「ほなm…じゃなかった、まなみ、ちょっといいかな?」  
少年の言葉に、その場に居る少女二人が露骨に不機嫌な顔になる。  
「ちょっと社長、いいかげん間違いすぎやで。」  
「そうですよ、何度も名前間違うなんて失礼ですよぉ。」  
「ご…ごめんなさい…。」  
二人に詰め寄られて、少年は思わず後ずさる。  
 
アストラルの女性社員の中で、自分だけ名字で呼ばれている事に黒羽から異論が出たのは一週間前。  
緊急社内会議の結果、黒羽の事も皆と同じく名前で呼ぶ事に決まったものの、いつきが名前を  
間違うのは、これで24回目である。  
「大体、社長は社長としての自覚が足らんのや、社員の名前くらいちゃんと言えんでどないすんねん。」  
「ホントです。いつきくん、女の子の名前を間違うなんて最低ですよ。」  
「ごめん…ついクセで……。」  
「クセってなんやねん、緊張感を持って仕事してへん証拠や。」  
「そうですよぉ。私達一人一人をちゃんと見ててくれれば、間違ったりしない筈ですよ。」  
「──ぅぅ……。」  
二人に凄い剣幕で問い詰められて、少年は早くも涙目である。  
 
「前から言おう思うててんけど、社長ボケ過ぎやで。こないだお茶淹れてくれた時も、私のカップと  
 アディが無理矢理置いていったマイカップ間違えたやろ。」  
「私がお願いしていた買い物もみかんちゃんに渡してましたよね。ひょっとして、いつきくんは  
 女の子なんて皆同じに見てるんですか!?」  
「なんやて、ホンマかいな社長!」  
「ぃゃ…その……。」  
「あー、否定しないって事はやっぱりそうなんですね。いつきくん酷いです!」  
「これは教育が必要やね。社長、ちょっとこっち来ぃ(きぃ)。まなみもや。」  
「はいっ。」  
「そんな事h…って、え、ちょ…ちょっと〜。」  
実際は二人の勢いに押されて返事に詰まっただけなのだが、そうと説明する間もなく、二人に  
引きずられるようにしてどこかに連れて行かれる少年。一連の騒動を見ていたみかんが傍らの  
猫屋敷に聞く  
 
「ねぇ、穂波お姉ちゃん達どこに行ったの?」  
猫屋敷はそれには答えず、みかんの頭を撫でながら諭すように言う。  
「いいかい、みかんさん。人生何度も窮地に陥る事があるだろうけど、何もしないでいて状況が  
 好転するのは風邪ひいた時くらいだよ。行動すべき時は行動する、言う時は言わないと、相手には  
 伝わらないんだ。分かったかい?」  
「うん、わかった。」  
「みかんさんは良い子ですねぇ、社長もちょっとは見習ってくれると良いんですが…。」  
猫屋敷はいつきが連れ去られて行った扉を見ながら、溜息をつくのだった。  
 
 
バタンッ、ドタドタ。  
ここはアストラルからほど近くにある、穂波が一人で住んでいるマンションの一室。  
乱暴に扉が開けられ、二人の少女が勢いよく入ってくる。  
二人は一直線に寝室へと直行すると、一人用にしては大き目のベッドに、抱えて来た少年を投げ落す。  
少年は乱暴な扱いに抗議をする事もせず、新しい家に来たばかりの子猫のようにビクビクした様子で、  
尻餅をついたままの姿勢でベッドの端奥に後ずさると、  
「ちょ、ちょっと待ってよ…話せば、そう、話せば分かるから……。」  
と、必死に話し合いを求めるが、その要求に穂波が笑顔で答える。  
「社長、70年前にその台詞言うた人がどうなったか知ってる?」  
「え? え〜と……。」  
学校の授業で習った記憶を辿っていた少年の背中に、冷たいものが走る。  
「思い出したみたいやね、ほなそう言う事で。」  
「あわわ、助けて。ほな…じゃなかった、まなみ。」  
穂波の説得は諦めて、黒羽に助けを求めようとした少年であったが、思わず出てしまったその言葉に  
二人の少女の目が光り、少年自身も蒼ざめる。  
 
