コトの始まりは、さーちゃんが何処からか調達してきたHな本だった。
「まっぴー、ちーちん〜! ねねね、見て見てコレ〜」
「何?」
「わっ。さっさささ沙織、あんたなんてモノ持ってんのよ!!」
ちーちん、耳まで真っ赤にして怒ってる。
「なになに、『Hでキレイなお姉さん』?」
「うん。集会室の本棚の中整理してたら見つけたの。ホラ」
「広げないで!!」
悲鳴にも似た声。
「とにかく! そういうのに巻き込まないで頂戴!!」
「さっき『ヒマだねぇ』ってきいたら『そうね』っていってたでしょ?」
「そうそう、二人ともヒマしてると思ったからわざわざ持って来てあげたんじゃない」
バシンッ!!
戸を乱暴に閉めると、ちーちんは何もいわずに出ていっちゃった。
そんなにこういう本嫌いなのかな。
「失礼しちゃうなー。親友の好意を無にするなんて…」
「でもさーちゃん、勝手に持って来ちゃっていいの?」
「いーのいーの。どうせ男子の誰かしらがあんなところに隠したんでしょ。
共同利用の場にこんなモノ隠しておくほうが悪いんだから。
読んだらまた戻しておけば問題ないって」
「う、うん。でも…」
「何よ、まっぴーだってこーゆーの興味あるでしょ?」
「う、うん…」
コクリ、とうなずく。
そしてさーちゃんと二人、『Hでキレイなお姉さん』の鑑賞会が始まった。
「――はぁ〜…」
「すごいねぇ、なんか…」
パタリと本を閉じ、二人して溜息をつきあう。
その本には、女の人のハダカ以外にもキスしたり口や指で…、その…、さわったりする
写真が載ってた。
男の人って、やっぱりこういう本を見ながら自分でしたりするのかな。
きっと、お兄ちゃんも…。
「ってうわ、もうこんな時間!」
「あ、本当」
時計を見て驚く。
もう一時過ぎだった。
…そんなに熱中してたかな。
「遅くまでごめんね。私も部屋に戻るから」
「うん、おやすみ」
「じゃ、また明日!」
さーちゃんはそそくさと自分の部屋に戻っていった。
部屋には私一人だけが取り残された。
ううん、私だけじゃない。
さっきまでさーちゃんと読みふけっていた、『Hでキレイなお姉さん』…。
「あっ…」
どうしよう。元に戻さなきゃ。
集会室だったっけ?
「まだ開いてるかな…」
つぶやきながら、私はそれを小脇に抱えて部屋を出ていった。
――運が悪いことに。
集会室には鍵がかけられてしまっていた。
いつもは開いてるはずなのに。
どうしよう。どうしよう…。
このまま廊下に置いていくわけにもいかないし…。
誰かにこっそり返そうかな?
でも、誰に? 誰の本か分からないし…。
しばらく集会室の扉の前で固まってしまう。
コチコチと、時計の針の音だけが聞こえる。
ちょっぴり涙ぐんできた。
そんなときに思い浮かぶのは、いつもお兄ちゃんの顔。
「お兄ちゃん…」
そうだ。
お兄ちゃんにきいてみよう。
誰の本だか知ってるかもしれないし、こっそり持ち主に返してくれるかもしれない。
それに、他の人にはこんなこと相談できるわけないし…。
――そして、お兄ちゃんの部屋の前。
明かりはついていない。
もう寝ちゃってるよね、やっぱり。
少しためらう。
『ごめんね、お兄ちゃん』
そうつぶやきながら、私は戸に手をかけた。
薄暗い部屋。月と星と街の明かりが、部屋の風景をぼんやりと浮かび上がらせている。
今日は月が出てるから、思っていたほど暗くはなかった。
お兄ちゃんはベッドの上で寝息を立てていた。
ときどき、ンゴッっていって苦しそうになる。
昔はイビキがすごかったなぁ、なんてことを思い出してしまう。
なんか、すごくおかしいな…。
気を取り直して、部屋の中を見回してみる
同じ寄宿舎に暮らしてはいるけれど、ほとんど来たことがないお兄ちゃんの部屋。
ちょっぴりドキドキする。
こんな夜中に、こっそり忍び込んじゃったりして…。
まるで夜這いみたい…。
夜這い。
その言葉が頭に浮かんだとき、急に顔が赤くなってきた。
さっきまで読みふけっていた、『Hでキレイなお姉さん』を思い出してしまったから。
写真が、その中の光景が鮮やかに蘇ってくる。
ふと、お兄ちゃんの方に目をやってしまう。
