「それでね、この水晶球は墜落都市レックスの、それもかなり深い場所にあるみたいなの」  
 テーブルに羊皮紙を広げ仕事の説明をしながら、アイラはその眼鏡の奥の瞳を爛々と輝かせて一同を見回す。  
 それは少し芝居がかったオーバーアクションだったが、アイラには残念なことに、それでも注意して見ている者は誰もいなかった。  
 隣に座ってエールを呑んでいるリウイも、視線を向けているのはアイラにではない。  
 皆が皆、揃ってミレルを見ていた。それにアイラはちょっと肩を竦める。  
 しかし、こうしてないがしろにされた形になっても、別段腹が立ったりとかの負の感情は浮かんではこない。  
 なにしろこの集団のムードメーカーの様子があきらかに、鈍さには定評のある魔法戦士にもわかるほどおかしかった。  
 ミレルはこの中では一番の年少だが、アイラには想像もつかない裏の世界で生きてきている。だから仕事となれば相当にシビアだ。  
 友人と呼び合っても違和感がないくらい親しくはなったが、それとこれとは別で、人の足元を見てくる様な駆け引きも結構してくる。  
 だが今日に限っては、どこかうわの空でアイラの話を聞いている様だった。  
 こちらから話を振ってもまるで見当外れ、スラング混じりで誤魔化すのが精々である。放っておけばため息ばかりを吐いていた。  
「なんだかこれは、日を改めた方がいいかな?」  
 服の袖を摘んでチョイチョイと引っ張ると、アイラは口に手を当ててリウイの耳にだけ聞こえる様に囁く。  
「うん そうだな ミレルがこれじゃな」  
 リウイもアイラに合わせて、小声でその耳に囁き返した。その姿はまるで恋人同士の様である。  
 もちろんリウイはそんなことは考えないだろうが、こういう場合は他人の目にどう映るかが問題なのだ。  
 
 さりげなく約一名を除いた女性陣の視線が、容赦なしでリウイの横顔に突き刺さる。  
 その約一名のアイラはリウイと違って充分視線を感じながらも、見せつけるように乳房を逞しい二の腕に押し付けていた。  
 なに不自由なく育ったお嬢様がいくら友人とはいえ、冒険者三人の視線を浴びながら、こんな真似が出来るのはある意味立派である。  
 まずジーニが『勝手にしろ』とでも言いたげに視線を外し、次いでメリッサはぷいっと顔を逸らした。  
「こんな風だから………わたくしの心はあんな人の言葉に………心が揺さぶられてしまうのです」  
 唇からは、誰にも聞こえないくらいの、小さな小さな声を洩れる。  
 その横顔はなんだか切なげだ。決して不本意だけではそれは表現出来ない。ここに鬼畜王がいればご満悦だったろう。  
 そしてミレルはというと、顔を耳まで真っ赤にしていた。  
 この年頃ならこの反応は至極真っ当ともいえるが、ミレルはそんなお上品な、それこそアイラやメリッサみたいな環境では育ってない。  
 バカなカップルの乳繰り合いなど、それこそ不本意ではあるが、嫌になるくらい見慣れている。  
 だがミレルは腕を絡めるふたりから、自分の顔を隠すように、逃げるように滑稽なほど慌てて顔を伏せた。  
 そんな可愛い仕草がまた皆の視線を集めてしまう。  
 自分に集まる視線は無論ミレルも感じているのだろう、益々いたたまれない様に、元々小さな身体をさらに小さくしていった。  
 しかしこれだけ視線が集まっているのに、誰も気づいてはいない。  
 それだけ普段のミレルを知っていて、リウイやアイラのみならずに、ジーニやメリッサも可愛い変化に衝撃を受けているのだろうが。  
 テーブルの下では痒いのを我慢でもしているように、ミレルの手はギュッと太ももの間で押さえつけられていた。  
 思い出してる。  
 店に入ってリウイを見たときからイメージが重なって、その男の心のヴィジョンは浮かび上がってはいたが、意志の力を総動員して  
無視していたのに、完全に、完璧に、このバカなふたりに思い出させられた。  
 昨晩の自分とあの男の姿にばっちりと心の中で重なる。もうそれを無視は出来そうもない。  
 
 身体がなんだかとてもムズムズする。ミレルは早く自分の部屋に帰りたかった。  
 服の内側では硬くなっている突起が擦れている。太ももに押さえられている手が求める先、下帯の奥の奥か味あわされたあの感覚が  
ゆっくりと焦らすかのように這い上がってきていた。  
 チラッとミレルはリウイを一瞬だけ覗き見る。  
 だが伏せたそのとき、ミレル心に映っていたのはリウイではなく、面影は似ているがもっと壮年の意地悪そうに笑うあの男の顔だった。  
 