「社長〜、全然反省してへんみたいやね〜。」  
ドスの効いた声と眼鏡越しの鋭い視線、はっきり言って怖い。ヘビに睨まれたカエルとはこう言う  
様子を表現したものであろう、少年は体を強張らせて言葉を失う。  
そんないつきの様子を見て穂波が言う、  
「社長、知ってる?昔の人の言葉に『心に誤り無きて人を恐れず』言うのがあるんや、やましい事が  
 ないならなにをそんなに怯えとるんや?」  
(それはちょっと無茶でしょう)と隣で見ていた黒羽は思ったが、口には出さず、代わりに  
「これはもう、徹底的に体に教え込んであげないといけませんね。」  
と、楽しそうな笑みを浮かべつつ怖い事を口走る。  
「せやな、二度と間違わんように、遺伝子レベルにまで叩き込んだらなな。」  
そう言うと、穂波はおもむろに制服のリボンを外し、それを使っていつきに目隠しをする。  
只でさえ今の状況に頭がついていっていないのに、更に視界を奪われて、かわいそうなくらい怯え  
きっている少年に、黒羽が声をかける。  
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ、いつきくんに女の子の区別がつくようになって貰おうって  
 だけですから。」  
それは誤解で、区別ならちゃんとついているのだが、今のいつきにそれを説明するだけの余裕は無い。  
 
そうこうしている間に、  
「さぁ、特別授業の始まりや。」  
そう言うと、穂波は自分もベッドに乗り、唐突にいつきの手を取って制服の上から自分の胸へ押し当てる。  
視界を奪われた分敏感になっている少年の手が、弾力に富んだ柔らかい感触を少年の脳へと伝える。  
「ちょ、ちょっと穂波…!?」  
幾らこういった事に疎いとは言え、流石に自分が何を触っているのか分かったのだろう。少年が耳まで  
真っ赤にして、裏返った声を上げる。  
「あら、目ぇ見えへんのに私の胸やって分かるんやね。」  
穂波は悪戯っぽくそう言うと、少年の手をゆっくりと動かし、自分でも胸を押し当てるように体を動かす。  
決して大きくはないが整った形をした胸。そして、服の上からでも穂波の体温と高鳴る心臓の鼓動が  
掌を通じて伝わってくる。  
「いっちゃん、これが私の胸やで。よう覚えとってな。」  
穂波はそう言うと、黒羽に目配せをする。黒羽も万事承知で、すかさず穂波と位置を入れ替わると、  
「いつきくん、今度は私ね。」  
と言うや否やいつきの手を取り、穂波と同じように自分の胸へと押し当てる。  
 
「あ、わわっ! まなみ!?」  
呆然とした様子で為されるがままだった少年が、我に返ったように慌てふためく。  
黒羽は自分の胸の輪郭をなぞるように少年の手を動かす。幽霊である黒羽に体温や鼓動がある筈は  
無いし、そもそも触れる事さえできない筈なのだが、少年の手は穂波の時と同様に体温や鼓動を  
感じ取っていた。  
「あれ、どうして…?」  
思わず少年が疑問の言葉を発すると、言葉の意味を察したのだろう、黒羽が答える。  
「えへへ、凄いでしょう。ディアナさんの所でね、短時間だけど霊体を実体化できる秘薬を  
 見つけたんだ。」  
黒羽はそう言うと、更に  
「だから、幽霊か生身の人間かで区別しようとしたってダメだよ。ちゃんと、私を私として  
 認識してくれないと。」  
と言って、嬉しそうに笑う。  
目隠しをされている少年には直接見えないが、黒羽の嬉しくて楽しそうな様子は、少年にも感じる事ができた。  
「いつきくん、これが私だからね…。」  
黒羽はそう言って少年の手を一旦強く握ると、手を放して少年の前からも離れる。  
 
「さぁ、ここらで一回試験やな。」  
穂波の声と共に再び自分の前に誰かが座る気配。そして、手を掴まれ、掌には柔らかい感触…。  
「はい、今触っているのはどっちでしょう?」  
穂波の声が問うてくるが、少年は返答に詰まる。誘導されて触れただけではサイズの違いも  
分からないし、まして緊張と動揺で細かい違いなど感じ取れている筈がなかった。  
 
「さぁ、どっちや?」  
穂波の声が回答を迫る。  
「え、ええと…。」  
ここで間違ったら、また何を言われるか分からない。少年は必死に情報を得ようとして、始めて  
自分から手を動かした。  
「あんっ…。」  
次の瞬間、黒羽の声で小さく色味がかった悲鳴が漏れる。  
「あわわわ…ご、ごめんなさい。」  
反射的に謝罪の言葉を口にする少年。  
「ちょっと、喋ったらあかんやないの。」  
と、穂波の声。  
「ごめんなさい。いきなりだったので、つい…。」  
黒羽が穂波に謝る。  
 