よかった、起きてない。
毛布がはだけていて、トランクスと脚がのぞいている。
「お兄ちゃん…」
ふと、そこである好奇心が湧いてきた。
もう、最初の目的なんて忘れてしまっていた。
そっとベッドに近づく。
お兄ちゃんは身動ぎもしない。
ぐっすり眠りこんでるみたい。
トランクスのゴムに指をかける。
そのまま、ゆっくりと下ろしていく…。
そしてそこに現れたモノ。
それは、紛れもない男の人のおちんちんだった。
実物を見るのは初めて。
写真でも、見たことはなかった。
『Hでキレイなお姉さん』でも、モザイクがかかっていて見えなかった。
指でつついてみる。
お兄ちゃんがビクッて身体を震わせる。
起きちゃったかと思ってびっくりしたけど、大丈夫みたいだった。
丸くなった先っぽのほうを指でなでてみる。
「あ…」
大きくなってきた。
そのまま起き上がっていって、お腹の上の方に反り返るような感じで張り付いた。
おちんちん全体が、ピクピク痙攣してるように見える。
これが、勃起っていうんだ…。
興奮すると、男の人はこうなるんだ…。
私は、しばらくそのままお兄ちゃんのおちんちんを観察した。
口でおちんちんを気持ち良くしてあげることをフェラチオっていうんだって。
さーちゃんが教えてくれた。
気持ち良くなるとおちんちんから精液が出て、それを飲んであげると男の人は
すごく喜んでくれる、ともいってた。
…お兄ちゃんも、喜んでくれるかな?
ベッドに腰掛けて、お兄ちゃんのおちんちんに顔を近付けてみる。
近くで見ると、なんかデコボコしてて変な感じ。
根元のほうに手を添え、舌で先っぽのほうをなめてみる。
「ん、あ…」
お兄ちゃんが声を漏らす。
でも、もうやめようとは思わなかった。
ちろ、ちろ、ちろ。
ちろ、ちろ、ちろ。
舌をゆっくり上下させる。
そのたびに、お兄ちゃんの身体がビクリ、とする。
気持ち、いいのかな…。
先っぽの真ん中、細くくぼんでる部分に舌を這わせてなめようとしたら。
びくっ!ビュクッビュッピュッ…
白い液体が、その細いくぼみから勢いよく飛び出てきた。
「…これが、精液…」
毛布にかかってしまったそれを、指ですくってみる。
温かい。それに、なんかネバネバしてる…。
そこで、精液を飲んであげられなかったことを思い出した。
今度は、ちゃんと口の中に出してもらえるように、おちんちんの先の方を
しっかり口に含んだ。
舌と上アゴの裏でおちんちんを挟み込んで、顔を前後に動かした。
つぷっ。
ちゅぷっちゅぷっちゅぷっ。
ちゅぷっちゅぷっちゅぷっちゅぷっちゅぷっ。
「んむっ、ふぅ…」
ときどき息をつきながら、動きを続ける。
ちゅぷっちゅぷっ、ちゅぷっちゅぷっ。
ちゅぷっちゅぷっちゅぷっ、ちゅぷっちゅぷっ。
そして、何度か息継ぎを繰り返した頃。
びくんっ!
びゅく、ドク、ドク、ドク…
…私の口の中に、さっき指先で感じた液体の感触が広がっていくのが分かった。
お兄ちゃんの、精液…。
精液がこぼれないように、ゆっくりとおちんちんから口を離す。
そして、精液の感触を舌で味わってみる。
苦い、っていうか味がなくて変な感じ…。
『Hでキレイなお姉さん』ではおいしいっていってたけど、人によって違うのかな。
そして、思い切ってそのまま全部飲み込んでみた。
喉にからみつく感じで、ちょっと飲み辛かった。
「う、う、うーん…」
しばらく余韻でぼーっとしてたんだけど、お兄ちゃんのうめき声でふと我に帰った。
時計を見ると、もう二時。
ああっ、もう寝ないと。
また数学で居眠りして、先生に怒られちゃう…。
私はあわてて自分の部屋に戻っていった。
お兄ちゃんのトランクスを元に戻してあげることも忘れ、『Hでキレイなお姉さん』も
置きっぱなしのまま…
その翌日。
私は数学、おまけに古文の授業でも居眠りしちゃって、職員室に呼ばれちゃった。
お兄ちゃんはお兄ちゃんで、詳しい経緯は分からないけど一週間くらい学校を
お休みしちゃったみたい。
お兄ちゃん、ごめんね。
でも、今度はちゃんと起きてるときにフェラチオしてあげたいな。
お兄ちゃんが喜んでくれるなら、私、何でもできるよ…