ここは、いつきの自宅。
自分のベッドの上でいつきは、亜麻色の長い髪をシーツに散らせた少女と深く繋がっていた。
「…っく、はぁ…
…だ、大丈夫?」
額に汗を滲ませ、いつきは目の前の少女に問掛ける。
「平気だ、痛みには慣れている」
「いやあの、そういう事じゃなくてね、オルト」
オルトと呼ばれた少女―オルトヴィーン―は、いつもの口調で応答するも、頬を染めて瞳を潤ませ、いつもと違った表情を見せていた。
「フン、今更大丈夫も何も」
いつもよりいくばくか機嫌が悪そうにしているのは照れ隠しのためなのか。
「ここまでやっといて、止めるのか?」
「う゛…」
確かに、今止めろと言われても、止められる自信が無い。
それどころか、少女の膣内は狭くて、少しでも動かせば射精してしまいそうな程気持ち良すぎた。
言い返せずに苦笑すると、オルトヴィーンはふん、と鼻を鳴らした。
(…どうしてこんな事になったんだろう?)
事の発端は昨日。
いつきはオルトヴィーンの着替えに遭遇し、彼が女性である事実を見てしまったのだ。
年齢の割には発育が遅いようだが、膨らんだ乳房は確かに女性のものであった。
たっぷり十数秒お互いに固まった後、それはもう恐ろしい顔でオルトヴィーンは言ったのだった。
「誰かに喋ったら殺す!!」
――と。
そして、今日。
アストラルでの業務を終え、自宅へと帰って来たいつき。
今日は早かったので、DVDでも見ようか、それともゲームでもやろうかと考えていると、チャイムが鳴った。
そこにはつい先刻会社で別れたばかりのオルトヴィーンが居た。
確か口止め料がどうとか言ってたいたような気がする。
その意味を理解する前に、唇を塞がれた。
(オルトの唇、柔らかかったなぁ…)
「…この状況で考え事とは、良い度胸だな」
「はっ!?い、いや、考え事なんかしてないよ!?」
図星をつかれて慌てながら、ふと結合部を見ると、確かに彼女が処女であったという証拠に、鮮血が滲んでいた。
改めて、自分が取り返しのつかない事をしてしまったのではないかという思いが、いつきを揺さぶった。
「……オルト、ごめん…」
「何故謝る?」
「だって…初めてだったのに、こんな……」
「……嫌か…?」
いつものオルトヴィーンらしくない、不安そうな声。
「やっぱり、穂波先輩やアディリシア先輩みたいな、女性らしい相手の方が良かったか?」
「そんな事無いよ!」
強い口調で反論するいつきに驚くオルトヴィーン。
「いや、その…
今更こんな事言っても、言い訳にしか聞こえないだろうけど、僕…オルトとこうなれて、嬉しいよ。」
いつきの言葉に、オルトヴィーンは耳まで真っ赤になる。
「ただ、出来れば口止料とかそういうのじゃなく、もっと自然にこうなりたかった」
「…お前、本当にボクがそんな理由で犯らせると思っているのか?」
「へっ!?」
いつきの驚き具合から、本当にオルトヴィーンの言葉を信じ込んでいた事が容易に想像できた。
オルトヴィーンは大きな溜め息をついた。
「いくら何でも、ボクはそんなに馬鹿じゃない。
初めてアストラルに来た時に言った様に、ボクは自分が認めた相手にしか従わない。
それと同じ事だ」
「…え、えと…それって…」
「お前だからだよ!馬鹿!!」
半ばヤケになったように怒鳴ったオルトヴィーンの顔は、湯気が出そうな位に真っ赤で、流石に鈍感ないつきにも理解出来た。
「……ごめん」
「だから謝るなよ」
目を合わせないよう顔を背けるオルトヴィーンをいつきはとても愛おしく感じた。
「オルト」
「何だ?」
「…キス、しても良いかな?」
「!!」
口をぱくぱくさせて、何か言いたげだったが、観念したように頷く。
いつきは微笑むと、オルトヴィーンの唇に自分の唇を重ねた。
ちゅ、と小さな音を立てて唇を吸う。
何度も何度もキスをした。
唇だけではなく、額や耳、髪の毛にも。
彼女を構成するすべてのものが愛おしく、いつきはオルトヴィーンの全てが欲しいと思った。
深くくちづけ、舌と舌とを絡ませる。
舌で八重歯をなぞると、僅かにオルトヴィーンの身体が震えた。
「んぁ…は…っ」
ゆっくりと唇を離すと、どちらのものとも判らぬ唾液の糸が伝い、切れた。
それを惚けたように見ているオルトヴィーンの表情は、今までに見た事が無いもので、ひどく煽情的に見えた。
いつきは堪らず、オルトヴィーンの耳元に囁いた。
「ごめん、オルト。我慢出来ない」
言うと同時に、いつきは腰を動かし始める。
「――っあ!!」
不意打ちに驚き、目を見開く。
先刻初めて男性を受け入れたばかりの膣内はやはり狭く、オルトヴィーンは苦痛に顔を歪ませる。
出来るだけ優しくしようと思っていたいつきだが、自分自身を止める事が出来ない。
突き上げる度に、オルトヴィーンが高い声を上げるのも、いつきをより興奮させた。
破爪の血といつきのものから出る分泌液で、多少滑りが良くなってきたものの、オルトヴィーンは痛みと圧迫感に慣れる事が出来ないでいた。
(っの……馬鹿…っ!)
文句を言おうにも声にならず、いつきを睨みつけるが、当のいつきは夢中で全く気が付いていない。
見ると、額に汗を流し、うわ言のようにオルトヴィーンの名を呼びながら夢中で腰を振るいつきが可愛く思えて来た。
そのうち、痛みはあるものの、余裕が出て来ると、違った感情がオルトヴィーンに沸き上がる。
甘く、痺れるような、心地良さに似た感覚。
好きな相手と結ばれたという悦びだと、オルトヴィーンは気付かなかった。
それでも、目の前の少年がたまらなく愛おしく感じて、知らぬうちに自分も相手の名前を呼んでいた。
「いつき、――いつきっ!」
「あぁっ、オルト!ごめん、僕…もう…っ!」
既に限界ギリギリだったいつきは、オルトヴィーンの身体を強く強く抱き締め、彼女の膣内の最奥で吐き出した。
熱いものが注ぎ込まれるのを感じ、オルトヴィーンは身体を震わせた。
ベッドの上で二人は余韻の中に居た。
ふと、オルトヴィーンがいつきの方を見やる。
「何をニヤニヤしているんだ?」
「ん?いや、ほら…嬉しくってさ。
オルトが僕の事、馬鹿でも社長でも無く、名前で呼んでくれたから」
「……っ、そんな事で喜ぶな!馬鹿っ!!」
顔を真っ赤にしてそっぽを向いたオルトヴィーンを見ながらいつきは、もっと恥ずかしい事をしたのに、と思ったが口には出さずにいた。