「はぁ…まぁしゃあないか。ほな、次いこか。」  
「はいっ。」  
「え?次って??」  
穂波の声と黒羽の楽しそうな返事に、少年は困惑する。  
「当たり前やないの、まさかこれで終わりやと思うとったんちゃうやろな?」  
「そうですよ、『徹底的に』って言ったじゃないですか。」  
「ええ〜っ。」  
 
「ほな、次はこれやね」  
穂波がそう言うのが聞こえたかと思うと、少年の頭を抱くように手が回り込んできて、唇に  
柔らかいものが触れる。  
「んんっ!」  
驚いて逃げようとする少年だったが、頭を押さえられていてそうもいかない。  
「ちょっといっちゃん、逃げたらあかんやないの。」  
一旦唇を離した穂波がそう言うと、再び少年の唇に柔らかいものが触れ、今度は舌が少年の上下の  
歯の間を割り入って口内に侵入してくる。  
 
くちゅ…ぴちゃ……ちゅぱ…。  
艶かしい音が聞こえ、互いの唇の結合部から唾液が零れ落ちる。  
「んっ…んん……ん…んんっ……ぷはっ。」  
その間たっぷり三分はあっただろうか、ようやく穂波は唇を離す。穂波の舌と少年の口内との間に  
唾液が糸を引いて橋を架けた。  
「はぁ…はぁっ…。」  
キスの間満足に呼吸ができなかったのだろう、少年は肩で息をして苦しそうだ。  
 
「さぁ、次はまなみの番やで。」  
一方の穂波は多少顔を上気させているものの、息を切らせる事もなく黒羽に声をかける。  
「はいっ、いつきくんいきますよ。」  
そう言うと、まだ完全に呼吸の整っていない少年の頬に手を添えると、黒羽が唇を合わせてくる。  
 
「んんっ…。」  
少年は生来の気の弱さからか、それともこの場の雰囲気に呑まれてしまってか、満足な抵抗を  
する事もなく、再び口内への侵入を許してしまう。  
ちゅぷ…ちゅぱ……くちゅ…。  
再び部屋に淫靡な音が響き、黒羽の舌が少年の舌を絡めとり、歯の裏側をなぞる。  
そして、今回もおよそ三分。少年が苦しそうにしているのを見て、黒羽は少年の口内から舌を  
抜くと、少し顔をずらして名残惜しそうに少年の下唇に吸い付き、唇を離した。  
 
「さぁ、二回目の試験やな。」  
穂波がそう言うと、少年の息が落ち付くのを待って三度唇が重ねられ、同じように舌が侵入してくる。  
どうやら少年はキスをされている間中息を止めているらしく、それが苦しそうにしている原因のよう  
だった。  
そして今回も約三分、唇が解放された所で穂波が尋ねる。  
「さぁ、今のはどっちやったでしょう?」  
「はぁはぁ…ええと……?」  
少年は軽い酸欠状態で頭が回っていないようで、中々答えが出ない。もっとも、頭が正常に機能して  
いても、正解が分かったかどうかは怪しいものであるが…。  
 
「ほら、はよ答えてぇな。」  
今回も穂波に急かされて、少年はしどろもどろで言葉を発する。  
「う〜んと…まなm…いや、穂波……かな?」  
なんとも自信なさげな返答ではあるが、とりあえず回答を返す。  
 
「ちょっと社長。一応正解やけど、今また名前間違わんかった?」  
穂波が低い声で言う。  
「い…いやいや、どっちか迷ってただけで、決して間違えそうになった訳では…。」  
ようやく少し頭がはっきりしてきた少年が、頭を激しく左右に振って慌てて否定する。  
「でも、どっちか迷ってたって事は、結局どっちかはっきり分からなかったって事ですよね。」  
「うっ…。」  
黒羽の指摘に少年は言葉を詰まらせる。  
 
「まぁええわ、じゃあ次な。」  
「え、次って。正解したから終わりじゃないの??」  
穂波の言葉に驚いて、異議を唱える少年。  
「確信なくて当てずっぽうで出した正解なんて、正解って言わへんのや。ちゃんとしっかり判別が  
 つくようになってもらわんとな。」  
「そ、そんな〜。」  
「ほな、次いくで。」  
少年の異議をにべもなく却下すると、穂波は次の行動に移る。  
 
