは塩が核になって炭酸が気化するエネルギーがうんぬんで泡立つらしいが、小難しい理屈は本題とズレるので省くッ!
要するにまひろは、世界の全てが大好きなのだろう。
とにかく泡にはしゃいだ後、パピヨンを指差し──彼には人差し指がやたら大きく見えた──得意げに解説を入れた。
「ようするに、変態さんの目の色はこんな感じだよ!」
(だからなんだ! オマエは濁りと泡の区別もつかないのかァッ!?)
泥を煮立てているような黒く粘った微熱に苛立ちがシフトして
「あげる!」
と笑顔で薄汚いコップを差し出す扱いの軽さに対し、堰が切れた。
「いるか!」
犬歯も憎悪も露わに叫ぶ。しかしのん気な顔はのん気なままだ。
「炭酸の抜けたコーラは栄養たっぷりだし、塩は水分補給を助けるから大丈」
「ごっこ遊びに人を巻き込んで勝手な御託を並べて楽しそうな顔をするな! この──」
ゴパァ!と勢い良く血が吐き出されたのは「偽善者」と言おうとした瞬間だった。
(またか…)
びちゃびちゃと陰惨な音を立て、面白いように血が出て行く。
目前の真新しい板が朱に染まり、まひろは唖然とした表情のまま動かない。
パピヨンは吐瀉で滲んだ視界にそれら二つを認めると「いい気味だ」と思った。折角の新品が台無しだ。
だが良いコトはそれだけだ。
だらしなく口の端をつたう生暖かな血も、冷たく湿ってひゅうひゅうと雑音を立てる気管支も窒息も
何一つとして改善されない。蝶野攻爵の頃から、何一つ。
(腕さえ動けば…)
力が抜け、グラっと倒れゆく体を感じながら目を濁らせる。恍惚だがどこか惨めだ。
まひろが正気に返ったのはその時で、崩れ落ちそうなパピヨンを見ると
「…あ、えと、危ない!」
大慌てで手を伸ばし、両肩をどうにか支えた。
しかしどうしよう。
そんな表情で、苦しげな息のパピヨンを見る。
血を吐いた人間を見るのは当然初めてで、冷たい汗が頬をつたい、寒気がした。だが。
(こ、こういう時こそ頑張らきゃ! でもどーすればいいかわからないから)
本で読んだ要領で基本から。パピヨンが吐物で窒息しないよう、横向きに寝かせてみる。
次にパピヨンの頭を少し後ろにそらし、気道を確保すると、すぅっと一回深呼吸して覚悟完了、
牙無き人の明日のために!!とばかりに務めて明るく呼びかける。
「大丈夫、任せてね!」
(…コイツには何を言っても無駄なのか?)
背中を向ける格好で思っていると、どっさりのティッシュが口周りにやってきて
慣れた手つきで血を拭き取り始めた。
(頼みもしないコトをいちいちするな)
思ったより赤黒くなったティッシュが宙を彷徨い、コの字に止まる。まひろは記憶を反芻する。
(え、えーと確かこの次は…そだ! 確か!)
極めて茫洋な対処法を反芻しながら、パピヨンの胸の側面に左手を置いた。
そして固めても柔らかな右こぶしで左手を叩く。
トン、トン、トンとおっかなびっくりなリズムが部屋に響いた。
「こうやって叩くと楽になるらし…楽になるから安心してね」
とは言いつつ、叩くペースは定まらない。どうすれば最良かまひろには分からないのだ。
(やはりうろ覚えか。そもそもそれは喀血の処置だろうが)
不規則で不器用で的外れな処置に揺らされながら、パピヨンは思った。
「吐血」も「喀血」も共に血を吐く現象を指すが、それぞれ消化器と呼吸器からの出血という違いがある。
パピヨンがしたのは吐血(だって特技に吐血って書いてあるし)で
まひろがこぶしでトントン叩くのは、喀血に対する対処法なのだ。
その違いなど知らず、治るワケでもないのに、緩急と強弱が何度も工夫されつつ胸の横を叩いていく。
嫌になるほどズレている。そのくせ真剣で懸命だから始末が悪い。まるで昔の誰かさんみたいに。
(一番嫌いなタイプだ)
柔らかさが響く胸の奥で毒づいた。随分と穏やかに呼吸をしつつ。
しばらくするとコツをつかんだのか、叩くペースも定まった。
それまでに何度も「…まだ苦しい?」と聞かれたがパピヨンは無言でいた。
更にしばらくすると、まひろは別のコトを口にした。
「その…ゴメンね」
「何がだ」
心当たりが多すぎるパピヨンは腹立たしそうに聞き返した。
一瞬手が止まり、そこから、トン、トン、トン、とバツが悪そうな三拍を刻むと
「リンゴ。無理に食べさせようとして…気づけなくて……ゴメンね」
沈んだ口調でまひろは答えた。血を吐くほど悪い体調に気づけなかったのを謝りたいらしい。
(……偽善者め。謝る位なら最初からするな。次はどうせ反省顔でリンゴを下げるのだろう?)
だが、そんな好き勝手を許してやるのは気に入らない。
偽善者に騒がれるのも謝られるのも気に入らない。
「…リンゴ喰ってやるから、しばらく黙れ」
驚いたらしい。下りたこぶしがメメタァッ!とめり込んだ。左手は無事だが下のパピヨンは真っ白になりつつちょっと血を吐いた。
「ダメだよ! ほら、また血を吐いてるしもうちょっと後にした方が! というか救急車呼んだ方がいい?」
「黙れ! つい今しがたオマエが吐かせておいてその言い草はなんだ! 救急車は面倒だから呼ぶんじゃ…ゴパァ!」
「ああ…またー!?」
血を拭かれた後、パピヨンは、動けるようになったら本当にさっさと帰ろうと思った。