「あーあ、こんな時期に風邪引くなんてちょっと失敗」  
−寄宿舎。まひろは一人部屋で安静にしていた。どうやら、軽く風邪を引いたらしい。  
「・・・さーちゃんからメールだ。えっと・・・銀成町にヒーロー出現・・・?」  
それは掲示板に貼られていたカズキと斗貴子の写真であった。さーちゃんが暇つぶしになれば  
と思って、まひろにメールをしたのだろう。  
「なになに・・・わ、かっこいい〜。超槍戦士・サンゼリオンと、女の人の方は・・・?」  
 
ストロベリー戦士・とっきゅん 第三話 「トキメキ☆恐るるべきは武藤遺伝子」  
 
「斗貴子さん!」  
街に向かって走りながら、カズキは斗貴子に呼びかける。  
「何だ?」 「敵ってさ、どこにいるの?」  
ピタッ  
「・・・そういえば、聞いてないな」  
カズキのなにげない言葉に、斗貴子は足を止める。そう、ブラボーは場所を伝え忘れたのだ。  
「ぁんの道楽オヤジめ・・・」  
(斗貴子さんが怖い・・・)  
確かに、今の彼女なら、気だけで像でも殺せそうだ。  
しかして、敵の場所がわからないのは深刻な問題である。今こうしている間にも、誰かが  
襲われているのかもしれないのだ。  
「斗貴子さん!とりあえず動こう!ここにいてもしょうがない」  
「賛成だ。まずは手分けして敵を・・・」  
キィィィィィィィィィン  
彼らが二手に分かれようとした時、奇妙な音が彼らの耳に届いた。  
「・・・なに?今の音」  
「あれは・・・確か・・・いや、まさか・・・でも、金城にしても・・・」  
どうやら斗貴子には心当たりがあるらしい。何やらぶつぶつと呟き始めた。  
「斗貴子さん!知ってるの?」  
「ああ、あれはおそらく・・・いや、まずはそこへ行くのが先だ。行くぞ、こっちだ!」  
「了解!」  
音の発信源に敵はいるはず。そう判断して二人は敵の下へ向かった。  
 
「おそらくこの辺りのはずだが・・・」  
たどり着いたのは、最早取り壊された病院跡。その様相はお化け工場に並ぶ心霊スポットの  
名にふさわしいものである。土地も広く、ここなら暴れるのに色々と都合がいいだろう。  
「え〜っと・・・あ、いた!あそこ!」  
カズキは少し遠くの方を指差す。すると確かにそこには人の姿があった。  
近寄って見ると、それは背中をこちらに向けていた。だが、その姿には見覚えがある。  
「やはりキサマか・・・陣内、と言ったか」  
「陣内!?それって確か、金城にとどめをさしたヤツの名前…生きてたのか」  
カズキは陣内と顔をあわせた事がない故に、斗貴子尋ねる。だが、斗貴子は頭をふって答える。  
「いや、ヤツは間違いなく私が倒したはずだ。おそらく・・・銀城と同じだろう」  
斗貴子が銀城の名を出すと、沈黙を守っていたそれが口を開いた。  
「フフフ、さすがは銀城を倒した戦士。鋭いですね。そう!私は陣内などではない!」  
そこで一旦言葉を切り、それは勢いよくこちらを振り向いた。  
「私の名は陣外!ホムンクルス陣外です!」  
「その顔、その声、その口調・・・全てが陣内と同じか。と、すると先程の音は・・・」  
斗貴子の言葉半ばで、辺りに無数の人の気配が生まれる。先程の音は、一般人を操り、  
ここへ集める為の音だったらしい。  
「その通り!さぁ、集いなさい!私の可愛い猛獣たちよ!」  
そういって陣外が手にした鞭のようなものを、地面に叩きつけると、彼らが現れた。  
 
