カズキの部屋にいこうと思ったとき、カズキとこうなることを考えていなかったといったら嘘になる。  
はじめて会ったときからかわいい子だと思っていた。  
・・・カズキを異性として意識したのはいつからだったろう。  
 
 
あ、痛・・・。まだ、体の中心にカズキがいた名残を感じて身じろぎする。  
「斗貴子さん、おきてるの・・・?」  
「ああ、すまない。おこしてしまったか。まだ、夜明け前だ。・・・いいからもう少し眠りなさい」  
眠そうな声で、腰というかお尻に手をまわしてきたカズキの手をおさえつつ髪をなでる。  
・・・・・・エロスは程々に。ってうひゃあ!?  
「ちょっ・・・カズキ、どこさわってる!? あう!」  
「そんなの言えないよ・・・・」  
「んんんっ、寝ぼけてるんじゃ、ない」  
「もうちゃんと起きてるよ?ほら・・・・・・」  
内腿に、張り詰めたものを擦りつけられてビクンとのけぞった。  
でもそんな、一晩に2回もだなんて。  
「エ・・・エロスは程々にっ」睨みつけたつもりが、カズキの真っすぐな瞳にあやうく吸い込まれそうになる。  
「斗貴子さん、なんでもするっていったよね」  
あ、カズキ、もうしっかり目を覚ましてる?  
で、でも、ん・・・っんふぅひぁ、やぁ・・・ぁ・・っ、カ、カズキの手や口が触れているところ  
全部がなんだか変な感じがす・・・る。  
・・・たしかカズキから没収した『Hでキレイなお姉さん』には、  
"オンナノコって最初はなかなか気持ち良くなれないの。  
でも、オトコノコのためにちょっとガマンしてあげて。ねっ(はぁと)"とか、書いてあったのに。  
実際、さっきのはじめてはスゴク痛くて涙が出た。  
でも痛いのは最初のうちだけで、目を閉じてカズキの唇や指を感じているうちに、  
カズキとつながって裂けてしまいそうに痛い部分からしびれるように気持ちよくなってきて。  
「カズキ、我慢しなくていから、動いて・・・・」そう言って自分から腰を動かしてしまった。  
あぁ・・・今思うとなんてはしたないコトを。  
 
「斗貴子さん、いい、よね?」  
いいもなにも、キミがこんな風にしたくせに。  
んっ・・・ひぅっ!・・・も・・・・ゃ・・・きもちいい・・・・。  
目の前にカズキの上気した顔があると思ったときには、  
股間にあつくて固いものが押し当てられ、カラダの中心へ分け入ってくる。  
「あ゛う゛!!」一番奥まで突かれたら、そんな声がでた。  
あぁっ、もっと艶っぽい声もあるだろうに。ちょっと自己嫌悪に陥りながらカズキの様子をうかがう。  
ん・・ッ・・・・・く――はぁっ  
あ、カズキも気持ちいいのか。顔を真っ赤にしてぷるぷる震えながら我慢しているようなのが、  
なんだかいじらしく思えてくる。  
「カズキ、我慢しなくていいといっただろう?」  
「で、でも斗貴子さん2回目だし。なるべく痛くないようにって」  
「いや、大丈夫。さっきはホント泣くほどいたかったけど、今度は全然痛くない。  
むしろ、動いてくれたほうが、その、うれしい・・・・」  
本当に嘘じゃない。さっきは股間から出血してシーツにシミを作ってしまったのに、それもない。  
とろとろとした愛液がどうしようもないくらいあふれてくるだけ。  
そうか、核鉄の治癒力・・・?  
「ひゃん!あ、ああぁ・・・っ」  
くちゅり。じゅぽっ、ぬぷっ、ぐちゅっ、ずりゅん。  
 
「・・・斗貴子さん、何か別のこと考えたでしょ」  
ち、違う・・・!動いてとは言ったけどこんなに激しく、・・・・しないで。  
広がりきって痛いのにゾクゾクして、・・・・・・・おかしくなりそう。  
あっ・・・ぅン・・・・・・っ!  
「今はオレのことだけ考えて」  
まだ異物感を拭いきれないモノを強くねじ込まれて、両方の乳首をぎゅっとつままれる。  
へそとか、わきとか、もう体中カズキの唇が触れて唾液でべとべとにされた。  
「あっ、あんっあっあっあ・・ん・・・ッ」  
「あぁ!っ・・・ぁっ・・・はあっ!あっ!んんっっっ!!」  
突かれるたびに勝手に声がでて、せつない。こわれる。いゃ、ダメ・・・・・・・・・・っ!  
「かは・・・」  
ビクン、と体が痙攣し、背中が弓のようにしなって、頭の奥でなにかがパチンと弾ける音を聞いたあと、  
意識は真っ白になってどこかへ飛び去ってしまった。  
 