 
 
 剣が燐光を放ち煌いた。煌いたように見えただけでも――――それは奇跡的だったろう。  
 振り向き様に一閃。オーガーの巨体を逆袈裟で両断してみせた。  
 ジーニにしてても高がオーガー、倒すだけならばもちろん造作もないが、同じ結果になっても内容、レベルがこの男とは違いすぎる。  
 なにせジャールには、オーガーのその巨体に見合うだけの、盛大に噴き上げる返り血を避ける余裕まである。  
 そして避けたその先で、また新たな血しぶきが上がり、さながら獰猛な意志を持った暴風のようだった。  
 この遺跡中の妖魔が、ジャールただひとりに圧倒されているといっても、まるで過言ではない。いっそ蹂躙といってもいいくらいだ。  
 おそらくジャールがいなければ、ジーニたち三人だけでは、この遺跡のこんなに深いところまでは来れなかったろう。  
 養父であり魔術師ギルドの長であるカーウェスに、突然呼び出されて来れなくなったリウイには悪いが、戦力としては比較にならない。  
 集まった店でリウイが来れないことをアイラから知らされ、今回の冒険は『あんなヤツでも魔術師がいないのは不安』ということで  
とりあえずは延期しようと話していたところへ、出待ちでもしていたようないいタイミングでジャールが現れたのだ。  
 ジーニにはどうにもジャールが胡散臭かったのだが、どうやらミレルの知り合いでもあるようだし、メリッサにしても特に反対意見は  
なさそうなので、話を聞いてでもいたのか助っ人の申し出を受けたのだが、ここまでは下した判断に間違いはないようである。  
「ふんっ とりあえずこの辺りは、あらかた片付いたな」  
 魔剣を床に突き刺して、ぐるりとジャールは辺りを見回す。それは周りに転がる妖魔の数を見ればあきらかだ。  
 あらかたどころかこの周辺の妖魔は全滅に近いだろう。 それもほぼ――――たったひとりの男の手によってだ。  
「しかし正確な時間はわからんが、今日のところは探索を後回しにして、そろそろ野営の準備をせんか?」  
 確かに時間はわからないがそんな頃合だろう。  
 
 それにいまふっと思ったが、その実力をまざまざと見せられた所為か、最初は鼻持ちならなかった仕切るようなジャールの物言いも  
ジーニは気にはならなくなっていた。  
 ジャールには人の上に立つ資質があるのかもしれない。僅かな間に大したものだと、ジーニは素直に感心させられた。  
「どれ、用心に越した事はない ミレル、一応辺りを偵察にいくぞ」  
「えっ!? あ、あたし?」  
 声を掛けられたミレルはびくっと身体を震わせる。  
 しかしそれは、突然声を掛けられた、それだけにしては随分な驚き具合だった。ジーニは少しだけその様子に違和感を覚えたが、  
「ああ こういうのはオマエの仕事だろ? 妖魔と遭遇はまぁしないだろうが …………何に襲われるかわからんからな」  
「ミレルひとりでも、だいじょうぶだと思いますが? …………出来るなら野営の準備を手伝ってくれた方が助かるんですけど?」  
 そう答えたのはもちろんミレルではない。  
 自分の荷物を探りながら、ジャールの顔を見ようともしてないメリッサだ。その表情はなんだか堅い。  
 そしてジーニは見た。  
 メリッサの背中に、一瞬だけニヤリと笑うジャールを。  
 そのジーニの視線に気づいたのか、ジャールはすぐに笑い顔を引っ込めると、ミレルの肩を強引に抱いて背中を向ける。  
「言ったろ 用心に越した事はないと つまらん油断でオレは命を落としたくないんでな」  
「そうですか 意外と繊細なんですね」  
 誰が聞いても嫌味にしか聞こえないメリッサの言葉に、しかしもうジャールは応えを返さなかった。  
 マントにすっぽりと隠れてしまっているミレルと一緒に、その姿はゆっくりと闇に溶けて、見送るジーニの視界から消えてしまう。  
“ガシャンッ!!”  
 なんとなくふたりが消えてからも眺めていたジーニは、不意にした破壊音で視線を引き戻した。  
 見るとメリッサがひどく乱暴に、暖を取るための焚き火のスペースを作っている。価値があったかもしれない壷は見事に割れていた。  
 