('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)  
「さぁ!猛獣たち・・・あれ?」  
現れた面々を見て、陣外の目が点になる。が、すぐに平静さを取り戻して、  
「・・・ええい、とにかく行きなさい!猛獣達よ!」  
そう叫んで、鞭を叩きつける。どうやらその鞭が操るもとになっているようだ。  
「マンドクセ('A`)」「イタイノイヤダ('A`)」「サンジノオンナキョウミネ('A`)」  
ところが、男たちはなかなか動こうとしない。本人たちの性格が強すぎるらしい。  
微妙に操れていないようである。  
「・・・えーっと、斗貴子さん。陣内ってやつ、もしかしてアホだった?」  
「・・・まぁ、手足が入れ替わっていても気づかなかったくらいだからな・・・それより」  
 
呆れつつも、斗貴子は思い出したように、核鉄を取り出した。カズキもそれに習う。  
シュルルルルル、ガチン!  
斗貴子とカズキはカードを腰にセットした。そして、今回もカズキから先に変身する。  
「太陽よ!俺に力を!変身!」 ピカー  
光が消えて、カズキの姿が変わる。  
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ…悪を倒せと俺を呼ぶ」  
「・・・前回と口上が違うな」  
どうやら、毎回変えることにしたらしい。カズキの口上は続く。  
「聞け、悪人ども!俺は太陽の戦士…超槍戦士・サンゼリオン!」  
じっくりたっぷり気合を入れて、カズキの口上が終わる。次は斗貴子が変身する番だ。  
「では・・・カズキ・・・」「うん・・・」  
二人の顔が赤くなり、そして斗貴子はカズキにそっと抱きつく。そして変身する。  
 
はずだった。  
「・・・何故だ?核鉄が反応しない。どういうことだ?」  
何故か変身ができない。前回はちゃんとできたのに、だ。  
「ええい、もう猛獣たち!今がチャンスです!お行きなさい!」  
それを見て陣外が、さっきより激しく鞭を打ち付けつつ叫ぶ。今度は効いたようだ。  
「マンドクセ('A`)」「デモショウガネ('A`)」「サンジノオンナキョウミネ('A`)」  
じわじわと男たちが寄ってくる。だが、未だ斗貴子は変身できない。  
「・・・く!取りあえず俺が!」  
焦ったカズキが前に出ようとした時、斗貴子は気づいた。  
(もしかして・・・でも、もしそうなら!)  
そして斗貴子は、突然カズキを押し倒す。  
「ちょ、ちょっと斗貴子さん!?」  
「いいから、ちょっと大人しくしてなさい!」  
困惑するカズキを他所に、斗貴子は一人起き上がり、カズキの頭を自らの膝に乗せる。  
「斗貴子さん・・・これって・・・膝枕?」  
そう、斗貴子が始めたのは膝枕である。膝枕なのだ。膝枕!膝枕!ひ!ざ!ま!く!ら!  
以前!具体的には第二巻!第17話!202ページ!一コマ目と三コマ目にて!斗貴子が!  
カズキに!朝日を浴びながら!した!あの膝枕でくぁwせdrftgyふじこlp;@  
・・・失礼。ともあれ、膝枕である。  
「マンド、マンド、マンド…ウゥ('A`)」「メガイタイ('A`)」「サンジノオンナキョウミネ('A`)」  
膝枕の威力は絶大だ。そのあまりの威力に男たちも動きを止める。  
「えっと・・・斗貴子さん?」 「・・・やはり」  
カズキの問いには答えず、斗貴子はすっと立ち上がる。そして再び変身の構えを取る。  
「ストロベリーパワー満点☆ストロベリー、メイク、アップ!」  
ガキン!斗貴子は核鉄をカードにはめ、そして例のポーズを取る。  
ピカー!  
今度は核鉄が反応し、そして斗貴子の姿が変わる。光が収まった後に現れた、美しき戦士。  
「街の人々の平和を脅かす悪党!たとえ世界が許しても、月と私は許しはしない!」  
セーラー服に、リボンを結び、そして口上を述べる。  
「貴方を討つは愛の力。愛の力は苺の力!」  
その戦士の、その戦士の名は・・・  
「ストロベリー戦士・とっきゅん!ここに見参!・・・貴方のハートをブチ撒けチャウゾ☆」  
 
