サファイヤは悩んでいた。  
いつまでこんな事が続くんだろう。  
自分の中の中途半端な気持ち。  
男でありたいと願うのに可愛らしいものや、フランツにときめいてしまう自分の心。  
「しかし、王子はほんとに最近かわいらしゅうなりましたな。」  
「何言ってるんだい、僕は男だよ。可愛らしいなんてほめ言葉じゃないよ。」  
ジュラルミンやナイロンからの女ではないのかという疑いの目線。  
ここの所それが益々ひどくなってきている。  
サファイヤは部屋でひとり深くため息をついた。  
 
 
「何か用かい?」  
足音に気づき目線をあげると今最も会いたくない男。ジュラルミンがそこにいた。  
ニヤニヤと気味の悪い笑いを浮かべている。  
「いえいえ、今日は王子にお願いしたいことがありまして。」  
二人にはあまり自分の側にいて欲しくなかった。  
「さっさと用をすませて一人にしてくれないか。」  
「おお怖い怖い。なに、大したことではないのですよ。  
私の疑問が解決すればそれでよろしいのです。」  
ジュラルミンのお願いとはこうだった。  
『今まで、王子が女ではないかと疑っていたが、百聞は一見にしかず、実際示していただこうではないか』  
「具体的に僕にどうしろって言うんだい?」  
「大変失礼ながら、お体を拝見させていただきたいのですが・・・」  
サファイアは真っ赤になって叫んだ。  
「何を言うんだ!!」  
 
 
 

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