 
 もういくつ目かわからない妖魔の痕跡。だが痕跡だけでその姿はどこにもない。  
 結構な範囲を見て回っているのだが、さっきからずっとこんな感じだ。やはりジーニたちが待っている辺りに転がっているんだろう。  
「これはとりあえず、寝るのを邪魔されずに済みそうだな」  
「そ、そうだ…………な」  
 おどおどしながらミレルはチラッとジャールを盗み見ると、ニヤリと笑っている目と合ってしまった。  
 すぅっと手が伸びてくる。ゆっくりだ。  
 たとえミレルほどの素早い身のこなしがなくとも、緩慢な動きは避けようと思えば避けられる。 ――――避けようと思えばだが。  
「あ……」  
 指先はからかうように、ネコでもあやすみたいに喉を撫でると、そのまま上がってきてクイッと顎を持ち上げる。  
 ミレルが見上げた先にある顔は、もちろんニヤニヤしていた。大きな身体を窮屈そうに屈めてその顔が近づいてくる。  
「うッ、ううッ」  
 ふるふると睫毛を震わせて、視線から逃れるようにミレルは目蓋を閉じた。ギュッと力一杯で瞑っている。  
 こんな状況ではきっと、相手を憎からず想っているのならば、年頃の娘なら誰でもこうするはずだ。  
 だから目を瞑ったのはかまわない。乙女の恥じらいとして正しいと思う。  
 しかしミレルの顔はどう見たところで、力が入りすぎていて、キスを待つ乙女ではなく、傷薬を塗られるのを我慢する子供の顔だった。  
 見下ろすジャールのニヤニヤが止まらない。顎を上げさせたままで、しばらくその顔を観察していた。  
 すると、いつまでもやってくる気配のないのにおかしいと思ったんだろう、ミレルはそ〜〜っと薄目を開ける。  
 そしてジャールの待っていたのはそれだった。  
 
「んぅッ!?」  
 ミレルの目が驚愕で大きく開かれる。それが長いのか短いのかミレルにはわからない。  
 でもはっきりしているのは、盗賊が逆に奪われたということだ。そのまま略奪者の舌先は、歯を押し割って強引に侵入してくる。  
 柔らかな頬の内側をゆっくりとなぞりながら、口腔の奥で怯えた様に縮こまるミレルの舌を絡め捕り、本能の赴くまま貪るように嬲り  
吸い上げた。  
「んむッ!?………ふぅ……んンッ!!……んぅ…………ン……んふぁッ…………」  
 唾液を流し込まれると少し躊躇いはしたが、  
“こくん……”  
 ミレルは小さく喉を鳴らして嚥下する。  
 その様子を目の端で確認してニッと笑うと、ミレルの髪の毛を愛しそうに撫でて、ようやくジャールは唇を離した。  
 ふたりの間を銀色の糸が繋ぎプツリッと切れる。同時に力が抜けてしまったように、  
「…………はぁ」  
 初めての衝撃にポォ〜〜ッと蕩けた顔をしたミレルは、しなだれかかるようにジャールの厚い胸板へと、その小さな身体を預けてきた。  
 だがジャールはそんなミレルの肩に手を置くと、  
「あッ!?」  
 冷たいと感じるくらい無下に引き離す。たったこれだけのことに、ミレルの瞳が泣きそうに揺れた。揺れてしまった。  
 優しくされてからのしっぺ返し。  
 そんな経験は嫌になるくらいあるはずなのに。洩らした声の半分は『それなのに』という馬鹿な自分に対する驚きだった。  
 頭にはさっきと違った意味でカァ――ッと血が上り、やはり違った意味で顔を真っ赤にさせる。  
 でもそれは勘違い。否、早とちりか。どっちでもそれはいいのだが、赤くさせていた意味は、さっきまでのでちゃんと合っていた。  
 
