…はじめて一人でしたのって、いつだったかな…?
ぼんやりそんなことを考えてみる。
はっきりとは覚えてない。
でも、ひとつだけ分かっていることがある。
お兄ちゃんのことを想いながらするようになったのは丁度一年くらい前、
お兄ちゃんが銀成学園に入学した頃。
寄宿舎に入って毎日会えなくなっちゃった頃…。
最後に家族みんなで食事した夜、たくさんおしゃべりしたはずなのに
内容はほとんど覚えてない。
もう今までみたいに会えなくなっちゃう、と思うと自然と涙がこぼれてきた。
お兄ちゃんは泣きはしなかったけど、やっぱり寂しそうだった。
しばらく手を繋いで、肩を抱き締めていてくれたのは今でもはっきり覚えてる。
お兄ちゃんが出て行ってからしばらくは、毎晩電話してた。
高校生活はとても楽しそうだった。
寄宿舎に入ってるから、っていうのもあるのかもしれないけど、やっぱり中学とは
違うみたい。
友達もたくさん出来たんだって。
リーゼント頭で、とても面白くて、ちょっぴりHな岡倉さん。
頭がよくて、クールで、でも謎多きヒトな六舛さん。
身体が大きくて、力が強くて、優しい大浜さん。
特にこの三人とは仲がよくて、しょっちゅうドタバタ騒ぎを起こしては先生に
怒られてたみたい。
いいなぁ、とは思いつつもちょっぴり寂しかった。
私がその場にいられないことが悔しかった。
最後の言葉はいつも「おやすみ、まひろ」だった。
その言葉を聞くたび、胸が少し苦しくなった。
…そして、その後は必ず自分を慰めてた。
夏休み。
家には一週間くらい戻ってきてくれた。
ずっと家にいればいいのに、っていったんだけどバイトが忙しいんだって。
だからゴメン、なんて申し訳なさそうな顔でいわれると私も何もいえなく
なってくる。
何より、直接会って話ができるだけで嬉しかった。
二人でデートもしたりした。
市営プールなんて子供の頃飽きるくらい行ったはずなのに、とても新鮮だった。
水着もダイタンなビキニに新調したりしたんだけど、気付いてもくれなかった。
あれにはガッカリだったな。
「どう、お兄ちゃん。このおNEWの水着、せくしぃでしょ?」ってポーズを
とったら、「あ、そうなんだ。でも高かったんじゃないか?」だって。
もう、分かってないなぁ。
お祭りには二人して浴衣で参加した。
そうしたら、「お、その浴衣かわいいな。おNEWなんだろ?」だって。
去年と同じなのに…。
一緒に夏祭りにも来てたのに…。
でも、すねてたらりんご飴とか綿菓子をおごってくれたのはラッキーだったかな。
お兄ちゃんが寄宿舎に戻っちゃう前の晩には、やっぱり泣いちゃってた。
その時も、しばらく手を繋いで、肩を抱き締めていてくれてたな。
…お兄ちゃんが家にいる間は、自分を慰めることも無かったと思う。
そして今。
私は銀成学園に入学して、寄宿舎にも入った。
制服に憧れて、っていうのも嘘じゃないけど、本当はお兄ちゃんと一緒の学校に
行きたかったから。
お兄ちゃんとも毎日会えるし、岡倉さん達ともお友達になれた。
ちーちんやさーちゃんとも仲良くなれた。
授業は大変だけれど、すごく充実した毎日が送れてると思う。
…なのに、どうして?
すごく胸が苦しい。
誰かと一緒なら笑っていられるけど、一人になると急に切なくなってくる。
胸が締め付けられる。
そしてそんな時、まっ先に浮かんでくるのがお兄ちゃんの顔。
すぐそばにいて、いつでも会えるはずなのに何故?
一緒にいられるだけじゃ駄目なの?
…答えはもう出てる。
もっと深いカンケイ。
お兄ちゃんと結ばれたい。
心も身体も一つになりたい。
唇を重ねる。
舌を絡ませる。
唾液が混ざり合う。
指が乳首をもてあそぶ。
そして、下着の中、一番敏感な部分に指が伸びてくる。
くぼみに沿って指が上下する。
唇と下着の中、両方からすごく淫靡な音が聞こえてくる。
液体がどんどんあふれてくる。
もっと、深く。
もっと、奥のほうまで。
もっと、もっと…
…それは想像にすぎないんだけど、とても鮮やかに心の中に刻み込まれていく。
お兄ちゃん、私、もう我慢できそうにないよ…