「さつきさん! なんなのよこれ! 離してよ!」  
『……』  
 スキンタイト宇宙服のまま、両手両足と腰を拘束され、壁にはりつけられるゆかり。  
 四肢を固定した鎖が引かれ、大の字に身体を開かされてしまう。  
「なにするっての! これ! 離してってば!」  
『ねえ、ゆかりちゃん』  
 そう呟きながら、さつきがゆかりを見上げる。  
 その表情は、いつも訓練中にみせるそれと同じだったが、目だけは違った。  
恐ろしく冷たかった。初めてみる、さつきの姿だった。  
 
『賢いあなただもの。気付いていたんでしょう?』  
「な、なにがよ。こんな磔になる心当たりはないけど」  
『小型軽量のオービターに、小型軽量の女の子。SSAの基本戦略。  
 成長期のあなたが、いつまでも乗っていられるとでも?』  
「でも、でもだって、最近じゃLS-7Aも安定して、重量に余裕は出てきて…」  
『どこまで余裕が出たって、軽い方が有利には違いないわ。  
 幸い、いまは新規の希望者が殺到。去年いれた第2世代の3人も十分育ってきた』  
「だけど…だけど! 技術は人につく、人は財産だっていつも!」  
『あはははっ! なぁに? 所長のペテン、また信じちゃったの? 何度騙されてるのよ、あなた。  
 いつまでも先輩役だとか、「飛行士のおねえさん」として居られると思ってたの?  
 ホント可愛いったらない。  
 ゆかりちゃんって、はねっかえりのわり、素直で騙され易いのよね』  
「…じゃあ、じゃあ…でもだって…」  
『だって、なに?  
 すくすく育って、体重が増えたゆかりちゃんが、今更ここに残るメリット、なにかある?』  
「……」  
『でしょう? あなたにもう、SSAでの価値はないのよ。  
 ただ一つ、この仕事を除いてね。  
 あら、どうしたの? 泣いてるの?   
 そうそう。強そうに見えて弱いそのメンタル面も、中々管理に苦労させられたっけ。  
 でも、それも今日で最後』  
 
『圧倒的に男が多い職場よ、ここは。  
 そして娯楽もなにもない南国の孤島。  
 男どものフラストレーションも、あれで中々なものなの。  
 生産管理において、不健康なストレスは、あまり無視できるものじゃないわね』  
「……」  
『そこで。  
 あなたが今日からその娯楽になるの』  
「な、なにを…ッ! わけわかんないんだけど!」  
『大丈夫よ。初めてで十分こなせるわ。初めてが好きだって男もいるしね。  
 あなたはただ、1日中、男の相手をしてればいいの。  
 口でも、前後の穴でも、好きな所を犯して貰えばいい』  
 
「ふざけないでッ!」  
 宙吊りのまま、暴れまわるゆかりだったが、四肢を持ち上げる鎖はビクともしない。  
『無理無理。少なくとも、痩せぎすのあなたが千切れるモノじゃないわ。  
 あなたね、その体重、思いきり不健康よ?  
 ロケットがなけりゃなんの役にもたちやしない。  
 1日中犯されてるだけでいいんだから、今後は少し、太れるといいわね」  
「そ、そんな…」  
「ふふ、また泣いてるの? 歯も随分食いしばってるけれど。もしかして、いまさら無力感? 悔しいっての?  
 軽い事しか能がないことくらい、とっくに自覚してたでしょう?』  
 