ドガーン!  
派手な名乗りとポーズに併せて、今回も何故か爆発が起きる。最早突っ込む気も起きない。  
「斗貴子さん!よかった、変身できた!」  
「とっきゅん。心配かけたわね。でももう大丈夫。原因もわかったわ」  
嬉しそうに声をかけるカズキに訂正を入れつつ、斗貴子は微笑む。  
「簡単なことよ。変身するには核鉄に、ストロベリーパワーを溜めなくちゃいけないの」  
疑問符を頭に浮かべるカズキに、斗貴子は説明を始める。  
「で、前回はあれでよかったわけだけども・・・どうやら、慣れちゃったみたい☆てへ☆」  
そう言って、斗貴子は舌を出す。変身前後でここまで性格が変わるものなのか。  
「ふむふむ、なるほど…って、ことは!?次からはもっと凄い事をしないと・・・」  
「コラ、顔がにやけてるぞ。エロスは程ほどに、ね」  
一体何を想像したのか、カズキの顔が赤くなり、つられて斗貴子も赤面する。  
「む、そういうとっきゅんだって、嬉しそうじゃない」  
「え、こ、これは・・・」  
どうやら、想像したのはカズキだけではないらしい。ストロベリーなことですね。  
 
「ええい!人を無視して、ふざけた人たちですね!貴方たちは!」  
二人の世界が形成され始めた所に、陣外が入り込む。どうやら、男達が元に戻ったらしい。  
「さぁ、お行きなさい!私のかわ・・・いえ、猛獣さん達!ヤツらを倒した暁には、女性を  
 適当に操って、貴方達に与えてあげましょう!」  
「マンドクセ('∀`)」「イタイノヤダ('∀`)」「サンジノオンナキョウミネ('∀`)」  
男達は嬉々としてカズキ達ににじり寄る。本当に操られているのだろうか。  
「来た!どうする?とっきゅん。まさか倒すわけにもいかないし・・・」  
困り顔で尋ねるカズキに、斗貴子は不敵に笑う。  
「大丈夫、私に任せて。いくわよ!ストロベリー・ワールド!」  
 
トキューーーーーーーーーーーーーン!  
瞬間、辺りに甘い空気が立ち込める。そしていつの間にやらピクニックセットが。  
「はい、カズキ。私が作ってきたお弁当た・べ・て☆はい、あ〜ん・・・」  
「ちょ、ちょっと斗貴子さん。こんな所で恥ずかしいよ」  
いきなりピクニックセットが出現したことについては言及しないのね。  
「そう・・・私のお弁当がまずそうだから食べてくれないのね・・・くすん・・・」  
「たたたたたたた、食べるよ。ほら、あ〜ん」  
パクッと、カズキは意を決して食べる。味は普通のようだ。  
「ねぇ、おいしい?」  
「うん、おいしいよ。(何だろう?今胸の核鉄が反応した気がする。気のせいかな)」  
斗貴子の弁当は普通に美味しいようだ。カズキは次々と平らげていく。  
「もう、味わって食べてよね。あ、ご飯粒ついてるぞ☆」  
「え?どこ?どこについて」  
カズキの言葉を遮って、斗貴子はカズキの頬についていた米粒を取り、そのまま口に運ぶ。  
「ふふふ、子供みたいなんだから」  
照れるカズキに対して、嬉しそうに斗貴子は微笑む。  
「ウ、ウ、ウ・・・・('A`)」「ウラヤマシィ('A`)」「サンジノオンナ・・・ナンテ・・・キョウミネ('A`)」  
なるほど。この技は精神攻撃のようだ。しかも効果は覿面である。男達は完全に戦意を  
失ったようだ。そこに、さらに斗貴子が追い討ちをかける。  
「もう食べちゃったのね。たくさん食べて疲れたでしょう。ほら、いいわよ」  
斗貴子は優しく微笑んで、カズキの頭を自らの膝に誘う。  
 