 
・・・・目の前にカズキの顔がある。・・・あれ・・・え・・っと・・・・。  
「ゴメン、斗貴子さん。大丈夫?カラダどっかおかしくない?」  
「カズキ・・・、私どうなって・・・・」たずねると、妙に嬉しそうな顔で  
「斗貴子さんイっちゃって、気絶したんだよ」  
「逝く?・・・私は死んでないぞ」なんのことだ、いったい。  
そう言うと、カズキは一瞬きょとんとしたが、すぐに顔を真っ赤にしながら、  
もっと嬉しそうにニヤニヤしはじめた。  
「斗貴子さん、知らないんだ」  
「だから、何が」  
「知らないのに、イっちゃったんだ・・・・」  
「いく、って場所のことか?」  
「そんなのオレの口からは説明できないよ」(・∀・)ニヤニヤ  
 
なんだか、馬鹿にされてるようで腹が立ってきた。・・・・バルキリースカートでブチ撒けてやろうか。  
「ちょっとまってて、えーっとたしか・・・」  
不穏な気配を察したのか、カズキがベッドの下をごそごそしはじめた。  
一緒になってのぞき込んでみると、『Hでキレイなお姉さん☆エネルギーチャージ』『フルスロットル』  
『オーバードライブ』『ブラボー! おおブラボー!』・・・・・。  
――――没収、だな。いったい何冊あるんだ、このシリーズ。  
そんなことを思っていると  
「斗貴子さんここ読んでみて」  
手渡された『エネルギーチャージ』にざっと目を通す。  
・・・・・うん?―――なっ、ななななんだこれはっ。私はこんなことをしたのか!?いや、されたのか?カズキに?  
「ねぇ、ふたりで、もっとうまくやったら『潮吹き』もできるかな」  
顔から火を噴きそうになっているこちらの気持ちにお構いなしに更にカズキが無神経なことを言う。  
いや、ちょっと興味はあるかな・・・・・じゃなくて。こんな浮ついたことでは駄目だ。  
これから更に厳しい戦いが始まるというのに。  
いくら戦士長が留守だからといって・・・・。  
 
ギュッと抱き寄せられて、おもわずそのまま蕩けそうになる自分を叱咤してカズキに向き直る。  
「錬金術の究極の目的とは何か知っているか?」  
「究極の目的?・・・・なに、それ」  
よし、これでいい。これでこそ錬金の戦士、津村斗貴子だ。  
しばらく錬金術うんちくをかたむけたらカズキはポカーンとしていたが、まあいい。  
年上で先輩の面目は保たれた。  
あぁ、朝日がきれいだ・・・。  
おもむろに立ち上がり、カズキの視線を意識しつつ胸をそらして伸びをする。  
さらに早着替えの特技をイかして、もとい、活かしてTシャツとショートパンツを身につけ、  
背中には『Hでキレイなお姉さん』を滑りこませる。  
戦士の情けだ『スレンダービューティー』は残しておいてやろう。  
「もう、帰っちゃうの?」  
「あぁ、シャワーも浴びたいし。キミもそうしたほうがいいと思う。皆が起きだす前に。  
・・・このことがばれたら色々と大変だろう」  
背中でずれそうになる『Hでキレイなお姉さん』たちを押さえつつニコリと笑ってみせる。  
「あ、そうだね。じゃあ学校でまた・・・」  
「居眠りして、変な寝言でも言ったら即、ブチ撒けるからな」  
「大丈夫!何を隠そう、オレは居眠りの達人だ!」  
 
そんな他愛の無い話をして自分の部屋に戻る。まったく、昨晩の悲壮な覚悟が嘘のようだ。  
「何でもする」「何でも償う」・・・思い返せば、とんでもないことを言ってしまったものだ。  
そんなことを言わなくてもカズキの心は変わらない。変わったのは・・・カズキとの関係だ。  
ずっとカズキと一緒に生きていきたい。これからどうなってゆくのか、  
不安がないわけではないけれど。  
いつの日か、死がふたりを別つとしてもそれは本当の別れではない。  
私とカズキはふたりで一つのいのち。  
何者も、それを別つことなどできはしない。  
そう、信じている。そんな風に信じられる確かなつながりがここに在るのだと。  
月明かりのなかで、夜明け前のくらやみで、カズキに愛された体を両腕で抱きしめると、  
訳もなく嬉しくて涙がこぼれた。  
 
                                        ─END─  

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