「まなみ、ちょっといっちゃん押さえとって。」  
「了解です。」  
「え、え?」  
相変わらず目隠しで視界を奪われている少年が、不安そうに頭を左右に振る。  
 
今までだって拘束はされていなかったのに、目隠しを取る事も抵抗する事もしなかった。それなのに  
なんで今更…?  
少年の頭に不安がよぎる。  
「いつきくん、ちょっとごめんね。」  
そう言うと、背後に回った黒羽が少年を羽交い締めにする。  
少年の背中に黒羽の胸が当って心地よい感触を伝えてくるが、今の少年にはそんな事を気にしている  
余裕は全く無い。  
と、少年は自分のヘソの下辺りに誰かが触れるのを感じた。黒羽は今少年の後ろにいるので、  
後この部屋に居るのは穂波だけである。  
 
「ほ、穂波…? 何してるの??」  
恐る恐る尋ねる少年の言葉を完全に無視して、穂波は少年のベルトに手をやると、留め具を外し、  
更にズボンのボタンも外すと、ファスナーを一気に下ろす。  
「ちょ、ちょっと穂波!!」  
流石の少年も、これには暴れて抵抗を試みる。  
しかし、後ろから黒羽に羽交い締めされている為満足な抵抗もできず、穂波は何事もないかのように  
易々とズボンとパンツを一緒に少年の膝下まで下ろしてしまう。  
少年は視界が効かないながら、自分の下半身が外気に晒されるのを感じ、恥ずかしさに顔を真っ赤にして  
言葉を失う。  
 
「ほな、お先にな。」  
穂波はそう言うと、少年のペニスを掴んでおもむろに口に含む。  
「うわっ、ちょっと穂波。ダメだよそんな事。」  
少年が慌てて叫ぶが、穂波は構わずに少年のペニスに舌を這わせ、手で根元をしごくように刺激する。  
「うわっ…。」  
温かくぬるぬるとした舌と、自分のものではない手による刺激。更に、柔らかい吐息がかかる。  
理性の塊のような少年も流石にここまで直接的な刺激に抗う術は無く、少年のペニスは次第に大きさと  
固さを増していく。  
 
穂波はそれに気をよくしたのか、少年のペニスを更に喉奥まで咥え込むと、口内を窄めて更なる快楽を  
送り込もうと務める。  
一旦口を離し、雁首の部分を舌先でくすぐるように刺激したかと思うと、裏スジへと舌を這わせる。  
かと思えば再び根元まで咥え込むと、歯を立てないように気を付けつつ何かを飲み込むように  
喉を鳴らす。その喉の動きは絶妙な刺激となって少年のペニスを刺激し、先端からは透明な液が  
染み出してくる。  
 
「くっ…穂波……。」  
少年が苦しそうに呻くの聞き、穂波は更に刺激を加速する。一方、後ろから少年の肩越しにその様子を  
見ていた黒羽も、釣られるように少年の耳の裏に舌を這わせ、耳たぶを甘噛みしてくる。  
二方向からの刺激に、少年の我慢も限界に達しつつあった。穂波はそんな少年の様子を敏感に感じ取ると、  
少年のペニスを一気に根元まで咥え込む。先端が咽頭を突き、反射的にえづいてしまうが、それさえも  
快感となって少年に伝わる。  
 
「穂波、だめ…離れて……!!」  
そう叫ぶと同時に少年の快感は絶頂に達した。穂波の喉の奥まで咥え込まれたペニスから白濁液が  
ほとばしり、穂波の喉へと勢いよく流れ込んでくる。  
「んっ…んんっ……。」  
喉奥で放出された精液は穂波が飲み込もうとしなくても、無理矢理喉を押し通ってくる。  
人間には咽頭反射と言う機能があり、本来こういった行為はかなりの苦痛を伴う筈なのだが、穂波は  
少し目尻に涙を滲ませているものの、頭を引く事もせずに断続的に放出される少年の精液を  
飲み下していく。  
「う…うぅ…。」  
繰り返し襲って来る射精に伴う快感の波に、少年の意識は白く染まってしまう─────。  
 
「ケホッ、ケホッ……。」  
射精が終わったのを確認すると、頭を後退させてペニスを口から抜いた穂波が、流石に軽く咽る。  
「穂波。ゴメン、大丈夫!?」  
我に返った少年が穂波の身を気遣うが、穂波は一つ咳払いをすると、  
「大丈夫や…。無理矢理こんな事したのに、心配してくれてありがとうな。」  
と、穏やかな声で返事を返し、その声に少年もホッと一安心する。  
 