「わ、私が消えたら…唐突に消えたら、大問題になるでしょ、それを…」  
『あははは。医学主任の私が堂々動いてるのよ?  
 それに、肉便器になるあなたを最初に使ってくれる客もSSAスタッフ。  
 少しは考えなさいな。  
 公式決定に決まってるじゃない。問題なんてなにもないわ』  
「え、SSAがダメだって、私が、私が消え…」  
『ゆかりちゃん。あなたも散々活用したわよね、ソロモン病』  
「…ッ」  
『バレなければなにやってもok。  
 ずっとずっと、自分の身には降りかからないとでも思ってた?  
 軽いだけのあなたが、軽さを失ってからも?』  
「……」  
『・・・ふふ、あなた、安川君のあの後、知ってる?』  
「えっ…は、浜松に、無事、帰ったって…」  
『ぷっ、あははははは! 本当に、本当にそれを信じてたの? 今の今まで?  
 ああおかしい。ゆかりちゃんってば。  
 わかった、いいわ。あなたの後輩達にはそう伝えてあげる。  
 「 ゆかり先輩は、無事横浜に帰ったわ 」ってね。きっと信じてくれるわ。あの子達もあなたに似て素直だから』  
「…そ、んな…」  
 
『そういう事だから、気にせず肉袋として生きるべく、専念しなさい。  
 1日中、犯すためだけに人が訪れるこの部屋で、好きなだけ精液を飲ませてもらいなさい。  
 あなたも楽しめる程度には、媚薬をあげるから。  
 そうそう、これもソロモン病に感謝してね。普通の媚薬とはモノが違うわ』  
「……」  
『なによ、早々に元気がない。少しは手応えがないと、男衆が楽しめないじゃない。  
 まあ、最初楽しませてくれたら、後々壊れたって構わないけどね。  
 最低限のメンテナンスはしてあげるから。  
 精液を搾り取る収縮と、注ぎ込む穴、そして男どもを満足させる表情。  
 最後はそれだけ残ってればいいわけ。あなたはただの、性処理用具なんだから』  
 
『1日中ヤってるだけ。気持ち良さも、道具としての生存も保証されてる。  
 気楽なものでしょう?  
 秒刻みのカウントも、無数の重責もおさらば。  
 もっと楽しみなさいよ。暗い顔しちゃって』  
「……」  
『妊婦を使った宇宙での人体実験は、まだ記録には残ってないから。  
 いよいよダッチワイフとしても使えなくなったら、避妊を辞めて、子袋に使うのもいいかもね。  
 嬉しい? 頑張ればまた宇宙へいけるわよ。実験道具として。  
 茜ちゃんとマツリちゃん、誰が一番早いかしらね。精液タンクとして1番活躍してる子からあげたげる』  
「あ…」  
『ん? なぁに?』  
「あ、茜も!? マツリに!? ふ、ふたりにもこんなことを!?」  
『当たり前じゃない。なにいってるの。あなた同様、あのふたりにも価値はないでしょう?』  
「なんて、なんてことを! 絶対許さないから! 絶対に!」  
『ふふ、いい感じ。元気ないんだもん、どうしようかと思っちゃった。  
 反応がないただの便器って、あまり男のストレス解消にならないみたいでね。  
 そうして元気でいてくれると嬉しいかな』  
「さ、さっきから聴いてれば便器とか、なんとか…!!」  
『ふふ、頑張ってね。じゃあ準備しよっか♪』  
 そういってさつきは、2本の銅線を差し出す。長さはそれぞれ10cmほど。  
「痛ッ」  
 ゆかりの小さな乳首をに爪を立て、そのまま引き伸ばすように引っ張りあげる。  
 四肢を鎖に引かれ全く抵抗できないゆかりは、一方的に与えられる、乳首が千切れるほどの痛みに  
歯を食いしばる。両の乳首をつねりあげられては、身体をよじって痛みから逃れる事も出来ない。  
目から涙をこぼしながら、ひたすら耐えるしかない。  
『備品だもの、バッヂくらい付けとかないとね。管理記録も残せやしない。  
 まずはこれだけ、痛くても我慢なさいな』  
 
 そういうとさつきは、一旦乳首から手を離し、LS-5をかたどったバーナーで、銅線を加熱する。  
「ひっ、や、やめて…」  
『なによ、この程度で  
 

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