「「「ウツダシノウ(-_-) (-_-) (-_-) 」」」  
それはあまりにもあまりな威力だったらしい。男達はとんでもない事を言い始める。  
「ちょ、ちょっと!まずいよとっきゅん!死ぬなんて言ってる」  
さすがにカズキは動揺する。だが、斗貴子は動じない。何か策があるようだ。  
「大丈夫、私に任せて。貴方たち!」  
何をするつもりか、斗貴子は男たちに呼びかける。  
「「「???('A`)('A`)('A`)」」」  
「貴方たちの分のお弁当もあるの。私の心のこもったお弁当…食べてくれる?」  
「マンドクセ('∀`)」「ハラヘッテネ('∀`)」「サンジノオンナキョウミネ('∀`)」  
男たちの顔がいきなり明るくなる。どうやら手作り弁当に興味を引かれたようだ。  
「嬉しい!じゃあ、はい。ここじゃ危ないから別の場所で食べてね☆」  
「「「ハーイ('∀`)('∀`)('∀`)」」」」  
男たちは斗貴子から弁当を受け取ると、物凄い勢いでどこかへ消えてしまった。  
「あれ・・・えっと・・・あれ?」  
その場に取り残された陣外。あっという間の出来事に、言葉もない。  
「フフ、人の心を無理やり操ろうなんて無駄なこと。さぁ!正々堂々とかかってきなさい!」  
「ぬぬぬ・・・ここは、ひとまず退散です!」  
斗貴子の言葉に、しかし陣外は身を翻して廃墟となった病院の奥に逃げ込む。  
「往生際の悪い・・・逃がさないわ!追うわよ!サンゼリオン」  
「合点承知!」  
カズキの返事を確認して、斗貴子は走り出す。カズキもそれについていく。  
 
陣外が逃げ込んだ先は、開けた場所だった。だが、目の前には壁がある。。  
「さぁ!もう逃げられないわ!観念しなさい」  
そう言って斗貴子は指を陣外に突きつける。顔が赤いのは走ってきた為だろう。  
「フフフ・・・逃げる?私が逃げるとでも?」  
「観念しろ!2対1、敵うと思うなよ」  
陣外の不敵な笑みは強がりだと思ったのか、カズキがズイっと前に出る。  
「フフフ・・・それはどうでしょう・・・」  
陣外の余裕は崩れない。この余裕は一体どこから来ているのか。  
 
相談したことにより、二人に一瞬の隙が生まれた。その隙を逃さず陣外は大きく跳び退く。  
「あ!」  
「やっぱり逃げるんじゃないか!」  
「言ったでしょう!私は逃げない、と!」  
カズキ達の言葉を、自信満々に否定して、陣外は着地する。そして  
「さぁ、これでも貴方たちは攻撃しやがりますか?」  
不敵に言い放った陣外が、示したものとは・・・  
『まひろ!?』  
そう、寄宿舎にいるはずのまひろであった。気を失っているようではあるが。  
「ほほう・・・とりあえずの人質のつもりでしたが、顔見知りとは。これはこれは・・・」  
たまたま選んだ人間が、思わぬ効果を呼び、陣外は満足そうに喉を鳴らす。  
「キサマ!何でまひろを!」  
カズキの怒りが爆発する。今までに見たことのない表情だ。  
「なに、備えあれば憂いなし、というやつですよ」  
「・・・何て卑怯な」  
「最高の褒め言葉ですよ」  
斗貴子の罵りすらも心地よい音色の如く、陣外の胸に響き渡る。  
「さて、私の言いたいことはわかりますね?この女の命が欲しければ、抵抗しないことです」  
「く・・・」  
まひろを人質に取られては、さすがにカズキ達には成す術がない。  
うなだれたカズキ達を見て、陣外は気をよくする。  
「いいですねぇ。素直でいいです。さて、確認の意味を込めてもう一度。卑劣な感じで…」  
そこで陣外は一旦言葉を切り、ニヤ〜っと口が裂けるかの如く笑みを浮かべた。  
「この女の命が欲しければ、抵抗するな」  
『・・・くぅ』  
屈辱ではあるが致し方ない。カズキと斗貴子は両手を挙げて、無抵抗を示した。  
「さてさて、散々私の事を言ってくれましたねぇ。今度はこちらの番です。私の鞭は・・・」  
その様子を見て、陣外は鞭を大きく振りかぶり、そして二人に向かって放つ。  
 