「でも、それとこれとは話が別やで。」  
「え?」  
穂波は楽しそうな声でそう言うと、黒羽に代わって少年を後ろから押さえ込む。  
「え、え? ちょっと…??」  
「ふふっ。いつきくん、次は私だからよろしくね。」  
と、今度は黒羽が少年の前に回り込んできた。目隠しをされている少年には見えないが、長い黒髪を  
邪魔にならないように後ろで一つに束ねて、やる気十分である。  
 
「ま、まなみ!? だ…ダメだって、そんな事。」  
少年は穂波の時と同じように身を捩って逃げようとするが、後ろから穂波に押さえられていて  
それも叶わない。しかも黒羽に、  
「あら、穂波さんはよくて私はダメなんて酷いじゃないですか。」  
と言われると、  
「いや…穂波だからとかまなみだからとか、そう言う事じゃなくて……。」  
と、途端に勢いを失って大人しくなってしまう。  
黒羽はそんな少年を愛おしそうに見つめつつ、少年のペニスへと手を伸ばす。  
 
少年のペニスはまだ半分勃起した状態で、穂波の唾液と穂波が口を離した後に染み出してきた精液とで  
濡れそぼって、怪しい光りを放っている。  
黒羽は尚も弱々しい声で止めようとする少年の声を聞きながら、先端から一筋流れ落ちている精液を  
指で掬い取ると、舌で舐めとる。青臭い匂いが鼻に抜けるが、不快そうな顔をする事も無く、逆に  
嬉しそうな表情で  
「いつきくん、いくよ。」  
と言うと、黒羽は口内に溜めた唾液を少年のペニスへと垂らし、舌を使って全体に塗り広げていく。  
まるで残っている穂波の痕跡を洗い流すかのように丁寧に全体に行き渡らせると、一旦体を起こして  
右手でペニスを包み込むと、慈しむように上下に摺擦する。  
黒羽の細くしなやかな指が唾液で濡れた少年のペニスを擦る度に淫らな音が部屋に響き渡り、少年の  
ペニスは急速に大きさと強度を回復していく。  
 
「う…くっ……。」  
必死に快感を押し殺そうとしている少年の口から苦しそうな声が漏れる。  
少年の後ろでは、穂波が先ほどまでの黒羽と同じく、少年の耳を攻めたり首筋にキスをしたりしている。  
黒羽は手を少年のペニスから陰嚢へと移すと、優しく撫でるように揉み、再び舌を使って少年の  
ペニスへの愛撫を再開する。  
根元から先端までゆっくりと舐め上げ、先端から滲んでくる透明な先走り液を吸い付くようにして  
啜りとる。  
ペニスと陰嚢の両方から送り込まれてくる快感、更に後ろから耳や首筋にも刺激を加えられ、少年は  
再び限界に達しようとしていた。  
 
黒羽が射精を促すように陰嚢を少し強く握ると、少年の口から呻き声が漏れ、少年は再び絶頂に達した。  
勢いよく吐き出される白濁液はすぐそこにあった黒羽の顔を直撃し、彼女の顔や黒髪を白く染めていく。  
黒羽はうっとりとした表情でそれを受けとめ、滴り落ちてくる精液を指で受けると、美味しそうに  
口に含む。  
「あ〜あ、こんなに髪に付けちゃって。私は霊体に戻れば平気だけど、これ髪に付いたら中々落ちない  
 んだよ。」  
ちょっと意地悪っぽく言う黒羽。少年は視界が塞がれているので見る事ができないが、つややかで  
さらりとした緑の黒髪に、白い精液が所々こびり付いている絵は、非常に扇情的である。  
少年は視界を奪われている関係でまなみの言葉の意味を理解できずにいたが、穂波が背後から  
「こう言う事や。」  
と言って、少年の目隠しを外す。  
 
穂波が少年の目隠しを外した途端、周囲の空気が一変し、呪力の波が辺りを駆け巡る。  
穂波がとっさに目隠しを外した右手を見ると、目隠しに使っていた制服のリボンと一緒に少年の眼帯も  
掴んでいた。どうやら、勢い余って一緒に外してしまったようだ。  
妖精眼が発動した少年が低い声で言葉を発する  
「穂波、まなみ。お前達には少しばかりお仕置きが必要なようだな。」  
そう言うと、先程までとは全く違う空気をまとった少年は、リボンと眼帯を握ったまま呆気にとられている  
穂波に向き直り、鼻先が触れ合うほど顔を近づけると、不適な笑みを浮かべて問い掛けを発する  
「どう、穂波。僕の精液は美味しかった?」  
その問いに穂波の顔がみるみる真っ赤に染まっていき、目線を下に逸らして口篭もってしまう。  
 
