〜「それでは、誓いの口づけを。」
そして二人は、多くの人々が見守るなか、ゆっくりと口づけをかわした。
「社長、ご結婚おめでとうございます。いゃ〜すばらしいですねぇ。」
とかなり酔った猫又陰陽師が言う。
「ありがとうございます。猫屋敷さん。」
そう答えたのは、短めの髪に、黒のスーツ。
やや幼い顔立ちに、黒い眼帯を身につけた青年。
名前を、伊庭いつきという。
いつきはこうつづけた。
「大丈夫ですか?かなり酔ってるみたいですけど。」
「大丈夫です。」と答え猫屋敷が去っていった。
「じゃあ、オルト君もまたね。」といつき、
「フン!今やAランクの魔術結社の社長であり、ゲーティアの首領候補がそれでどうする、馬鹿。」
とだけ言い残し去っていった。
それに続いて無言で去っていった、ほなみと「結婚おめでとう!お兄ちゃん社長!」
と声をかけていったみかんを、
追いかけるように、黒羽がすこし悲しそうな顔をして去っていった。
「これでやっと二人きりですわね、イツキ。」
いつきのとなりで、世のすべての宝石をかき集めてもかなわない、
金髪、碧眼の絢爛豪奢の生きる宝石が
純白のウエディングドレスに身をつつみ、いつきに微笑みかけている。そして
「少し疲れましたわ、イツキ部屋にもどりましょう」とつづけた。
「そうだね。アディリシア。」いつきも、アディリシアに微笑みかけた。