「太いのです!」ピシッ! 「・・・あ゛う」  
「硬いのです!」ビシッ! 「・・・うぐ」  
「暴れっぱなしなのです!」 ビシビシィ! 『・・・ぐぅぅ』  
鞭の乱打を受け、無抵抗の二人は成す術もなく、その場に崩れ去る。  
「フフフ・・・意外と脆いものです」  
相変わらず笑みを浮かべ、陣外は直に追い討ちをかけようと、二人の下に近づく。  
「サンゼリオン!」  
だが、それこそが彼らの狙いだった。  
「わかってる!サンゼリオ・フラッシャー!」  
変身の時とは比べ物にならない光が、辺りを包む。目くらましとしては充分だ。  
「・・・く!?ええい!」  
二人の意図に気づいた陣外が、まひろを回収する為だろう。彼女に向かって鞭を放つ。  
カキィィィン!  
 
だが、その鞭は空中を飛んできた何かに遮られた。驚愕する陣外。まひろの方に目をやると、  
シュタッ  
空中を回転しながら、斗貴子がまひろの隣に着地する。その目には何時の間にかサングラスが。  
「貴方ですか!私の太くて硬い鞭を弾いたのは!」  
陣外をハッキリと見据えつつ、斗貴子はブーメランのように戻ってきたそれを、キャッチした。  
「ストロベリー・ティアラ。あんまり下品なものに触らせたくはないんだけど、ね」  
それは髪飾りであった。リボンと同様武器になるようだ。  
ともあれ、これで形勢は逆転した。陣外を挟んで斗貴子とカズキが立つ位置になる。  
「さて・・・わかっているな?陣外」  
カズキが冷淡な声で言う。妹を人質に取られて相当頭に来ているようだ。  
「私達の妹を酷い目にあわせた罪・・・ただで済むとは思わないことね!」  
ドサクサに紛れて凄い事言ってます、斗貴子さん。  
「ヒ、ヒィィィィィィ」  
二人の気迫に圧され、陣外が隙を見せる。そして、その隙を逃すほど、彼らは甘くない。  
「今更怯えても遅い!・・・ゼリオ・トルネェェェド!」  
一瞬の間にカズキは陣外に肉薄し、陣外を空高く投げ上げる。  
 
「続けて!」  
そして、自身も脅威の跳躍力で、陣外の上部に踊り出る。  
「くらえ・・・サンゼリオ・バスター!」  
そのままカズキは陣外を拘束し、頭を下にして地面に叩きつけるべく、落下する。  
「斗貴子さん!」  
だが、それだけで済ます気はないらしい。落下地点には斗貴子が待ち構えていた。  
胸のブローチが光っている。どうやら先ほどの技で、パワーも溜まっているようだ。  
「とっきゅん!ともあれ行くわよ!」  
毎度毎度の事ながら、律儀に訂正を入れつつ、斗貴子も空へ舞い上がる。  
「ストロベリィィィィィ!電光(ライトニング)!キィィィィィィック!」  
そして、そのままの勢いでキックを繰り出す。しかし・・・その体勢では・・・  
(あ、斗貴子さん下着モロ見え・・・白かぁ('∀`*))  
ガキィィィィィィン!  
正に電光と呼ぶに相応しいそのキックは、寸分違わず陣外を直撃した。  
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァ!」  
「痛っ!」  
どうやら、カズキにも当たったようではあるが・・・  
 