「穂波。社長命令だ、はっきり答えろ。」  
その声に穂波の体がピクンと動き、顔を上げて少年に目線を合わせると、  
「はい、いっちゃんの精液とっても美味しかったです。」  
と答え、次の瞬間耳まで真っ赤にして再び目を逸らす。  
「ふふ、そうなんだ。じゃあこっちの口でも味わわせてあげるよ。」  
そう言うと、少年は右手を穂波のパンツの中に滑り込ませた。  
「おや、もうぬるぬるじゃないか。僕のペニスをしゃぶりながら感じていたのかな?」  
そう言いつつ、少年は穂波の割れ目に重ねた中指をくいっと曲げる。  
「あうっ……」  
その感覚に穂波は背を仰け反らせ、少年の言葉を否定する事もできずに、そのまま仰向けにシーツの  
上に倒れ込む。  
 
「まぁいいや、じゃあいくよ。」  
そう言うと、少年は手早く穂波のパンツを抜き去ってしまう。  
「ま、待って。」  
穂波の言葉にも耳を貸さず、少年は穂波の足を抱え込むと、自らのペニスを穂波の秘所にあてがう…。  
「いっちゃん…。お願いや、入れる前に嘘でもええから『好き』って言うて…。」  
少年が今まさにペニスを突き入れんとした瞬間、穂波が涙声で訴える。  
しかし、少年は穂波の目を覗き込み、  
「だ〜め、おしおきだって言ったでしょう。」  
と優しい口調で言ったかと思うと、一気にペニスを突き入れる。  
 
「ああああんっ……」  
背中を仰け反らせ、目を見開いて叫び声を上げる穂波の秘所から、鮮血が滴り落ちる。  
それを見て少年は少し驚いたようだったが、とっさに半分程で挿入を止めると  
「まなみ。見ているだけでは退屈だろう。こっちに来て穂波の胸を揉んでやれ。」  
と、傍らでずっと様子を見ていた黒羽を呼び寄せる。  
「はいっ。」  
黒羽は喜色満面に湛えて穂波に近付き、リボンを外した事で多少はだけている胸元を更に押し広げると、  
胸を覆っているブラを手際よく外し、露になった乳房をやや乱暴に鷲掴みにする。  
 
「ん…まなみっ……。」  
体を硬直させて息を荒げている穂波の口から、弱々しい声が漏れる。  
まなみは穂波の胸に顔を寄せると、乳首を舐め、軽く歯を立て、指先でこねまわしてみたりと、胸の  
先端を集中して攻めていく。その度に穂波の口からは、苦しい息の中にも甘い吐息や快感による  
小さな悲鳴が混じってくる。  
 
(流石に女同士、手馴れたものだ…。)  
少年はそう思いながらしばらくその光景を眺めていたが、穂波の吐息が色を増し、秘所が潤んで  
きたのを感じると、  
「そろそろいいようだな。いくぞ、穂波。」  
そう言うと、ペニスを一息に根元まで押し込む。  
「うああああぁぁぁ」  
多少ほぐれてきているとは言え、初めて異物の侵入を受ける穂波の秘所はきつい。しかし、抵抗を  
押し破るようにして、少年のペニスは根元まで挿し込まれた。  
 
「どうだ穂波。上の口で味わうのとどっちが良い?」  
しかし、穂波は少年の問いに答える余裕も無く、目に涙を浮かべ、唇を噛んで初めてペニスを受け入れた  
痛みに耐えている。  
黒羽はそんな穂波を上目使いで見ながら、苦痛が少しでも和らぐようにと穂波の胸への愛撫を続ける。  
 
「そろそろ動くよ。」  
しばらく間を置いて少年が言うと、穂波の返事も待たずにゆっくりと抽挿を開始する。  
「あううっ……、あぁっ………」  
ペニスが突き入れられる度に穂波は苦しそうなうめきを漏らし、手はシーツを強く握り締めて耐えている。  
破瓜の血と愛液が混じったものがシーツに染みをつくり、穂波の肌に汗が滲む。  
「いつきくん、穂波さんまだ辛そうです。もう少し優しくしてあげてください…。」  
穂波の辛そうな様子に黒羽が思わず進言するが、少年は  
「おしおきだからね、少し辛いくらいでいいんだよ。」  
と言うと、逆にペースを速めていく。  
 