「ミレル…………自分で服を脱いでみろ」  
「…………えっ!?」  
 怒りと悲しみの精霊に支配されかけていたミレルの精神は、その一言であっさりと簡単に解放される。  
 睨むミレルをニヤニヤと見下ろしながら、ジャールはなんでもないことのように、女にとってはなんでもあることを言い放った。  
 いくら回転の速いミレルの頭でも、その言葉の意味を認識するまでに、しばしの時間は掛かったものの理解する。  
 また、小さな身体は恥じらいの精霊に支配された。  
「あまり目立つところにキスマークがあると…………ククッ、オマエも困るだろ? それともやっぱり脱がして欲しいか?」  
「あ、いや、あの………………えっと………その…………………」  
「どっちにするんだ?」  
 いつの間にか『どっちにするんだ?』二者択一になっていた。ミレルに選べるのは脱ぐのか脱がされるのか、二つしかなくなっている。  
 だったら、だったらミレルには、前者の方がいくらかでもマシに思えた。  
「ぬ、脱げばいいんだろっ!!」  
 ミレルはキレたように顔を口にして怒鳴ると、まずは上着の裾に手を掛ける。  
 別にそれに考えがあったわけではない。下から脱ぐよりはいくらかでも、抵抗感が薄かったからだけだ。  
 手をクロスさせて、ほんのちょっとだけ捲る。白いオナカがチラッと覗いていた。だが、そこで動きがぴたりと止まる。  
「どうした?」  
「くッ!! ううッ!! でぇえいッ!!」  
 しかしジャールが目と言葉で促すと、ミレルは勢いをつけて上着を捲り上げ頭から引き抜いた。  
 仄かに色づいたばかりのささやかなふくらみが、余裕を浮かべながらそこにギラギラとしたものを映す雄の目に晒される。  
「あ…………」  
 ミレルはその視線を浴びて、早くも気持ちが挫けそうになった。  
 それでも手で隠すことすらしない。なにかそんなことをしてしまうと、負けのような気がするのだ。 ――――勝ち目などないのだが。  
 
「まだ下が残ってるぞ」  
「わ、わかってるよっ!!」  
 一瞬、いや半瞬だけ考えてから、ミレルはスカートの中に、捲れないよう注意しながら手を差し入れる。  
 これから裸になろうとしているのに、そんなことを気にする必要があるとも思えないが、そんな非合理的なのが恥じらいというものだ。  
 倒れて無様な格好にならぬよう、慎重に足首から下帯を抜く。  
 前屈みになっても『谷間』と呼ばれるものが出来ないのを、ジャールがニヤニヤと微笑ましさ、半々で笑ったのには気づかなかった。  
 ミレルは気持ちが萎えないようにと、下帯を抜いてから動きを止めずに、スカートの止め具に手を掛ける。が、それは、  
「待て それはそれでいい」  
 ジャールの声がすんでで止めた。もちろんそれが、優しさからでないことはすぐにわかる。  
 第一客観的に見れば、スカートとブーツだけのいまのミレルの姿は雄がからすれば相当そそられるものだし、優しさのある壮年の男が  
倍以上離れた年端のいかぬ少女に『脱げ』などと言ったりはしない。そして、  
「あんッ!?」  
 ミレルが舌足らずな可愛い声を上げて身体をくねらせる。ジャールは当たり前のように、少女の蒼い乳房に大きな手を宛がっていた。  
 すっぽりとその可憐なふくらみは隠れて見えなくなってしまう。  
 そのままでジャールは指先には力を込めず、ゆるゆると円を描くようにゆっくりと手を動かし始めた。  
 もっともそれほど大胆に動かせるほど乳房にボリュームはない。ないので極めてゆっくりと、ソフトにジャールは円を描いていた。  
 ふくらみを形成しだしたばかりの乳房はとてもデリケートに出来ている。  
 この揉むのではなく撫でるという愛撫が、ジヤールの口には出さない優しさなのかもしれない。…………もしかしたら。  
「ンッ……ふぅッ……はぁ……んぁッ……ああッ…………んンッ!!」  
 そんなジャールの優しさなのかなんなのかはわからないが、親が幼子に薬を塗り込むような愛撫に、ミレルはあきらかな反応を返した。  
 大きな手。その手の掌を下から身を起こした乳首が突き上げてくる。  
 ジャールのニヤニヤは深くなり、ミレルの瞳からは情けなくて涙が零れそうになった。  
 互いにそれを目で見てはいなくとも、身体のはしたない変化はわかっている。だからこそのニヤニヤ、だからこその涙だった。  
 