スタッ。  
重力法則に従って、カズキが先に着地する。そしてそのままうずくまる。痛いようだ。  
スチャ・・・ビシィ!  
続けて斗貴子も着地する。うずくまるカズキは無視してポーズを決める。その瞬間、  
ズドォォォォォォォォン!  
卑劣なホムンクルス陣外は、鮮やかな爆煙と共に、無に還った。  
「いったぁ・・・とっきゅん、巻き込まないでよ〜」  
ようやく痛みから立ち直ったカズキが、恨みがましく斗貴子を見る。  
「何のこと?私の技は邪な心を持ったモノにしか、当たらないはずよ?」  
だが斗貴子は涼しい顔で受け流す。どうやら意図的に当てたようだ。  
「・・・ハイ、スイマセンでした」  
事実斗貴子の言葉通りなので、カズキは素直に謝った。  
 
「さて・・・帰るか」  
変身を解き、いつもの斗貴子に戻る。  
「そうだね。あ、まひろを連れてかなくちゃ」  
カズキも変身を解き、まひろの方へ走り寄る。斗貴子もそれに従う。  
「・・・」  
当のまひろは、気がついたらしい。陣外が爆発した辺りをぼーっと見つめていた。  
「(見られちゃったか・・・ま、いいか。)大丈夫か?まひろ」  
カズキが声をかけると、まひろは満面の笑みをカズキに向ける。  
「うん!あのね、お兄ちゃん!今凄かったんだよ〜」  
「・・・え?」  
「正義の味方だよ!正義の味方!私を助けてくれたの〜」  
「・・・え〜っと」  
何かがおかしい。カズキが困惑していると、斗貴子が追いついた。  
「どうした?カズキ」  
「あ、斗貴子さん!今ね、すっごいかっこいい人が化け物と戦っていたんだよ〜」  
「・・・へ?」  
「あ、可愛い女の人もいたなぁ・・・何ていったっけ?サンゼリオンと…とっきゅんだ!」  
まさか・・・まさかとは思うのだが  
「気づいて・・・ない?」「・・・みたいだな」  
天然も、ここまでくると凄いものがある。まひろは目を輝かせて先の事を思い出していた。  
「あ、でも・・・あのサンゼリオンさんって、お兄ちゃん・・・」  
「・・・さすがにバレるよなぁ」  
「が、好きそうだよねぇ!ほら、変身〜っとか、そういうの好きでしょ?お兄ちゃん」  
ズザァァァァァ!  
漫画のように、カズキは盛大にその場にずっこける。どうやら本当に気づいてないらしい。  
「かっこよかったなぁ・・・サンゼリオンさんかぁ」  
思いを馳せるまひろを見て、カズキがふと気づく。  
「まひろ。お前顔が赤いぞ。熱が出たんじゃないのか?」  
「え・・・?そんなことないと思うけど」  
だが、確かにまひろの顔は目に見えて赤い。  
 
「・・・まぁ、調子を崩しているところに、あんなことがあればしょうがないだろう」  
「そうだね。とりあえず、帰って安静にしてな」  
「・・・は〜い」  
まひろが返事したのを受けて、三人は帰ることにする。  
真ん中にまひろを挟んで三人並んで帰った。まひろは終始ご満悦だったようだ。  
(でも・・・本当に熱はないんだけどなぁ。何でだろ?何か胸もドキドキする・・・)  
まひろが、その意味に気づくのは、まだ少し先の話・・・  
 
 
次回予告  
 
銀城に続き、陣外を撃破したカズキ達!だが、未だ敵の全貌は見えてこない。  
そんな最中、三度ホムンクルスが現れる。それはまた、以前戦ったことの  
あるホムンクルスであった。二人一組のそのホムンクルス。だが、一人の姿は  
見えども、もう一人の姿は見えない。果たして、そのからくりの正体とは!?  
 
次回、ストロベリー戦士・とっきゅん 第四話 「ニーハオ!謎の国からコンニチワ」  
 
好評なようなら→                            続く。  
 

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