「あうっ…あっ…くぅっ……」  
それに伴って穂波の上げる声の間隔も短くなる。  
少し心配そうに穂波の顔をちょっと見てから、再び胸への愛撫を再開した黒羽に少年が言う。  
「それに、別段痛がってばかりいる訳でもないようだしな。」  
その言葉に黒羽がもう一度穂波を見ると、確かに眉をひそめて苦しそうな声を出してはいるが、  
吐息は僅かに熱を帯び、顔はほんのり上気している。  
 
「まなみ、もういいぞ。次はお前の番だから準備をしておけ。」  
「はい…。」  
少年の言葉にまなみは穂波の乳房から離れ、穂波と少年の性交を見ながら傍らでオナニーを始める。  
それを満足そうに見ると、少年は一段と腰の動きを速める。二人の結合部はジュプジュプと淫らな  
水音をたて、少年が穂波の腰を掴んで自分の腰を打ちつける度に穂波の口から喘ぎ声が漏れる。  
 
「穂波、そろそろ出すぞっ…。」  
そう言うと共に少年は一際強く腰を打ちつけ、穂波の腰を強く引き寄せると、穂波の体内に  
精を解き放つ。  
「えっ? あああぁぁぁぁっ……」  
穂波は甲高い悲鳴を上げて背中を逸らせると、そのままぐったりと倒れて気を失ってしまった。  
少年は最後の一滴まで穂波の中に注ぎ込むと、ゆっくりとペニスを引き抜く。穂波の秘所からは  
血と愛液に加えて、少年の精液も混じった物が滴り落ちてくる。  
 
少年は気を失っている穂波に自分の上着を掛けてやり、耳元に顔を寄せると  
「穂波、好きだよ…。」  
と囁いた。  
気を失っている穂波に聞こえる筈はないが、その言葉に穂波の口元が微かにほころび、閉じた目から  
一筋の涙が零れ落ちた。  
 
「さて、と…。」  
少年は体を起こすと、先程から二人の性交を見ながら一糸纏わぬ姿で自慰に浸っている黒羽に向き直る。  
「どうする、まなみ? 目の前で他の女に告白された直後ではやりにくいだろう。」  
その言葉に、黒羽が少年の胸に飛び込んできて、シャツ一枚になった少年の胸に顔を埋め、か細いが  
しっかりした口調で言葉を紡ぐ  
「大丈夫だよ…どうせ私は幽霊だもん。今は秘薬の力でこうしていつきくんにも触れられるけど、  
 もうしばらくしたらまた霊体に戻っちゃって、いつきくんの温もりを感じる事もできなく  
 なっちゃうんだから…。だから今のうちにいっぱいいつきくんを感じさせて…。」  
涙目で訴える黒羽に、少年は少し苦笑を浮かべ、  
「いいだろう。ところでお前も初めてか?」  
と、返事と質問を返す。  
それに対して、少し顔を赤くしてうなずく黒羽。  
「そうか、穂波に手伝わせようにもしばらく起きないだろうしな…。」  
隣に転がっている穂波に目を遣って少年が言う。  
 
「じゃあ、いつきくん。私に自分で入れさせて。」  
黒羽の提案に少年は一瞬驚いた風だったが、すぐに意味を理解すると、軽く笑って  
「好きにしたらいいさ。」  
と言って横になる。  
黒羽は嬉しそうな笑顔を浮かべると、仰向けに横たわっている少年のペニスに舌を這わせはじめる。  
先程の穂波とのSEXの跡を拭い去ろうとするかのように、全体に満遍なく舌を這わせ終わる頃には、  
既に三度も射精しているにも関わらず、少年のペニスは以前と変わらない勢いを取り戻してきていた。  
 
黒羽はそれを確認すると、少年の腰の両側に膝をつき、少年のペニスの先端を自らの秘所へとあてがう。  
「まなみ、慌てるなよ。」  
少年の声に笑顔で返答すると、黒羽は体を少しかがめて少年のペニスに手を添えると、ゆっくりと  
腰を落とし始める。  
 
少年のペニスの先端が黒羽の秘所を押すと、黒羽の口から  
「んっ…。」  
と小さな喘ぎ声が上がるが、動きを止める事はなく、更に腰を落としていく。  
先程まで続けていた自慰のお陰で黒羽の秘所は十分過ぎる程濡れているし、少年のペニスも  
黒羽の唾液をたっぷりとまとってはいるのだが、それでも初めて男性器を受け入れるのはかなりの  
抵抗らしく、容易に事は進まない。  
 