 そしてわざわざ、それを晒そうとでもいうのか、そっとジャールは乳房から手を離す。  
 小ぶりな乳房に相応しい小ぶりな乳首は、ぷっくりと生意気に起立していた。  
「オマエは随分とイヤらしい娘だな」  
「なっ!?」  
 さらりと投げられた不躾な一言に、ミレルは反射的に声を上げたが、こうも顕著な欲情の証を見られた後では言葉が続かない。  
 潤む瞳で睨むのが精々だった。そこに迫力などはまるで感じられない。その瞳の放つ光は雄の嗜虐心を、なおいっそう煽るだけだった。  
“つぷ……”  
「くぅんッ!?」  
 ジャールは人差し指を立てると、ミレルの硬くしこっている乳首を、頼りないふくらみに埋め込む。  
 まだまだ残る芯の固さを確かめると、そこで指先を少しだけ戻し、クリクリと弄うように乳首を転がしだした。  
「はぁ……くぅんッ……んンッ………ん………んぅッ……はぁ……んぁッ……ぅああッ……」  
 指の腹で潰されても潰されても、その度にけなげに起立する。しかしそんないじましさは、情念の炎に新たな薪をくべるだけである。  
 それでなくともこの男の炎は大きいのだ。  
“キュッ”  
「ひんッ」  
 甲高い声がミレルの口から洩れる。不意にジャールは乳首を少しキツめに捻った。  
 ミレルの身体が一瞬だけ飛び上がる。痛かった。ジャールはすぐに力を緩めてくれたがジンジンする。でも…………それだけではない。  
 鋭い痛みを伴うその半分、甘い感覚が全身に広がっていくのが、ミレルにははっきりとわかった。  
「乳首だけじゃなく…………他のところも可愛がって欲しいんだろ? ミレル」  
 微妙な力加減で乳首をからかうみたいに苛めながら、ジャールはスカートの裾を握り締めて、ぶるぶるしているミレルの耳朶に囁く。  
「んッ、んッ」  
 頭がなにかを考える前に、身体は勝手にこくっこくっと二回も顎を引いていた。  
 
「よし、それじゃあ足を…………そうだな肩幅くらい開け」  
 それはちょうど目の前の男の手が、易々とすべり込めるスペースである。  
 しかしそれにも、ミレルの身体は即決すぎるくらい即決で答えた。言われたとおりに、きっかり肩幅の分だけ足を開く。  
「ククッ オマエは本当にいい娘だ」  
 素直に従うミレルの頭をクシャクシャと撫でると、そのままその手をスカートの中へと突っ込んだ。  
 ミレルの毛もまだ生え揃ってはいない恥丘に、ジャールは包み込むように、馴染ませるように手の掌全体を被せる。  
 ゆるゆると上下に揺すりながらに、ミレルの羞恥心を煽るように、触れてもいないのに溢れさせていた透明なぬめりを塗り込んでいく。  
 消え入りたいほど恥ずかしい身体の反応に、ミレルは下唇を噛んで堪えようとするが、内腿をツゥ――ッと零れ落ちる愛液の軌跡との  
コントラストもあって、よりいっそうイヤらしさを際立てるだけだった。  
 それにいくら頑張ったところで、  
“ぬちゅッ”  
「うぁッ!?」  
 指先を粘膜の狭間に突き入れられると、あっさりとイヤらしい、しかも媚を含んだ声が洩れてしまう。  
「はひッ…ひッ……あッ……はぁッ……ン……んふぁ…………はぅッ……んンッ……ぅああッ!!」  
 秘唇からクチャクチャと、食事の席でやったら不作法の謗りを免れない音を立てて、ジャールの指は好き放題粘膜の海を泳いでいた。  
 ミレルの膝はもうガクガクと笑っている。一方的に与えられる快感に逆らう術はなかった。  
 あの夜のように、  
「ンッ、ンッ……ふぅッ……はぁ……んぁッ……ぅああッ……あ!?……ああッ………ふぁッ!!」  
 白いフラッシュが頭の中でいきなり爆発する。やはり敏感すぎる身体の持ち主なのか、今回もあっけなくミレルの意識は飲み込まれた。  
 
“トサッ”  
 カクンッと膝が折れたところを支えてやりながら、ジャールはやれやれと、それでいて満足そうに独り語る。  
「毎回これではなぁ なにか? オレは淋しくひとりで処理するわけか? まったく手の掛かるヤツだ クククッ…………」  
 と、そこまで笑ったところに、  
“カタッ”  
 微かな物音。だがジャールにはそれだけで充分だった。刹那で歴戦の戦士の顔になると物音がした方を睨む。  
「ん?」  
 そしてすぐに妙な顔をした。  
“タッタタタタ…………”  
 走り去る足音。完全に消えてからジャールは、ミレルをその場に優しく横たえて、気配のした曲がり角をまがってみる。  
 無論そこにはすでに、誰がいるわけではなかったが、男をそそる匂いのする残り香が漂っていた。  
「ふんっ 欲求不満なのはオレだけではないか クククッ まぁ、向こうは不本意かもしれんがな…………とりあえず表向きは」  
 ニヤニヤと顎に手をやり考える。次にジェニがマイリー神殿を空けるのはいつだったかを思い出そうとしていた。  
 
 

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