しばらくの格闘の末、やっとペニスの先端が黒羽の秘所の入り口を僅かに押し広げたかと思うと、  
黒羽はおもむろに目を固く瞑り、一気に膝を横に滑らせた。  
「あああぁぁぁぁぁ…………っ……。」  
黒羽が天井を向いて叫び声を上げる。  
体重が一度に掛かった事により、黒羽の秘所は一息に少年のペニスを殆ど根元近くまで呑み込んだ。  
「まなみ、大丈夫か?」  
少年が驚いた様子で尋ねるが、黒羽はじっと体を硬直させたまま返事をしない。黒羽と少年の  
結合部からは、真っ赤な破瓜の血が染み出してきていた。  
 
「だい…じょうぶ……だよ…」  
やや間を置いて、視線を下に戻した黒羽がようやく搾り出すように言葉を発する。  
目には涙を浮かべ、苦痛の為か顔は少し青ざめている。  
「ごめん…ね……、いつきくん…。もう少し…待ってね……。」  
黒羽は肩で息をしながら、なんとか切れ切れに言葉を繋ぐ。  
少年はそんな黒羽を見ると軽く頭をもたげ、自分の唾液で指先を湿らせると、黒羽のクリトリスを  
指の腹で撫でたり、指先で摘んだりして刺激を与え始めた。  
 
「あんっ…。」  
しばらくすると、黒羽の口から快感を含んだ声が漏れはじめた。  
「いつきくん…ありがとう。もう大丈夫だから。」  
そう言うと、黒羽はゆっくりと腰を上下に動かし始める。  
 
「平気なのか?まだ相当キツいようだが…。」  
黒羽が動きだした事でクリトリスから手を引いた少年が、自分のペニスにかかる感覚から想像して  
黒羽を気遣う。  
「うん…平気だよ。それに、そろそろ時間も無いみたいだし…。」  
その言葉に少年が黒羽の体をよく見ると、手足の先などの末梢部から徐々に実体化が解け始めている。  
「いつきくんと触れ合えるうちに、最後まで行かないとね。」  
少し無理をしている事が感じられる笑顔でそう言うと、黒羽は少しずつ動きを大きく、速くしていく。  
 
黒羽の華奢な体が少年の上で躍り、体格の割りに豊満な乳房が体の動きに合わせて跳ねる。  
長い黒髪が乱れ流れる様子と相俟って、少年の目に映るそれはとても美しい光景だった。  
しばらくして抽挿が滑らかに進むようになり、黒羽の苦痛も和らいで来たのを感じると、少年も  
黒羽の動きに合わせて腰を使いはじめる。  
それが嬉しかったのか黒羽が更に動きを速め、少年もそれに合わせて動きを速めていく。  
 
「うんっ…ああっ……ううんっ…。」  
黒羽の声には次第に快感の占める割合が大きくなってくる。  
そうしている間にも秘薬の効果は徐々に消えつつあり、少年が感じる黒羽の感覚も次第に薄れていくが、  
それでも二人が感じる快楽の強さは逆にどんどん増していった。  
 
「いつきくんっ…私もう……」  
黒羽の声に少年も応じる。  
「まなみ、いくよっ…。」  
その声と共に少年のペニスから精液がほとばしり、黒羽は体内に熱いものが満ちていくのを感じた…。  
「あぅっ……んん…っ………」  
押し殺したような、何かを体内に留め置こうとするかのような悲鳴を上げ、黒羽の体が固く硬直して、  
同時に黒羽の秘所が少年のペニスを締めつける。  
 
そのまま二度…三度と繰り返される射精を最後まで受けとめると、黒羽は少年と繋がったままで、  
全身の力が抜けたように少年の上に倒れ込んでくる。  
その重さも殆ど感じない程に、既に黒羽の実体化の効果は切れつつあったが、黒羽は最後の温もりを  
感じとらんと、あまり厚くはない少年の胸板の上に手を置き、頬を擦り寄せる。  
「いつきくん…私ちょっと霊力を使い過ぎちゃったみたいだから、少し眠るね。大丈夫だよ、別に  
 消えちゃう訳じゃないから…。」  
そう言うと、黒羽は目を閉じて眠りにつく。  
少年はまだ僅かに触れる事のできる黒羽の頭をそっと撫でてやり、回りを見渡す。  
ベッドの上には幸せそうな顔をして眠る二人の少女。それを眺めていると、少年は自身にも強い  
めまいを感じた。  
長時間眼帯を外していた事で体力を消耗したのだろう、間もなく少年も深い眠りに落ちていく。  
この日以降、少年が二人の名前を呼び間違える事はなくなりましたとさ。  
 
 
おしまい。  
 

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